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第13巻埋字しりとり3句目 2004.2.24

春寒し内ポケットの明細書

<飯吻>



何の「明細書」でしょうね。あまりうれしくない明細書かもしれません。というのは、「春寒し」だからです。これが「春うらら」でしたら、楽しい「明細書」でしょう。季語によって、ずいぶん変わるでしょう。だから、季語は大切なのです。この句は、季語がよく効いています。

  明日嫁ぐ鏡大きく雁わたし

        <寒太>



【寒太俳句噺(75)】


俳句でドラマをつくろうと思うと、川柳には負けるでしょう。もともと俳句と川柳の根はひとつですが、人事のほうへ走ったのが川柳。いっぽう、自然に走ったのが俳句。だから、物語をつくるなら川柳のほうが強いのです。でも、このごろは川柳的な俳句も多く、俳句的な川柳もあり、俳句と川柳の境目があまりなくなりました。まあ、季語があれば俳句、と考えている人が多いようです。





さて、第13巻・3句目のお題

「明」の選考経過です。


最終選考に残った句には★、ほかに◎、○、無印、の4種で、予選結果を掲げます。


 1)春一番明るき髪の走る朝 <茜>

 2)有明のテニスコートや花菜風 <麦秋>

 3)夜明けへの舞台を照らす春の星  <真由美>

 4)花冷えや夜勤の明けて夫帰る <悠>

○5)明暗を分ける一なり亀の鳴く <千絵>

 6)傘ひとつ名残の雪や明け烏 <寿々女>

 7)月明かり山肌の雪黄に染める <怒髪天>

○8)はきはきともの言ふ春の明るさに <きらきら星>

 9)沈丁花明るき声の聞こえけり <かめ>

 10)明くる日の梅咲きほこりいざ行かむ <暇船>

 11)春雨や后の正夢明烏  <章文駄>

 12)明け烏鳴いて春灯消されをり <釣人>

○13)襟足の明るく見えて花衣  <ゆらぎ>

○14)流れ來し氷鳴きあふ明けの海 <TOPPO>

○15)クロッカス行方不明の住所録 <青空>

 16)明暗を隔つ行者や峰に入る  <たぬき囃>

○17)母に添う明るき道にいぬふぐり  <青い鳥>

 18)春日和明朝体の句集かな <四度>

 19)手のひらのホッと明るし桜貝  <風太>

○20)尼寺に洩れる声明梅匂ふ  <澄湖>

 21)猫の日に貰って困る明太子  <猫のくり>

○22)白梅のそこだけ残りし夕明り  <美加>

 23)春一番来し方不明のバスタオル  <稚笑>

 24)囀や明治気質のもはや死語 <千絵>

 25)蛇穴を出でて明るき初舞台  <かっちゃん>

○26)振込みの給料明細石鹸玉  <千絵>

 27)春の雨別れ文字すら明朝体  <他石>

 28)梅の香に起き出す夜明け細き月  <三和奴>

 29)灯明は一つでよろし西行忌  <弓人>

 30)春時雨明日天気になぁ〜れ  <仲々>

 31)春の亀明るき方へぐっと伸び  <山法師>

 32)明朝体ホワイトデーの返し文  <北北西>

 33)気がつけば明るき夕刻時は春  <ぱろぱろ>

 34)明け方の富士の頂き雪煙  <桃桜>

★35)春寒し 内ポケットの 明細書  <飯吻>

 36)空明るく春の新色売り出し中  <瑞葉>

    以上、選出句は36句でした。


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