ナビの功罪?

 一年に1、2回“切れる”ことがある。
 14日、午前中に、某病院に向かうタクシーで“切れて”しまった。
 小雨が降っていたので、タクシーを電話で呼んだ。「8分ぐらいで」ということだったが、着くまで13分ぐらい掛かった。それは、まあ、良いけど(迎車には400円払うシステムなのに)……今度は後部座席のドアが開かない。この運ちゃん、運転席と後部座席の間を3回も往復する。
 「ヤバイな! この人」と思った。
 「××病院へ」と言ったら「知らない」と言う。有名な病院である。
 「知らないの?」と言うと「◯◯山の方面ですよね」と言うから「そうだよ」と答えると「それなら知っています」
 でも、走りながら、何度もナビを操作している。不安だった。
 それでも「信頼しよう」と思った。日本一のタクシー会社である。
 車が病院の前の道に入るところに差し掛かった。そると、それを左折しない。某病院には、以前、知人を見舞いに行ったことがある。
 ここを回らない、と遠周りになる。
 「分かりますか?」と聞くと、ナビを見ながら「この先を回るんですよ」と胸を張る。
 我慢した。少しぐらいのミスはあるものだ。
 ところが……また、病院の入り口に入る別の道に差し掛かると、入らない。わざわざ、大回りする。グルグルと、グルグルと、病院の周りを3周もする。いつまで経っても、病院の入り口に着かない。
 切れた!
 「舐めるんじゃねエ! 止めろ!」
 最初の道に入れば、5分ぐらい早く着いていたのに。料金も2000円ぐらいなのに……「降りる!」と叫んだ。
 悪意はなかったのだろう。「すみません。お代はいりません」と盛んに恐縮する。
 「嫌、払う。その代わり、ただじゃ置かないからな!」と捨てゼリフ。怒り心頭だった。ちなみに、料金は3230円だった。
 腹が立って、腹が立って。タクシー会社に抗議しようかと思ったが……こんなことで、時間をロスしたら、もっと損をする、と忘れることにした。
 夕方、タクシー会社の方から電話があった。運転手さん、怖くなったのだろう。会社に顛末を報告したらしい。
 障害者を乗せて、儲けようする輩もいるが……そうではない。むしろ、小心者なのだろう。
 「もう、忘れました。あまり、運転手さんを怒らないでください」と言って、電話を切った。
 考えてみれば、ナビが出来てから、プロの運ちゃんがいなくなった。
 これ、ナビの罪だ!

<何だか分からない今日の名文句>
「歩く」は三文の徳?