一戸稔さんが「榎本武揚の一冊の本」を書いてくれた

 小生にもファンがいるらしい。

 「一戸稔」という方が「75歳になった牧太郎さんへの誕生日のお祝いです」と分厚い本を贈ってくれた。

 【昭和と平成に生きて・九十二歳老人の回想】

 一戸稔さんの市井探訪である。

 これが面白い。16日夜、一気に読み終えた。(小生のことも登場する)

 嬉しかったのは

 <2002年4月15日 函館・五稜郭、榎本武揚が大事にした一冊の本>の一節である。

 函館戦争。

 新政府軍の大将・黒田清隆は幕府軍の榎本に降伏を勧めた。

 榎本は「我々は最後まで闘う。ただ、心配なのは、この本を無くすことだ。日本にとって、無二の本だ。依って、この本を貴殿に託す」と言った。

 この本は「万国海律全書」だった。

 一戸さんは、この逸話をバスガイドに聞いたらしい。

 「榎本が大事にしたの本」は正確にはフランス人のジャン・フェリーチェ・テオドール・オルトラン著の”Régles Internationales et diplomatie de la Mer”(「海の国際法と外交」)。

 多分、日本で初めて読まれた国際法の本だ。

 (箱館戦争の際に榎本から受け取った黒田清隆は、維新後、本書を海軍省に納め、1899年<明治22年>に海軍参謀本部により『海上国際条規』として和訳された)

 この話、あまり知られていない。

 実は、榎本と小生の実家「深川亭」とは縁が深い。

 榎本は江戸下谷御徒町柳川横町(現在の東京都台東区浅草橋付近)通称・三味線堀の生まれ。

 江戸っ子である。

 維新後、「江戸っ子会」を作り、小生の実家「柳橋・深川亭」を根城にした。

 一戸さん、誕生日祝い、ありがとう!

 榎本の逸話を紹介してくれて、ありがとう!

 

<何だか分からない今日の名文句>

執着心に乏しく、野暮が嫌いで

正直で、義理堅く、涙もろい、

親交のあった新門辰五郎の孫を

引き取り学校に通わせた