安倍首相の「佐川激励のメモ」は典型的な『捨て奸』(すてがまり)なのだ!

 発売中の月刊「文藝春秋」に、去年2月、森友疑惑で答弁に立つ佐川宣寿理財局長(当時)に、安倍首相が「激励のメモ」を送っていた!というエピソードが紹介されている。

 佐川さんは野党の質問攻めにあって苦悶していたが、そこへ、委員会室で10数メートル先に座る首相から一枚のメモが届いた。

 その“紙切れ”には「もっと強気で行け。PMより」とあった。「PM」とは「プライムミニスター(首相)」。

 激励というより「首相の命令」だった。忖度の強要であった。(「文藝春秋」5月号「安倍忖度政治に決別」に詳しい)

 政治家たちの「激励」は、時に「捨て奸」戦略の一種なのだ。激励されれば、死ぬ覚悟が必要だ。

 「捨て奸(すてがまり)」という言葉をご存知だろうか?  関ヶ原の戦いで、薩摩の大将・島津義弘が展開した「戦法」。撤退するとき、兵の中から「精鋭の小部隊」を選び、その場に置き去りにする。残された部隊は胡座をひき、座ったままで、追って来る徳川軍の指揮官を狙撃。その後、一斉に、槍で敵軍に突撃する。

 その隙に、島津の本隊は追っ手を振り切って落ちのびる。小部隊が全滅すると、また新しい“足止め隊”を退路に残す。これを繰り返して、時間稼ぎをしている内に、本隊は逃げ切った。

  これが島津の「捨て奸」戦法。安倍さんは佐川さんを「捨て奸」に使った。言ってみれば「究極のトカゲの尻尾切り」。奸、つまり「わるがしこい」戦法なのだ。(発売中のサンデー毎日「牧太郎の青い空白い雲・究極の『捨て奸』戦略で佐川さんに”夢の天下り”はーー」を読んでくれ)

 このところ、あちこちで、高級官僚が捨てられている。「頭の良い役人」が頭の悪い権力者の言いなりになる。

 霞ヶ関から「やってられるか!」の声が聞こえて来るのだが?

<何だか分からない今日の名文句>

「吏道」とは何か?