編集長ヘッドライン日記 バックナンバー
2006.3月

3月30日(木) 特捜部の力量低下を嘆く

 日本歯科医師連盟の一億円ワイロ事件で東京地裁の判決。村岡元官房長官に完全無罪。当たり前だ。金銭授受に立会い、礼を述べた橋本、 野中、青木の3人衆が不起訴、起訴猶予で、あずかり知らぬ村岡さんに全て押し付けたって、誰も信じない。(80年代に、焼け落ちる前 のホテル・ニュージャパンの某氏の事務所で、毎日のように遊びに来ていた新米議員の村岡さんとバカ話をしていたことがあるが、とても、 人を騙すタイプではなかった。ちょっと、気が弱い、どちらかと言うと怠け者のような感じではあったが、人の良い土建屋さん風。海千山 千組に良いようにされたのだろう)

 誰も信じない滝川・平成研会計責任者の言い分を信じて(いくら権力側の検事と言っても)村岡さんだけを起訴した東京地検特捜部。 もしかすると、本気で橋本・野中の言い分を信じたのかしら? それが事実なら、東京地検特捜部の力量低下を嘆かなければならない。

 ここ数日、ライフドア事件の進展が思うにならない、という情報を取り上げているが、特捜の力は極端に下がっているのかも知れない。 永田センセイを笑っていてはいられない。

 1億円貰った総理大臣経験者を取り逃がし、ライブドア事件の構図が全て解明できず、愛知地方の某事件では、政治家を取り逃がし(も ちろん、竹中の親友Kさんを放置するつもりなら)地検の力は地に落ちた、と言わざるを得ない。頑張って欲しいものだ。(余力があれ ば、野口怪死事件だって、警察が真相を明らかにしなければ地検の守備範囲だ)

 東京は夜から極寒のよう。大事な人が発熱したらしく、ちょっと心配。何もする気になれず、ベットでウツラウツラ。で「30日の日記」 と言いながら、31日朝、書いている。

 明日から4月。どれと言って新しいこともないが、毎日新聞夕刊「キレ珠」が終って「牧太郎の大きな声では言えないが」が始まる。デ スク様から「筆者の似顔絵をカットにする」というご命令。その似顔絵がファックスで送られてきた。偽りないところ言えば「俺、こんな に鼻が大きいのか?」 特徴を誇張するのが似顔絵だから仕方ないが‥‥「大きな声では言えないが‥‥」と言いながら、権力の「秘密」 を大声で発信する訳だから、カットなんかにケチをつけている場合じゃない。と、でも、俺の鼻ってこんなに大きいのか。この似顔絵も、 不眠の原因。

<何だか分からない今日の名文句>

団子っ鼻は出世鼻



3月29日(水) ひじき刈

 キノさんの夢を見た。働き盛りのキノさんが亡くなって、もう12年。あの時、彼は44歳だった。あまりに早過ぎる急死。

 房総の海が一望できる山手のお寺に葬られ、何度か、墓参に行ってはいるが、このところ、ご無沙汰だった。 「安房鴨川の桜も咲いたから、やって来ないか?」と夢でキノさんが話しかける。で、28日夜、急遽、特急で勝浦へ。 翌朝、そこから鈍行で太海に向かった。

 朝方、突風が吹き荒れたが、午前9時ごろには晴天。バスがないので、海沿いの国道をただただ歩く。海は静かだった。

 歩道に細い黒い縄のようなものが散らばっている。地元の人に「何ですか?」と聞くと「ひじき藻」だという。 そう言えば「ひじき」は漢字で書けば「鹿尾菜」。見た目が黒くて短い鹿のシッポに似ている。

 この頃、この辺り(天面地区)では、小型舟の漁師が地元の人に「ひじき刈」を許す日があるらしい。ことしは3月29日。 波で海岸に迷い込んだ「ひじき藻」を地元の人がテトラポットの上から引き上げる。勝手に持っていって良い特別の日なのだ。 「こんな風に乾かして、大鍋で煮る。もう一度、乾かすと食べられるようになるんだ」とオヤジさん。伊勢物語に色男・在原業平が 恋人に当時まだ珍しかった「ひじき藻」を贈る場面がある。この日は漁師のプレゼント?

 「ひじき」なんてコンビニで安く手に入るが、この漁師の好意に、地元の人は喜んで応える。共生の房総。

 キノさんの寺は国道から20メートルぐらい入った「天面・善光寺」。西徳寺(さいとくじ)とも呼ばれる。 江戸時代に僅か檀徒16軒で作った小さな小さな寺。この寺に安置される善光寺如来は、かつて別のところにあったらしいが、 慶長の津波で流され、この寺の井戸の底から「茶釜をかぶった形」で発見された。善光寺堂を建てて安置。 善光寺一式三尊像が安置される「全国善光寺めぐり」なるものに「天面・善光寺」は登録されている。 地元は「房州天面の善光寺が姉、信州の善光寺が妹」‥‥と信じられているそうだが‥‥。

 寺の横手に酒屋があったように思う。いつもビールでキノさんと乾杯するのだが、その酒屋がなくなっていた。 裏山で「ふき」を取って来たという女性に「酒屋はないですか?」と尋ねると「ないよ。私の家に発泡酒があるから‥‥」と プレゼントしてくれた。

 階段を50段ぐらい上り詰めると、7分咲きの桜。辺りに誰もいない。キノさんの墓に発泡酒をかけ、残りは飲んだ。

 帰りは、また約1時間歩いて、真新しい和風旅館を発見。真鯛の煮魚を所望したが、それがなく「大アジ」を煮て貰った。 こんなに大きいアジなんて見たことはない。

 そとに出ると、俄か雨。後ろから来たご婦人が「お若いのに、気の毒に」と声を掛けてくれた。 何が「気の毒」だか分からない。雨にあったのが気の毒?というのか。気がついてみれば「右半身マヒが気の毒」。 でも、最近「半身不随が気の毒」なんて、本人は全く感じていない。万歩計。この日は12692歩。

 「それほど不自由じゃないよ」と言うと、4月7日で68歳を向かえる女性は「そうかい。それなら良いけど」。 スタスタと当方を追い抜いて行った。雨は5分後に上がっていた。

<何だか分からない今日の名文句>

房総はすぐ知り合いになる



3月28日(火) オヤジと倅はもちろん別人格

 朝日の秋山クン(耿太郎社長)の長男が「麻薬及び向精神薬取締法違反、大麻取締法違反で逮捕されていた」、というニュース。夕刊 フジは「父の進退波及は必死」と書いてある。

 フリーディレクターの長男さん(35)は今月8日、東京都渋谷区の渋谷駅で合成麻薬MDMAを服用したほか、10日午後11時ご ろ、同区渋谷2丁目の路上で、警察官から職務質問を受けた際、大麻を含む植物片など約1.5グラムを所持していたらしい。

 秋山クンにこんな大きい倅がいるなんて知らなかった。秋山クンは僕より、一年遅く、1968年春、新潟に赴任した。出来の良い記者 で、何度か、彼の特ダネで痛い目にあったことがある。(もちろん、こちらもやり返したし、本当のところは新潟日報とNHKが一番、 強かった)どちらかと言うと、クールに見えたが、負けず嫌いのやり手。仕事一筋で浮いた話もなかったように思う。あの頃、もう結婚し ていたんだ。結構、早い子持ちだったんだ。

 出来の悪い倅。辛い話だ。「息子の愚かな行為に驚いています。本人がきちんと責任を負い、法に従い、罪を償ってほしいと思います」 とのコメントを出したようだが、オヤジの仕事とは関係ない。倅の不祥事で、オヤジが責任を取るなんてことになったら、反対勢力に「狙 い撃ち」にされる。(逆に言えば、倅さんも、オヤジが偉いばっかりに新聞ネタになる。これも不運だ)

 朝日の体質は嫌いだ。常々、朝日の紙面を批判しているが(皮肉にも、28日毎日新聞夕刊の「キレ珠」最終回でも、朝日新聞の名前は 出さなかったが、猛烈に批判したが)身内の不祥事と社長の進退は別のこと。こんなことで、辞任する必要はない。

 昼前、銀行で「掌」を登録。カードを新しくしたら、この銀行では、これからは、セキュリティのため「掌」をチェックして、預金を下 すように様になったらしい。指紋のようなものだ。面倒な、人を信じない時代になったものだ。ついでに、この銀行お勧めの投資信託につ いて、説明を受ける。500万円を定期に、500万円を投資信託にして、確実? に運用する。こんなやり方に参加する人が結構、多い らしい。景気の回復を信じる人が多くなった。

 夜、小旅行へ。

<何だか分からない今日の名文句>

ちょっとリスク、ちょっとリターン



3月27日(月) 無念。「キレ珠」は終わりです

 コラム「キレ珠」(キレの良いのが珠にキズ)の最後の原稿を書く。これまで、書こう、と何度も思っていたが、書けなかった「皇室の 言論」について書いた。最後だから‥‥、俺しか書かないテーマだろう、という思い込んで書いた。是非是非、読んでくれ。

 「キレ珠」は一年の短い短い命だった。前作の「ここだけの話」が1998年1月7日にスタート。それから7年。連載400回弱。 超長編だったが、今回の「キレ珠」は1年。コラムのタイトルが定着するのには3年は掛かる。だから、このタイトルを覚えていてくれた のは、何人もいないだろう。何となく淋しい。

 「4月から牧コラムはページが変わります。他のコラムと同じように4月からそろって、ナンバリングを打ちたい。そのためにタイトル を変えるのがベター」という理由。デスク様から改名を命じられた。夕刊改革の一環だから、仕方ないが、筆者とすれば、コラムのタイト ルは子供の名前のようなもの。だから淋しい。

 前作「ここだけの話」は「実にいいタイトルだから、このまま眠らせてはいけない」という誘いもあって、毎日新聞PR版で「新・ここ だけの話」が誕生している。

 だから、もう「ここだけの話」というタイトルは使えない。で、4月から新コラムは「大きな声では言えないが」と名乗ることにした。 訳して「大声コラム」

 湯気が出るポッカポカの世相を切れ味よく書きたい、と思って命名した「キレ珠」。その精神は変わらないが、どちらかと言うと「ここ だけの話」の雰囲気、“牧太郎の内緒話”。テーマを広げたものにしたい。是非是非、ご愛読、願いたい。

 松本被告の控訴棄却のニュース。当然である。「死刑廃止」を究極の目的にした特殊弁護士団の引き延ばし。苦々しく思っていた。

 一部に真相が分からなくなっていいのか、という意見もあると聞く。それも事実だが、犯罪の全容を概ね、解明されている。涙ながらに 供述した弟子が何人もいる。

 ただ、麻原の狙いが何だったか、彼の口から聞けなかっただけではないか。いくら待っても麻原は「真実」を話すことはないだろう。

 オウム真理教と対峙して、命を狙われたのが1989年秋。もう15年か。人生、長いような短いような‥‥久しぶりに「久保田」を シミジミ飲んでみた。

<何だか分からない今日の名文句>

百寿、千寿 万寿(注・久保田は万寿が1万円。一番お高い)



3月26日(日) カイヅカイブキの謎

 ある日、民主党の議員秘書の元に友人から「知人が月刊誌を出す。編集長に会ってくれ」と依頼があった。ニセ・メール事件はここから 始まった。

 昨年9月頃、その議員秘書は第一議員会館の事務所でSという編集長と「西澤孝」に会う。西澤は「小泉チルドレンばかりが注目されて いるが、日本を変えるのは民主党の新人議員ではないのか。雑誌で紹介するから1〜2年生の若手議員を紹介して欲しい」と言ったらし い。秘書は何人か、1〜2年生を紹介する。その時、西澤は「是非、永田さんを入れてくれ」と頼んだ。

 何故、彼が永田議員に拘ったのか。そこに、この事件の鍵が隠されているような気がする。これは推測だが、彼は永田議員は“お坊ちゃ ん”で騙しやすい、と考えたのだろう。病院経営者のセガレで、要するに世間知らずの“甘ちゃん”。カネがある、と思ったのか。彼を雑 誌の表紙に載せて、その雑誌のパイロット版を400冊売りつけた。42万円である。西澤は自分を大きく見せるために「有能なフリーの 記者だった」とでも言ったのだろう。どうやら病的な虚言癖があるようだ。

 その西澤が「何らかの意図」で永田議員をニセメールで嵌めた。今になったらマスコミ各社に「メールを渡したのは自分ではない」と弁 護士を通じて抗弁している。

 そして、当の永田議員は懲罰委で「西澤さんの言っていることは100%と嘘。政治生命をかけて申します。100%嘘です」と声を張り 上げる。イヤハヤ。

 ああ、何というバカさ加減。「アイツに騙された」と泣きじゃくる赤子。「アイツが悪いんだよ。僕は悪くないんだよ」と親の後ろに隠 れているような感じだ。嗚呼、何と言うドアホ。「騙されたお前が100%悪いんだよ」とペテン師は笑っているぞ。政治生命? なに言 ってるんだ。「政治生命」なんて言葉を軽々しく言わないでくれ。こんな言動を続ければ、社会人として失格だよ。

 君が往生際が悪いから「大事なこと」が隠され、放置されている。伊藤公介の選挙運動をシーザーの社員が社命として応援したこと。本 来なら、これこそ証人喚問で質すべきことだ。永田事件が「業者と馴れ合いの伊藤公介議員」を助けた。防衛庁の談合の陰に、どんなカラ クリがあったのか。追及されなければならないが、それも出来ない。行革推進法案について、何ら議論されていない。お前さんのお陰で 「何もしない国会」になってしまった。

 24日(金曜)の昼、民主党の渡部国対委員長日本記者クラブ主催の昼食会。久ぶりに“東北のケネディ”の顔を見に参加する。会費 2000円。渡部さんは「普段はグチを言わねぇんだけんどさぁ〜議員はサムライ。サムライなら人のせいにするな」と言った。議員がサ ムライ? なんて聞いたこともない。自民党の議員は「利に聡い商売人」と思っていたが‥‥まあ、それは良いとして「サムライ」とまで 煽てられているのだから、永田さん、今、やめないと‥‥。

 “東北のケネディ”さんは、質問が核心に触れると、話を靖国に持っていく。「…戦没者には最高の敬意を抱いていますよ。でも自分が 総理になったら靖国には参拝しないと思うんですよ。隣国との友好関係を第一に考えるからなんです。英霊の方々はそんな自分をきっと許 してくれるハズ。英霊は平和を願って亡くなっていったんだから…。」なんて話す。実に矛盾に満ち満ちていることを突如、言い出したり ‥‥一昔前の55年体制のナアナア政治気分。そんな人物に登場願うとは‥‥それをまた「水戸黄門」のように書く新聞。永田事件で、 放置された懸案を我々はどうするのか。あまりに馬鹿馬鹿しくて、質問する気にもならなかった。

 23日の日記で書いたのだが、ライブドア事件の捜査は遅々として進んでいない。外為法違反も詰められない。それにしても、野口さん の死は痛かった。

 そこで、また新たな疑惑。野口さんのポケットに沢山、入っていた葉。カイヅカイブキである。公園に見かける常緑高木。放っておけば、 7メートルぐらいに大きくなるが、生垣では剪定される。

 何処で、彼のポケットにカイヅカイブキが大量に紛れ込んだのか。

 ときどき針のようにとがった葉が見れるが、別名・先祖がえり(消えたはずの遺伝形質が再び現れる)と言うから、その昔は針のような植 物だったのか。どこにでもあるカイヅカイブキ。4月に花を咲かすが、花の色が緑色で、よく分からないそうだ。その植物の葉が大量に 野口さんのポケットに入っていた。何故だろう。

 野口さんの死は、ともかく謎ばかり。本当は、警察に対して那覇空港から押収したビデオ(野口さんと4人の男が映っている)はどうし たのか、追及するべきだったのに‥‥それも永田ニセ・メール騒動に埋没してしまった。この騒動で一番、得をしたのは誰だ!?

 26日はTBSラジオのナマ。終って野暮用取材。愛馬ロックスピリッツは中京7レースで2着。ちょっぴり、馬券で儲けた。

 桜は上野で二分咲き。でも花見客は一杯だった。

<何だか分からない今日の名文句>

「二セ・メール飴」を何度もしゃぶる奴



3月23日(木) 強い文春 ヘンな文春?

 朝、例によって駅前で週刊文春、週刊新潮を買う。例によって新潮は「トホホな朝 ウフフの夜」から。この号から「シリーズ・オヤジ 被害」が始まった。筆者の斎藤由香さんのお友達(編集者)の発言。「情報収集の夜回りで、一人暮らしの地検関係者に『私の家に入って 話をしよう』と言われ、本当に困るんだから」

 あるある、そんなオジン。でも、この言葉に喜んで家に入って‥‥という女性軍もいない訳ではない。「あなた、セクハラしたでしょ う?」なんてイチャモンをつけるヘンなオバンもいる。

 それにしても、斎藤さんの話はいつも面白い。この「オヤジ特集」は当分、欠かせないだろう。

 週刊文春には脅かされた。10ページに及ぶ阿含宗のPR特集。約200ページの雑誌の5%を一宗教団体が買い占めている。どんな 広告を載せるかは、編集権の問題だからイチャモンをつける心算もない。が、何か、ヘンだ。僕の愛する週刊文春とはイメージが違う。 こんな具合で「10%が政府広報」なんてことにならないと良いのだが。

 「青い空 白い雲」を書き上げて明治座へ。原作・池波正太郎の「剣客商売」。藤田まこと主演。小林綾子 山口馬木也 江藤潤 三浦 浩一らが出ている。剣客・小兵衛の軽妙洒脱な生き方は江戸っ子の理想だから、つい見たくなる。オンステージゲスト・小柳ルミ子の巨乳 は相変わらず。

 午後8時過ぎに社会部会に飛び込む。4月の人事異動を控えて歓送部会。二次会は「カラオケ パセラ 御茶ノ水店」。

 若い部員が歓待してくれたので、それなりの議論。話題は「ブログの可能性」。今のままでは、ブログに信頼性を持て! というのは 無理。ブログは意見発信にはなるけれど、ファクトがないから、いずれ飽きられる、と彼らは考えている。

 既存のメディアについての分析。「週刊文春の底力には驚かされた。例のガセメールのNを全マスコミが追いかけた。が、どのメディア も追い詰められなかった。にも拘らず、文春は18時間もインタビューしている」

 感服のテイ。我らの仲間は「強い文春」に正直言って、ある部分だが、文春に圧倒されている。

 そのガセメール事件。24日、衆院懲罰委員会が開かれる。仲介者Nの実名が出るのか。それなりに興味はあるが、問題は、ライフドア 事件はガセメールに歪曲化され、事件の本質を誰も追わないことだ。メディアは書いていないが、本当のところは、現時点で、地検の香港 ルートの解明が大きな壁にぶつかっている。ヘタをすると、この事件は形式犯で終ってしまうかも知れない。

 香港ルートの野口さんがこの世から姿を消したのが、大きな氷壁。それにつけても、野口さんの保護を忘れた当局の失敗が悔やまれる。 (もちろん、野口さんの死を「自殺」と決め付けた沖縄県警にも疑いは拭い切れないのだが)

 深夜、社台の電話サービス。愛馬ロックスピリッツが26日の中京で走るらしい。でも、時間と経済力の問題で、東京で応援するしか ない。残念。

<何だか分からない今日の名文句>

死人に口なし



3月22日(水) WBCに背を向けた松井の「道」

 裏庭の「酢桃」が満開になった。白い、遠くからみると梅のようだ。

 スモモは「李」と書く。でも酸っぱくて、とても食べる気にならないから「酢桃」の方が良い。開花期が3月下旬〜4月上旬。降霜によ る低温で受粉・受精が阻害され、実着きが悪くなるらしいが、隅田川沿いの裏庭は冬でも、陽が燦燦と降り注ぐので早く咲く。

 連翹(れんぎょう)も、まっ黄色に染まった。この花は中国が原産地で3月25日ごろから4月20日ごろが開花期とされているが、 今年は、これも早く咲いた。

 古名は「鼬草」(いたちぐさ)。「いたち」は約30センチの「ネコ目(食肉類)イタチ科」の哺乳類の総称。鼠を食べる。敵に襲われ ると、異臭を放つ。そんな「いたち」が別名と聞くと、ガッカリするが、もちろん、匂いもなく、とても綺麗だ。裏庭の連翹は高さ3メー トル。とても「いたち」ではない。

 連翹(花びらが丸っこい)と朝鮮連翹(花びらが細長い)の二種類あるらしく「連翹」の方は巴草(ともえそう)と言われたらしい。 「巴」とは円形を描くように一方にめぐり巻くこと。そういえば、確かに、丸い花びらが回っている。

 花言葉を調べてみたら「集中力」だそうだ。夢中に巻き続ける花びらに「力」を感じる。

 連翹の脇には小さなキンカン。黄色い実が大きくなった。「ミカン買ったら皮やるぞ。キンカン買ったら実やるぞ」

 キンカンは物凄く酸っぱいので、実は食べず、皮を食べる。酸っぱいと言うことはビタミンCがあるということ。風邪の予防に効果があ ると言われるのだろう。

 ネコの額のような狭い裏庭だが、一つ一つ見ていると、2、3分、全てを忘れる。

 出社。あちこちで世間話。4月から夕刊が大分変わる。コラム「キレ珠」はページが変わるらしい。それに金曜日の競馬欄がホンの少し 狭くなる。「競馬ロマン大学」はそろそろ廃校するか。

 WBCで世界一になった王ジャパン、凱旋帰国。成田にファン1000人。イチローは日本に寄ることは出来なかったが‥‥日本中、 王ジャパン! だ。

 松井はどうしているんだろう。松井がいたら、もっと簡単に優勝できただろうに、と思ったりする人もいる。夕刊フジが「人気でイチロ ーが松井を越えた」と書いているが、松井には松井の意地がある。「松井道」がある。

 多くのメディアが「松井は何故、王監督をサポートしないのか?」と参加辞退にクレームをつけたようだが、松井には松井の「道」があ る。昨年は打率3割5厘。初めて3割を超えたが、ホームランは23本。一昨年の31本より少なかった。これが彼の不満だった。 聞く ところによれば所謂「タンパ組」(オーナーの側近たち)は、全試合連続出場に拘る松井に批判的らしい。(アメリカでは休養を取りなが らシーズンを乗り切るのが普通)その松井がホームラン23本では「タンパ組」は許さない。酸っぱい、辛口の声が聞こえてくる。

 松井は連続出場に拘り「4年62億円」の大型契約に相応しい成績を上げる、と決意した。(当初、ヤンキースは「3年36億円」を 提示したらしい。本当のところは分からないが‥‥) 62億円に相応しい仕事をするには、開幕直前のWBCに参戦することは出来ない のだ。(これは主催者側の日程作成の失敗なのだ)

 WBCに出ないのが「松井道」。野球は一発勝負ではない。シーズンの勝ち負けである。同じように、WBC出場で、シーズン中に大き なハンディを負うことを覚悟して、イチローは「日の丸」のために参戦した。

 日本人は「イチロー道」と「松井道」を共有することが出来た。素晴らしいじゃないか。

 と、思う僕。仕事場のテレビでMXテレビが映ったことに狂喜して、夜、後楽園で大井の馬券を買い、見事、外れる。俺って、駄目だ なぁ。その頃、氷雨。

<何だか分からない今日の名文句>

酸っぱいから「酢桃」 ビタミンCだから「金柑」



3月21日(火) 老桜

 春分。気温16.7度。春だ。朝からドキドキして、イチローのWBC決勝戦観戦。(僕にとってはイチロー対キューバという感じ) 6−5に詰め寄らせた8回。やっぱり、イチローが決勝点を挙げた。2日前の日記でイチローに「道」を感じる、と書いたが、彼は、ここ ぞ!という土壇場の「道」が似合う。

 メディアは「イチローがイメチェンした」と報じている。イチローのイメージは「孤高」や「クール」だったが、一転して積極的にイン タビューに応じ、喜怒哀楽を率直に表現した。これで彼の登場するCMは1本あたり2億5000万円〜3億円に跳ね上がる、という。 広告業界から見れば、そうかも知れない。が「向こう30年は、日本に手を出せないという感じで勝ちたい」と言ったり「野球人生最悪の 屈辱」と言ったりしたのは、喜怒哀楽を越えている。これは「道」だ。全員が「一つの道」を目指すように無意識に舞台を作る。それは 喜怒哀楽を越えている。

 平年より7日早く、桜前線は北上。東京は昨年より10日、横浜は12日、千葉県館山も13日早く開花宣言。この分では3月中に散っ てしまうのかも知れない。

 イチローの後は桜。ウキウキする。夕方、日本橋高島屋で買い物。途中、タクシーの運転手がイチローを絶賛するので、つい気分が良く なって1000円札を出し「お釣りは要らないよ」と良い気分。桜が咲いただけで、ウキウキするから不思議である。

 今年の花見はどうするか。草思社で「桜のいのち庭のこころ」を書いている桜守の佐野藤右衛門さんは「1本を自分の桜に決める。花見 の季節だけでなく、一年中、見守るのが良い」と言っている。それが「道」かも知れない。老桜は人生を振り返る目安のようなものになっ てくれる。市川のマンションの裏手にある真間山の垂桜。これが僕の桜かな。

 もっとも、老桜になるものはほとんどないらしい。古木になって、幹はしわくちゃになのに‥‥枝を枯らしながら、そこに花を咲かす。 佐野さんは「色気でなくて色香」という。ほとんどの桜が歳とともに朽ちるのに、花を咲かせ、周囲に負けない。そんな桜を見続けたい。

<何だか分からない今日の名文句>

色香は「学校」なんだから



3月20日(月) 子ぎつねヘレン

 野暮用の小旅行の帰りに、塩沢湖畔の「明治四十四年館」で昼食。毎週、サンデー毎日の「青い空 白い雲」の終わりのところに「太郎の青空スポット」という “10行(ぐらい)紹介”を載せている。

 今時分、ここら辺りの青空を見たら‥‥という紹介。必ず、足を運んだところばかりを選んで書いているが「残雪の浅間山の空」を見るなら、この南軽井沢の「明治四十 四44年館」辺りが良い。強風が浅間山にはお似合い。

 帰京して「おけら街道」を執筆。調教師の競争について書く。

 夜、ちょっと時間が出来たので、映画「子ぎつねヘレン」を見る。北海道の獣医の竹田津さんの著作「子ぎつねヘレンがのこしたもの」(偕成社文庫)の映画化。キタキツ ネの子ヘレンは、道路わきにうずくまっているところを保護され、竹田さんのところに、連れてこられる。ところが、ヘレンはどうやら目が見えず、耳も聞こえないらしい。 武田夫妻の懸命な介護が始まる。これは実話である。

 映画では‥‥東京の少年、太一(10歳ぐらい)はカメラマンの母親の自分勝手で、母親の恋人・北海道の動物診療所の元に預けられる。ある日、太一は道端で、一匹の子 ぎつねと出会った。太一は、母親とはぐれた子ぎつねを自分と重ね合わせ、放っておくことができず、動物診療所に連れ帰った。母親の恋人の獣医は、その子きつねが目と 耳が不自由な事に気づく。「まるでヘレン・ケラーだ」という一言で、太一は子きつねを"ヘレン"と名付ける。そんなストーリーだ。

 去年春から夏にかけて撮影したらしいが、この季節、北海道の自然はあまりにも美しい。その大自然の中で、太一はヘレンの母親代わりになっていく。ミルクも飲めない、 肉も食べられない、声さえ出ないヘレンが、いつか、太一の世話で、ミルクを飲み、肉も食べ、最後は、母を呼ぶ遠吠えさえする。しかし、ヘレンが発作を‥‥。

 ヤギ、オウム、ラブラドールレトリバー、エゾユキウサギ、エゾリス、フクロウ、アカゲラ、エゾタヌキ、オオハクチョウ‥‥動物たちが沢山、登場する。何よりも太一を 演ずる深澤嵐くんはとても可愛い。

 動物と一緒に生活する子供は優しい。昨今、少年たちが動物を虐待する事件が次々に起こるのは、どうしたことだろう。子供が小さい時に、こんな映画を見せたら‥‥とい う気もする。ちょっと、終わりごろ、涙ぐんでしまうところもあったけど‥‥良い映画だった。

<何だか分からない今日の名文句>

動物は「学校」なんだから



3月19日(日) 真人間

 イチローが対韓国戦に2連敗した時、自らの野球人生で「一番屈辱的だった」と話した。彼は正直だ。これほどストレートに、自らを 結論つけた言葉‥‥言い訳なんていらない。自分が「怒り」の対象なんだ。だから「屈辱」と言った。うれしかった。素敵だった。彼は、 朝まで自棄酒を飲んで、泥のように眠ったそうだ。人間だから、自棄酒だけが人生‥‥という時間もある。イチローでも自棄酒を飲む。

 素晴らしい自棄酒を教えてくれたイチロー。怒りを己にぶつける。それが男だ。イチローに「真人間」を感じた。

 アメリカがドジを踏み、日本が準決勝に進み、その準決勝で日本が6−0で宿敵・韓国に大勝した。ドラマチックだった。うれしかった。 でも‥‥準決勝の勝ち負けには、それほど興味が無かった。決勝なんて、負けてもいいような気さえする。それより「怒り」を、自らに対 する「怒り」を、あの険しい面相を共に表現したイチローが、すべてだったような気がする。あれほど、感動的に「職業としての野球道」 を若者に教えた人はいないように思う。

 イチローは自棄酒で「道」を語った。

 それにつけても映像は凄い。イチローのこの「真人間ぶり」は、どんな筆達者でも表現できないだろう。テレビの映像には、それが出来 る。見事に映し出す。凄い。

 でも‥‥だから‥‥と言う訳ではないが、テレビの人たちに「職業人としての道」があるのかどうか、疑問に思うことがある。(新聞記 者にも「道」を知らない人もいる)

 この週末、テレビが「USENの二代目がライブドアと提携し、フジテレビの株を買い取った」というニュースを流している。ビック ニューである。でも、テレビが「ポンと95億円のポケットマネーを‥‥」と、はしゃいだ報道をするのに違和感を感じるのだ。

 個人名義で金融機関から借り入れる、と言うことで「ポンと95億円を投げ出して支援」というような奇麗事ではないだろう。「ポンと 95億円」の方が話題を呼ぶ、と思ったのか、USEN社長は一夜にして、ホリエモンに変わって「ITの寵児」である。

 ちょっと待ってくれ。どこから、95億円を搾り出すのか。金融機関なのか、担保は何なのか。市場から搾り出すのか。市場がそれだけ の資金を投入するほど、ライブドアに価値があるのか。分からないことが、幾つもある。

 それを見極めなければ‥‥軽々しく論じられない。全てが「ギャンブル資本主義」とは言わないが、今の世の中、他人が見つけたノーハ ウを上手に買収して、儲けるのがビジネスと勘違いしている。

 例えば、ホリエモンが躓いた投資事業組合。戦後、アメリカがベンチャーを育てるために考え出した手法。ベンチャーは株式発行を通じ て、エンゼルやベンチャー・キャピタルから資金を調達する。投資家はベンチャーが上場することで、キャピタルゲインを選ることが可能 だ。この投資リスクを投資事業組合によって分散させる。ベンチャーの成長が期待され、株価が上がる。株価が上がると、株式市場に資金 が集まる。結構なことだが、そこで、株を大量に売り抜ける人も出てくる。

 投資事業組合は「ベンチャーを育てる」と言うけれど、その本当の目的は、いつかは株を売り逃げして、莫大な資金を儲けることにある。

 ギャンブル資本主義である。そこで、ホリエモンは粉飾・偽計という八百長で儲けようとした。ギャンブルは八百長が成立すると、決 まった人間だけが儲け、決まった人間が損をする。

 資本主義は八百長を排除することが全ての前提である。資本主義は、何処から、どのくらい、どんな手法で、資金を調達するか? それ が全てである。八百長がない資金調達が可能かどうか、メディアはそれを見極めなくてはならない。

 テレビを見ていると、まるで、USENの社長が「善意の95億円を懐のサイフから出した」なような報道振りである。この人物の傑出 した面もあると思う。が、少し冷静になって欲しい。USENがライブドアの実態を完全に把握したとも思えない段階である。

 テレビの影響力は抜群である。テレビで喜び、テレビで泣く。テレビで怒り、テレビで学ぶ。ところが、そのテレビが(ホリエモンを 「寵児」と扱ったように)八百長に加担したら‥‥テレビの人々が「真人間」であることを切に切に願う。

 週末は野暮用で小旅行。強風。街道に突如、雪が舞い、と思ったら、白い大きな花粉。目がパチパチする。友人が「花粉症は突然、現れ る」と脅かす。

 桜の蕾も、もうすぐ開く。

<何だか分からない今日の名文句>

テレビは「学校」なんだから



3月16日(木) 笑顔の野良犬クン

 朝、たいとう診療所でリハビリ。ここ数回、雨や寒さを理由にタクシーで行っていたので、ことし初めて徒歩通院。2.1キロは軽く歩 けると思っていたのだが、2ヶ月以上、歩かないと疲れる。普通1時間10分程度で歩けたハズだが1時間半もかかった。油断をすると すぐ退化する。健常人なら25分ぐらいで歩けるのに‥‥久しぶりに落ち込む。

 仕事場に戻って「競馬ロマン」の執筆。4月の夕刊紙面の改革で、幾分、競馬欄が小さくなるので、自主的に「競馬ロマン」を外したら ‥‥と提案している。実現すれば、他の分野に全力投球できる。たまちゃんが許してくれるかどうか。

 東京駅八重洲口の再開発の関係で、仕事場辺りが電波障害に陥る。午後から、ケーブルテレビに変える工事。確かに映りが良くなった。 これまで、見えなかったMXテレビも映る。大井競馬も見えるぞ。

 ところが、何故か、CSが映らなくなった。調べると、この工事とは関係なく、チューナーが老朽化して動かない、と判明。どうしら 良いのか。テレビ本体も買ってから10数年経っている。買い換えるか。思案のしどころ。

 夜、高田馬場の新宿リサイクル活動センタ−で行われた「アジア記者クラブ(APC)」の定例会で、ブロク・ジャーナリストの山岡俊 介さんが講演すると、いうので覗いてみた。企業スキャンダルが次々に、この人物に殺到しているというから、その面相が見たくなった。

 アジア記者クラブというのは、フリーランス・ジャーナリスト、企業内ジャーナリストを対象にした親睦団体? 1991年にアジア (第三世界)、人権、マスコミ報道の3つのキーワードに関心を持つ人々が創設した。日本の記者クラブ制度は世界の非常識、情報カルテ ルだ、と主張している。

 山岡さんの講演は「ウラ社会と企業スキャンダル、武富士からライブドアまで」というタイトルだったが、その殆どは例の「パシコン 事件」。彼が追及する大手コンサルタント会社の不正事件。彼のマンションは昨年7月7日、放火されたが、その事件の背景には「パシコ ン」と右翼・暴力団が存在する、と彼は自信たっぷりに説明した。(パシコン事件彼のブログ「ストレイ・ドッグ」、あるいは05年8 月3日毎日新聞朝刊を読めば分かる)

 「ストレイ・ドック」は野良犬。買い主(権力者)の言いなりにならず、エサ(本当に告発に値するネタ)を求め、日夜、駆けずり回る、 と言う意味である。その山岡さんは、恐ろしいブルドックのような面相かな、と想像していたが、あにあらず。笑顔が可愛い中年男。 「告発取材は面白いからやっている」というあたり正直だ。

 山岡さんの講演で、面白かったこと@名誉毀損で訴えられたこと10数回。裁判で負けたのは1回。良い弁護士を選ぶこと。カネを取っ て何もしない弁護士が何人もいる。A裁判で勝っても、弁護費用は自分で払わなければならない。だから(新聞記者、雑誌記者と違って) フリーダンスは経済的に苦しくなるBヤクザは怖いけれど、それより怖いのは○○学会‥‥と結構、勉強になった。

 山岡さんは16年前から「週刊大衆」で記事を書いている契約記者。この週刊誌で健康ものを書いて、企業追及はもっぱらブログで書き 捲くっているのだそうだ。

 新聞の現象追随型の画一報道を笑って、独自の人脈で、ネタを探してくる野良犬クン。終ってから、名刺でも交換しようと思ったが、 先方がファン? に囲まれていたので、後日に譲ることにする。

 今日の「キッコの日記」は久ぶりの特ダネ。「担当医の証言」は面白い。

 深夜、東京は雷雨。

<何だか分からない今日の名文句>

野良犬の感性 お座敷犬の感性



3月15日(水) PETは有効?

 朝、国際医療福祉大学三田病院で大山ドクターの検診。まずは順調。最近、この病院、 何故か、患者さんが増えている。東京専売病院と名乗っていた時より3割増?という感じ。幅広い営業努力があるのだろう。

 入院した時、ベットの清掃などで、お世話になった女性スタッフにバッタリ。懐かしい。 「新しい体制が出来てから、診療室の工事なんかで、慌しいけど、これも一段落よ。もうじき、新しい機械も入るし」

 多分、PETが導入されるのだろう。これまで、西台クリニックでやっていたが、ここでも出来ることになると便利だ。

 ところが‥‥国立がんセンターのホームページに注目すべき告知があった。「3月3日読売新聞夕刊記事に掲載された 『PETがん検診に?85%見抜けず』の記事の中で、不適切な表現や、 解釈・説明の不十分な点がみられ、 PET検査およびがん検診全体についても大きな誤解を招いたおそれがあります」という書き出しなのだ。

 実は、(多分)3月3日の深夜、NHKで「PETは役に立たない」というニュースを見た知人が電話して来たことがあった。 僕は、これまで、西台クリニックで3回、PET検査を受けている。ガン早期発見の切り札、と思っているが、 もし、このニュースが本当なら知人が「お前、騙されたことになる」というのも、あながち的外れではない。 何しろ、一回で十数万円である。

 PETは役に立たないのか?

 慌てて、そのNHKニュースをネットで検索したが、どこに消えたのか、そのニュースの所在がどうしても分からない。 その内に、やっと見つかった。が、NHKニュースではない。読売新聞の記事だったのだ。読売の特ダネ?

 読んでみると、PETで発見される早期がんは、国立ガンセンターの“内部調査”では極めて少数だというのだ。

 他の手段で発見されたケースが多い、ということになれば、ワザワザ高い自己負担でPETの検査をすることもない。 結果的に損したことになる。このニュースが本当なら、損害賠償してもらう、と知人と冗談話をしていた。

 そんなことがあったので、時々、国立がんセンターのホームページを注目していたら‥‥こんな告知にぶつかった。

 がんセンターの「見解」はまず「今回の混乱」について述べている。「混乱の最大の原因は、取材上の約束が 守られなかったことです。 新聞に掲載される事前に間違いがないか内容を吟味するために記事を見せてもらう約束でしたが、 これが結果として守られませんでした。 このため一部分が強調された不正確な記述がそのまま記事になってしまい、 このような誤解を招く内容になってしまいました。 とくに後に述べる感度については殆んど理解されず 誤解を招かざるをえない記載となっています」。読売側の“落ち度”だ、と指摘して、その上で 「取材時の当方のコメントの主旨と記事は大きく食い違っています。 取材においてPET検査・検診を否定する見解を 取ってはいません。 当方のコメントの主旨を反映させるのではなく、コメントの一部分だけを用いてPETについての 否定的な記事を構成したものと受けとっています」「“内部調査で”とありますが“内部調査”というものは存在しません。 何を指しているのか全く不明です」とまで書いている。これでは、読売の記事は誤報、虚報と断定しているようなこのだ。

 しかし、である。読み進んでみると、そうとも思えない記述がある。「今回のデータはあくまで中間的・予備的なもの」と 言っているから、データは間違いなく存在しているのだ。

 記事は本当なのか。PETは役に立つのか。問題は、国立がんセンターと読売の記者さんの「行き違い」ではなく、 焦点は「PET検査の有用性」である。国立がんセンターは「感度の違い」について言及するが、素人の僕には、 なかなか、理解できない。

 想像するに、PET検査業界が、この記事に腹を立て(場合によっては、その存続にまで影響するかも知れないから) 国立がんセンターに抗議し、その結果、この「見解」になったのだろう。「見解」はPETの有用性を認めている。 が、同時に「中間的・予備的データ」を否定した訳ではない。この「見解」の読み方は難しい。

 医療記事は難しい。読売の記者さんが意識的に事実を歪めたとは思えないし‥‥多分、報道するに相応しい、 と判断して書いたのだろうし、このデータは報道するべきだ、と考えた医師もいた、 と思うけれど‥‥がん治療に興味のある向きは、国立がんセンターのホームページを熟読されたら良いだろう。

 休日が出る関係で「青い空 白い雲」が締切。必死に「誤審」の話を書き上げ、午後、 六本木ヒルズ→表参道ヒルズ。閑古鳥が鳴く、ホリエモンの六本木。ウイークデーだと言うのに何万人も集まる表参道。 比較取材。その後、JRAで野暮用。

 少し温かくなった。

<何だか分からない今日の名文句>

医療の感度 報道の感度
医師の感度 患者の感度



3月14日(火) 取材源秘匿→暗黒時代

 13日の日記で「良いアメリカと悪いアメリカを峻別するのが、同盟国・日本の政治家の最大の仕事」と書いた。小泉さんは、岩国の住 民投票で空母艦載機部隊受け入れに市民の9割が反対してことについて「どこでも住民投票をすれば反対でしょう。基地は‥‥」と言い放 った。これは大失言である。民主主義に立ち向かう失言である。これが、ごく普通のジャーナリストの受け止め方と思ったが、14日の各 紙は大分違うようだ。

 この発言はベタ扱い。例えば、我が毎日新聞でさえ「自民党では13日『安全保障や防衛をどうするかを住民投票にかけるのは適当で ない』など、投票した自治体への批判が噴出した」と書いている。今後の問題は「住民投票のテーマ設定めぐる自民党と自治体との議論」 という論法である。

 投票結果に基づき、基地の拡大について、国会はどう議論するのか、住民投票の結果がどう生かされるのか、逆に踏み潰されるのか、そ れが見極めるのがテーマだ、と何故、新聞は書かないのか。ことを自民党の意向、反応だけで片付けようとしている新聞。権力が平気で論 点をすり替え、メディアが協力する。

 国政選挙は、小泉さんが「民政民営化一本」で争点を隠すから、有権者は安全保障で意思表示していない。(意思表示できなし)だから 住民投票が必要なのだ。

 新聞がその「争点隠し」を見逃し、今度は「住民投票隠し」に協力する。それで良いのか。嗚呼、何となく、チカラが失せる。

 14日、東京地裁の「取材源秘匿裁判」の判決が出た。地裁は、国家公務員らに新聞記者が取材して、一般には明らかになっていない情 報を入手しようとすることは国家公務員法の守秘義務違反を犯させる行為――と判断した。

 米国の健康食品会社の日本法人の課税処分に関する報道に絡んで、日本の各報道機関の報道について米司法当局が記者に嘱託尋問を求め た。その尋問で、記者は取材源秘匿のため、証言を拒絶した。この当否が争われた裁判である。

 昨年10月の新潟地裁決定は「記者にとって取材源は民事訴訟法上、証言拒絶が許される職業の秘密に当たる」と認定したのだが、今回、 東京地裁は「職業の秘密であっても、情報の漏洩(ろうえい)が刑罰法規に触れる」といった特別事情がある場合は証言拒絶は許されない、 というのだ。言い換えれば、政府の発表(それが嘘でも、真実でも)以外は報道することは出来ない、と言っている。言論にとって、暗黒 時代だ。

 それ以上に暗黒なのは、小泉自分党の言いなりに書く仲間が多いことが、暗黒時代なのだ。取材源秘匿も守らなければならないが、まず、 我々は「御用記者」に成り下がることを拒否し、常に堂々と記事を書かねばならない。

 読売の社説が言うように、報道が公的機関の発表だけに頼っていては、真に国民が必要とする情報を提供することはできない。これでは、 民主主義社会は成り立たない。

 午後から市川で野暮用。昨日(13日)は市川でも雪が降ったと聞かせれビックリ。夜はプレスセンターで、競馬仲間と懇談。

<何だか分からない今日の名文句>

阿るても、媚びても、御用新聞は馬鹿にされるだけ



3月13日(月) 良いアメリカ、悪いアメリカ

 銀行からコンクリート業界に、天下った友人が「ようへき」 (社団法人全国宅地擁壁技術協会の会報)を送ってくれた。彼のライフワークの 「リトアニアの切手」に関する研究をこの会報に寄せている。知らなかったことばかりで、 これはコラムの材料になる。取り合えず、切り抜いた。

 が、それ以上に気になったことは、コンクリート業界の苦悩のようなものが、 会報に滲み出ている。友人は手紙の中で「この業界、相変わらずの“土砂降り不景気” 小泉さんのいう好景気とは、どこのことなのか」と書いている。それが実感なのだろう。

 小泉政権の5年間、日本には「公共工事悪者論」が充満して、この業界だけでなく、 インフラ関連業界は青息吐息なのだろう。

 「ようへき」49号の巻頭言。協会の理事さんが韓国のKIジョイント工法を視察した 印象を書いている。「韓国ではインフラを国力競争と位置づけているのに、日本では‥‥」 と嘆いている。四国のダムが一晩の台風で決壊しそうになっていることなどを例に上げ、 日本はもっと安全を考えなければならない、と力説する。「インフラ整備必要論」が 世論になるべきだ、と彼は主張する。その通りだと思う。

 小泉さんは「良い公共事業」と「悪い公共事業」を区別せず、ただ「公共事業悪者論」 を展開した。それが世論に受ける、と思えば、その結果には関係ない。「良い民営化」と「 悪い民営化」を区別せずに「何でも民営化」といい続けた。(僕は一貫して、そのペテンを 批判し続けているが、残念ながら、世論は小泉支持である)

 天下りについて言えば、公務員の再就職を「天下り」という一つの言葉で切り捨てる。 公務員が民間に行けば、全て「悪い天下り」である。「悪い天下り」と「適切な公務員再就職」 を区別しようとはしない。(その癖、高級官僚は巧みに天上りしている)

 本物か、偽者か、その判別が政治の根幹なのだが、小泉さんはその努力を放棄する。 小泉流ペテンなのだ。

 一番の問題は「良いアメリカ」と「悪いアメリカ」を峻別しない(峻別できない)。 70年代のアメリカは「良いアメリカ」を装って、結果的に中南米を無力化した。中南米の諸国を情報機関の暗躍で潰し「国営企業の民営化」「構造改革」を主張した。まだ株式市場すら満足でない中南米諸国に、アメリカの投資銀行が進駐した。彼らは「構造改革=民営化=株式上場」と声高に訴え、気がつくと、中南米の資産と利権はアメリカのモノになった。「良いアメリカ」は「悪いアメリカ」だった。  「良いアメリカ」なのか、「悪いアメリカ」なのか、峻別するのが、同盟国・ 日本の政治家の最大の仕事なのだ。それが小泉さんには出来ない。アメリカが要求する 「構造改革」は日本の国力を目茶目茶にするためのペテンだ。日本を中南米化することなのだ。

 小泉さんの今日のペテン。岩国の住民投票で空母艦載機部隊受け入れに9割は反対したことに ついて「どこでも住民投票をすれば反対でしょう。基地は」と言い放った。 最大の失言である。それほど、国民を愚弄する発言はない。

 これを何故、メディアは怒らないのか。何でも「アメリカの言いなり」はもう我慢できない。

 メディアは何故、基地問題を真正面から取り上げないのか。イラク戦争で、日本の基地が、 どんな役割を果たしているのか。それをメディアは報道しない。「悪いメディア」が存在する。

 別にWBC野球の球審偽装判定に腹を立てた訳ではないが「悪いアメリカ」は間違いなく、 何処にも、あそこにも存在する。(良いアメリカ人はもっともっといるけれど)

 午前中「おけら街道」を書き、午後、若手競艇選手・中野次郎クンの来訪。良い男だ。 夜、四谷荒木町で競馬仲間と一杯。外に出ると‥‥しばれるワ。日本海側は大雪。

<何だか分からない今日の名文句>

ピンチになれば、正体が分かる



3月12日(日) 春だ!リビエラブルーだ!

 今年も、裏庭に「紫もくれん」が咲いた。春はもう直ぐ。

 12日の夜は秋葉原のワシントンホテルで、雑草博士の広田さんの「200勝を祝う会」が開かれた。1980年に社台の一口馬主に なって以来、四半世紀。広田博士は200勝を上げた。多分、日本一だろう。

 隣に座った広田老人に「儲かりましたか?」と聞くと「ウン億円使って、ウン億円戻ってきたが、儲かっていません」と笑いながら話す。 奥さんもニコニコ。趣味だから、損して当然だろう。僕はまだ21勝。でも、馬主としては収支はドッコイドッコイ。ただし、馬券は大負 け。いくら損したのか、数えるのが恐ろしい。

 八番目の愛馬・セシルカットの2004(父・ホワイトマズル。母・セシルカット。母の父サンデーサイレンス、母の母ダイナカール) に馬名がついた。

 ダイナカールの母系とホワイトマズルの配合は初めて。無駄肉のない柔らかい筋肉。いまっすぐな肢軸。祖母そっくりの闘争心あふれる 目つきをしていると言うので、選んだ。その愛馬に名前がついた。リビエラブルー。良い名前だ。

 ニューカレドニアの州立公園の名前らしい。ヌーメア市という街から南東に車で約1時間半のところに、州の水瓶「ヤテ湖」がある。 その水源である青い川。それがリビエラブルー。澄み渡った青。明るいブルー。TMWの「700LSクーペ」(1964年)のボディカ ラーがリビエラブルーだった。良い名前だ。

 セシルカットは多分24戦5勝。戦績はイマイチだったが、倅はきっと走るだろう。そうそう、もう1頭の愛馬・ロックスピリットは 19日中京2000メートル戦に向かうらしい。競馬も春だ。

 日曜日の12日は眠くて、眠くて‥‥朝5時に起きて、朝飯時に眠くなり、午前10時半にベットに潜り込み、気がつくと午後3時。 馬券を注文するのが出来なかった。春は眠い。

 気になるネット。政治評論家・森田実先輩は東大時代、香山健一とともに全国学生自治会総連合の指導部を形成。反基地闘争などを指導 した人物である。

 1973年ごろから、政治評論家として活躍していたのだが、最近はテレビには出ず、ネットで反小泉、反前原民主党を明らかにして いる。それがかなり刺激的なのだ。

 今日、森田さんはネットでこう書いている。「君が、朝日、毎日、読売、日経、産経の中央紙のどれかを読んでいたら、すぐ購読をやめ てくれ。朝、毎、読、日経、産経の5大中央紙は、小泉政権の手先であり、小泉政権の広報紙の役目を果している。全国民がこんな新聞は 読まないと決意すれば、小泉政権の手先の報道機関がつぶれる。マスコミを変えるには、これが一番有効だ。

 民放テレビも可能な限り見ないようにしてほしい。家族も民放テレビを見ないようにしてほしい。テレビはNHKで十分である。NHK にはBSもある。よい放送をしている。全国民が民放テレビを見なくなれば、小泉政権の広報機関になり下がっている民放テレビはつぶれ る。テレビはNHKだけ見れば十分である。NHKには『日本文化』がある。常識がある。ワルふざけをしない。少なくとも民放テレビの ように不マジメではない。青少年への悪影響が少なくなる」。

 なるほど、という気もする。が、ちょっとばっかり、雅量が狭い感じもする。ネットの方が住みやすいのか「神」と言われているそうだ が、マスメィアの雑多な主張を全て小泉派とするには無理がある。もう一度、メディアに登場して、持論を展開して欲しい。ネット以外の も、森田ファンは一杯いる。

 世の中、反小泉は腐るほど沢山いるが、問題はそれを組織化するチカラ。森田さんは、それが出来る人ではないかと思うけれど‥‥。

<何だか分からない今日の名文句>

春は蛙の目借り時(解説・春、蛙が人間の目を奪うので眠くなる)



3月9日(木) 道新の果敢part2

 3月8日午前7時56分、朝日新聞は「沖縄密約、99年に外務省元局長が認める発言」 という記事を配信した。書き出しは「72年の沖縄返還で米側が払うとされた土地の原状回復補償費 400万ドルを日本が肩代わりする密約が結ばれていた問題で、外務省元アメリカ局長の吉野文六氏(87)が 99年の時点で密約を認める発言をしていたことがわかった。非公表の政策研究大学院大学のオーラルヒストリー(聞き取り) プロジェクトの報告書に収められている。密約を裏付ける米公文書が初めて明らかになった00年以前に、 吉野氏が自ら密約の存在を認めていたことになる」。

 しかし、昨日の日記で明らかにした通り、北海道新聞は一ヶ月前の2月8日付け朝刊で 「1971年 沖縄返還協定 米との密約あった」とスクープを飛ばしている。 「30年以上、嘘で固めた政府の裏切り」を道新は書いた。「天下の朝日」(という人もいるようだ)が、やっと道新を追いかけた。

 ご存じない人もいるので「沖縄返還協定密約事件」について、簡単に説明しなければなるまい。

 沖縄は日本本土がサンフランシスコ条約で連合国から独立した後も、アメリカの占領・統治が続いていた。 が、69年、佐藤栄作首相とニクソン米大統領との間で「72年・核抜き・本土並み復帰」で合意が出来あがった。

 その協議の過程で、日米に「密約」が存在することを毎日新聞外務省キャップ・西山太吉記者が突き止めた。 彼は、解説記事で「密約」の存在をにおわせる記事を執筆した。取材源を隠すため、ストレート記事には出来なかった。

 ところが、1972(昭和47)年、問題の外務省極秘電文にもとづき、社会党の横路孝弘議員が 「返還土地の原状回復費400万ドルを日本側が極秘に肩代わりする」という密約が存在する、と暴露した。 この電報は同僚記者を通じて、横路議員に手渡されたものだった。

 政府は驚き、電報がどうして漏れたか、調査する。横路議員が示した公電番号から、その電文を持ち出したのは 外務省の女性事務官で、西山記者に渡したことを突き止める。女性は守秘義務違反(国家公務員法第100条)容疑で、 持ち出しを依頼した西山さんは秘密漏示教唆(そそのかし−同第111条)の容疑で逮捕、起訴された。

 その頃、僕は社会部のサツ回りだった。毎日新聞は「国民の知る権利」を主張した。国民も、新聞も、毎日新聞を支持した。

 暴露された公電の内容は真実なのか。それを追及するのが、メディアの仕事だったが、政府が女性事務官と西山さんの 情交問題に言及したことから、事態は激変する。電報の真実より

@政府の外交上の「密約」が、国家公務員法にいう「秘密」にあたる否か

A記者が取材目的で得た資料が国会議員にわたったことの是非

B特に取材にからむ当事者間の情交問題‥‥が話題になってしまった。

 検察はわざわざ「情を通じ」という表現を起訴状に書き込んだ。巧みな世論操作。政府が国民を欺いて 米国に便宜を図った問題は男女問題にすり替わった。

 手段を選ばぬ記者。そして犠牲になった悲しい女性事務官。毎日新聞は世論の袋叩きに合った。

 女性事務官は一審で有罪(懲役6月、執行猶予1年)が確定、西山さんは最高裁まで闘ったが 「正当な取材活動の範囲を逸脱している」として、上告を棄却、東京高裁の懲役4月、執行猶予1年の有罪判決が確定した。

 本来、追及される密約の存在について、当時の福田外相や外務省の高官は国会や法廷でそれを否定した。 しかし、それは嘘だった。

 2000年5月、「密約」の内容を裏付ける米公文書の存在が明らかになった。それでも、 政府は「密約は存在しない」と言い続けた。

 ところが、当時対米交渉にあたった吉野文六・元アメリカ局長が「返還時に米国に支払った総額3億2000万ドルの中に 原状回復費用400万ドルが含まれていた」と述べ、日本側が肩代わりしたことを認めたのである。 道新は、これをスクープした。

 なぜ、吉野さんが「真実」を述べたのか。その動機について、道新の徃住嘉文編集委員は雑誌「世界」で、 彼が「意識的に忘れようとすることが不愉快なことだ」と話している。嘘をついて死ぬのは不愉快だ。

 吉野さんは国家の嘘を明かし、道新は、その事実を書いた。新聞が無力化し、やりたい放題の小泉時代。 その言論が衰弱する中で、一際、光る北海道新聞。そのことを、北海道だけでなく、多くの人に知ってもらいたい。

 さて、8日の日記。昼、日本橋・三越劇場で星野哲郎原作の「妻への詫び状」の初日。 演歌ミュージカル。これが舞台になった裏話を取材。通路を挟んで島倉千恵子さんらと観賞。

 午後4時、仕事場に戻り「青い空」に書く。夜、同僚3人が遊びにやって来てくれた。 最近、読売の紙面に活気あり、という意見あり。負けられない。それに雲隠れしたニセメール事件の「フリー記者N」の 動静も話題。まだ、何やら奥がありそうだ。

<何だか分からない今日の名文句>

墓場に持って行く嘘 持った行けない嘘



3月8日(水) 北海道新聞の「果敢」

 月刊誌「創」が送られてきた。毎年4月号は「新聞社の徹底研究」。いつも、新聞社のアラ探し。毎年、毎年「毎日新聞は紙面は良いが、 経営が苦しい」とばかり書かれていて、何も目新しいこともないので、斜め読みになってしまう。いつも朝日、読売、毎日、日経、産経の 順で、内情を書いていても、本質的な新聞の研究になるかどうか、甚だ疑問だが、今回は、桂敬一・立正大教授らの座談会で、ちょっと気 になることがあった。

 「昨年7月の時点で北海道新聞の道警裏金追及チームのデスクとキャップが異動させられ、あのチームは解体に向かっていた」というの だ。それは知らなかった。

 ここ数年間、道新は警察の不正、腐敗を追いかけて続けていた。幾つも「賞」を取り、その果敢な報道ぶりは賞賛された。

 ところが昨年3月、道新が「道警と函館税関が“泳がせ捜査”に失敗し、覚せい剤約130キロと大麻約2トンが道内に流入し、密売さ れた疑いがある」と報道してから、道新vs道警の関係が逆転する。道警が「事実無根!」と抗議し、道新は記事内容や見出しに不適切な 部分があったとお詫びした。しかし、それでも、取材に自信があったのだろう。「疑惑は残る」として、記事自体は削除することはなかっ た。道警は納得しない。そんな緊張関係の中で「裏金追及チーム」は解体に向かっていたというのだ。

 「取材に自信はあるが確証がない」と悩む新聞社と「これを機に、目の上のタンコブを処分しよう」とする警察。あるいは、阿吽の呼吸 で、追及チームの解体というレールが敷かれたのか、と勘ぐることも出来る。

 そして、今年1月、道新は全面降伏する。道警と函館税関の覚せい剤捜査を巡る昨年3月の記事について「不適切な記事だった」として おわびを掲載して、編集局長の減給(役員報酬30分の1、1ヵ月)を含む7人の処分を発表した。道警の態度がかなり強硬だったのだろ う。追及チーム解体では、道警は許さなかったのか。「リベンジだ」という人もいる。

 裏金問題を執拗に報道した道新に、道警の多くの幹部が「オレたちの悪口を書いて、賞なんかもらいやがって」と恨み骨髄だった。道新 の元幹部の不祥事で「道警が道新本社の家宅捜査する」という噂まで飛び出した事もある。

 “泳がせ捜査”の真相は分からない。報道の勇み足はあったのだろう。しかし、100%確証が無ければ報道できない、ということにな ると、新聞は無力になることも事実だ。確証があっても、証言してくれた人物が「法廷では証言できない」という場合もあるだろう。そう なれば、敗訴を覚悟で「真実」を書かねばならないことだってある。

 そして、このところ、裁判所が認める名誉毀損の賠償金はうなぎ上り。裁判で負ければ、新聞社は潰れる。圧倒的な情報収集能力を持つ 警察に楯をつき、批判すれば、嵌められることも覚悟しなければならない。

 道新の一件は「新聞社の限界」を現しているのかも知れない。確証を得て、100%真実と確認してから書くか、一定のリスクを覚悟し て「悪」を(公共の福祉のため)書くか。その選択をどうするのか。新聞は悩ましい。

 それにも関わらず、道新は2月8日付け朝刊で「1971年 沖縄返還協定 米との密約あった」とスクープを飛ばした。30年以上、 嘘で固めた政府の裏切りを道新は書いた。時間が無いので、この後は明日、書く。

 8日は20℃を越えるところも出て、ハル到来。午前中、来客一組。午後、新橋で野暮用。TBSラジオの収録。その後、JRA六本木 事務所で取材。

 夜、送られてきた講談社現代新書「他人を見下す若者たち」(速水敏彦著)を真ん中まで読む。これは面白いゾ。

<何だか分からない今日の名文句>

新聞と屏風は、曲がらねば世に立たず?



3月7日(火) 朝日CIA?のメールチェック

 サンデー毎日が「朝日新聞社が社員のメールチェック!」というスクープ記事を掲載している。

 朝日新聞社は3月1日から「ネットワーク記録・分析システム」を導入した。 全社員を対象に、会社のサーバーを経由したメール送受信、ウエブサイトの閲覧記録を 3年間保存、その記録を会社側の限られた人間がチェックする、というのだ。 これは事実上、朝日新聞が全社員の動向をチェックする社内CIAを作った、 ということではないか。

 システムの導入は、昨年8月、例のNHKvs朝日騒動に関連して、月刊現代に朝日新聞の 内部情報が流れたことに起因している。つまり、社内の情報を流す犯人を突き止めるための システムである。

 朝日新聞社が従業員をチェックすることは勝手である。多分、法的にも許されると、思う。 が、朝日新聞は報道・情報でメシを喰う企業である。多くの内部告発で情報をキャッチして メシを喰っている。他人に「真実を明らかにする情報」を求め、その一方で、 社内の情報は他のメディアに絶対に流させない、という姿勢は、あまりにも勝手過ぎないか。  新聞社には無数の情報が入ってくる。この情報を整理し、あるものは捨て去り、 あるものはストレートニュースとして報道し、総合的な判断の上、歴史をデッサンする材料 として保存する。これが新聞社の仕事だ。貴重な情報が新聞社に入ってくるのは、 その新聞社を信頼して、ニュースの取材源を秘匿することを信じる「善意」があるからである。

 もし、権力が朝日新聞社に「メール記録」の提出を求めてきたら、どうするのか。 結果として国家権力の手下になってしまう。新聞社の自殺行為である。

 朝日新聞は目の前の不祥事に慌てふためき「新聞社の信頼」を放棄する。

 この問題は、多分、他のメディアに波及するだろう。経営者は全従業員の動静を掴みたいから、 朝日で出来るのなら、と思うだろう。

 サンデー毎日は新聞社が発行する週刊誌である。だから、同じようなこと(情報流出)が 毎日新聞で起こることだって有り得る。だから、この問題には触りたくない。しかし、 サンデー毎日は「朝日新聞の変」と題して問題提起した。

 昔から「組織の朝日、人間の毎日」と言われる。何よりも大事なのは企業、 と朝日は考える。毎日は人間力で特ダネを獲得するから「人間」を大事にする。 その発想の違いが出た、と言うことか。

 午後「おけら街道」を書き、情報整理。日銀が8日から2日間の日程で政策委員会・ 金融政策決定会合を開いて、デフレ脱却のために2001年3月から続けている 金融の量的緩和策の解除に向けて議論する。

 金利に関しては、竹中、中川の「安倍支持派」が「緩和は早すぎる」と主張。 小泉さんも同調している。日銀の天皇?が、小泉独裁(実は金融の天皇・竹中独裁) にどう応えるのか。ポスト小泉にも関係する。

 明日(18日)はポッカポッカ。20℃を越えるところもあるらしい。

<何だか分からない今日の名文句>

背中に目はなし



3月6日(火) 福の神独裁

 小泉さんが、しきりに「福がついている」と言っているらしい。先月24日、恩師・福田赳夫元総理の次男・横手征夫さんを偲ぶ会で 「私が今日あるのは福田家の方々にお世話になったから。ピンチに陥ると、福の神が後ろから支えてくれる」と話した。ウンがある、とい う意味だろうが、民主党の大失態で「福いっぱいの独裁の日々」である。

 まあ、小泉さんは前原・永田の「福の神」に、お賽銭でも上げなければなるまい。お賽銭? もちろん、行く行くの自民党公認? だろう。

 メール事件の顛末を検証すると、小泉さんに取って「福の神」は検察だった。検察がメールの存在に「ノーコメント」ではなく「知らな い」と断定的に言った。これが、小泉さんを勇気付けた。小泉さんは「武部ファミリーはシロ」と信ずることが出来たし「検察はライフ ドア事件は経済事件に留める」という見通しを立てる事が出来た。これは検察のサインだったのではないのか。

 民主党の体たらくで、検察も「政界波及ゼロでも世論は納得する」と判断できる。民主党の体たらくで、メディアも、よほどの確証が無 ければ疑惑を報道することあるまい。皮肉なことに、小泉独裁は「4点セット」で逆に強固になった。

 小泉さんは6日の参院予算委員会で、ポスト小泉の要件を「使命感。一つの目的を達するための情熱。それが実現可能か見抜く洞察力」 と政治学者マックス・ウェーバーの言葉を引用して胸を張った。「‥‥と考えると、まだ、俺以外にいないじゃないか」と言いたげである。

 量的緩和政策の解除について、日銀の独立性は尊重するふりをしながら「間違えた、と変えるわけには行かない」と話す。まだ「デフレ を脱却し切ったかは、もう少し様子を見る必要がある」という見解。事実上の「日銀総裁の動き」に待ったを掛けた。2000年、日銀が 反対論を押し切ってゼロ金利を解除した失敗を念頭に置いているのだが、日銀総裁の「専権事項」を首相が公の舞台で、あからさまに否定 したのは例がないように思う。「死に体」になっておかしくない時期だが、小泉さんの求心力は衰えない。「福の神」は確かにいる?

 春一番。終日、野暮用。話題の某リゾート(一泊8万円の隠れ家が大人気)は予備校の経営と知り、驚く。

<何だか分からない今日の名文句>

「福」も実力のうち

3月5日(日)「天下り」を拒否すべきか、それが問題だ

 仕事場の近くにある、小さな小さな信用金庫。どんなことで知り合いになったか忘れたが、毎日、自転車に乗って町内を駆け回っている 行員のIクンとはウマがあった。朝7時ごろには出社して、掃除もしている。家族思いのIクンはご子息を四国の高校に野球留学させてい て、会えばその話。それ以外、特別の話題もないが、何故か、彼に会うと、一日中、元気になる。「おはようございます!」の大声が周囲 に元気を振り撒いている。とても、良いオヤジなので、彼のカオを立てて、積み立て預金に入った。と、言っても、月3万円のささやかな 貯金である。

 3日の金曜日の朝、憔悴し切った彼に会った。前日、この信用金庫の会長、理事長が暴力団の関係会社に4億円を不正に融資した、と警 視庁組織犯罪対策4課に背任容疑で逮捕された。融資を受けたのは指定暴力団住吉会系の組長である。

 新聞によれば、担保物件だった神奈川県藤沢市の宅地などの評価を実際より高く見積もって4億円を不正に融資したが、4億円のうち 4000万円しか返済されなかった。

 組長は茨城県東海村の産業廃棄物処分場の買収資金にする、と言っていたが、買収は行われなかったのだから、騙されたのか、グルだっ たのか。ともかく、怪しからん背任である。

 でも、Iクンには、もちろん罪はない。「元気を出せよ」と言うと「‥‥」。お客さんに説明を求められても、情報が十分でないので、 上手に話すことが出来ないのだろう。

 と、言っても、たとえ小額であっても取引しているのだから「大丈夫か?」と聞かなくてはならない。

 で、仕方なく、この事件に詳しい記者さんに「この信用金庫、大丈夫か?」と聞いてみた。「会長が独裁で関東財務局の指導を無視して いたから事件になった」と説明する。「指導? つまり、天下りを拒否したということ?」と聞くと「ご想像にお任せします」(笑)財務 内容は良いらしいから、今すぐに、何か起こることはないらしい。安心する。

 まあ、金融事件は権力争いに負けた方から情報が流れるもの。民間は世論に従って「天下り」を拒否すると、何時か、しっぺ返しが来る。 大手銀行は必ず「警察OB」の面倒を見ている。でも、小さな信用金庫には、そんな余裕はない。ああ、恐ろしい。Iクン、これも人生、 元気出せ!

 例えば、官製談合の原因は「天下り」。民間が仕事が欲しいばっかりに‥‥と説明されるが、それはお門違い。民間は競争。競争に勝つ ためには「天下り」を甘んじて受けなければならない。拒否すれば、しっぺ返しが来る。

 官製談合は形を変え、続くのだろう。官僚国家とは、そうしたものだ。

 週末は快晴。野暮用のついでに、新しい「表参道ヒルズ」を見学。日曜日は耐震補強工事の老舗ホテルを遠くから見学。青空が素晴ら しい一日だった。

<何だか分からない今日の名文句>

くわばら くわばら

(解説・あわて者の雷の子があやまって桑原の寺の古井戸に転落。和尚は古井戸に蓋を‥‥雷の子は「助けておくれ!桑原へは二度と雷 を落とさない」と泣き喚き、約束する。だから、雷が鳴ったら「くわばら、くわばら」約束を忘れるな!という話。おしまい)

3月2日(木) 前原さんは「4点セット隠し」の功労者

 メール騒動は、どうやら手打ちになったようだ。2月28日夕刊の「キレ珠・前原クンはマブダチ」で次のように書いた。

 「小泉さんはおじいさん譲りの“喧嘩上手”なのだ。『これ以上、前原を追い詰めるな!』というのが小泉流。『この借りは、どこかで 返して貰うゼ!‥‥俺たちマブダチだ‥‥』なんて魂胆? エッ!マブダチをご存じない。『まぶ』は眩しいぐらいに美しいこと。 『マブネタ』は本物。『マズダチ』は親友のこと。憲法改正の自民・民主大連合になって将来を見据えた小泉流の手練手管。国会村は 『ガセネタ』の一言で『仁義の世界』になったようだ」。

 議場で、永田さんが武部さんに深々と頭を下げ、小泉さんと前原さんが談笑しているのを見ると、まさに「マブダチの光景」である。

 なぜ、こんな雰囲気になるのか。それは、前原さんが小泉別働隊であるからだ。夕方からサンデー毎日「青い空 白い雲」に、その裏事 情を書く。(6日発売だから読んでもらいたい)

 小泉さんはメール騒動で自信を取り戻した。2日のメールマガジンでは「格差社会?」と題して、格差なんて無い! と主張している。 矛盾が目立つ稚拙な文章。誰が、執筆者なの? そんな気になる。

 今日の怪ネット。kan_chikyuの日記 http://plaza.rakuten.co.jp/1979Chigusa

 民主党の実力政策秘書と諸々の人脈を書いているのだが???

<何だか分からない今日の名文句>

脛に傷あれば 萱原走らぬ

3月1日(水) 溺れる犬に石を投げても

民主党の前原さんが「お子様ランチ」なら、 自民党も「小学校のいじめっ子大将」。溺れた犬(民主党)に石(公開質問状)を投げてい る。

 武部さんは単純なのか。民主党に強硬手段に出なければ「痛くも無い腹を探られる」とでも思っているのか‥‥止む終えず「永田は陳謝 していない!」といきり立つ。もし「思いもよらぬ新事実」が、まったく違うところから飛んできたら、どうするんだろう。ひょっとする と、武部さんも、永田さんよろしく「お人好し」なのかも知れない。ちょっと心配である。

 2日発売の「週刊文春」「週刊新潮」は疑惑の仲介者Nを実名で報道する。文春は執拗に長時間インタビューをして、いかにNが典型的 な詐欺師であることを活写している。こんな詐欺師に騙される議員なんているのか、と唖然とする。投票した選挙民もやるせないだろう。

 良いタイミングだから、永田さん、改めて「騙されました。議員辞職します」と会見すれば良い。Nについては、警視庁が「別件」で 処理しようとしている、という話もある。永田さん、一刻も早く、潔く頭を下げないと、エラいことになるゾ。もし、情報提供のお礼を支 払っていたら、それも正直に言った方が良い。もし、一緒にメールの一部を黒塗りしたら、それも告白した方が良い。まあ、そんなことは ないとは思うが、展開次第では、刑事責任を追及されることだって有り得る。

 別に永田さんのためにアドバイスしている訳ではない。民主党のために言っている訳でもない。国会の正常化のために言っているのだ。

 小泉政権の「誤まった民営化」が齎した矛盾を追及する国会。それが、何も出来ないままで終わる。あまりに残念で、残念でならないか らだ。

 メディアを利用して、ことの本質をすり替えるのは権力の常套手段だ。耐震強度偽装騒動が大きな問題になると、役所は「東横インの ドジ」をあれでもか、これでもか、と暴く。ことの軽重をわきまえないメディアが「東横イン・イジメ」に加担して奔走する。これが、 権力の「すり替え術」である。4点セットが焦点の国会が「堀江メール」にスリ替えられた。政治家は騙されるのも“ドジ”だが、権力の 策謀に加担するのは“犯罪”である。

 永田さんは坊主になって、2〜3年、街頭に立ち、お詫びをすれば道は開けるかも知れない。(ちょっと楽観的すぎるかな) いずれに しても、議員を直ちに辞めることが、ただ、一つの償いだ。

 午後、JRA六本木事務所へ。国会が開かれると、一部の職員は緊張する。緊張する原因? 分からないではないけれど、特に言及する ことでもないだろう。

 夕方、友人が「調布に日本一美味い天ぷら屋がある」と誘うので、はるばる調布まで。いやあ、美味かった。白魚の天ぷら、逸品。 「日本一」というには語弊があるが、こんなに美味いの最近では無い。ともかく、酒田生まれの調理人に真心を感じるのだ。(調布市飛 田給1−49−21「天ふじ」 東京スタジアム近く。旧甲州街道沿い。ユニクロの前0424−88−8052)

 夜、かなり強い雨。日本海側はまた雪らしい。

<何だか分からない今日の名文句>

家に鼠 国に盗人」

2月28日(火) 永田さんは“共犯者”?

 “ニセ堀江メール”の永田さんの謝罪記者会見。ガッカリした。まだ「仲介者N」を信じている、というのだ。人を見る目がない。と言 うより、東大卒→大蔵官僚の「頭でっかち」のなせる技。完全に騙されている。

 花柳界育ちの僕の母は、いつも「女に騙されても結構。うんと騙されなさい。でも男に騙されたら、命が無くなるんだよ」と教えてくれ た。女に騙されたら、お金を払えば済む。平気で女に騙されなさい。女に騙されるのは名誉だ。でも、男に騙されたら、命を取られる。命 とは家、組織、仕事、仲間、国家の命、もちろん自らの命のことである。

 良いとこの坊ちゃんは、そんな教育なんて受けていないから、多分「女に気を付けろ!」と教わったのだろう。女に騙されることは小事 である。その辺のことが、自己中心的な官僚には分からない。

 でも、ここまで事態が分かりながら、まだ「全幅の信頼」と言うのには、何か、他人に言えない「秘密」があるのではないのか、とまで 思う。「情報仲介者Nと共犯状態」が生まれているのではないか、と勘ぐってしまう。

 「勘ぐり」の@共犯者と一緒にメールに黒塗りをしたのではないか。これはメール偽造の共犯ではないのかA(仲介者が金目当てだった ら)金銭の授受があったのではないのか。もし、党から出たカネなら、詐欺の共犯になるB(仲介者の狙いが「武部追い落とし」で、偽装 メールと知りつつ質問をしたら)名誉毀損の共犯(というより主犯)ではないのかC(仲介者の狙いが「民主党追い落とし」と知りつつ質 問をしたら)永田さんは「裏切り者」。4点セットを追及する勢力を押さえ込む「圧力(権力の世論操作)」の共犯ではないのかD(仲介 者の意図が「日本の政治的混乱」と知りつつやったとなれば)某国の策謀を後押しする「国家反逆罪」の共犯ではないのか‥‥と、まあ、 いろいろ想像できるのだが、ともかく「仲介者」が現れて、真相を話さなければ、この政治的混乱が続く。

 民主党は「仲介者」を出し、その上で、鳩山幹事長が責任を取り、辞任すれば良い。

 もし、小泉さんが、この混乱、政治不信を大義名分で解散したら、どんなことが起こるか、我々は「恐ろしい日本」を見ることになるか も知れない。

 午前中「おけら街道」を書き、午後から野暮用。来客2組。夜、日本橋高島屋で幅の広い靴を買う。

<何だか分からない今日の名文句>

小さな詐欺師+間抜けな政治家=大きな「策謀」