編集長ヘッドライン日記 バックナンバー
2005.5月

5月30日(月) 貴乃花、逝き、ナベ恒、帰る

 一日中、雨。ちょっと疲れたので、仕事場に籠った。

 夕方、貴ノ花死す、というニュース。55歳の若さ。ガンって恐ろしい。 人一倍、努力した小兵。名横綱の弟、そして、セガレ2人を横綱にした「名大関」。 壮絶な戦いを続けた人なんだろう。薄命も、致し方ない、という感じ。 プリンスと言われたが、本当は朴訥とした武士道の人、ではなかったか。 (本来、相撲は武士道。ちょん髷は明治政府が断髪令を出したとき、 明治天皇は「相撲は別」と言ったらしい)

 休まる時もなかっただろうに。涙雨。ゆっくり、お休みなさい。

 明日の新聞は、どんな扱いをするのか。高度成長を掛け抜けた貴ノ花だから、 僕なら一般紙でも一面のトップにしたいけど。それにしても、29日に亡くなっていたら、 スポーツ新聞は、新英雄・インパクト、かつてのスーパースター貴ノ花、 どっちをトップにするか、悩んだろう。

 読売の渡辺恒雄さんが巨人会長というポストに付くという怪情報。 西武の堤さんはじめ、武士道を知らない人はしぶとい。

<何だか分からない今日の名文句>

勝てば英雄 儲ければ俺も英雄

5月29日(日) インパクトとスピリットが激突?

 28日、フィリピン南部ミンダナオ島に元日本兵が生存する、という情報が駆け回る。 ちょっと考え憎い話だが‥‥出社すると、同僚から「ルバング島に、小野田さんの 取材に行ったのは牧さんでしたよね」と聞かれた。30年も前のこと。 「そんなことないよ。断じて行っていない。英語が話せないんだから」と否定する。 誰がこんなことを言うのかしら。新聞社には、妙な伝説が残るものだ。

 そこで‥‥今週の「キレ珠」は「歴史の曖昧さ」「歴史の限界」を書くことにした。

 29日はダービー。例のTBSラジオで「インパクトは不動。3着に四位のシックスセンス」 を予想。そのまま、府中へ。インパクト人気で、金曜日から徹夜組が出たらしい。

 中京5レース。愛馬・ロックスピリットは見事、逃げ切る。晩成型のホワイトマズル産駒だが、 3戦目で初勝利。もしかすると、同世代のインパクトと一緒に走るかも?

 そのインパクト、凄い。スポニチの終面で観戦記を書いたから、読んでくれ。

 帰りに“調布の親友”と寿司や。気持ちが良いので、お猪口一杯、日本酒を飲む。 強い馬が勝つのは、うれしいものだ。もちろん、予想的中。

<何だか分からない今日の名文句>

勝てば英雄 儲ければ俺も英雄

5月26日(木) 休んで何してるの?

 民主党は審議拒否して、何してるの?

 この情報が選挙民に届いていない。こんな状況で、解散の準備が出来るの。 このアマチュア政党では、ペテン師内閣に太刀打ちすることは出来ない。

 三流の内政、四流の外交。苛立ってしまう。

 朝から「青い空」を書く。国定忠治のことを書く。消されたアウトローを書く。 偶然、BSを見たら、片岡知恵蔵の「国定忠治」を放映している。終わりまで見たが、 迫力がある。そう言えば、国定忠治は浪曲とともに消えた。野党に、 アウトローの強さがなければ。

 夕方から買い物。岡部さんから、彼の引退パーティの引き出物が贈られてきた。 同封の手紙に「福島競馬場であった時、是非、来てくれ!と言ったのに、手違いで、 案内状を送っていないことが分った。申し訳ない」とある。 なんという律儀な人なんだろう。引き出物が、また粋なもので‥‥感激。 お礼に、と色々考えたが、ネクタイを贈ることにした。

 三越の女店員に「50歳ぐらいで、シックな装いの人。身長は‥‥」 と注文をつけ、選んでもらった。たしかに良い柄だ。似合うと良いのだが。 送り先を書いていたら、女店員「ヒェーッ!岡部さん、ご存知なんですか?すごい!」

 「ちょっとネ」と、当方、ちょっと自慢顔になってしまった。彼は、これからも JRAの広告塔。新しい仕事が、どんなものになるのだろうか。JRAの協力は当然である。

 御徒町・アメ横に転戦。博打で儲けると、品物に変える癖がある。そこで、 買いたかったゲルマニウムのネックレスを買う。「ゲルマジック池山モデル」。 元ヤクルトの池山を広告塔にしている商品だ。

 従来のチップ型と違って、肌に当たる面積が点から面になるので、 マイナスイオンをより引き出す、と謳い文句。

 効果がハッキリしないものは、濡れ手で粟で稼いだ金しか使えない。定価4万5000円。 2000円、負けてもらった。

 さて、ダービー。インパクトは怪物になるのか。わくわくする。 同じ日、中京5レース。愛馬・ロックスピリット、出走する。行けないけど、頑張ってくれ。

<何だか分からない今日の名文句>

気分のマイナスイオン

5月25日(水) 中国よりインド?

 朝、国際福祉医療大学三田病院(元専売病院)で大山ドクターの検診。順調。麻布十番の蕎麦屋でセイロ。 午後は近くのJRA六本木事務所で過ごす。しばらく、行っていなかったので、あちこちで世間話。

 オークスの売上げが良かったので活気がある。ちょっと前までは「激戦」が売上げをあげると思われていたが、 3連単が導入されてから、流れが変わった。

 当てるのが至難の3連単では、どうしても、堅い軸が必要なのだろう。軸があれば3連単に参加で来る。 NHKマイルも、オークスも軸があるので買えた。そこで、売上げが上がる。

 その分析が正しければ、ダービーは売れるハズ。歴史上、一番、人気が被ったのは、 ハイセーコーで単勝支持率66・6%。皐月賞でインパクトは63%だったから、ひょっとすると、 ハイセーコーの記録を破るかも知らない。ワクワクする。

 夜、日中関係で若干のお勉強。どうも、にっちもさっちもいかないような感じである。日本のWEBでも、 ところにより、罵詈雑言は日常的ではあるが、中国のネットで発信される「日本を批判する言葉」の 品位のなさには愕然とする。ここまで、日本の外務省は手を打たなかったのか‥‥。常に日本という国を 理解されるように工夫しなければならないのに。

 歴史認識は国によって違う。そんなことは当たり前のことで、時間を掛けて、日本をPRするのが外務省だ。 例えば、中国人を日本の大学が何人受け入れているのか。彼らの生活は?

 そのために日本人の血税がどのくらい使われているのか。良く、PRしておかねばならない。

 このままでは、まるで開戦前夜の雰囲気である。小泉さんは中国のネットの実態を知っているのか。 軽々しく「内政不干渉」という言葉を使っているか、そんな悠長なことで良いのか。

 中国は最大の市場と考えて、日中は経済だけは熱気はあるが、その「経熱」で、日本企業は儲かっているのか。 「10億のインドにスタンスを変えたら」という意見にも説得力があるこのごろだ。

<何だか分からない今日の名文句>

外交は「喧嘩しない知恵」

5月24日(火) ご心配かけました

 朝、この日記の、もっとも熱心な読者の一人から「ホームページが消えている」という通報。開けてみると確かに「アクセス出来ない」 とある。

 副編とJr.に調査を依頼。新聞などで、ホームページ荒しというのがあるらしく、もし、ハッカーの仕業だと、迷惑をかけることにな るかも知れない、と心配した。

 結果は「俳句塾」の更新の不手際と判明。ホッとする。ご心配を掛けた。副編はじめ、協力ありがとう。

 引退したレースウイング(牝)の清算書が届いた。賞金はその都度ごとに清算されるが、残りの諸々の清算。例えば買戻売却代金。社台 が今後、種馬として使う権利のようなもので、当初の馬代金の10%。レースウイングは2400万円で一口当たり60万円。その10% の6万円が戻ってくる。それに見舞金。彼女の場合、3回で計9万円強。それに特別出走手当てが16戦で14万円強。合計して28万円 強が払い込まれる。

 レースウイングの場合は馬代金60万円。それに飼い葉料(維持会費)12000円×51ヶ月=612000円。これが投資額という ことになる。賞金だけで、ほぼ投資額をクリアしているし、今回の清算で完全に浮いた。

 レースウイングは馬主孝行と言えるかも知れない。(もっとも、出走するたびに、応援に行った旅行代は馬鹿にならなかったけれど)

 中国が「副首相、突如の帰国は公務ではない。日本の指導者が滞在中に発言した靖国問題に抗議した」と発表した。言い分には異論はあ るが、中国はいつも堂々と発言する。例によって日本は、訳の分らないコメントばかり。小泉さんは、はぐらかしコメントで、野党を煙に まいているが、外交はそうはいかない。

 ハッキリ、発信しないと、何時までも誤解され、場合によっては馬鹿にされる。大事なのは小泉さんのパフォーマンスではなく、国益だ。

 夕方、散歩をしている最中に雨。急いで、近くのスーパーマーケットに飛び込む。しかし、中々やまない。むしろ、激しくなっている。 24時間スーパースーだからと言って、居座ることも出来まい。困った。

 そこへ、浅草橋駅前の花屋の夫婦が「車で送りましょう」と言ってくれた。助かった。仕事場に着くと落雷。本当に助かった。

<何だか分からない今日の名文句>

遠い親戚より近くの他人

5月23日(月) 中国のサッチャー、突然の帰国

 旅打ちの留守の間に、脳卒中仲間の「六本木の帝王」が訪ねて来てくれた。車椅子だったそうだが、ヘルパーさんに助けられて来たらし い。何しろ、積極的だから。会いたかった。

 永田町辺りを歩いてから出社。また「夏解散」なんて話が出ているらしい。夕刊紙が書いているという。解散カードをチラつかせると、 自民党の反小泉は威勢が悪くなる。このところ、民主党の支持率が下がっているから、解散の可能性だって、ないわけではない。 そうな ると、議員先生、選挙区回りで忙しく、郵政なんて手が回らない。日本の政治家は、四六時中、選挙、選挙だ。

 「中国のサッチャー」と言われる中国副首相が小泉さんとの会見をキャンセルして突然の帰国。小泉さん「どうしたんでしょう」と、 記者団をはぐらかす答え。小泉命の武部さんが中国側になんと言ったのか。そのあたりに謎を解く鍵があるのか。

 それにしても、小泉さんは中国問題をパフォーマンスに使い過ぎ?

 出社すると、我が社の人事が固まったという話。情報に疎い、と笑われる。四六時中、人事、人事の人もいる。

 今週の「キレ珠」は中高年もの。小言幸兵衛みたいなものが、多いので、たまには“お笑いもの”にした。ホンのちょっとだが、例の 「ピアノマン」を頭の片隅に置いて書いた。

 夜「おけら街道」を書き、ダービーの顔ぶれを見て、インパクトを負かす奴はいないか、と吟味する。インパクトが2着になっただけで、 大穴と思うのだが‥‥。

 でも、ダービー検討で一週間、楽しめるから安いものだ。

<何だか分からない今日の名文句>

天馬に死角なし(だろうか)

5月22日(日)廃村・ 角海浜は‥‥

 愛馬・ロックスピリッツが新潟競馬の最終日に出走するというので、これを機に「越後旅打ち」を敢行しよと決意していた。が、調教中 だか、はっきりしないが、スピリッツは放馬して、脚を痛めた。出走できない。越後行きの目的がなくなった訳だが‥‥でも、野暮用をす べて断って準備していたので、中々、こんな機会はないと思い、20日昼前、上越新幹線に乗った。

 燕三条から弥彦線に乗り換える予定だったが、一日に何本もなくて、仕方なくタクシー。道々、運転手さんから、三条、燕の洋食器が中 国にやられて散々だと聞かされた。安い労働力には適わない。

 今回の「旅打ち」は弥彦競輪からスタート。(ちょっとした大穴を取った模様は「おけら街道」で書くつもり)

 帰りに、約30年ぶりに吉田駅から越後線に乗る。車窓の景色がまったく違う。新潟大が移転して、新しい駅「新大前」が出来ている。 内野あたりが、一大ベットタウンになっている。

 巻を通過する辺りで、原子力発電所計画のことを思い出した。駆け出し記者の頃、東北電力が巻に原子力発電所建設を計画して、大騒ぎ になった。県政の最大争点になって、地元は揺れに揺れた。何度か、取材に来た記憶がある。廃村したところもあったっけ。あの村はどう なったのか。計画は平成になって断念した。

 寺尾駅の前で、自動車が踏み切りで立ち往生していた。車の運転手が非常ベルを押したので、列車は停車したが‥‥危ない、危ない。

 新潟市で一泊した。少し景気が良くなったのか、学会、サッカーがあってホテルは満杯。翌朝、地元の新潟日報を見ると、何と「原発で 廃村した村」の話が載っているではないか。夢中になって読んだ。

 関本道章編集委員の「歩く」。「廃村31年、角海浜は今‥‥」と題して、草木の埋まった廃村の跡をレポートしている。そうそう、あ の村は「角海浜」だった。「毒消し」を生活の糧にした村だった。能登半島から移住した「角海浜」の人たちは、計画が提示されて、全国 にチリチリになっていった。国家的プロジェクトで、運命が変わった人もいるのだろう。詠みでがある。良い記事だ。こんな原稿が書けた らなあ、とシミジミ思う。

 土曜日は新潟競馬。日曜日も‥‥3日続け旅打ち。ストレス解消になった。

<何だか分からない今日の名文句>

個人の意思か、全体の意思か

5月19日(木) 文太の「六分の侠気 四分の熱」

 朝、朝刊の広告。週刊文春に「読売『ヒゲ記者』より悪質とヒンシュクを買った記者の社名」 という見出し。どこの会社?

 豪く興味が沸いた。「あんたら、もうエエわ、社長を呼んで!」という台詞で、 全国区になったヒゲ記者以外にも、失礼にして傲慢な記者がいた。どこの奴だ。もしかして、 毎日かな。嫌々、そんな元気の良すぎる記者が我が社にいるとは思えない。

 まあ、不謹慎な内容は同じようなものだろうから、見出しにある「記者の社名」 だけがニュースなのだろう。

 320円払って読むこともないとは思うのだが、世間話についていけないと、まずい、 と思うので買うか。週刊文春は相変わらず、見出しが上手だ。

 と、次のページを見ると週刊新潮の広告。何気なく見ると「読売『ヒゲの記者』 だけではなかった『NHK傲慢記者』」という見出し。なあ〜んだ。NHKだったのか。320円、助かった。

 でも、新潮の下手な見出しが文春の“営業妨害”しているみたい。

 「青い空」を書き上げ、ちょっと眠ってから、ニッポン放送で「菅原文太 日本人の底力」の収録。 文太さんが3年続けている対談番組。彼の人脈から、そうそうたる人物を相手に選んで、文太節を展開する。 適当なご相手がいなかったのか、あるいは懐かしさのあまりか、僕を対談の相手に選んでくれた。

 文太さんとは14年ぶりだった。「幾つになった?」と聞かれ「60です」と応えると 「そうか、お互い、年を取ったなあ」。文太さんは71歳。それにしては若い。

 岐阜の村に引きこもっているように報じられているが、結構、東京に出てくることもある。 明日(20日)も、自ら音頭を取った「消防団の応援団」の発会式を東京で開く。元気だ。

 対談のテーマは東京下町。得意な分野で、楽しく話せた。帰りに、この対談を集めた 「六分の侠気 四分の熱」(日の出出版)をくれた。良いタイトルじゃないか。

<何だか分からない今日の名文句>

任侠の見出しは?

5月18日(水) ナベちゃんの功績

 競馬ロマン大学を書いてから、久ぶりに散歩。気がついたら浅草・雷門まで来ていた。雷おこしの新しい製品が幾つも登場しているのに 気づき、試食品を食べたらイケル。地方に住む知人に送ってもらった。

 今週末は三社祭。浅草の気分を感じてもらおう。

 夕方、学士会館で、ナベちゃんの送別会。100人ぐらい集まる。15年前の思い出話を話させてもらった。ちょっと長めの挨拶で、恐 縮だったが「ナベちゃんの良さ」を理解してもらいたいので、つい長めになってしまった。

 話終えて「アレを話さなかった」と気づいたこと。ナベちゃんのサンデー毎日に対する最大の功績は、中野翠さんをコラムに起用したこ とだ。翠さんのコラム「満月雑記長」は最強のコラムで、彼女が止めたら、購読を止める人が一万人はいるだろう。代々の編集長は、ナベ ちゃんに感謝しなければならない。

 送別会は社内の人間だけでなく、外部の人も多かった。若手の? 政治ジャーナリスト、藤本順一さん、阪東恭一さんら初対面の人と話 が出来た。どちらかと言うと、フリーの人の方が積極的である。

 終わって、外に出ると、まるで嵐。一人で歩けないので、受付をしてくれた小沢嬢の助けを借りて、タクシーにたどり着く。倒れそうで ある。

 仕事場に戻ると平静。どうやら、あのあたりに超高層のマンションが建ったことに原因があるらしい。ビル風の被害は社会問題になるよ うな気配?

 何でも、超高層を建てれば良い、というものではないだろうに‥‥。

<何だか分からない今日の名文句>

嵐を呼ぶ不動産や

5月17日(水) 「青い空‥‥」の読者、発見!

 午前「おけら街道」を書き、午後、毎日新聞PR紙に「専門記者の目」を書く。「専門編集委員」という肩書きを貰っているが「専門が ないのが専門」なので、気恥ずかしい。PR紙なので、くだけたものが良いだろう。で、書き始めたが午後4時までかかった。

 6時から、西五反田の「ゆうぽうと」で「桐山勝さんの出版記念パーティー」。時間が早かったので、大崎広小路駅界隈を歩く。73年 頃、3ヶ月間、大崎警察署のサツ周りを担当してことがある。懐かしい。田園都市線のガード下にまだ飲み屋が残っていた。大崎橋のたも との豚カツ屋、健在。おいしかった。でも、全体として、街は変わっている。 駅と離れたところに超高層のマンションも建設中。でも、 どんな人が住むのか。この地に超高層が必要なのか。また、訳の分らないマンション・バブル? がやって来た。

 パーティーは盛会だった。でも、僕は手持ちぶさた。桐山君は早稲田の同じゼミの同級生。だから、大学時代の仲間が来ると、思ったが 一人も来ていない。案内を出さなかったのか。話す相手が見つからない。

 彼は日経の経済記者だったから、そういう分野の人が多いのだろう。やっとのことで、知り合いを一人見つけた。助かった。地獄に仏。 やっと話し相手を見つけた知り合いは、その業界で、多分、一番忙しい人。ちょっと声を掛けるのが、迷惑になるのでは‥‥と思っていた。 話す機会がなかったので、良い機会になった。

 話していると、彼の後ろから、当方の名札を見た女性から「失礼ですが、サンデー毎日の『青い空』の牧太郎さんですか?」と声を掛け られた。「青い空」と言われたのは初めてである。毎回、読んでいる、という。うれしかった。コラムのタイトルを覚えてもらうには、 1年は掛かる。と、考えると、あのネーミングは良かったのだろう。

 途中で退席。たまちゃんと一杯飲もうと、携帯をならすが、応答なし。たまちゃん、また飯田橋あたりで、出来上がっているんだろう。 携帯を切っているなんて‥‥十年、早いぞ! と、ちょっと焼き餅を妬く。

 仕方なく仕事場へ。次週の「青い雲」に何を書くか、そろそろ、考える頃合い。スポニチからダービー観戦記の注文が来ている。うれし い。何を書くか。時代をどう斬るか。そろそろ勉強しなければ。

 たまちゃんと飲む、なんて、遊び癖。恐れ多い。明日(18日夜)はナベちゃんの送別会もあるし。結構、今週は忙しい。

 深夜、また執筆。

<何だか分からない今日の名文句>

孤独の恩恵

5月16日(火) 何故、一面のトップじゃないの

 週刊朝日に元毎日新聞政治部記者・西山太吉さんのインタビューが載っている。外務省機密漏洩事件で逮捕された西山さん。国を相手に 損害賠償と謝罪を求め、訴訟を起こした。国は嘘を言い続け、西山さんを社会から抹殺した。30年前のあの騒動を見ている、僕には考え 深い。

 サンデー毎日の越川編集長が、この件をどう扱うか熟慮しているうちに、週刊朝日が先に書いた。無責任とは言わないが、軽い読みモノ になっている。事件の闇を知らない記者だから書けるのかも知れない。

 権力は恐ろしいものだ。それを知りつつ書くのには覚悟がいる。

 長者番付で全国一位が投資会社の部長さんだった。100億円稼ぎ、納税額36億円強。途轍もない数字だ。サラリーマンが一位になる のは初めて。当然、一般紙でも、一面のトップだと思ったが、そうでもないらしい。

 その日、読者が一番、関心を持つと思われるニュースをトップにしなければならないのは自明の理‥‥時代の変遷を最初にデッサンする のが、新聞なのに‥‥理解できない。こんなことをしているから、新聞は読者を失うのだ。

 来年から、長者番付はなくなるかも知れない。個人情報云々という理由もあるが、この時代、誰が途方もない稼ぎをしているか、国民に は知る権利がある、と思う。

 しかし、なくなるとすれば、尚のこと「サラリーマンが第一位」をトップにしたい、そんな気がするのだが。

 もっとも、サラリーマンというより、冷静かつ決断力ある相場師。出来高払いの相場師が、税制上、サラリーマンに分類さえれているよ うな感じだ。

 夜、サンデー毎日のNデスクが遊びに来てくれた。彼は、僕が中曽根政権の首相官邸キャップをしていた時、千葉支局から政治部にやっ て来た番記者だった。いつも、暇を見つけると、パンを食べていたのが印象的だった。が、相変わらず127キロの巨漢。記者としては成 長著しく、もうデスク。僕の「青い空 白い雲」の担当になってくれた。気心知るれて、嬉しい。

 ちょっと先輩ぶって、偉そうなことを言ったが、ニコニコ聞いてくれた。こんな優しい男、奥さんになってくれる人、いなかナ。

<何だか分からない今日の名文句>

スポーツ紙に負ける訳

5月15日(日) 拉致事件の闇は深い

 何か、天候不順な週末。ここ2、3日、涼しい。

 このところ、ご無沙汰だった、拉致事件の消息筋と情報交換。彼が言うには、拉致事件解決の道筋は行き詰まっている。その厳しい状況 を彼はこう解説する。

 @どうしても、死亡とされた8人の生存情報が出てこない。水面下、韓国に北の幹部が何人か亡命しているらしいが、これらの人物の口 からも、どうしても具体的な生存情報が明らかにされない。何故だろうか。

 Aそんな中で、家族会は経済制裁を行えば8人は帰る、と考えているが、政府も、マスコミも、経済制裁に、必ずしも積極ではない。外 務省は経済制裁を無力化させよと、要所要所に手を打っている。何故か。昨年末の日朝実務者交渉で、何かが、あったのではないのか。

 B北にとっては、経済制裁も痛い。しかし、むしろ「国交正常化交渉」が出来ない方がもっと痛手だ。金体制は国交正常化を通じて、日 本から大金を引き出すことが目的。その大金は何年もの北の年間予算にもなる巨額な“援助”である。北に近い韓国の政府筋も、中国も 「拉致を解決して、日本からの大金で経済特区を作れ」とアドバイスしている。北は8人を帰す工夫をしないのか。何故だ。

 消息筋は「この疑問だらけの方程式」を解かなければならない時点に入ったのではないか、と話す。確かに、拉致事件は行き詰っている。

 夕方、にわか雨。でも、その後の爽やかさが、おいしい。

 夜、さいたま市の増員市議選の結果を待つ。インターネットで「花屋のオヤジ、惜敗」と知る。投票率が低くなると、組織政党が勝つも のだ。残念! 落ち着いたら、残念会を開くか。

<何だか分からない今日の名文句>

風化させるな!

5月12日(木) 嗚呼、ガッカリ

 早朝「青い空 白い雲」を書き上げてから、午前中は資料の整理。午後、TBSラジオ→JRA六本木事務所。TBSで「富士山パナジ ウムウォーター」を販売している方を紹介される。高血糖値を劇的に下げるバナジウムはブームらしい。ついでにバナジウムを巡る「税の 問題」を取材。

 JRAでは、小郡WINSの開所式に、お偉方が出席していた。このWINS創設に関わったTさん(今は別のポストに移っている)に 「おめでとう」を言いに行く。

 WINSを作れば、お客さんが来るという時代ではない。今回は、珍しい郊外型。1000人ぐらいの常連がつけばいいのだが。

 帰りに、携帯で、社台のテレフォンサービスで愛馬・フェザーレイの近況を聞く。昨日、社台から「美浦に帰厩した」というという知ら せを貰った。次走は何時になるのか。ワクワクしながら、携帯を聞くと、帰厩中の馬運車の中で暴れだし、脚にキズを作ったという。「仕 方がないので、もう一度、放牧に出す」という。ガッカリだ。半年も放牧していたのに‥‥。短距離ではオープン入りして良い器なのに。 いつも、馬運車に乗ると、暴れる。強烈なストレスなんだろう。可愛そうに。

 あんなに良い脚を持っているのに‥‥悲しい。

<何だか分からない今日の名文句>

馬は精神力で走る?

5月11日(水) 友達っていいな

 朝、郵便受けの封書が入っていた。達筆な字で「昭和30年の両国の花火のカラー写真が見つかりました」という一文。二枚、写真が入 っている。貴重なものだ。

 昭和30年、まだカラー写真は少なかったように思う。「感度僅か10(フジリバーサル)」と書いてある。

 写真は隅田川を柳橋の料亭街の桟橋の方から、花火が始まる直前を撮したもの。実家の深川亭(今の僕の仕事場)も写っている。懐かし い。多分、小学校3年だった僕は、その日、お燗番をしていたと思う。外人さんが多数、深川亭にやって来た記憶がある。

 達筆の主は柳橋の染物や・吉田幸雄さん。大先輩。でも、友人のように付き合ってくれる。前夜、わざわざ、やってきてくれたのか。知 らずに寝てしまって失礼した。町内に、「語り部」はいるもんだ。吉田さんの努力で、花柳界・柳橋の歴史が残る。

 俊ちゃんから「長いも」が大量に届いた。トロロが好きだ、と記憶していたのだろう。ありがたい。友達って良いな。

 PETによる健康診断で、ちょっと気になることがあったので、大山ドクターに相談に行く。大山ドクターは主治医と言うより、年に1、 2度、奥さん、お子さんも含めて食事をする“飲み友達”。この「××というのはガンですか?」と質問したので、笑われた。「心配する こともないでしょう」と言ってくれたので一安心。

 それにしても、検査の度に、微妙な? 指摘を受けるから、検査が嫌いになりそう。

 ニッポン放送の人から携帯。菅原文太さんが番組を持っている番組にゲスト出演しないか、という話。文太さん、そんな番組、持ってい たのか。「どうやって携帯の番号を知ったのか」と聞くと、文太さんの奥さんに聞いた、という。奥さんが「牧さんに出てもらったら」と 勧めたらしい。懐かしいな。文太さんに最後に会ったのは十数年前のこと。その後、岐阜の山里に移りついた、と聞き、訪ねてみたが、お 留守だった。こんなことで、再会できるなんて。「喜んで出演します」と回答。いつになるか、まだハッキリしないが、楽しみだ。

 六本木ヒルズで若干の取材。午後4時半、野暮用で若者、来訪。打ち合わせが終わったので「飯でも食うか」というと、今日は学校があ るから。36歳の若者、良く勉強する。夜は、締め切りが迫っている「青い空 白い雲」を必死で書く。

<何だか分からない今日の名文句>

近くて遠いは田舎の道、遠くて近くは男女の仲、そして友は遠方から

5月10日(火) 自衛隊だって民営化?

 イラクのアンサル・アルスンナ軍という組織が、ロンドンに本拠を持つ民間警備会社ハート社の警備責任者・斎藤昭彦さんを拘束した。

 民間警備会社というとガードマンという印象を持つが「民間の軍隊」である。広い意味で参戦する民間人である。爆発、通信のプロで、 危険の代償として高い報酬を受けている。

 湾岸戦争以降、軍隊の効率化で、各国は彼ら「民間の軍隊」を雇う。イラクでは、この種の民間人が2万人はいるだろう。外務省が知ら なかった、なんて嘘。何故なら、要人がイラクを訪れれば、彼ら「民間の軍隊」に警備を頼む。

 いずれにしても、これまで、イラクで拘束された日本人とは、幾分、性格が違う。

 親しい人間と、以前、自衛隊の民営化について、議論したことがある。半分、冗談だが、小泉さんが民営化路線を突っ走ると、自衛隊だ って民営化されるのではないか、と笑ったが、これからは、日本でも「民間の軍隊」について議論することも、あるかも知れない。

 ニュースを見終わって「おけら街道」を書いてから、たいとう診療所へ。約2.3キロ歩いて行くので、色々なことにぶつかる。小島2 丁目あたり20数件の家に、真っ赤な丸提灯がぶら下がっている。何だろう。小丸山稲荷神社という小さな小さな神社のお祭り。東京の浅 草近辺には、幾つも稲荷があるが、提灯をぶら下げて、例大祭をするのは珍しい。地域を愛する人が多いのだろう。下町は良い。そうそう、 そろそろ夏祭りの季節。今週の週末は神田祭り。

 リハビリの前に問診。藤原ドクターから「リハビリは6月から月に一回」と通告される。現在の体調を維持すれば良い、という判断か。 リハビリの手伝いをしてくれる女性に「週1回と通告された」と報告すると「淋しいよね」と言ってくれた。

 彼女、良くわかってくれるている。患者は、医療機関から「もう良い」と言われると、瞬時、不安になる。ヘンな反応である。そんな不 安を感じさせないのは、なかなか難しい。

 理学療法士の吉良さんは、その辺りの呼吸が分っていて「セガレが泣き相撲に出ました」と巧みな世間話をしてくれた。

 赤ちゃんの威勢の良い泣き声を競う「泣き相撲」。ことしは4月28日。浅草寺本堂裏広場に復元された歌舞伎役者の9代目市川團十郎 の「暫」の銅像の前で、平成3年から毎年行われている。今回で11回目。

 丈夫で健康な子どもに育って欲しいという親の願いをこめた行事で、昨年生まれた38人の赤ちゃんが参加した。その中に、吉良共生ク ンもいた、という訳。

 呼び出しに名前を呼ばれた親は、舞台両脇より進み出て、まわし姿の日大相撲部員の「組ませ役」に赤ちゃんを手渡す。双方の「組ませ 役」は、赤ちゃんを見合わせ、行司の「はっけよい、のこった」の合図で泣きくらべ開始。先に泣くか、後からでも10秒以内に泣けば、 声の大きいほうが勝ち‥‥というルール。吉良さん、「見事、セガレは勝ちました」

 吉良さんの観察では、最近の赤ちゃんはなかなか泣かない。「組ませ役」は、何とか早く泣かそうと、にらんだり、高く持ち上げたりす るが、泣かない。そこで鬼の面をつけると泣くのだそうだが、泣くどころか笑ったり、眠ったりして、大爆笑だったようだ。

 夕刊はイラク一色。その中で、一部に「金正男吉原で豪遊」の小さな記事。「金正男とみられる男の不法入国事件関連の捜査について」 という警視庁公安部の内部資料を入手しての報道? 彼が誰に会ったのか、極めて興味あるが、僕が「金正男が会ったハズ」と見ている X氏については記述なかったようだ。相変わらずの謎。

<何だか分からない今日の名文句>

赤ちゃんは未来に戦争はいらない

5月9日(月) 連休ボケ

 早く出社。社内を歩き回る。大型連休のうちに、社内に「居場所」がなくなったような恐怖感? そんなヘンな感じで、珍しく、人より 早く出社した。いつか組織から見捨てられる運命? そんな深層心理? それにしても「社にいるより、新聞記者は人に会え!」と自らに 言い聞かせ、出歩いてばかりいるのに、突然「会社」が心配になるなんて‥‥どうして、こう身勝手なのだろう。

 昼になって「キレ珠の原稿が届いていない」とデスクから問い合わせ。すでに送稿しているはずだが‥‥社会部デスクのパソコンを覗い てみると、確かに、送稿の形跡がない。俺、どうかしているのかしら。慌てて、送稿する。昔なら、勧進帳で電話送稿したものだが‥‥パ ソコン送稿はどうも苦手だ。

 で、慌てて送稿した「キレ珠」。デスクから、間違いを指摘される。勘違い。それも、一つではない。どこか、ボケてる。

 夜、選択定年で退社を決意した「なべちゃん」が仕事場にやって来た。何故、辞めるのか。聞いてみると「本がない図書館」という新し い仕事をやってみたいと言うのだ。何だ、その「本のない図書館」って? 聞いてみると、確かに世のためになる企てだが、商売になるの か。「なべちゃん」、優しからなぁ。

 「なべちゃん」の親友が加わって、近くの居酒屋へ。久しぶりに、サラリーマンらしく、社内情勢でオダを揚げる。「わが社は間抜けだ」 「わが社は遅れている」とオダを揚げ、その癖、いつものように「‥‥と言っても、毎日新聞は良い。朝日や読売でなくって良かった」と いう結論になる。何故なら、これほど、言論の自由が保証される会社はないから。「毎日だから、儲けを考えずに意味のある仕事が出来る」 。「点字毎日」などは、その最たるもの。でも、給料は安い。でも、我々、自由じゃないか。で、「やっぱり、毎日で良かった」という結 論になる。その位なら、「なべちゃん」も、もっと社に居座ればいいのに、と思ったが、この種の発言は我慢しよう。18日、学士会館で、 彼の激励会が開かれる。

 仕事場に帰ると、下川正晴氏から「ソウルで生活を始めました」という挨拶状が舞い込んでいた。5年間、毎日新聞ソウル支局長を務め た人物である。韓国外国語大学で教鞭を取ることになったらしい。彼、韓国との「冷たい関係」に驚いている。「近くの国ほどゆがんで見 える」とまで書いてある。今、始まった訳ではないが、何か、日本は、東アジアで孤立する感じがするのだが‥‥。

 下川氏、世界週報、現代コリアなどで健筆を振るっているが、古巣の毎日でも、彼の原稿を読みたい気がした。

<何だか分からない今日の名文句>

自由な毎日、不自由な朝日?

5月8日(日) そろそろ、起き出すか

 多分、サラリーマン記者生活、最長の休暇。日記も最長のお休み。

 某日、長野・高田・直江津・糸魚川に出没。「親知らず」の絶壁を見る。某日、伊那から軽井沢に縦走。霧で立ち往生。

 某日、浅草の寄席が満員なので、近くでスマートボールを楽しむ。200円で15分。昔を思い出す。某日、船橋競馬場へ。内田博の絶 妙な騎乗で儲ける。某日、親しい同僚から「戦闘意欲がなくなったので」と退社の知らせ。何があったのだろう。某日、健康診断の結果が 来る。ガンはなかったが、気になる指摘。ちょっとヤバイ。

 某日「花屋のオヤジ」が大宮市議会増員選挙に立つ。陣中見舞い。某日‥‥その間にも、少々、原稿を書きつつ、殆ど、東京を留守にし た。

 世の中の動きに特別の感慨もないが、JR西日本に対する報道には、いささか的外れなものもあるように思う。JR西日本も、不誠実、 いい加減さ、混乱‥‥その極にあるが、マスコミは、これでもか、これでもかと、JR西日本の体たらくを叩く。それも良いだろうが、事 件の本筋を忘れてはいないか。利益ばかりを追求する「今の日本の哲学」が糾弾されるべきではないのか。

 明日(9日)から、そろそろ始動するか。

<何だか分からない今日の名文句>

熊の冬眠 クジラの遊泳 齷齪しないで、また書くか