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第10巻埋字しりとり3句目 2003.008.26

船の間の休みし入り江影さしぬ

<暇船>



ハンドルネームに「船」のある、暇船さんにふさわしい1句ですね。原句は「船の間の休みし入り江影をさす」でしたが、少し直して決定句とします。
「船の間」とは、漁に出られない時のこと、船の入港の途絶えた間、とぎれることだそうです。休漁で、入り江で休んでいる船に、ほんのりと影がさしているのです。静かな船溜まりの様子が、よく伝わってきますね。静かで寂しい句が続きましたので、次は、少しドラマチックに展開しましょう。

   廃船を焼くあかき闇曼珠沙華  <寒太>




【寒太俳句噺(51)】


大阪で、桂信子さんにお目にかかり、久しぶりにゆっくりとお話をしました。桂さんは数えで90歳。いま、ホテルに一人住まいですが、来月、介護の完備する施設に移られるそうです。「たったひとりですから、もし病気になったら、ホテルの人にも周囲の人にも迷惑をかけるので、介護のある施設に移ります」とのこと。自分の最期は自分でしめくくりたい、というこの長老俳人に、生き方の手本のひとつを、見るような気がしました。





さて、第10巻3句目

「船」の選考経過です。


最終選考に残った句には★、ほかに◎、○、無印、の4種で、予選結果を掲げます。


 1)櫓上手のこはるや小兵衛が舟を漕ぐ <尚々>

○2)島の娘のかえり船きし赤とんぼ <釣人>

○3)殘り蝉けふを湯船に沈めけり  <TOPPO>

 4)大漁旗掲げし舟や鰯雲 <康ちゃん>

 5)見送りし船を目で追う夕陽中 <三和奴>

◎6)渡し船野菊の揺るる向かう側 <瑞葉>

     *原句は「渡し船野菊の揺るる向かふ側」。
      仮名遣いを直しました。これは「向かひ」のウ音便。旧仮名で「向かう」と書きます。

 7)船酔ひが芯にのこれる盆の月 <ガス灯>

○8)水澄みて情に棹さす船にゐし <千絵>

○9)秋の虹二重かかりて船くぐる <たまご>

○10)燈籠舟行きつ戻りつまた行きつ <卑弥呼>

 11)手に取れるほどの地球や丸い秋  <かっちゃん>

 12)水澄みし小川草舟流しけり  <かめ>

 13)風船が追いつ追われつ秋の原  <sikinodesi>

 14)さざ波を進む小舟に月と乗る <稚笑>

 15)濁り酒君の船出に乾杯  <かほと>

 16)秋めくや濃き青湛え難破船  <ルナ>

○17)宇宙船地球号行く地蔵盆  <ひねもす>

○18)船上の湯船もさざ波星月夜  <ゆらぎ>

◎19)遠近に舟の灯ゆれて水の秋  <真砂>

 20)海舟の日本の夜明け思い草  <他石>

◎21)帆船の空傾きし雁の棹  <美加>

 22)星月夜鬼平凛と船出陣  <寿々女>

○23)ロシヤ船入り来る港秋暑し <せつ>

○24)船体の薄れし文字や秋の潮  <悠>

 25)水溜りさやかに残り月の船  <弓人>

 26)船頭の棹一本に身を預け  <Chojiro〜>

 27)船大工昔話に八月尽 <四度>

★28)船の間の休みし入り江影さしぬ  <暇船>

     *原句は「船の間の休みし入り江影をさす」。

 29)帆船のマストの影や月の霜  <章文駄>

○30)遊覧船舳先で分ける秋の風  <風太>

 31)セーヌ行く船上の客に残暑かな  <北北西>

 32)大船に乗ったつもりが泥の船  <猫のくり>

 33)乗船の夫を見送る秋の海  <青い鳥>

 34)船形の送り火あるや京五山  <山法師>

 35)船縁を蹴りて素潜り夏休み  <emio>

 36)海賊船眠れぬ夜の宝島  <遊俳夢>

○37)澪に出て流れ速めし燈篭舟  <青空>

○38)船窓に瀬戸大橋や秋の暮  <萌>

○39)鰯雲ビルの谷ゆく遊覧船  <あや>

 40)トンボ飛ぶ遺跡の田舟影長し  <DORA>

 41)秋色に海底染めし難破船 <飯吻>

 42)山ほどの宿題前に船をこぎ <ぱろぱろ>

    以上、選出句は42句でした。


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