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第10巻埋字しりとり5句目 2003.009.09
あんまんの白のふくらみ秋の天
<青空>
今回の決定句は、青空さんの作品です。原句は「あんまんの白きふくらみ秋日向」でしたが、これですと上下の関係が出すぎてしまい、俳句としての切れがありません。「秋の天」とすると、上5、中7とは関係なく、背景としての秋の空がぐんと広がってきて、いかにも<青空>さんらしい句になりますね。「白き」は、前句との付き具合で「白の」としてみました。比べてみてください。
曳かれ来る白き新馬(しんめ)や落葉中 <寒太>
【寒太俳句噺(53)】
この掲示板でも紹介しましたが、癌を宣告されたカメラマン、田原豊写(私がつけた俳号)さん。まったく俳句など見向きもしなかった彼が、病気と向き合ったことによって、急に俳句に目覚めてしまいました。21句を送ってきた後、つぎつぎに俳句を生み出し、夜、帰宅すると俳句が書かれてFAXで送られてくるのです。俳句は、彼にとって癒しであり、心の支えになっているのかもしれません。俳句の効用です。
さて、第10巻5句目「白」の選考経過です。
最終選考に残った句には★、ほかに◎、○、無印、の4種で、予選結果を掲げます。
1)爽やかに白きシミーズ夫好み <ふみ○>
2)白服の女の子も詣るお地蔵さん <青い鳥>
3)秋灯しひろげし本の余白かな <瑞葉>
○4)白板の妻の書置き秋刀魚焼く <康ちゃん>
○5)草を食む牛の目と合う白露かな <釣人>
6)白瓜のほどよく漬かり夕餉かな <ルナ>
7)白餡パン半分ほどの月が出た <猫のくり>
8)収穫は少し不足か今日白露 <DORA>
9)初潮や水面にゆがむ白き月 <風太>
10)果てしなき白地図の旅鰯雲 <ふみゑ>
◎11)白桔梗母の歩みに合はせつつ <千絵>
○12)稲の花白くちひさく寡黙なり <卑弥呼>
◎13)八つ口の奥の白さや秋袷 <真砂>
14)白昼のインタホンの声木の実落つ <あや>
○15)秋の蝶くずれゆく白しろのまま <ひねもす>
16)白き風谺にのせる木挽唄 <ガス灯>
17)告白の前に涼しきマリア像 <emio>
○18)秋声やけふの日記は白き儘 <TOPPO>
○19)白々と昨日の嘘や山葡萄 <たまご>
20)面白きこと追いて生く競馬場 <遊俳夢>
○21)寄席文字の余白のわずか捨扇 <他石>
22)江の島や真白き富士の鱗雲 <暇船>
23)白萩や栄華の跡の兼六園 <かめ>
○24)臥す父の長い溜息月白し <山法師>
25)運動会白鉢巻に勝と書き <尚々>
○26)腕白の手を逃れたる飛蝗かな <麦秋>
○27)炊き上げて新米の香の白さかな <弓人>
28)母の掌の 白粉花の 紅きこと <飯吻>
○29)蜩や宿坊の朝白湯たぎる <美加>
30)月光の白さに照れる別れ際 <稚笑>
31)新涼にのりてゆられし白昼夢 <sikinodesi>
32)月白や坂の向かうの我が家なり <四度>
*原句は「月白や坂の向かふの我が家なり」。
旧仮名使いで「向かう」と書きます。ウ音便は「ふ」となりません、気をつけましょう。
○33)余白なき折込広告秋の蝉 <せつ>
◎34)小鳥来る食器漂白してゐたり <萌>
35)紅葉狩り白きうなじに紅の跡 <寿々女>
36)白き手に赤子を抱きし病める友 <ぱろぱろ>
37)名月に白球届くや甲子園 <Chojiro〜>
38)物干しの白露は玉と輝けり <かっちゃん>
39)流れいく白コスモスに私ゆれ <保母保>
40)白き指組みて祈るは星月夜 <北北西>
○41)白地図や辿りし痕記す秋の峰 <悠>
42)箱根路に白髭やさしい仙人草 <桃桜>
○43)待宵に懸かる雲間の白さかな <章文駄>
★44)あんまんの白きふくらみ秋の天 <青空>
*原句は「あんまんの白きふくらみ秋日向」。
◎45)波頭砕けてほ白き無月かな <ゆらぎ>
以上、選出句は45句でした。
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