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8月の巻・名人2句目 2004.8.24

油虫貌覗かせて過ぎにけり

<かっちゃん>


自由句  特選   油虫貌覗かせて過ぎにけり   <かっちゃん>

兼題「火」特選   火加減を気にしてゐたり虫の声    <稚笑>

俳諧はもともと、滑稽・ウイットを、その本質のひとつとして持っている詩形です。どこかから出てきた「油虫」が、ちらりと「貌」を「覗かせて」、またどこかへ行ってしまった、というのです。たったそれだけのことですが、クスッと笑いたくなるような面白さがありますね。この「クスッ」が、俳句なのです。<稚笑>さんの原句は「火加減を気にしつ耳貸す虫の声」でしたが、少し直しました。



【ワンポイントアドバイス・8/24)】


  登り窯火の赤々と八月尽 (原句)
  登り窯の火のちらと見ゆ八月尽 (添削)

  *<飯吻>さんの句。
  「火」は赤々と燃えるのは当たり前。中七を鎮めて「ちらと」としてみましょう。

  カンナ咲き火の色小さき駅に立つ (原句)
  火の色のカンナ小さき駅に立つ (添削)

  *<四度>さんの句。
  「花」は「咲く」と言わなくてもわかります。
  ですから、「咲き」は省略します。

  盆過ぎてネコが伸びする座敷かな (原句)
  盆過ぎのネコの背伸びし座敷かな (添削)

  *<DORA >さんの句。「〜て、〜が、〜する」という形では、
   何がどうしてどうなった、という原因・結果が出てしまいます。


2004/8月、スタート第2週目の選考経過です。

兼題「火」の句と自由句です。


最終選出句に★、ほかに◎、○、無印、の4種で、選の結果を示します。

○1)火の国の大草原の天高し <飯吻>

★2)火加減を気にしてゐたり虫の声 <稚笑>

     *原句は「火加減を気にしつ耳貸す虫の声」

○3)添削の一字重かりデラウェア  <千絵>

◎4)ひぐらしの仮名かな仮名の素読かな <ゆらぎ>

○5)森深し火宅の人へ星流る <寿々女>

     *原句は「深き森火宅の人へ星流る」

 6)蜥蜴の子大見得切つて隠れをり <山法師>

◎7)処暑の朝郵便局に用のあり <四度>

 8)再検査尾っぽの切れし青蜥蜴 <ごん太>

 9)秋暑し肩の荷降ろせぬ五十代 <おだまき>

◎10)折込みの広告多し茶立虫 <弓人>

 11)迂闊にも気丈に生きて泡立草  <他石>

○12)晴れ渡る新羅の国や赤とんぼ <ぱろぱろ>

○13)火遊びと気づかぬそぶり鳳仙花  <TOPPO>

 14)門火焚く父の背より母を呼ぶ <幸作>

 15)胸の火の点りて暫し花カンナ <美加>

★16)油虫貌覗かせて過ぎにけり  <かっちゃん >

○17)菜園に秋茄子みのる風さやか  <秋櫻>

○18)けふの秋雲はあはれに崩れたり <たぬき囃>

 19)玉蜀黍なぜに揃はぬ小粒かな  <たまご>

◎20)盆過ぎのネコの背伸びし座敷かな <DORA >

     *原句は「盆過ぎてネコが伸びする座敷かな」

○21)寄せ波の音に消されし盆太鼓  <釣人 >

 22)秋立つも窓より空を日々眺む  <青い鳥>

○23)改札にあだ名呼ばれし帰省かな  <一弘>

 24)打ち水や涼しき風の朝顔よ <暇船>

◎25)鰯雲母抱きに老人ホーム  <瑞葉>

     *原句は「鰯雲母を抱きに老人ホーム」

○26)火加減のむつかしきなり冬瓜煮  <悠>

○27)歌乗せて火の粉天河へ還しけり  <TOPPO>

○28)火宅の人無心に還すつくつくし  <ガス灯>

○29)かなかなや庫裡に火の神水の神  <国子>

    以上、選出句は29句でした。


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