「憲法」を護る天皇、「憲法」を無視する首相

 8日午後三時に公開された、天皇陛下の「お気持ち」ビデオメッセージ。推敲に推敲を重ねた、素晴らしい文章だった。感動した。

 「全身全霊」という言葉を使われた。「天皇という立場上、現行の皇室制度に具体的に触れることは控えながら」と断った上で「即位以来、私は国事行為を行うと共に、日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を、日々模索しつつ過ごして来ました」と話された。

 天皇は国事行為はもちろんだが、日本国憲法がいう「象徴としての務め」を最優先された。これが全身全霊なのだ。

 「時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うことも大切なことと考えて来ました。天皇が象徴であると共に、国民統合の象徴としての役割を果たすためには、天皇が国民に、天皇という象徴の立場への理解を求めると共に、天皇もまた、自らのありように深く心し、国民に対する理解を深め、常に国民と共にある自覚を自らの内に育てる必要を感じて来ました。こうした意味において、日本の各地、とりわけ遠隔の地や島々への旅も、私は天皇の象徴的行為として、大切なものと感じて来ました」

 全身全霊で「日本国憲法」に従い、守ってきた、という自負。感動した。

 天皇は時の政権と無関係である。

 天皇はただ「日本国の伝統」と「憲法」に従っている。憲法が全てである。

 「その地域を愛し、その共同体を地道に支える市井の人々のあることを私に認識させ、私がこの認識をもって、天皇として大切な、国民を思い、国民のために祈るという務めを、人々への深い信頼と敬愛をもってなし得たことは、幸せなことでした」

 国民のための天皇。推敲に推敲を重ねた、天皇は「主権在民」を強調された。

 「始めにも述べましたように、憲法の下、天皇は国政に関する権能を有しません。そうした中で、このたび我が国の長い天皇の歴史を改めて振り返りつつ、これからも皇室がどのような時にも国民と共にあり、相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう、そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ、ここに私の気持ちをお話しいたしました」と、天皇は最後に「憲法」を強調された。

 天皇は「護憲」である。

 これに比べて、安倍首相はどうだろう?

 はっきり言えば、憲法を蔑ろにしている。安保法制を始めとする「憲法無視」の数々。 天皇と安倍首相は「天と地」ほど違う。

 安倍政権になってから、二人は食事を共にすることはない、と聞く。異常である。

 安倍さんは「お気持ち」が発表された直後、首相官邸で記者団に対し「天皇陛下が国民に向けてご発言されたことを重く受け止めている。天皇陛下のご年齢やご公務の負担の現状を鑑みる時、どのようなことができるか、しっかり考えていかなければならない」と語っただけである。

 素っ気ない。

 その「素っ気なさ」に、僕は「独裁者・安倍さんの苛立ち」を感じた。

 恐れ多い感想になるが、人間として、二枚も三枚も天皇の方が上である。

<何だか分からない今日の名文句>  

ありがとう!天皇陛下!