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第10巻埋字しりとり8句目 2003.10.01

木の実落つ村に一つの診療所

<きらきら星>



今回の決定句は、新星のごとく現れた、きらきら星さんの句です。「所」を題にして「診療所」と詠んだのは、ひとりだけです。「村にひとつ」ですから、かなり小さな村かもしれませんね。その診療所の屋根に、コツンと木の実が落ちている、静かな時間が伝わってきます。しんとした、いい句ですね。
さて、次回は挙句。いよいよこの巻も終わりとなります。

   犬ひとつ捨てしところや虫のこゑ  <寒太>




【寒太俳句噺(56)】


熊本の八代(やつしろ)で山頭火祭があり、山頭火の話をしてきました。この山頭火の話、同門(層雲の)放哉と比較しながら話をしたのがウケたらしいのです。同時代で、同じ自由律(短律)をつくりながら、酒の飲み方も死に方もまったく対照的なふたり。陽の山頭火と陰の放哉。コロリ往生の山頭火と。脊椎カリエスで骨と皮だけになって、枯木が折れるように死んでいった放哉。

   分け入つても分け入つても青い山  <山頭火>

   咳をしても一人          <放 哉>





さて、第10巻8句目

「所」の選考経過です。


最終選考に残った句には★、ほかに◎、○、無印、の4種で、予選結果を掲げます。


 1)女心の所在掴めぬ秋の空 <尚々>

○2)痒い所ございませんか秋黴雨 <ゆらぎ>

 3)その言葉急所突かれし忍草  <千絵>

◎4)早生蜜柑二つに分けて新所帯 <弓人>

 5)赤シャツを鬻ぐ所の秋暑し <ふみ○>

 6)窓際のひと時の場所秋の椅子 <瑞葉>

 7)住所録片手に電話長夜かな <釣人>

 8)天高し測候所までの遠きこと <悠>

 9)銀杏散る所変はれば警察署 <かっちゃん>

 10)秋時雨猫のしっぽの所在なさ <ガス灯>

 11)ひらひらと舞ひて秋蝶余所余所し <卑弥呼>

◎12)ちちははのなくて在所の蓼の花  <あや>

○13)赤トンボ同じ所に止まりをり  <sikinodesi>

 14)赤トンボ広き所へ飛んでゆき <青い鳥>

 15)おもい出は短所ばかりと胡桃割る  <他石>

○16)ほてる身のままならぬ所作初もみじ  <ゆらぎ>

 17)行く所深き道あり山葡萄  <章文駄>

○18)遠こちの所を染むる赤まんま  <麦秋>

 19)秋深し長所の欄に何と書く  <山法師>

 20)露草の風に吹かれて咲く所  <稚笑>

○21)秋晴や老い母に行く所あり  <かほと>

◎22)ひつじ穂やここは神様居る所  <TOPPO>

 23)鳴く虫の所在宇宙に広がりて <寿々女>

 24)また何時か君の所へ曼珠沙華声  <ぱろぱろ>

○25)縁の無き裁判所の庭柚子青し  <せつ>

○26)花薄嵯峨野は歩くべき所  <美加>

○27)何処にても余所者なりし秋祭り  <かめ>

 28)ママチャリの走る所に風たちぬ <Chojiro〜>

 29)ひと絶えて揺れるコスモス鉄工所  <ひねもす>

 30)藍甕をぶちまけし空呼ぶところ  <たまご>

○31)神の手の 届かぬ所 烏瓜  <飯吻>

★32)木の実落つ村に一つの診療所  <きらきら星>

 33) へそくりの在り場所などはすぐ知れて  <ルナ>

 34)長き夜のこころの居場所寒太塾  <風太>

 35)在所より新米届き夕仕度  <DORA>

○36)犬座る場所空けてやる菊日和  <emio>

 37)所作もなく花野の中で誰想う  <桃桜>

 38)風澄めばホトリ心の置き所  <句案子>

 39)龍淵に潜む在所の夜星かな  <かのん>

 40)落書に惹かれし所あり秋うらら  <青空>

 41)天高く中島さんは何所行った  <猫のくり>

 42)潜り所マンタと目が合う秋の海 <北北西>

 43)木犀の所は知らずそれと知り <四度>

○44)惚けても所詮くれずき木の実降る <萌>

    以上、選出句は44句でした。


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