最高裁はいらない!

 今日7月15日発売のサンデー毎日の「牧太郎の青い空白い雲・481回」で、最高裁に対する「不信感」を書いたが……(「最高裁は戦争容認の統治行為論に逃げるのか?」)やっぱり最高裁はヘンだ。
 1972年の沖縄返還で日米両政府が交わした「密約」文書の開示を西山太吉・元毎日新聞記者らが求めた情報公開訴訟。
 最高裁第二小法廷(千葉勝美裁判長)は14日、原告側の上告を退ける判決を出した。
 裁判は……行政機関が「存在しない」と主張する文書の公開を裁判で求める際には、請求側がその存在を立証する責任がある。この点について、原告側の立証が不十分だ、というのだ。
 そんな馬鹿な!
 問題の文書は……沖縄返還で日本側が日米間の協定で決めた金額よりも多い財政負担をすることや、米軍用地の原状回復費を肩代わりすることなどを記したもの。
 一審・東京地裁は文書の開示を国に命じている。
 二審は「探したがない」との国の主張を認めて一審判断を取り消した。
 「探したがない!」とは、号泣前県議の言い訳みたいなものだ。
 最高裁は、その二審の判断を追認。ロクに審理をしなかった。
 しかもである。一、二審判決は「請求者側が過去のある時点で文書が存在したことを証明した後は、それが存在しないことの証明は行政側がしなければならない」としていたが、最高裁は「原告に証明責任がある」というのだ。
 「ないのだから仕方ない」という国の言い分を最高裁が正当化する。
 政府に都合のよい情報だけが採用される「暗黒時代の裁判」である。
 ご存知のように、西山元記者は初めて「密約」の存在をスクープした人物。だが、沖縄返還が迫った1972年4月、密約を示唆する機密電文を西山さんに渡した外務省女性事務官とともに国家公務員法違反容疑で逮捕され、78年に最高裁で有罪が確定した。
 その後も、密約の存在を訴え続けた西山さん。彼をモデルに、作家の故・山崎豊子さんは密約事件をテーマにした小説「運命の人」を書いた。
 西山さんは「無念」だった……とは思うが、むしろ、民主主義が壊れていることは、この裁判を通じて、国民が知る「絶好の機会」にもなった。
 司法の独立は地に落ちた。
 密約文書は国民共有の財産である。永久保存しなきゃいけないのに……このことは記憶しなければならない。
 さて、サッカーW杯。応援したアルゼンチンが惜敗。
 それにしても、ドイツは経済でも「敵なし」ではないのか?

<何だか分からない今日の名文句>
この国では…… 「隠す」が勝ち!