後藤は自殺ではない!と思いたい

 2月27日、後藤浩輝騎手が亡くなった。
 自殺?信じられない。
 「ゴッティー」「ごっちゃん」の愛称で親しまれた「底抜けに明るい人柄」。
 自殺なんて考えられない。
 これは自殺ではなく、事故死ではないのか?
 2012年のNHKマイルCで落馬し、頚椎骨折の疑いで頚髄不全損傷と診断され、その後も落馬→復帰→落馬→復帰の繰り返し。
 その度に彼はリハビリに全力を尽く、見事に克服した。
 リハビリにも彼らしい工夫をしたのではあるまいか?
 「首伸ばしのリハビリ」という治療法がある。
 器具を使って首を伸ばす。この種の治療法を器具なしでやったのではないのか?
 深夜、一人で自己流の「首伸ばしリハビリ」に挑戦をしているうちに、誤って首をしめてしまったのではあるまいか?
 自殺なんてありえない。
 遺書があるなら分かるが・・・もし自殺なら、彼の性格なら何かを書き残している筈だ。
 それにしても競馬ファンは、個性的な天才ジョッキーを失ってしまった。無念である。
 週末は、静岡、熱海方面で過ごした。
 徳川家康生誕400年の静岡。
 静岡浅間神社を参拝。
 県庁所在地の雑踏を歩く。
 思い出の毎日新聞静岡支局が「毎日会館」は立派なものになっていた。七間町は一等地である。
 50年近く前、早稲田大学の学生だった僕は、当時、支局長だった伝説の事件記者、佐々木ゴジラ(NHKドラマ「事件記者」のモデル)に「身元引受人になってください」とお願いに上がった。
 一晩、泊めてもらい「誰にも負けない事件記者になれ!」と約束させられた。
 あの頃の毎日新聞は、日本一の部数だったが・・・考えてみれば、特ダネは売り上げとは関係ないのだろう。
 部数では、読売、朝日に負けている。
 しかし、新聞は中身だ。
 中身は毎日がダントツだろう。(良心の東京新聞も立派だが、取材力では幾分、毎日が上?)
 僕は出来の悪い事件記者だったが、毎日新聞は相変わらず日本一の新聞です!とゴジラに報告する。
 熱海では・・・「2・26事件の河野大尉、自決の地」という立て看板を見つけた。
 航空兵大尉河野寿は、民間人を主体とした襲撃部隊を指揮し、湯河原の伊藤屋旅館の元別館である「光風荘」にいた牧野伸顕前内大臣を襲撃した。
 警護の巡査皆川義孝は河野らに拳銃を突きつけられて案内を要求されたが、従う振りをしつつ、振り向きざまに発砲し、河野及び予備役曹長宮田晃を負傷させた。
 襲撃部隊によって皆川巡査は殺害されたが、この応戦の隙に牧野は難を逃れた。
 牧野伸顕襲撃に失敗して負傷し、東京第一衛戍病院熱海分院(現・国際医療福祉大学熱海病院)に入院していた河野の元には、弟たちから自決を促す電報が寄せられていたが、本人は既に自決することを決めていたのだろう。
 面会に来た兄に自決用の刃物を密かに持参するよう依頼した。
 兄は、渋谷にある道玄坂の刃物店で果物ナイフを購入して差し入れた。
 3月5日午後、軍服に着替えて病室を抜けだした河野は、分院の外で割腹、頸動脈を突いて自決した。
 そんな話を取材した。

<何だか分からない今日の名文句>
辞世「あを嵐過ぎて静けき日和かな」