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第12巻埋字しりとり2句目 2003.12.16

笹鳴や傍線多き菜根譚

<信天翁>



「菜」は、白菜、水菜、干し菜、漬菜など、やはりどうしても野菜に目が行ってしまうものです。が、そこを「菜根譚」と視点を変えたところに、この句の成功があります。「菜根譚」は、中国明末の処世訓書。「笹鳴」(冬の鶯の、まだ調わない鳴き声)のなかで、儒教・道教・仏教の教えを取り入れた書物を、傍線を引きながら何度も読み、頭の中にたたきこんでいるのです。原句は「笹鳴や傍線おおき菜根譚」でしたが、少し直しました。

   菜の花に溺れるごとく母在はす  <寒太>


【寒太俳句噺(67)】


フセイン元イラク大統領拘束のニュースが飛び交っています。よく「短歌や川柳では時事を詠めるが、俳句は花鳥諷詠。時事は詠めないのでしょうか?」ということを問われます。そんなことはありません。俳句でも時事を 詠むことは十分できるのです。むしろ、思い切りのいい、歯切れのよい俳句こそ、時事詠に適しているといってもいいかもしれません。みなさん、ためらうことはありませんよ。





さて、第12巻・2句のお題

「菜」の選考経過です。


最終選考に残った句には★、ほかに◎、○、無印、の4種で、予選結果を掲げます。


 1)孫息子一汁一菜冬篭り <寿々女>

 2)白菜を漬けし母の手懐かしむ <悠>

 3)玉太の白菜洗う真っ赤な手  <釣人>

 4)漬菜水日に日に上がるぬかりなし <澄湖>

○5)清貧の一汁一菜千六本 <千絵>

 6)白菜漬母の味にはまだ遠し <茜>

     *原句は「白菜漬母の味にはまだ遠く」

 7)京水菜鍋に泳ぐや歳の暮れ <ぱろぱろ>

◎8)菜々ちゃんは人形の名よ雪こんこん <たまご>

○9)菜っ葉の菜と娘の名教えし人ありて <ルナ>

○10)寒餅の代わりに青菜もたせおり <青い鳥>

○11)野沢菜や祖父の捨てゐし伊那の里  <TOPPO>

 12)暑がりの妻の半袖干菜吊る <syura>

○13)大根の菜っ葉で足りる御飯事  <尚々>

○14)菜を洗う指の先だけ雪女  <稚笑>

 15)清貧はきゃべつ菜畑降誕祭 <他石>

○16)山間の軒端軒端の干菜かな  <かめ>

 17)冬菜粥湯気の向かふに笑顔あり  <ゆらぎ>

 18)友に添ひ山菜づくし冬日向 <ガス灯>

◎19)菜箸の先黒ずみて年終る  <山法師>

○20)白菜洗ふ細き指先水に透く  <美加>

 21)寒の雨菜園のネギ整列す  <DORA>

 22)菜っ葉食べ元気もりもり貧すれど  <暇船>

○23)なお寒し一汁一菜冬安居  <たぬき囃>

○24)着ぶくれて菜食主義を通しけり <きらきら星>

○25)搾菜を つまみ食ひして 咳ひとつ  <飯吻>

 26)朝日浴ぶ妙義の赤し青菜摘み  <瑞葉>

 27)白菜を洗ふ妻より何か唄  <かっちゃん>

 28)年名残ひとひら菜葉の流れ来る  <弓人>

 29)鶏雑炊青菜と卵のとじ加減 <桃桜>

 30)流れ菜や虚子大根を追い掛けり  <保母 保>

 31)野菜屋に餅ある知らせ歳の暮れ  <ぱろぱろ>

○32)白菜の襞に畳みし物思ひ  <四度>

 33)菜根の夫婦の大志年暮るる  <麦秋>

◎34)室咲きの菜の花飾り和菓子店  <せつ>

○35)菜を抜きし畑にぽつんと寒鴉  <風太>

○36)白菜の樽に鎮座す広辞苑  <真砂>

 37)塩白く白菜白く息白く  <仲々>

 38)前菜の牡蠣のまろさやパリの宵  <ナガチャン>

 39)田翁の両手あふれる冬野菜  <ともこ>

 40)集塵のモーター音や冬菜干す  <ふみゑ>

○41)残り菜を抜いて我が家の農納め  <遊遊俳>

○42)年用意しばし遠ざけ菜っ葉汁  <emio>

○43)食すすむ水菜の色や蟹雑炊  <萌>

 44)京の冬水菜壬生菜に九条葱  <たぬき囃>

 45)冬菜頂く美味さ包んで農業紙  <あん>

 46)顔見世の菜々子似女形の艶やかさ  <北北西>

 47)白菜の一夜漬け食う故郷かな  <Chojiro〜>

○48)菜園の大根引きし朝帰り  <康ちゃん>

○49)お茶うけの菜漬おかわり里帰り  <青空>

★50)笹鳴や傍線多き菜根譚  <信天翁>

     *原句は「笹鳴や傍線おおき菜根譚」

    以上、選出句は50句でした。


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