Author Archives: 牧 太郎

地下鉄サリン事件から18年

 20日は……13人が死亡、6千人以上が重軽症となったオウム真理教の地下鉄サリン事件から18年。
 あの日のことは鮮明に覚えている。
 松本サリン事件の犯人が、オウム真理教であることがハッキリして、警察が教団を家宅捜査をする構えを見せていた。
 サンデー毎日の編集長として、 メディアとして初めて「オウム真理教の狂気」というキャンペーンを展開した経緯もあって、社会部に戻った僕は、強制捜査が始まった時点で、社会面で大々的に連載を始める計画だった。
 脳出血で倒れ、右半身不随の一級身障者になり、サンデー毎日の編集長を更迭されていたのを、当時の中島健一郎社会部長から「もう一度、社会部でやってみたら」と誘われて、心機一転の気分だった。
 「オウム真理教企画」は、僕が中心にならなくては……一日に最低3人、取材する目標を立て、頑張ってしまった。
 有田芳生さん、江川紹子さんを取材した日の夕方、また、倒れてしまった。今度は脳梗塞だった。
 専売病院に入院した。オウムが牧を狙っている、という情報もあって、病院は、僕の病室に「別の名前」をぶら下げた。
 そして……その朝、朝食を終えた頃、けたたましいサイレンの音が鳴り響き……テレビで事件を知った。
 すぐ「オウムの仕業!」と直感した。
 あまりにも、無残な出来事だった。許せなかった。でも……何も出来ない。車椅子の自分に腹が立って、腹が立って……。
 夜は眠れなかった。新聞記者の限界に泣いた。正直言えば、捜査情報が教団に漏れているのに……警察は何故、放置したのか?
 でも、新聞記者には「強制力」はない。新聞は悪徳政治家を批判出来るが、お縄にすることは出来ない。それと同じだ。
 誰が見ても「詐欺」であっても、「信教の自由」と言われると、警察は二の足を踏む。オウムの犯罪は、ゴテゴテの捜査に原因がある。
 泣いた。
 18年後の20日。地下鉄サリン事件の犠牲者に黙祷してから、お彼岸なので、深川の閻魔堂に。
 お袋!オウムのことでは、心配かけたなぁ。

<何だか分からない今日の名文句>
オウムの罪、警察の罪、何も出来ない「記者の罪」