御嶽山噴火。「神怒」の雷鳴を知れ!
「赤いバラ」のおタカさん、逝く

 9月27日午前11時53分、長野、岐阜県境にある御嶽山が噴火した。
 28日午後の情報では、山頂付近の登山道周辺で登山者ら40人ぐらいが心肺停止の状態で倒れているという。
 山には……噴火口には、神が住んでいる!というのは本当だろう。
 霊場を穢されると、神は時々、爆発する。「神怒」の雷鳴である。
 頂上に居た人たちには、神を冒涜する気持ちはサラサラないのだが……「自然」という神は容赦しない。
 「いずれ」「やがて」「いまに」やって来る「神怒」を予感することはしょっちゅうある。
 しかし、「どこで、どのくらいの神怒(噴火、地震)」であるかを正確に予知するのは、極めて難しい。
 それが「神」と「人間」のチカラの違いである。
 犠牲になった方々には、何と言っていいのか……言葉もない。
 社民党が28日、「元衆院議長の土井たか子さんが20日、肺炎のため、兵庫県内の病院で死去した」と発表した。
 亡くなってから1週間も経っての発表。あまりにも遅すぎる。
 おタカさん(の家族)と社民党の間に何が起こっていたのか?
 忘れない「思い出」がある。
 毎日新聞社会部の遊軍記者だったころ、国会クラブの加藤順一先輩から「助っ人」を頼まれ、急遽「おタカさん番」になった。
 1980年の頃だったと思う。
 彼女は、性差別法に的を絞り、政府を追及していた。「男女雇用差別」、「女性のみ必修の家庭科」、「父系しか認めない国籍法」……今、考えてみても、時代を変える適切な価値観だった。
 しかし、自民党の権力闘争ばかり報道する政治部記者は、あまり興味を見せず、「おタカさん」を追いかけるのは社会部の「国会クラブ」だった。
 急に「助っ人」を頼まれても「おタカさん」のことはまるで知らない。
 知っているのは「マイ・ウェイ」を歌うのが上手!というぐらいだった。
 (彼女は『題名のない音楽会』の「花の政党対抗紅白歌合戦」に出演し、朗々とした歌声で「マイ・ウェイ」を歌ってトリを務めた)
 で、まず、おタカさんの人となりを徹底的に調べたが……その結果、彼女は何よりも「真っ赤なバラ」が好きなことを知った。
 コレだ!
 ある日、小遣いを使い切って、赤いバラを20本、議員会館の事務所に持って行くと、おタカさん、大喜び。
 そっと、マル秘文書を渡してくれた。
 いつも加藤先輩には、怒られてばかりいたが、その時だけは「お前、やるな!」と褒めてくれた。
 これがキッカケで、ホンの少しだが、政界の裏が分かるようになった。
 それから、何年か経って、サンデー毎日の別冊編集長の時、我々は「宇野首相のスキャンダル」をスクープした。
 このスキャンダルが影響して、選挙で自民党は惨敗。土井・社会党は大躍進した。「山が動いた」という、おタカさんの名文句はこの時、生まれた。
 僕は「おタカさん」に恩返しした気分だった。
 彼女が愛した「社会党=社民党」は、今や見る影も無いが……彼女が一生かけて、追い求めた「女性の地位向上」は確実に前進している。
 西のサッチャー、東のおタカさん!
 安らかにお休みください。

<何だか分からない今日の名文句>
山は「軍国化・ニッポン」に怒っている