「七支刀」の秘密

 7月31日夜、韓流ドラマ「百済の王 クンチョゴワン」全60話を見終わった。10日間、掛かった。
 百済の伝説的な君主の物語。4世紀中盤、百済を驚異的なスピードで発展させた近肖古王(在位346~375)の生涯を描いている。
 兄弟の骨肉の争い。悲恋。貴族と王家の戦い。意外な展開が面白い。
 強力な軍事力と経済力が必要だ!というイデオロギーが最大のテーマなのだろう。
 最終話は「七支刀」。
 「古事記」や「日本書紀」に、近肖古王が倭(日本)へ使者を送り、その際、「七支刀」を贈った、という記述がある。
 七支刀(しちしとう)は、鉾に似た主身の左右から三本ずつの枝刃を出して、合計七本の刃を持つている。
 このドラマでは、左右から出ている6本の刃が「百済の属国」を意味し、その一つが「倭(日本)」を意味していることになっている。
 最終回では、近肖古王が「倭は小さな国だが、いずれ大国になる。だから、百済の文化を教え、仲良くなるんだ」と話す。
 ドラマの製作者は「日本は朝鮮半島にとっては昔からの同盟国」というスタンスを取っているのだろう。
 その「七支刀」は現存する。奈良県天理市石上神宮(いそのかみじんぐう)に保存されている。
 千年以上もその存在が忘れられていたが、明治時代初期、当時の石上神宮大宮司であった菅政友が刀身に金象嵌銘文が施されていることを発見。話題になった。 (昭和28年、国宝指定。基本的に非公開であるが、昨年、東京国立博物館「大神社展」に展示された)
 銘文は……「表は東晋で鋳造された際に刻まれ、裏は百済で刻まれた」という説が有力。「百済王が倭王に贈った」という解釈が定説で、当時の時代背景として、高句麗の圧迫を受けていた百済が倭との同盟を求め、贈られたとされている。
 北朝鮮(地理的には、昔の高句麗)と戦争状態にある韓国が日本を同盟国と考えたのと、よく似ている。
 その日本・韓国が……今、いがみ合い。
 安倍内閣の「北朝鮮接近」……東アジアの争いは昔と変わらない。
 今日から8月。
 猛烈な暑さ。体調維持に気をつけて下さい。

<何だか分からない今日の名文句>
四季崎の刀を集めれば天下が取れる
(刀鍛冶・四季崎記紀は1000本打った)