国の務めは国債消化か? 雇用拡大か?

 21日午後、JRA経営委員会。平成23年度のJRA事業年度決算を了承。当期純損失が約63億円余りの赤字決算となった。赤字決算は昭和32年度以来、実に54年ぶりである。
 長引く不況、増税の嫌な予感、そして大震災。もちろん、レジャーの多様化もあるが、とにかくJRAにとっても苦しい一年だった。
 約124億円を計上した特別損失のうち106億円は、東日本大震災関連によるもので、支援金約50億円、復旧工事等で約56億円を要した。
 50億円の支援金は競馬ファンの「絆」。競馬ファンの「任侠」が形になった。
 競馬ファンの皆さん、ありがとうございました。
 「赤字に転落!」とメディアは書くが、民間の「赤字」とは大分、違う。
 国庫納付金(赤字決算で剰余金ゼロのため、第2国庫納付金はないが)2293億円余りを国に収めている。 「売上の10%」が義務ずけられているのだ。
 この「10%」が果たして妥当なのか? 疑問を感じる。
 国が何もしないで? 「10%の寺銭」を取っても良いものなのか?
 無能無策で「老後不安」「将来不安」を煽り立て、多くの国民を預金にシフトさせた国。ただし金利はゼロ同然。国民は手数料を払って損ばかりしている。
 不景気だから、金利が安いから、銀行は集めたカネを有効利用できず、企業、借り主を応援しない。結果として、国債ばかり買う。
 今の日本は「不景気にして国債を買わせる盗人国家」ではあるまいか?
 そんな気がする。
 日本国の借金は約1000兆円。国内総生産(GDP)に対する政府債務比率は220%。ギリシャの166%、イタリアの121%を大きく上回っている。それでも「日本の国債は大丈夫」と内外が認めるには4つの根拠が存在した。
 (1)日本の国債は94%が国内で消化されている
 (2)日本の個人金融資産は1400兆円もある
 (3)日本は貿易収支が大幅な黒字国
 (4)それに最後は低金利。長期金利は10年物国債の流通利回りが0・9~1・1程度で安定している。
 この四つの根拠を挙げ、政府は「国債は大丈夫!」と言ってきたが……早くも(3)の「貿易収支の黒字」が崩れ、日本はついに赤字国に転落した。
 本当に国債は大丈夫なのか?
 話をJRAに戻そう。もちろん、JRAはもっともっと経営努力をしなければならない。新しい「商品」を考えなければならないだろう。努力する。
 しかし、国が競馬ファンから「10%」の寺銭をむしり取るシステムに矛盾を感じる人も多い。
 むしろ「10%」の国庫納付金を下げ、その分だけ、競馬産業は雇用を増やす方が(国家財政から見ても)懸命なような気がする。
 雇用がなければ、増税しても、税収は増えない。
 国債消化より雇用!
 「国債は大丈夫!」は財務官僚が無理矢理作った「へ理屈」ではあるまいか?

<何だか分からない今日の名文句>
理屈とガムはどこにでもつく(中内功の名言)