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第10巻埋字しりとり2句目 2003.008.12

寂しくて風船葛揺れてゐる

<稚笑>



今回の題は「寂」。俳句では、嬉しい・楽しい・苦しいなどの感情を、ストレートに詠み込むと、情に流れて甘くなってしまうので、今回の題は難しかったと思います。でも、クイズで盛り上がり、俳句でも盛り上がり、いい句がたくさんありました。その中で、今回は稚笑さんの句に決定します。原句は「寂しくて風船葛が揺れてゐる」でしたが、「が」1字を取りました。風船葛って、いわれてみるとそうなんですね。風に揺れていると、本当に寂しい感じです。この句は、そういう自然体であるところが、よかった。

   秋風の寂しさふたりラガー来る  <寒太>




【寒太俳句噺(50)】


子どもたちに俳句を教える先生たちを前に、講演した話はすでにしましたね。「俳諧は、三尺(さんせき)の童(わらべ)にさせよ」(「三冊子」)といったのは、江戸時代の芭蕉。何も知らない、純粋無垢の子どもたちに、俳句をさせなさい、とも、子どものような目で物をよく見なさい、ともとれる言葉です。が、実際「毎日俳句大賞」をはじめ、子ども俳句の予選に当たってみると、80パーセント以上は、類句・類想の山なのです。たった20パーセント、もっと少ないかもしれないそれ以下の数が、本当に子どもらしい秀句なのです。





さて、第10巻2句目

「寂」の選考経過です。


最終選考に残った句には★、ほかに◎、○、無印、の4種で、予選結果を掲げます。


○1)牡鹿往くなりツンドラの寂光土 <真砂>

○2)寂しさを隠す口笛男郎花 <康ちゃん>

○3)寂寞の山湖や秋意ただよいぬ  <萌>

○4)静寂の中の食卓今朝の秋 <かめ>

 5)僕なんか寂しがり屋で月を待つ <猫のくり>

○6)友帰る寂寞の夜のちちろ虫 <たまご>

 7)蝉時雨寂光への道見ゆるなり <ガス灯>

 8)静寂をやさしく揺らし電話かな <瑞葉>

 9)足元の寂しくなりぬ秋気配 <三和奴>

 10)鈴虫や一人寂しき家なれば <かっちゃん>

○11)静寂の五山に点す送りの火  <Chojiro〜>

○12)空寂と次郎偲びし敗戦忌  <真砂>

○13)寂しさもほんの少しの秋の雨  <ふみ○>

○14)寂々と同行二人霧の山 <弓人>

○15)寂しさの こぼれ落ちたり 鳳仙花  <飯吻>

 16)寂しさの裏返し咲く曼珠沙華  <寿々女>

 17)送り盆終え寂しき腕に子猫かな  <瑞葉>

 18)侘びと寂猫の正しい座り方  <尚々>

 19)寂しきは夫婦善哉茗荷汁  <おけら道人>

○20)肩で風切れど寂しや鰯雲  <かっちゃん>

○21)草を踏む音露けしや寂光院  <SHY>

○22)寂として声なき二人に虫時雨  <美加>

 23)寂声や筑紫恋しと法師蝉 <章文駄>

○24)馬追いの寂しく在りて湯屋の隅  <悠>

 25)寂しさを赤々照らす大文字  <四度>

 26)砂浜の波うち寂し海の家  <保母保>

 27)夜の町寂しき人の花芒 <sikinodesi>

○28)寂として雲よりしろき蕎麦の花  <他石>

 29)寂聴の説教会や秋さやか  <青い鳥>

★30)寂しくて風船葛揺れてゐる  <稚笑>

     *原句は「寂しくて風船葛が揺れてゐる」。

 31)鷺草の癒し寂しきわれなれば  <ふみゑ>

 32)寂しげに垂るる稲穂や農の家  <かほと>

 33)初ひぐらし独りの静寂破りけり  <せつ>

 34)濁流の岸辺に寂と日本忌  <ひねもす>

○35)盆の月寂しき火星添ひてあり  <TOPPO>

 36)雨ばかりこの盆休みの寂しさよ  <DORA>

○37)秋風やひとりの似合ふ寂光院  <山法師>

 38)寂しき日空に火星の迫り来る  <ぱろぱろ>

○39)寂寥と降り続く雨稲の花  <ゆらぎ>

 40)寂しさよ雨に打たれて露となれ  <桃桜>

○41)二人ゐて一人寂しき花野風 <あや>

○42)寂れたる横町のあり鳳仙花 <卑弥呼>

○43)ふたり居て寂しくもあり遠花火  <emio>

○44)かなかなのかなかなと鳴く寂しさよ <千絵>

○45)曼珠沙華風に吹かれよ寂しかり <青空>

 46)寂しさのただよふ横顔酔芙蓉 <ナガチャン>

    以上、選出句は46句でした。


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