なぜ、大学生は「後輩」に硫酸を掛けたのか?「美空ひばり塩酸事件」を思い出した

《白金高輪硫酸事件》は衝撃的だった。

 25歳の「普通の大学生」がなぜ、かつての後輩の「顔」をめちゃくちゃにしようとしたのか?

 普通の「恨み」の傷害事件とは全く違う。

 今の時点(8月30日)で、情報を整理すると、気になる事件の背景は?

 ①被疑者の父親は地元では有名な整体師。母親も医療関係の仕事。母親が中国の血を引いていて、家族はとても仲がよく、夏休みなどに3人で中国へたびたび旅行に行っていた。

 ② 一人っ子。7年ほど前に父親が病死。数年後に母親も亡くなってしまい、在籍していた沖縄の大学を引き払って静岡へ。

 ③静岡の大学では特待生扱いで編入。大学ではカブトムシの研究をしていた。

 ④容疑者は琉球大時代、農学部に所属。被害男性とは大学の映画関連サークルで一緒。男性は「数人で一緒にいる時に(容疑者に)ため口を使ったところ、『年齢が上なのにため口はおかしい』と怒られた」と話している。(【ため口】とは、年下の者が年長者に対等の話し方をすること)

 ⑤週刊文春の情報では、容疑者は2年前から贔屓にしている喫茶店のママに『彼女作るのは無理だと思う。僕の彼女は宇宙人しかいないかな』って冗談を言っていた。

 『僕はサラリーマンは向いてないし、日本では自分のスキルや知識を活かせないから海外でやりたい』とも。

 ⑥容疑者を知る人は事件について「信じられない」と声を揃えるが「彼が高校生くらいの頃、家の前の道路の真ん中で、お母さんに馬乗りになって首元を掴んでいるのを目撃した」という証言もあるーー。

 いずれにしても、何故、硫酸をかけたのか?その動機は全く解らない。

 「美空ひばり、塩酸事件」を思い出した。

 当方、小学6年生の頃、1957(昭和32)年1月13日、19才の美空ひばりが東京・浅草の国際劇場で公演中に塩酸をかけられる事件が起きた。

 犯人の女性のバッグに入ったメモには「ひばりちゃんの美しい顔をいためなければ承知できない。醜い顔を一度見たい」という「憎悪の気持ち」が書かれていた。

 この女性はかつては、ひばりの熱心のファンだったが、高校中退後、故郷の山形県を出て東京都内で女中奉公していた。

 1月11日、奉公先を脱走。以来、都内をふらついており、たまたま浅草でひばりの出演する舞台の事を知り「私と同い年のひばりちゃんは輝かしい場所にいるのに」と嫉妬の想いが沸き上がり、塩酸を購入し、ひばり急襲計画を立てたという。

 白金高輪硫酸事件は「美空ひばり事件」と、何処か似ていないか?

<何だか分からない今日の名文句>

それは「人間の奥底に眠る闘争本能」