領土ナショナリズムの裏
【10月17日のブログ、事情により休載】

 莫言さんが、ノーベル文学賞受賞の記者会見で「(尖閣諸島問題に言及して)戦争で中国が勝ち、日本が負ければ解決するのだろうか。逆も同じだ」と話したらしい。
 対日強硬論を否定する中国文化人の本音。中国で、こうした「常識」が聞かれるようになったのはうれしい。
 中国共産党員であり、中国作家協会の副主席である莫言さん。
 「莫言氏は体制側の作家だ」と批判されていることに、莫言さんはハッキリ「共産党のためではなく、すべての人に向き合って書いている」と反論した。共産党一党支配に疑問を呈している。
 莫言さんは、体制批判の危険を顧みず、ギリギリのところで、中国の暗部を書いている。
 こうした、常識的な知識人が中国の主流になれば、バカバカしい領土ナショナリズムは抑制されるだろう。
 領土ナショナリズムが台頭するには、個別の原因がある。
 中国は全国に広がる暴動を押さえ込もうとするためだ。反政府の流れを、反日暴動にすり替える意図が見え見え。決して愛国心ではない。
 韓国のケースにも「特別の事情」がある。それは「大統領の末路」である。
 歴代の韓国大統領は、殺されたり、殺されないにしても、権力を失った退任前後に身内の不祥事などが発覚。自ら訴追を受ける“惨めな結末”を迎える。
 李承晩…子供が実の両親を殺害
 尹譜善…懲役3年判決
 朴正煕…狙撃され夫人が絶命。直後に本人も暗殺
 全斗煥…死刑判決
 盧泰愚…懲役17年判決……
 金大中はなんとか逃げ切ったが……李明博大統領も実兄が逮捕された。
 大統領が突然、竹島上陸に踏み切ったのは領土ナショナリズムを利用して、世論の支持を得て、窮地から脱するつもりだったのだろう。
 しかし、こんなことをしても、李明博大統領の疑惑(経済犯)は深まるばかり。退任と同時に起訴される可能性がある。
 日本を敵に回した偏狭な領土ナショナリズムにも限界がある。
 今日10月16日の毎日新聞夕刊「牧太郎の大きな声では言えないが」では、そうした韓国の事情を書いた。
 題して「竹島密約の知恵」
 どうか読んでください。

<何だか分からない今日の名文句>
一党独裁支配体制に夕焼け(笑)