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第13巻埋字しりとり4句目 2004.3.02

永き日や篆書飾らる美術館

<千絵>



篆書は、漢字の一体で、隷書・楷書のもとになったものです。いまは、印章や碑銘などによく用いられています。そんな、ややいかめしい書体が、おだやかな春の美術館の壁に飾られているのです。日の暮れるのが少しずつおそくなっていく春、篆書と「永き日」の取り合わせ(配合)が、何ともいえずいいですね。「書」で篆書を思いついたことが、成功のもとになりました。原句は「永き日や篆書飾られ美術館」でしたが、1文字だけ変えました。



【寒太俳句噺(76)】


俳句を「ひねる」「つくる」「書く」、あなたなら何というでしょう。いろいろに言われますが、いずれも俳句が生まれ出ることです。むかしの人はよく、俳句をひねる、といいました。「書く」というと、新しい感じがしますね。「つくる」というのが、三つのなかでは、いちばん自然でしょうか。ふっと無意識に浮かんでくる、それが理想的かもしれません。でも、そんなことはめったにないことです。





さて、第13巻・4句目のお題

「書」の選考経過です。


最終選考に残った句には★、ほかに◎、○、無印、の4種で、予選結果を掲げます。


○1)能書家の文読みがたく鳥空に <たまご>

○2)図書室の皆顔を上ぐ初音かな <風太>

○3)うぐいすや児の力作の葉書くる  <DORA>

 4)書割の桜花爛漫ささ機嫌 <章文駄>

○5)字に書いて三寒四温諾える <尚々>

 6)寄せ書きの文字滲みて卒業す <悠>

○7)悪筆のワード清書やおらが春 <山法師>

◎8)書き出しの言葉に詰る桜冷 <きらきら星>

○9)春うらら書き込み多きカレンダー <ぱろぱろ>

 10)年初よりさぼりし書道春うらら <青い鳥>

 11)ポスト上書籍小包春の空  <瑞葉>

 12)書き出しを悩む恋文春よ春 <ルナ>

○13)花種を入れし封書の届きをり  <美加>

○14)書棚にも春色見事に収まりぬ <ゆらぎ>

 15)ベストセラー積まれし書店春の風 <釣人>

○16)春昼の宙に文字書く手話講座  <茜>

 17)書画骨董腕くみをして木瓜の花  <桃桜>

 18)春雷や手元そのまま書き綴る <真由美>

 19)書き込みて春失うや掲示板  <暇船>

 20)山に鳴く鷽といふ字は仮名に書き  <弓人>

 21)愛一字色紙に行書山笑ふ  <澄湖>

 22)春田んぼ直線書くやトラクター  <sikinodesi>

★23)永き日や篆書飾らる美術館  <千絵>

     *原句は「永き日や篆書飾られ美術館」

 24)春の夜の開かぬままの書見台 <寿々女>

 25)嬰児の名前書かれしひな祭り  <ガス灯>

 26)寄せ書きに思い記して巣立つ春  <怒髪天>

○27)母の書を捨てかねており春の午後  <かめ>

 28)始末書の例文違わず余寒かな  <他石>

 29)春めくや楷書で届く同期会  <かっちゃん>

○30)図書館に大字本増ゆ鳥曇  <信天翁>

 31)能書きもゆらり流れる春の風邪  <稚笑>

◎32)命名の父の墨書や草萌ゆる  <あや>

○33)描くこと書くこと憂う養花天  <たぬき囃>

○34)書きあぐむ送る言葉や養花天  <TOPPO>

 35)いつだって僕の頭は養花天  <猫のくり>

○36)眠る蝶 駅舎の隅の 投書箱  <飯吻>

 37)読みさしの書物を閉じて探梅行  <北北西>

 38)遅き春書店主人の眉の濃き  <四度>

 39)おぼろ夜や父の恋文楷書体  <青空>

    以上、選出句は39句でした。


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