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第10巻埋字しりとり7句目 2003.009.24

秋場所の歓声聞こゆ夕餉時

<秋櫻>



今回の決定句は、秋櫻さんの上掲の句とします。TOPPOさんの

   病む母の句を詠む声や秋灯

の句とともに、鑑賞してください。
ここで注意をひとつ。「秋の天」が、ふたつ前の句にありますので、「秋の空」「秋の声」「秋の道」など、「秋の〜」で止められた句は、いい句がありましたが、外しました。また、第1句に「萩」が詠まれていますので、「萩」を詠んだ句も外しました。まあ皆様はあまりこだわらないで、自由に句を詠んでくださっていいのですが、選者としては、こうしたことを考慮する、というわけです。

   冬桜遅れて笑ふこゑ透り  <寒太>




【寒太俳句噺(55)】


熊本の江津湖に行ってきました。中村汀女さんの生まれ故郷です。静かでゆったりしたところ。上(かみ)江津湖と下(しも)江津湖を結ぶ唯一の橋は、斎藤橋といいます。斎藤は、中村汀女さんの旧姓です。湖をめぐりながら、汀女俳句のひとつひとつを口に出して読みあげると、なるほどここに生まれ育ったのだな・・・と、ごく自然に思えました。やはり環境というのは大事、その人のすべてが、そこで決まってしまう、そんな感じがしました。

   とどまればあたりにふゆる蜻蛉かな  <汀女>





さて、第10巻7句目

「声」の選考経過です。


最終選考に残った句には★、ほかに◎、○、無印、の4種で、予選結果を掲げます。


○1)石段の一段ごとに虫の声 <ゆらぎ>

○2)朝市や霧の中より人の声 <康ちゃん>

 3)行乞の声なきこゑや秋時雨  <康ちゃん>

○4)実をはじく声の行き交ひ鳳仙花 <かっちゃん>

 5)無声映画音モノクロに聞こえ来る <尚々>

 6)ボンジュール声さわやかやパリの朝 <北北西>

 7)秋の暮ニャンと一声ネコ帰る <DORA>

○8)虫声の近くにありし星月夜 <釣人>

 9)すれ違う女優の声や白桔梗 <ガス灯>

○10)小鳥来て声をひそめる立ち話 <卑弥呼>

○11)番号札呼ぶ声のあり秋桜  <千絵>

★12)秋場所の歓声聞こゆ夕餉時  <秋櫻>

 13)哀し過ぎ美し過ぎて虫の声  <かめ>

○14)あづまはや声は昔に花すすき <弓人>

◎15)病む母の句を詠む声や秋灯  <TOPPO>

○16)金風や今日もどこかで呱々の声  <ルナ>

○17)声失せし人よりたより初もみぢ  <あや>

 18)どんぐりの声打ち揃ひ同窓会  <悠>

○19)虫篭を中にし二人声ひそめ  <美加>

 20)すすき寄席大波小波笑い声  <他石>

○21)掃除機に吸わそう歌声秋ひとり  <瑞葉>

 22)台風の前の静けさ声もなし  <青い鳥>

 23)放水の黒部の山に秋の声 <桃桜>

 24)誤作動の警報解けて虫の声  <emio>

 25)温め酒声にもならず むむむむ  <稚笑>

○26)叱らぬと決めし声のむ長き夜  <山法師>

 27)薄茶点てて正座くずさず虫の声  <せつ>

 28)声もなくメールの逢瀬に月の影 <保母保>

 29)僧の声響く下弦の月の夜  <ぱろぱろ>

○30)雨けむるいのち短き白桔梗  <真砂>

○31)競り売りの塩辛声や秋刀魚市  <たまご>

 32)賢冶忌や師声にゆるむ顔のあり  <釣人>

○33)泣くもよし笑う声よし秋麗ら  <章文駄>

 34)稲雀うわさ話の声高し  <風太>

 35)爽涼や黒人霊歌吾子の声  <ひねもす>

 36)朝寒や散歩の犬の声低し  <寿々女>

 37)父の声聞いた気のして秋彼岸  <四度>

○38)清浄機と妻の寝息と虫の声  <かほと>

 39)校舎より女声コーラス萩の花  <麦秋>

 40)老い母の かそけき声や 藍の花  <飯吻>

○41)爽やかに声を掛け合う仲となり  <遊俳夢>

 42)松手入れ声をばらまく小鳥かな <萌>

 43)声だけは食へぬ四ツ足秋乾き <かのん>

 44)声帯の少し掠れし四十路秋 <ふみ○>

 45)落ち栗が聞こえぬ耳に声をかけ <sikinodesi>

    以上、選出句は45句でした。


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