「東京ドーン」が描く「27歳」

  「早見和真」クンから新作「東京ドーン」が贈られてきた。
 早見は”若い友人”松本太郎クン(多分、今は「小説新潮」の編集者だと思う)に紹介され、一度、神田で飲んだことがある。
 1977年7月15日生まれ。 何故か、最近は「三十代の半ば」の友人が多くなった。
 東陽町の歯医者、筋トレの師匠・中澤マイケル、JRAの仲間、「右手を動かすぞ!」の運動療法士……みんな35歳前後だ。
 「早見」は大学時代から、かなり優秀なプロライターで、佐藤優氏?田中森一氏の対談本『正義の正体』など、ヒットを飛ばしていたが、一緒に酒を飲んだ頃(2008年?)には小説家に転向?
 高校野球を舞台にした長編『ひゃくはち』を世に出していた。
 その時の担当編集者が書いている。
 ……5年ほど前のことでした。したたか酔っぱらっていた私は、一緒に呑んでいた相手に言ったそうです。「キミ、小説を書きなさい!」と。しかも、書いてもいないその人に「キミには才能がある!」
そう連呼したらしいです。(記憶が曖昧で伝聞調ですいません)
 1年半後、ずぶの素人にそんなことを言うなんて、と反省させられました。
 「書きました」
 彼が千枚にも及ぶ原稿を持ってきてしまったからです。
うーん、困った。正直、困り果てました……
 要するに、酒の上の冗談?が小説家を産んでしまった?
 運が良いのか?悪いのか?
 デビュー作「ひゃくはち」は映画化された。(定かではないが、漫画にもなったらしい)
 「人生で一度でいいから小説を書きたい」と思いながら、それが叶わぬ当方、羨ましく思ったことを覚えている。
 その後「早見」は「スリーピングブッダ」「砂の上のファンファーレ」を書き、4作目が、この「東京ドーン」。(4月19日講談社より出版)
 東京に暮らす若者を描いた短編小説6作を1冊にまとめたかたちだが……
 読み出して見ると「バブル以降、夢が持てない若者」が登場する。彼らの気持ちを垣間見ることがなかった。
 60歳代の当方には、彼らがそんな気分で、悶々としているのを理解していなかった。
 よく分からないが、何故か「27歳」が登場する。「27歳」は特別の存在なのか?
 読み続けることにした。

<何だか分からない今日の名文句>
人生はドーンと花火