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第9巻埋字しりとり3句目 2003.07.01

老杉の太郎と名づけ伊豆の山

<たまご>



「老」というと、人間に重ねがちですが、この句に詠まれたのは「太郎杉」。伊豆天城山頂にあり、樹齢数百年の大杉です。無季ですが、スケールが大きくて、いい句です。原句は「老杉を太郎と名づけ伊豆の山」でしたが、1字直しました。
さて、前回、選のあとで気がついたのですが、発句が「〜老ゆ」で終わり、それに続く2句目もまた「〜老ゆ」の句になってしまいました。これは「打ち越し」といって、始めの句の繰り返しになってしまい、しりとりのルールとしてはちょっとまずいのです。俳句がとてもよかったので、ルールを失念してしまったのかもしれません。すみませんでした。そこで今回は、大きく飛躍した句を選んでみました。いかがでしょうか。
それと、今回「老ひ」と「老い」についてのやりとりが見られましたが、みなさんお気づきのとおり、「老ひ」は間違いです。注意しましょう。




【寒太俳句噺(43)】


俳句は、いつも述べているように、5・7・5のたった17音の、世界最短詩型です。こんなに小さな詩型 だから、いいたいことのほとんど、何十分の一も表に表われないだろう、そう思いがちです。が、これが 大きな勘違いなのです。その人の性格、生活、環境など、ほとんど無意識のうちに、しっかりと句に投影されているのです。だから、俳句って怖いんですね。逆に、その人の顔が、俳句にしっかりと出ること、それが俳句なのです。

            <寒太>





さて、第9巻3句目のお題

「老」の選考経過です。


最終選考に残った句には★、ほかに◎、○、無印、の4種で、予選結果を掲げます。


1)老酒を冷やして置いて飲み忘る <尚々>

○2)恍惚の母見舞ふ子も老いて夏 <萌>

○3)通りゃんせつり橋涼し不老山  <悠>

○4)老いの坂頂上いつも朝曇 <ゆらぎ>

○5)老子の名探す書棚の黴ぬぐふ <千絵>

○6)老いてこそ似合う色あり衣更え <美加>

◎7)老鶯や窓辺に坐して点字打つ <卑弥呼>

 8)夏祭り老若男女のソーレソレ <瑞葉>

○9)手習いは老いの水墨夏景色 <青い鳥>

 10)虎退治老練工藤夏の夢 <かっちゃん>

 11)芥子坊主かわいく老いし九十三 <あや>

◎12)逆光の老人の海夕焼けし  <釣人>

○13)老いの手に真っ赤な真っ赤なさくらんぼ  <美加>

◎14)老い先の夢のほんのりさくらんぼ  <ゆらぎ>

     *原句は「老い先の夢もほんのりさくらんぼ」。

 15)五月雨や老猫ひねもす眠りおり  <DORA>

 16)老いの日々父母のごと愛おしむ  <遊俳夢>

 17)盆踊り老いも若きも一つ輪に  <三和奴>

○18)老いてなお夢を紡いで梅雨晴れ間 <ぱろぱろ>

○19)野萱草なるようにしかならぬ老い  <山法師>

○20)冷奴めをと離れて老いの膳  <TOPPO>

★21)老杉を太郎と名づけ伊豆の山  <たまご>

 22)美しく老いたく願ふ白あやめ  <千恵子>

○23)不死鳥の老い知らぬまま遠花火 <ルナ>

○24)尾をしやんと立てて老い猫うつぼ草  <弓人>

 25)老猫と会話も弾む梅雨晴れ間  <ガス灯>

 26)浴衣縫う背筋シャッキリ老母かな  <風太>

○27)老いられず大人になれず夏蓬 <克己>

 28)ピアスして甚平姿の老父かな  <保母保>

○29)老嬢と猫とピアノとアマリリス  <SHY>

◎30)寝ころんで老子読みをり梅雨鯰  <他石>

     *原句は「寝ころんで老子読むより梅雨鯰」。

 31)老けたねと言われぬ先のサングラス  <稚笑>

○32)老いてなお孫と手つなぎ夏の山  <寿々女>

○33)揚羽蝶老樹の襞に休みをり  <せつ>

○34)伽羅蕗を 煮る老妻の薄き肩  <飯吻>

○35)老犬の鼻ぬれぬれと半夏生  <かのん>

○36)老練の医師の娘や風薫る  <Chojiro〜>

 37)老婦人の弾きしオルガン青葡萄  <ナガチャン>

 38)芭蕉の山寺哀し老いし野辺  <暇船>

 39)体老い心は逆に子へと戻りぬ  <菊地はじめ>

○40)老いの眼の心底ほたる惜しみけり <康ちゃん>

 41)夏羽織老優の肩包みをり <四度>

    以上、今回の選出句は41句でした。


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