編集長ヘッドライン日記 バックナンバー
2003.9月
9月29日(月) 集団
原稿がたまった。「おけら街道」を書いてから、競馬関係の広告特集の記事を一気に
書く。「ここだけの話」は「おれおれ詐欺」をテーマにした。どこの世界でも、低レベ
ルの「詐欺もどき」がウロウロしている。
仕事場に来客が一件。地震の話になった。世間では十勝沖地震が前触れで、10月末
から11月にかけて、大地震がある、という噂があるらしい。
話が幾分、長くなり、取材に使う時間なし。JRAの記者会見も欠席。
こんな話がある。大阪の某リフォーム会社が中国に慰安旅行。その一行が「集団買春
」した、と地元の新聞で報じられた。会社側が「集団買春したことはない。個人的にあ
ったかも知れないが」と釈明したらしい。買春は集団ですれば悪、個人ならセーフとい
うものでもないだろう。(ゾロゾロ、春を買うために、大の男が列をなすのは、あまり
に不細工だが……)どうでも良い話だ。
集団が可能なら、売春が町を支えているのでは、と思ったりする。中国側が恥じる部
分もある。
それにしても、210人の中国社員旅行。リフォーム業界は儲かっている。中には詐
欺的お誘いで、営業成績をあげている会社もあるらしい。
巨人の騒動。日テレの中継放送に波及して、24年ぶりに「7:30分放送開始」に
なるらしい。見たこともないので、何時に放送開始でも関係ないが、これも時代の趨勢
だろう。
平均14.3%の視聴率が問題なのだそうだが、長嶋さんの晩年も15%だった。今
回の騒動とは関係のない時代の流れ。テレビを見ないでパソコンを見る人もいる。巨
人だけで商売になるなんて、もうおしまいだ。
国会。中継を良く見る暇もなかったが、選挙前だから、各党の違いが幾分、分かった。
公明党が「安倍人気の自民党」とあまりに似ているので、妙な気がする。宗教民主主義
は、つまるところ全体主義だと思うのだが……。それにしても、おもしろい国会になり
そうだ。
<何だか分からない今日の名文句>
SARSを忘れるな
9月28日(月) 耄碌(もうろく)
26日の金曜日。競馬記者会に顔を出すと、原監督の辞任会見で話題沸騰。「悪者は
ナベ恒」と言うことになっている。
読売新聞の渡辺恒雄さんが独裁者であることは誰もが知っている。いまさら何を、と
いう感じ。読売の記者は編集局長でも、すぐ飛ばされる。某局長経験者が「いつもビク
ビクしている」と嘆いていた。
「お前の記事で新聞が売れてるんじゃないぞ。巨人で売れているんだ」とナベ恒さん
に言われた記者は数知れず。(まあ、それもそうだが)
今回はナベ恒さんが可愛がっている記者さんを球団社長に抜擢したのが間違い? そ
の記者上がりの球団社長の肩に力が入りすぎた、ということか。何しろまじめな人だか
ら現場のことを理解できず、首相官邸の記者に「3日以内に特ダネを書け!」と言うよ
うな人だ。
原には「言いたいこと」が数々ある。そこで「特別顧問」就任と言うことで、彼の口
を封じた。いかにも政治記者らしいやり方だ。(渡辺さんは政治記者としては超一流。
尊敬している。別に批判しているわけではないから、誤解してもらっては困る。彼の「
独裁」は「耄碌」だから医学的分野。仕方ない)
もし、読売に問題が有るとすれば「耄碌した社長」に何も言えない読売記者の体たら
くである。
読売人よ!「原監督一人の反乱」にしてしまうのか。
テレビで記者が小泉首相に「原さんが監督を辞めましたが?」と聞き「野球界にも権
力闘争があるんだね」と答えている。そんなこと、聞く必要これっぽちも、ありゃし
ない。
もっと聞くことがあるだろう。国会のバライティ番組化。テレビの記者さん、耄碌し
たのか。キミがくだらないことを聞いて、小泉さんが政治以外のことで、気の利いたコ
メントする。結果的に小泉さんの言いなりの「世論操作」になる。権力者は露出するこ
とで、点数を稼ぐ。これが政治的な依怙贔屓になることを十分、理解するのがジャーナ
リズムだ。
テレビの記者さん、耄碌も休み休みにしてくれ。笑みを隠した小泉さんのコメンテー
ター顔。困ったもんだ。週末は天気晴朗。散歩していて汗が出る。
ちょっと、首を傾げたい情報ひとつ。野中さんが考えていた「総裁選の奇策」とは、
マスゾエさんを立候補させることだったとか。あのマスゾエさん?
びっくりした。誰でも良いから小泉打倒! これも耄碌の類。(これも誤解して貰っ
ては困る。あのマスゾエさんなら親しい友人。親しい競馬仲間。政治家の力量を云々す
るのではない。そんな自爆立候補をしたら、彼、滅茶苦茶になる)
人気が取れれば誰でも良い……ならテレビの世界、全員が首相候補だ。
<何だか分からない今日の名文句>
耄碌は顔だけにしてくれ
9月25日(木) 田原総一郎の早大講義録
「大隈塾」なるものがあるらしい。田原総一郎が塾頭で、早稲田で一番人気のある講
義? 毎日新聞の同期生・岸井が客員教授を勤めている。
時代のキーマンを毎回、ゲストに呼び、ゲストの意見を聞きながら考える田原流。そ
のゲストの顔ぶれがなかなかだ。
その講義が一冊の本になった。送ってきてくれたので、終日、読む。第一部の「9/
11以降の世界で日本の安全保障を考える」では小沢一郎、第二部「グローバル化の中
での日本経済の生き残り策を考える」では、松井証券社長の松井道夫さんがおもしろい
。暇があったら、立ち読みを勧める。ただし、宮沢喜一を呼んだのには、首を傾げる。
これ、義理?
出社すると、先週の日記で「意味が分からない」と文句をいった毎日新聞朝刊のコラ
ムのことが話題になっていた。
「私も何を書いているのか、トンと分からなかった」と言う同僚。ごく普通の読者が
判読できない商品を売るのは、サービス業として犯罪行為だ、と痛烈に批判する向きも
あった。
お偉い論説委員の原稿に手を入れないデスクの怠慢?
こんな些細なことが、いつか読書離れを呼ぶ。
その問題の筆者(失礼)、さすが、今週はわかりやすい文章である。内容も良い。な
かなか読ませるじゃないか。専門知識を大事にする彼女の今後に、先輩記者?として大
いに期待する。
帰りに三越で、杖先きゴムを買う。200円。一生懸命、歩くので、ゴムの底がすり
切れた。これほど、歩くと、ちょっと腱鞘炎が気にかかる。
9月も、もうすぐ終わる。10月10日解散が事実上決まった。安倍人気で逃げ切る
つもりの小泉さん。どうなるんだろう。
それもそうだが、秋のGTシリーズも、10月5日のスプリンターSでスタート。今
年も、単勝当てで「日本一の馬券名人」を選ぶ。Jr.に「準備してくれ!」と注文した
。競馬はじめての人も、是非、参加してくれ。
<何だか分からない今日の名文句>
不況に学問、不況にギャンブル
不況 いろいろ
9月24日(水) 若干の「小沢一郎研究」
日本人は、特に女性はハゲより白髪が好きだ。デブより痩せが好きだ。
この国民的趣味は戦後日本の政治的流れに多大な影響を与えている。「痩せ」が清廉
で「デブ」は貪欲……安倍ちゃん人気も「痩せ」が決め手である。
石原慎太郎がデブでハゲだったら、300万票は取らなかっただろう。(ハゲとか、
デブというと間抜けな整理記者が「差別だ」と言う変な風潮がある。「壁」という言葉
を使えば、間抜けな整理記者は誤魔化せる)「ハゲの壁」「デブの壁」が政治を変えた
。
話を元に戻そう。安倍人気にも「ヤセ」と「豊富な髪の毛」が味方している。49歳
で幹事長になった安倍。47歳で幹事長になった小沢一郎を比べると、人気の面では安
倍の方が数段、勝っている。小泉さんだって「痩せ」で「白髪」で得をしている。
しかし、本当の意味で(その中身については、議論はあるが)小沢一郎の方が小泉さ
んより、安倍さんより数段、革新的であった。そして数段、権力的で、数段、攻撃的で
ある。
今日はデブで損をしている小沢さんのことを書いてみたい。
彼の革新の第一歩は「改革フォーラム21」である。
1992年、佐川急便スキャンダル。自民党最大派閥竹下派(旧田中派)会長の金丸
は責任を取って辞任。この後継を巡って竹下派は小沢グループと反小沢グループに分裂
した。
小沢は少数派で、10月「革新フォーラム21」を作り、44人の勢力で竹下派を離
脱した。この時、小沢は会長に羽田孜を選んだ。この時から、彼は自らがトップになる
のではなく「御神輿」を用意した。ひょっとすると「デブ」は不利。もっと正確に言え
ば、ハゲではないが、自らの体躯が悪役向きを意識したのか。恒に「御神輿」を用意し
た。
小沢の「改革フォーラム21」の旗印は「政治改革」だった。こぞって各党が「政治
改革」を言いだした時期である。金権腐敗を打破することが「改革」だった。
93年6月、政治改革の柱は小選挙区制だった。が、宮沢政権は法案成立に消極的。
小沢は野党の内閣不信任案に呼応して、不信任案は成立。「改革フォーラム21」は自
民を離れ「新生党」結党。選挙戦を戦った。
この時、結成した新党を「改革新党」とネーミングすれば、後々「改革」という言葉
を小泉さんが専売特許のように使うことはなかっただろう。
解散中、小沢は「日本改造計画」を出版した。小選挙区制による2大政党制、地方分
権などの「改革」が、この本の中に網羅されていた。
地方分権の思想は、中曽根行革でも柱になっていたが、多分、思想的説明と手順を明
確にしたのは、この本がはじめてだった、と評価する向きもある。
7月18日の総選挙。多分、自民党は223議席だったように記憶する。野党第1党
の社会党は多分70議席、新生党は55議席だった。自民党の半数割れである。
自民党は連立を狙ったが、小沢は「非自民非共産勢力」の結集を呼びかけた。「御神
輿」は野党第1党の社会党でも、第2党の新生党でもなかった。「御神輿」は第4党の
日本新党の細川だった。「御神輿は軽い方がいい」のである。小沢は入閣しなかった。
黒子でありながら、実は権力の中枢にいるのが「小沢流」だった。
彼の次なる政治改革は「国民福祉税」であった。公明党の支持を取り付けたが、社会
党がこれに猛烈に反対した。「消費税は悪」というのが、社会党流だった。小泉さんは
「人気取り内閣」だから「俺の時代は消費税をやらない」と言う。実はこの時「国民福
祉税」が生まれていれば、日本の経済は大分、様相が違ったように思う。それでも、
細川内閣で小選挙区制は成立した。
しかし「軽い御神輿」の細川首相が突然、辞任した。理由は色々言われたが、僕には
分からない。仕方なく、小沢は後継に「軽い御神輿」の羽田さんを据えた。ハゲではな
いが、小太りの、ただ悪人面とは無縁の男だった。(失礼)
その直後である。小沢主導の「社会党外し」が表面化した。統一会派「革新」結成の
動き。社会党をのぞく統一会派に、社会党は激しく反発した。
自民党が内閣不信任案を用意し、社会党の同調が予想され、羽田内閣は崩壊する。
「自社さきがけ」の村山内閣がこうして生まれた。小沢一郎が「野党」を経験したの
は、これがはじめてである。
94年12月、統一会派「革新」構想は「新進党」という形で生まれた。この時「御
神輿」は海部俊樹だった。95年7月の参院選。新進党は40議席をもぎ取った。自民
党は49議席だった。その差は9。次の総選挙では、新進党が第1党になるかも知れな
い。
しかし、村山政権が橋本政権に変わった96年10月の選挙では、新進党は4議席減
らして156議席。自民党は239議席と健闘した。
この敗因は、小沢の勘違いにある。自分が「御神輿」にならなければ駄目だ、と勘違
いして、前年の12月、新進党の党首選に立候補。羽田を破り、自らがトップになった
。自分が「御神輿」なった。
今まであった小沢に対する批判が表面化した。独裁者が御神輿では、保たない。新進
党はバラバラになって、さきがけの一部と社民党(旧社会党)の一部が民主党を結成、
自民批判票はそちらに流れた。この選挙で民主党は52議席を取った。
選挙後、批判勢力が太陽党、フロムファイブを作り、小沢のもとを去っていった。
97年12月の新進党の党首選挙で小沢は圧勝したが、この9日後、新進党を突如、
解党した。この時点で所属議員は多分、170を越えていたと思うが確かではない。そ
の半分近くが、本当は反小沢だった。
翌年元旦。自由党結党。参加者は100を予定されたが、集まったのは54人だった
。自ら「御神輿」になってから彼の誤算が続いた。それでも97年の参院選で520万
票を取った。自民党は消費税の5%アップが致命的で、61議席を45議席に減らし、
民主党が大きく躍進した。
自民党から社民党、さきがけが離脱。敗北の責任をとり橋本は辞任した。
そして「死んだはず」の小沢に、もう一度、出番が回ってきた。小沢嫌いの野中が「
ひれ伏して」て小渕政権への連立を求めた。小沢は政治改革、税制改革の要求を突きつ
け、小渕さんはすべて彼の言い分を飲んだ。自自連立政権である。「本当に良い政治を
やってくれれば、共産党とも組むことだってある」と自民党との連立を批判する向きに
、小沢はそう言い放った。
しかし、いざ連立を組むと、小渕さんは小沢の言いなりにならなかった。99年秋、
公明党と連立した自民党は小沢の言い分に言を左右にする。衆議院議席50減という政
治改革に「20で我慢しろ」という。
2000年4月1日、小渕・小沢会談。激しいやりとりの末、小沢は連立離脱。その
翌日、小渕は脳梗塞で倒れ、命を絶った。
小沢は小渕さんの命を絶った「悪人」になった。政権離脱に反対した面々は保守党を
作り、小沢は弱小政党の影響力のない党首になり下がった……。
いつもの日記より、大分、長い文章になってしまった。この日記を書き出して、2時
間以上たって、今、25日の午前3時である。長々、小沢のことを書きたいと思ったの
は、僕自身「小沢年表」を作っておく必要があってのことと、彼の動きに注目する必要
があるように思うからだ。
今日(24日)、民主党と自由党は合併した。小沢は「御神輿」を担ぐと、力が倍に
なる。デブの「悪役」には国民的人気は無理だが、一部に圧倒的な支持者を持っている
ことも事実だ。2000年6月の総裁選で比例代表区で660万票を獲得している。
小沢の可能性が若干なりともある政局、と見るべきだろう。
小沢は面識もないし、別に好きでも嫌いでもない。が、安倍人気で政治が変わるよう
な錯覚にとらわれている人がいるとすれば、どうだろうか。これからの流れは、タカ派
改革とハト派改革の対立になるように思う。
記憶を頼りに、小沢ものを書いてみるのも一興か、と思った。
そうだ、今日(24日)の僕の日記。「競馬ロマン」を書いてから、後は野暮用。肌
寒い。
<何だか分からない今日の名文句>
ペテンの壁
9月23日(火) SARSが再流行したら
彼岸の中日。晴れ渡ったので外房線「ビューわかしお号」に飛び乗って、安房鴨川へ
。キノさんの墓参りを強行した。
駅からタクシーに乗り「テンメンへ頼む」と言うと「テンメン? そんなところはな
い」「?」
しばらくして「なあ〜だ、アマズラか」で一件落着。「天面」はテンメンではなくて
「アマズラ」。日本語って難しい。
鴨川天面「西徳寺」の階段をあがると、太海浜が一望出来る。風が強く、白波がたっ
ている。
平成6年8月31日、キノさんは某大学病院の医療過誤でこの世を去った。悔しかっ
た。掛け替えのない相談相手だった。悔しかった。「近いうちに彼の故郷・北海道に一
緒に行こう」と約束していたのに……。
葬式の時、弔辞で「いつか俺も行く」と約束したけれど……。「当分、こっちにいるか
らな」と手を合わせた。
寺の前を通り掛かった自動車から「マキさん」の大声。キノさんの未亡人だった。懐
かしい昔話。みんなちりぢりになってしまっている。
房総は青い空。でも、3時過ぎると肌寒い。薄手のシャツでは寒いぐらいだ。帰りの
車窓で「インフルエンザの予防接種」のことを思い出した。
今年は、受けよう。SARSの予防になるかも知れない。
SAREが再流行しそうな頃合いだ。ちょっと前なら、中国の山奥の風土病だったで
あろうSARS。グローバル化がSARSを地球的規模の病にした。
房総半島。日蓮が風土病を治したこの地。小さな漁村に飛行機でSARSがやってく
ることを想像するとおかしい気がする。
SARSのほかに、中国には別のインフルエンザのような未知の感染症があるらしい
。これが地球規模の病になったら……。
日本は中国一辺倒の工場進出で良いのだろうか。中国一極集中はリスクが多すぎる。
リスクを教えたSARSを過小評価していないか。冬になって、再流行したら……。
ことしは異常気象。冬は厳しい寒さかも知れない。
<何だか分からない今日の名文句>
うがい、手荒い、マスク着用
9月22日(月) まずは、お手並み拝見
第二次小泉内閣。竹中さんは予想通り留任。竹中さんに丸投げでやって来たのだから
、今更、変えように変えられない。変えたら、何を言っていいか、小泉さん、分からな
いだろう。今更、言うこともないが、小泉さんは、経済音痴。
石原伸晃さんの起用。あまりに選挙前の厚化粧。それに××氏の起用は、小泉さん、
どこを見ているのかしら、と言いなくなる。あんな不良中年をまた大臣にするなんて、
自民党というところは……。
年齢を若返させるために、無理矢理入れたんだろう。良く見ると、必ずしも、若返っ
たといい兼ねる。
しかし、今回の組閣、全体としては、まずまずの顔ぶれ。お手並み拝見。
抵抗勢力から当面、文句は出ないだろう。青木さんの一番弟子・額賀福志郎を政調会
長に据えたんだから、青木さんも、文句が言えないだろう。この辺り、小泉さんは、勘
がいい。
嫌に寒い。暑さ寒さも彼岸まで。
「世界週報」を書き「おけら街道」を書いたら、すっかり疲れ、早く寝る。
<何だか分からない今日の名文句>
音痴の深情け
9月21日(日) タカ派支配が進む
朝、TBSラジオで、こんな話をした。
「派閥がなくなった新しい総裁選、という指摘があるが、そうだろうか。今回の総裁
選は角福最終戦争で旧福田派が勝って、旧田中派が瓦解した、ということ。これは究極
の派閥戦争だ」と話した。
永田町で、今、派閥らしい派閥は森派(旧福田派)だけである。その御大の小泉さん
は「派閥はけしからん。派閥人事はやらない。自民党をぶっつぶす」ときれい事を言い
張る。
そうだろうか。小泉、森は福田の愛弟子。彼らの本当の狙いは「自民党をぶっつぶす
」という言葉で、旧田中支配をぶっつぶすこてではなかったのか。それはほぼ実現した
。
昨今、永田町の森派一極支配に気づいた某政治評論家に、某テレビ局は「小泉の悪口
は困る」と言ったらしい。評論家氏は自らのWEBでその事情を明らかにしている。別
の評論家は総裁選前にテレビを降ろされた、と週刊誌が報道している。現政権のマスコ
ミ操縦はかなりのものだ。
森→小泉→(福田)→安倍の旧福田派による政権維持。それが彼らの狙いだろう。派
閥を崩壊させると言った小泉さんが「巨大派閥」を作る。
それはそれで良い。旧田中派の目に余る腐敗。公共事業で甘い汁を吸い続けた構造を
崩すことは是非とも必要だ。旧田中派はつぶさなければならない。
ところが、この旧田中派のもっとも利権的な存在だった、言ってみれば「公共事業甘
い汁派」が、今回の総裁選で、そろって小泉支持に回った。その代表が青木さんだ。建
設族の村岡さんもそうだろう。
彼らは悔い改めて新小泉派に加わったのか。冗談じゃない。利権を守るために「新巨
大派閥」に移籍したのだ。
9月4日に彼らが小泉支持を明らかにした直後、小泉さんの選挙公約が変わった。道
路公団民営化のくだりが微妙に変わっている。その公約変更が小泉再選支持の鍵だ。
小泉さんの得票をよく見れば分かる。青木さんの支持がなかったら、小泉再選はなか
った。だから「青木+森」は強気になる。「二人で闇将軍」を意識しているかも知れな
い。昼頃、安倍さんの幹事長就任発表。喜ばしい。面識のある安倍ちゃんが出世する
のはうれしい。若返りもうれしい。しかし、マスコミが喝采するほどのことでもあるま
い。
これは派閥人事の最たるもの。安倍ちゃんは旧福田派のプリンス。しかも人気者だ。
人気者の力を利用するのが小泉流。真紀子さんの代役が安倍ちゃん。青木さん、森
さんは「やりやすい若造」と思っているだろう。
まあ、勢力分布の話はどうでも良いけど、気になるのは旧福田派のタカ派的体質であ
る。アメリカ一辺倒の体質である。
かつて、中東の石油でアメリカに盾をついた田中角栄がロッキード事件に直面した時
、福田さんはアメリカの代弁者のようだった。日本の中東政策はとん挫した。
日米同盟は大事だ。しかし、日米同盟だけを外交の座標軸にするタカ派戦略で良いの
か。はなはだ疑問だ。
当分、マスコミは「安倍人気」を煽るが、ことの本質は別のところにあるような気も
する。
ブッシュが、喜び勇んで、何のために日本にやってくるのか。そろそろ競馬の予想の
ような政治記事ではなく、じっくりと考えさせる外交記事が読みたいものだ。
<何だか分からない今日の名文句>
ご存じ、人気者のたらい回し
(星野先生の教え)
9月18日(木)笑いすぎると 涙が落ちる
今日は明日の今日じゃない
夜、国会裏のキャピタル東急で「星野哲郎作詞家生活50周年を祝う会」。大好きで
大好きで仕方ない「今日は明日の今日じゃない」(「人生街道」畠山みどり)の名文句
の生みの親・星野先生のパーティである。
このホテルで一番広い「真珠の間」に600人の着席スタイル。こんなに参加者が多
いとは思わなかったのか、ぎっしり“満員”で通路の隙間がない。
21番テーブルにやっとのことで名前を探し当て、開宴直前に滑り込んだ。会場のほ
ぼ真ん中。結構、良い席だ。
「牧ちゃん!」と呼ばれて、振り返ると大阪スポニチの松枝さん。何年ぶりだろう。
「大阪から日帰りで来た」。彼は大阪一の演歌記者。「芸能界ウラのウラのウラ」を取
材した時、道案内をしてくれた恩人である。
同じテーブルで助かった。何しろ、このところ、歌謡界には無縁で、知人は極めて少
ない。話す相手がいないと困る、と内心ドキドキしていた。
隣のテーブルは都はるみ、畠山みどり、水前寺清子……その隣に鈍行歌手の北見恭子
、その隣に「お帰りの詩」の白川桔梗がいる。何人か、知り合いがいる。安心した。
盛大なパーティだった。NHKの海老沢会長がいたので、来賓の挨拶をするのかと思
ったが、もっと偉い人が何人もいるので、彼に出番がないくらいだった。
船村徹、遠藤実、渡辺美佐……組織のトップというだけでは来賓の資格がない。そこ
がサラリーマン社会と違うところ。サラリーマンは「友人代表」として羽佐間さん(産
経新聞会長)が挨拶しただけだった。
尊敬されるのは職人だけ。官僚なんて関係ない。
そのサラリーマン的でない友人・羽佐間さんが星野先生を「人たらし」と評した。言
い得て妙。「〜たらし」「〜殺し」は最大級の誉め言葉だ。僕も若いとき「爺殺し」と
言われ、鼻高々だった。「〜殺し」で悪いのは「後家殺し」ぐらいだ。
僕の大好きな「今日は明日の今日じゃない」という文句、「人たらし」でなければで
出ない台詞だ。
星野先生は紙を用意して、長々と挨拶した。72年間の人生を克明に振るかえり、感
謝の言葉を繰り返した。
海を愛し、故郷を愛し、家族を愛し、歌を愛した先生。こんなことをしゃべった。
「一流の店では飲まなかった。新宿で、下田で、ニ流三流の飲み屋で飲み明かしたが
、そこは常に『歌の大通り』だった」。そして、彼が作った詩は4700を越えた。
歌手が星野節を次々に披露した。星野先生を熱写するカメラマンを見つけた。汗だく
で撮影している。
誰だろう。荒牧さんだった。
故佐藤健さんが「演歌艶歌援歌 わたしの生き方星野哲郎」を書いたとき、カメラを
担当したのが、毎日新聞カメラマンの荒牧さんだった。「それ以来の付き合いだ」。先
生に信頼され、最近のCDの写真は彼が撮っているのだそうだ。「〜たらし」なら、最
後まで運命共同体のように付き合うのが、毎日流だ。
この盛大なパーティを佐藤健が見たらどう書いただろうか。そんなことをジッと目を
つぶして考えてみた。
お開き口で、星野先生に「健の代わりに来ました」と挨拶したら、先生、キョトンと
していた。
気のあった仲間と「ひまわり」で二次会。星野賛歌で午前1時を回っていた。
<何だか分からない今日の名文句>
4行で書けることを5行で書くな
(星野先生の教え)
9月17日(水) 分からない、全然、分からない
たまにだが、新聞を開いて「自信喪失」に陥ることがある。朝、毎日新聞の2面「発
信箱」というコラム。いつも愛読しているが、今日(9月17日)の「言語」というエ
ッセイは意味がよく分からない。
「生まれたばかりの赤ん坊に話をすると左脳が活性化する。話を逆回しで聞かせても
左脳はさほど働かない」という書き出しが、良く分からない。
「話を逆回して聞かせる」という表現が分からない。どういうことを指すのか、分か
らない。
続けて読む。
「イタリアで行われた実験で、日伊の共同チームがそんな発見をした。『人間の脳は
生まれつき、言葉を理解する機能を備えているのではないか』。研究に参加した日本の
科学者はそう推理する」
この辺は、分かったような気もするが、厳密に言うと、何も分からないような気もす
る。この先を読むと……もう、めちゃくちゃ分からない。
例えば「言語の構造を知ることで、人間の生まれつき備えている理性の構造さえわか
るはずだと考えたのだ」といったあたりは、頭がグチャグチャになった。筆者が何を
言おうとしているか……と言った次元ではない。その前に、文意が全然、分からないの
だ。
筆者は論説室の気鋭の記者さんだ。僕の理解力が、著しく劣っているのではないか。
不安になる。
新聞を持って、デニーズに行き、朝食を取ってから、改めて読み直す。起きたばかり
で、脳が働かないのだろう。キチッと朝飯を取れば、理解出来るかもしれない。
でも、ダメだった。俺って馬鹿なんだ。落ち込む。このくらいの短い文章を理解でき
ないのは、人間失格ではないか……まして、当方は新聞記者じゃないか。理解力に異常
があれば、病院に行かなければならない。脳卒中の後遺症「失語症」を思い出した。
「この程度の文章を正確に理解できない」と申告すべきなのか。午前中、落ち込んだ
。毎日新聞の一番の売り物「おんなの気持ち」ならよく分かるのに、何故、あのコラ
ムが理解出来ないのか。悩みながら、御徒町まで歩く。友人に栗を送ろうと、アメ横。
上等の栗を探し出し、いつもと同じように注文できた。本屋をのぞき、2、3冊、立ち
読み。理解力は普通にしか思えない。知り合いのケアマネージャーにばったり会い、世
間話。これもごくごく普通だ。
でも、気になるのは、相変わらず「意味不明のコラム」のことである。
喫茶店に入り、読み直す。が、ダメだ。俺って馬鹿なのか。落ち込む。
僕は、あらぬ事をしてしまった。近くのテーブルに座っている紳士に「申し訳ないが
、ここを読んで下さいませんか」と頼んだ。正直に「どうにも意味が分からないです
」と言って、必死に頼んだ。
怪訝な顔の紳士は、当方の困惑を知って、読んでくれた。「そうですね。非常に深淵
なことを書いていらっしゃるんでしょうね」と言う。そうか「深淵なこと」なのか。
「でも……」と紳士は続けた。
「でも……私には、何が書いてあるか、分かりません。あなたと全く同じですよ。こ
れを読んで、理解できる人なんて、いませんよ。書いているご本人は分かっているんで
しょうが」とゲラゲラ笑った。
「毎日新聞ですか……分からないことを平気で書いている新聞が結構、多いんですよ
。気にすることありませんよ」と笑ってくれた。落ち込むことはないんだ。安心する。
「でも、その点、この新聞はよく分かる」と紳士がタブロイド版を指さした。「Hな
ページもあるし」と紳士。「夕刊フジ」である。
「大新聞は時代遅れですよね。それより、訳の分からない文章で商売するなんてど
うかしている」
なるほど。なるほど。
「それでは……」と紳士が席をたった後、僕は、もっともっと落ち込んでしまってい
た。
<何だか分からない今日の名文句>
…………(無言も名文句のうち)
9月16日(火) 「月刊亀井静香」
アスコム(旧社名アスキー・コミュニケーション)から「月刊亀井静香」を送ってき
た。ダンディに変身した亀井が表紙に載っている。確かにイメージが変わっている。
「小泉革命」では、何故ダメなのか?を説明している。ご無理ごもっとも、だが、総
裁選の動きは必ずしも、亀井は有利、という訳には行かない。
小泉の方が数段、マスコミ戦略に勝っているのだろう。「月刊亀井静香」の発売日は
9月8日。どうにも遅すぎる。
名古屋の「立てこもりビル爆発」。舞台になった「軽急便」は自社で営業車両を持た
ず、契約を結んだ「個人会員」に運送業務を委託するシステム。これが「給料デフレ」
を生んでいる。リストラになった人が「安い契約」で我慢している。名前だけの「構造
改革」の裾で、爆発寸前の事態が進んでいる。
夜、「亀清楼」で同僚の昇進祝いの夕食。「ひまわり」で2次会。「カラオケは歌っ
てはいけない、という家訓がある」と言っていた主賓は、なんと一人で8曲。目をつぶ
って「行け行けカープ!」を熱唱する。僕も3曲。
「ひまわり」のママさん、10周年を記念して「50インチ」のカラオケ・テレビを
購入するとのこと。ちょっと前に来店した掲示板の常連が「編集長にプレゼントしてく
れ」を言い残して帰っていった「清酒・旭富士」。確かに受け取りました。ありがとう
。
仕事場に戻って3次会。午前2時ごろまで飲む。
<何だか分からない今日の名文句>
「契約」という差別
9月15日(月) ホームセンターか「兼業商店」か
3連休の最終日。野暮用先でホームセンターを覗く。凄い規模だ。
潰れた工場の跡地を利用したホームセンターは、ここ数年、爆発的に誕生しているが
、まず、その広さに威かされる。それに品揃い。それに価格。流通の最大の端末は、デ
パートでも、スーパーでもなく、ホームセンターだろう。すでに食品を扱うホームセン
ターが登場している。
スーパーはコンビニとの戦いに勝つべく「24時間」で対抗。売り上げを徐々に回復
しているが、これからの大敵はホームセンターである。
スーパーVSホームセンター。そうなれば商店街の個人商店の売り上げはさらに落ち
込み、シャッターをおろした「シャッター銀座」になってしまう。
しかし、この戦争で、スーパーも、ホームセンターも設備投資が嵩んで、結果的に倒
産する店も多いだろう。
民間の活力!という謳い文句で過剰競争に次ぐ過当競争。戦争を横目に、細々と営業
を続ける「兼業商店」が勝ったりすることもありうる。
小泉さんは勝ったも当然、と思っているのか、解散の日程を発表した。勝利を前提に
して、永田町世論を作ってしまうやり方。マスコミがこれほど利用される総裁選も珍し
い。「阪神の18年ぶりの優勝。20日間の夏休みを終え、今日から現場復帰した久米
宏が「ニュースステーションが始まって昭和60年以来、18年ぶりの優勝」と話して
いた。
久米のNステも長かったが、阪神のテイタラクも長かった。
新聞休刊日に優勝するなんて、広告収入に影響はでないか。少し心配。
<何だか分からない今日の名文句>
爺婆(商店街)はしぶとい
9月14日(日) 小泉、共産党を気にする……
日朝首脳会談1年経過を前に拉致もののテレビ番組が続く。12日夜のフジテレビは新聞
記者、議員秘書、テレビのプロデュサーの3人組が拉致事件を明るみにした実録ドラマ
。この日記で紹介したので、期待して見た。
良いドラマだった。はじめて拉致を報道した産経の阿部ちゃんの努力に改めて敬意を
表する。もちろん、党除名の屈辱を受けながら、真相解明に突っ走った、我が友、兵本
達吉にも頭が下がる。
ただ気になったのは、テレビドラマでは「日本共産党の除名」のくだりを、あまりに
も、差し障りがなく演出していることだ。このドラマには真相を描いてほしかった。
共産党の抗議が怖かったのか?
それにしても、真紀子さんを更迭した後の「人気回復」のため、拉致に全く関心がな
かった小泉さんが、急に「日朝正常化」を言いだし、挙げ句の果て、外務省の田中の言
いなりになった。そのことも、歴史のデッサンとして是非とも必要だ。
外交も「その日その日の出来心」。
14日は野暮用の合間に中山競馬場。秋競馬スタートなのに暑い。猛烈に暑い。クー
ラーがきいていないから暑い。
その中で7戦3勝と健闘。最終レースで3連復を一点で取ったのは喜ばしい限りであ
る。
<何だか分からない今日の名文句>
除名は権力の確信犯
9月11日(木) 消費税と多産政策
今週の「ここだけの話」で「ここに超高齢社会」を書いた。「老老介護」をテーマに
して、指導者の無策を書いた。
最近では、珍しいほど読者の反応があった。みんな、薄々「高齢化社会」ではなく「
超高齢社会」と感じているのだろう。
「税金」から「高齢社会」を点検してみよう。
2030年に日本人の28%が65歳を越える。今のままでは、65歳以上の大半が
仕事をなくし、税金を納めないだろう。
平均して、20歳以下の若者は税金を納めない。そこで約50%強の人間が税金を納
める層になるのだが、このリストラ強要政策。家庭にもどる女性は増え、専業主婦が税
金を払わない。そして、失業率は多分、実質6〜7%?
所得税を払う人間は日本人の約10%になるだろう。1人が10人分の公的サービス
を負担する。そう言う「超高齢社会」になる。(あるいは、すでになっている)
これはもう、年金をどうする、こうする、という次元の問題ではないのだ。
政治家は「仁義なき戦い」をしている場合か。「俺の時代には消費税を上げない」な
んて、人気取りをしている場合か。日本国の哲学が問われている。
消費税の段階的引き上げ、雇用と多産政策。これしかない、と僕は考えている。
小泉は「後は野となれ山となれ」のペテン師だ。消費税を値上げしなければ、税の公
平は維持できないのに。郵政の民営化が、なんぼのことか。(もちろん、人民元の為替
調整など山積するものは多いが)、いずれしても国家戦略を明らかにしなければならな
い。
それが、出来ない指導者は去れ!小泉も、野中も、去れ!
昼、野暮用で市川へ。夜、帰ると、倅が仕事場に来る。珍しく、ビールで意気軒昂な
議論。
興味あるマンションの売れ行き。彼の情報では「品川の超高層マンション」の人気は
それほどではないらしい。むしろN不動産の低層マンションが好調らしい。
「品川、品川と草木もなびく」的マスコミ情報を信じると、大変なことになるかも。
<何だか分からない今日の名文句>
「多産」は国家の華
9月10日(水) 「義理」が悪いのか?
東京専売病院で定期検診。順調。
2時から遊軍会に顔を出す。社会部では、この時期、新年企画を検討する。これまで
、出なくていいのか、と思い込んでいたが、社会部長が代わり「編集委員は遊軍会に参
加して下さい」というので、顔を出した。
社会部は森羅万象、なんでもメシのタネにするから、企画の幅は広い。企画会に出る
と、時代が分かる。楽しみで、定刻より早く行ったが、今回の企画は正直言って平凡過
ぎた。(ただ一件は、切りようによっては商品になる。これは行ける)
総じて、斬新でない。切り口が平凡。何よりも、市場調査をないがしろにしている。
読者が何を求めているのか。2003年から2004年。何を求めているか。
市場調査がなくて、企画を作るとしたら、これは「記者による、記者のための、記者
の原稿」になってしまう。
僕が遊軍長だったら「冗談じゃない!出直してこい!」と言うのだが……。途中で退
席。
石原慎太郎が亀井さんに応援演説。「義理で」と話す慎太郎。新聞は「義理は悪いこ
と」のように書くが「義理」は人間のもっとも大事にするもの一つだ。歴史を動かした
事件は「義」によって動いた。
「義理があるんで」という言い訳の言葉も、それ相応の説得力を持つ。何が大事か
を意志表示するのにも、都合の良い言葉だ。
大体、人間は「運命共同体」の義に向かって行動する。そう言うものだ。「義」のな
い政治はペテン師政治。「義理」を時代遅れ、なんて言う発想。アメリカナイズされた
、それこそ「戦後ペテン主義の残滓」だ。
9・11から2年。アメリカの対テロ戦は悪戦苦闘。アメリカは「利」ばかりで「
義」がないから、苦戦する。アルカイダの「義」に勝てるのか。
<何だか分からない今日の名文句>
「義」は一生の華
9月9日(火) 拉致家族の子供たちが……
妙な噂があるらしい。16日に新潟西港に入港予定の万景峰号に拉致家族の子供たち
が乗っている、というのだ。まさか。
こんな噂が流れている背景には、日朝両国の事情がある。
北朝鮮のエネルギー事情は深刻で、建国55年式典で軍事パレードが出来なかった。
もちろん、米国に話し合い継続の意図を明らかにするため中止した、という解説もある
が、むしろ、エネルギー不足でパレードが出来なかった、と言うのが本当だろう。
切迫している。そうなれば、一日も早く、北は日朝正常化交渉を再開したい。それが
北の本音。大幅な譲歩らしきもので、拉致問題にケリを付けたい。(こんなことでケリ
はつかないが)
そして日本の事情。総裁選で小泉陣営を取り仕切る森前首相は次々にポストを明示し
て、反小泉の陣営から「裏切り者」を集めている。河野さんに「衆院議長」、堀内さん
に「財務相」、村岡さんに「自民党副総裁」……毒饅頭をぶら下げて、反小泉陣営を攪
乱している。
激怒した野中さんは、今日「引退」を表明して、一か八か、の勝負に出た。当然、あ
からさまの政権批判が続く。「拉致問題ではまったく無力」と小泉政権を面罵するだろ
う。拉致問題の平沢勝栄は反小泉である。
そこで、森さんは「独自なルート」で拉致家族の子供の日本一時帰国を実現して、小
泉圧勝を確実にしたい。と、まあ、そんな類推がある。総裁選までに万景峰号がやって
くるのは16日だけだ。というのが、奇妙な噂の根拠らしい。
総裁選が始まると奇妙奇天烈な話が出るのだ。
野中さんが「村岡の裏切り」に激怒して引退表明して、橋本派は完全分裂。派閥嫌い
の小泉さんが確固たる「森派戦術」にのる。分裂しないのは森派だけだ。
まあ、野中さんは命がけだから、何が起こるか分からない。もし、万一、決戦投票で
小泉さんが負ければ、小泉は解散を選び、その時点で石原新党が生まれる。
総選挙では「民主+自由」が第一党、自民が第二党、公明党が第三党、石原新党が第
四党。こうなれば、ガラガラポンだ。
党員票は雪崩を打って小泉に行くのか。まだ、予断は許さない。慎太郎がどんな亀井
応援演説をするのか。興味津々。
夕方、プレスセンターで「おけら街道連載500回」のお祝い会。スポニチの仲間が
開いてくれた。
白根社長までが出席してくれた。感激。白根さんは毎日新聞社会部の七つ年上の大先
輩。警視庁捜査二課の先輩でもある。結構、辛辣な批評をするので、怖い存在だが、若
い者の面倒を見てくれる人情家だ。昔は、白根さんに甘えて、言いたい放題だったが、
いつも許してくれた。
その白根さんが最大級の言葉で、お祝いを言ってくれた。感激。トイレでちょっと涙
ぐむ。
JRA批判を書く当方。腹も立ったこともあろうと思うが、JRAの面々も来てくれ
た。俺、幸せだ。
「1000回も書きたい」と挨拶したが、まずは健康。1作、1作、大事に書こう。
頑張るぞ。
<何だか分からない今日の名文句>
リストラのツケ、金儲けのツケ
9月8日(月) 「らんぼう」さんは同い年
昼、栃木県黒磯のブリヂストン栃木工場で爆発火災。膨大なタイヤが燃えている。住
民5000人避難。タイヤ2万本焼ける。4、5日間、くすぶり続けるだろう。大変な
環境破壊だ。
自動車業界のタイヤ不足を指摘するニュースが多いが、問題はむしろ列島に広がりつ
つある「リストラ後遺症」にある。
たまちゃんは「度重なるリストラ。全国各地の工場で首切りが進んでいる。保安、管
理の社員が首を切られ、安全確保部門はまともな仕事が出来ない状態なんだ。これから
も原因不明の事故、火災は次々に起こる」と分析する。その通りだ。
立て続けに起こっている原因不明の事故。この間も名古屋であったばかりだ。大人災
にならなければ良いが。
これも構造改革という名の「利益追求」のツケ。縮小経済が、首を切り、日本の安全
をないがしろにする。
「ここだけの話」は「高齢化社会ではない。すでに超高齢社会に入っている」という
ようなことを書く。
夕方、プレスセンターで小さな夕食会。たまちゃんから例の「山口さんちのツトム君
」の「みなみらんぼう」さんとマネージャー氏を紹介してくれた。
「らんぼう」さんはシンガーソングライターの本職のほかに色々な顔を持っている。
山登り、ラジオのパーソナリティー、武蔵野市の教育委員……たまちゃんはサンデー毎
日の編集者の時、「らんぼう」さんの山登りエッセイの担当者だった。
「おもしろい人ですよ」と聞いていたので、一度、会いたいと思っていたが、やっと
実現した。
慎重180センチの長身。やせぎす。芸能人というより画家のような雰囲気である。
会う前に当方のホームページを見ていたらしく「僕らは昭和19年生まれの同い年で
すよ」と言う。本当かよ。実に若い。40代後半のようだ。
「山登りしているから若く見える」。そんなものか。
話題がつきない人で、松井選手のこと、大酒飲みの某女優の話、浅草の染太郎の話、
ネパールのこと……おもしろくて、おもしろくて。
ネパールにある「世界で最も美しい谷・ランタン」に行く計画があるらしい。(10
月19日出発・ツアー参加者を募っている。03−3503ー1911)
話しているうちに、俺も行きたいな、という気分になる。
総裁選告示。仕事場に帰って、新聞各紙を熟読。小泉有利の予想記事だらけ。新聞記
者は馬券の予想屋ではないぞ。もっと誇りを持って報道しなければ……という気分。
政界より、新聞メディアの改革をしなければ……。
<何だか分からない今日の名文句>
リストラのツケ、金儲けのツケ
9月7日(日) 孝次郎は「寅さん」だった
6日に、埼玉県深谷のホテルで、義理の甥の結婚式があるので、金曜日から現地入り
。昼は「懐かしい人」に会い、夜は親戚と熊谷の鰻屋「川菊」で会食。
鯰の天ぷらを生まれて始めて食する。上品な白身の魚、といった感触。この店、もち
ろん、鰻も天然物でうまい。
翌日の結婚式はとびきり楽しかった。新郎の甥はなかなかのキャラクター。紋付き羽
織袴。入場に際して、飛び上がって、腕まくりのガッツポーズ。友人たちから喝采を受
ける。親戚の面々、唖然とする。
仲人なしで、友人が次々にお祝いを述べ、隠し芸を披露する。捻り鉢巻きの漁師、褌
一枚で歌うシンガーソングライター。新郎も頭からビールをかぶって余興に参加する。
愉快である。
終わり頃、当方、親戚代表で挨拶した。何を喋ろうかと、迷ったが、甥をことのほか
可愛がっていた、おじいちゃんの孝次郎さんのことを話すことにした。
熊谷市十六間。源義家が蝦夷征伐にやって来た折り、この地に十六間間口の馬小屋を
建てた。(この由来は、前日、この地の「老兵」さんから聞いた)
この地で「幸福家」という屋号の露天商を営んでいたのが孝次郎さん。「寅さん」の
ような人物で、地域の人気者だった。
日赤病院に入院して「大病だ」というので、あわてて見舞いに行くと看護婦さんと院
外デートしていた、と言った人物だった。
その孝次郎さんが、甥が生まれた時「足が大きい。大物になるぞ。もしかして文ちゃ
んみたいになる」と言っていた。「文ちゃん」とは「文吉さん」。孝次郎さんのお父さ
んのことだ。自分の親父を「ちゃん呼ばわり」するのが、いかにも孝次郎さんらしかっ
た。
その文ちゃんは大男で、米俵を3つ持って歩いた。一つは右手、一つは左手、最後の
一つは歯で噛んで持ち上げた。怪物だった。
その文ちゃん似の甥は身長180センチを優に越え、体重90キロ。孝次郎さんの予想
通り「大物」になった。
しかし、その新「文ちゃん」の成長を見ず、孝次郎さん、つまり僕の義理の父・栗原
孝次郎さんは18年前に他界した。「この日を熊谷の寅さんに、見せたかった」と話し
たら、悪友たちもシーンとしたので「甥は体が大きいが、態度も大きいので、注意して
ほしい」と話し、ドッと笑いを貰った。
最後に新婦が両親に感謝の手紙を読み、新郎が決意証明。仲人なんていらない、素晴
らしい結婚式だった。
その後、高崎線の下り列車に乗り込み、今度は僕が「寅さん」? 新幹線に乗り換え
て新潟で泊まる。
翌朝、新潟西港を見学。万景峰号の喧噪が嘘のような静けさ。子供が釣り糸を垂れて
いる。佐渡汽船に通じる渡線橋が落ちた現場を見た。どうやら設計ミスのような感じが
する。
終わって、豊栄の新潟競馬場へ。7日で新潟競馬が終わる。来週からは中山。秋競馬
が始まる。一応、競馬運営委員なので、場内を見学。お客さんの入りを点検する。子供
連れが多い。ポニーの乗馬が人気。競馬場の工夫が目立つ。
意外にも、たまちゃんと会う。奴も来ていたのか。最終レースを辛うじて的中。秋競
馬にウンを繋ぐ。
情報一つ。「陰の総理」と言われる飯島秘書官。「鈴木宗男に土下座した」と週刊誌
に書かれたが、今度は「超豪華別荘疑惑」が持ち上がった。「フライデー」が「飯島秘
書官は長野県の高原に別荘を建て、何故か、表札は別人の名前が出ている」と報じてい
る。
その建設を請け負ったのが、小泉さんに政治献金している建設会社で、いかにも「ワ
イロの別荘」を感じさせる書きっぷり。
次号で、もっと過激なことを書くらしいが、いかにも、総裁選らしい展開である。
マスコミは、このところ「小泉有利」で一致してるが、果たしてどうなのか。この種
のスキャンダルは一般的には国会開催中でなければ「疑惑追及」が本格化しない。むし
ろ、総裁選後の解散国会?で威力を発揮するか。
それにしても、政策が180度も違う青木さんが小泉さんの推薦人になるなんて……
馬鹿にしているな。
<何だか分からない今日の名文句>
自分に嘘がつける技
9月4日(木) 悪代官をやっつけた!
朝、帰宅すると、八戸の坂本牧場からトウモロコシが届いていた。つい最近、坂本嬢
は愛馬に蹴られて、救急車の厄介になったと聞いたので心配していたが……元気になっ
たのだろう。
精魂込めたトウモロコシ1箱。冷夏にも関わらず甘い。
それにしても、今年の夏は異常だった。軽井沢の7月の平均気温16・3度。31日
のうち22日は霧。
フランスでは40度の猛暑で10000人も死んでいる。冷気と霊気の「カタコンブ
(地下墓場)が絶好の避暑地になった。
ダイポールモード現象。双極現象。一部には日本に「暑い秋」が来る、という説もあ
れば、台風の頻発、厳冬の説もある。
午後、TBSへ野暮用。ついでにJRA六本木事務所。世間話。
まだ、正式に決まったわけではないが、横浜市は、場外馬券場の売り上げに税を課す
「JRA新法条例」を廃することになった。いわゆる法定外普通税で、WINSの売上
げ額から国庫納付金を差し引いた額に5%を課税する。税の公平さを著しく欠く、この
税法に「ここだけの話」で真っ向から反対した。
当然のことだが、2年半たってようやく廃止される。どちらかというと、当時の新聞
は「新しい試み」と評価する向きもあったが、冷静になれば、権力がねらい撃ちで課税
することを許すことなんて断じて、許すことが出来ない。
競馬運営委員会で反対を表明、「ここだけの話」に続いて「世界週報」でも、この悪
法を批判した。この日記でも、書き続けた。
時間がかかったが、競馬の発祥の地、横浜が「悪代官」になるのを防いだ。オレの評
論も、それなりに影響力があったと、勝手に納得。うれしい。
帰宅してメールを点検。理学療法士の吉良さんから「訪問リハビリテーション研究会
のホームページができました」。(http://www.geocities.co.jp/Technopolis/3569/index.htm)
吉良さんは夜、大学院に通っていると聞いていたが、頑張っている。
HPを覗いてみると、高齢者に取って役にたつ情報が色々入っている。覗いて欲しい。
自民党総裁選。小泉、藤井、亀井、高村の4人立候補に落ち着く。青木さんが「小
泉支持、ただし、民間からの大臣起用は辞めて欲しい」と注文した。森さんから「そう
言ってくれれば、小泉もOKする」と聞かされていたので、青木さん、その通りに注文
したら、小泉は事実上「NO!」。
<何だか分からない今日の名文句>
永田町二枚舌物語
9月3日(水) すべては「角栄」
中軽井沢のローヤルプリンス通りに猿が現れた。車窓から見れば可愛いが、被害甚大
らしい。それに熊、猪……金持ち?も苦労が絶えない。
猿を追いかけて、ご用邸近くにまで来てしまった。
警官に「陛下、いるんですか?」と尋ねると「いませんよ。3日前に東京にもどりま
した。それに、ここには泊まりませんよ。内緒だけどホテル鹿島の森にお泊まりになっ
た」長いこと、陛下は軽井沢にいらっしゃらないので、ご用邸は老朽化が激しくなった
らしい。まあ、ホテルの方が良いに決まっている。例えば、京都へ行くと、陛下は御所
に泊まらなくてはならない。窮屈だろうに。
星野温泉あたりを散策して、午後、東京に戻る。
こんどの軽井沢の収穫は旧軽ロータリーの川上庵。ここの蕎麦はうまかった。
自民党は派閥分断選挙になる。この間、日記に書いたが河野洋平さんは「ここ一番」
に弱い。堀内さんが小泉支持を打ち出した。あわてて小泉支持表明。「これで総裁選も
終わり」という見通しを立てたのだろうが、早すぎる。
小派閥の長・高村が立てば、当然、河野グループに応援を求める。タイミングを見て
、河野さんが立候補に意欲を見せれば逆になっていただろう。高村派の協力を得て立候
補すれば、反小泉の統一候補になったかも知れない。
高村派に協力を求められ、河野は苦しむ方になってしまった。高村は河野グループの
何人かに、推薦人になって貰わなければ立てない。
結局、今日(3日)の河野グループの会合では「結論持ち越し」になった。が、これ
を機に、どう転んでも河野グループはなくなってしまうだろう。「小説新自由クラブ」
(角川文庫・でも絶版)の筆者としては、やるせない。
新聞や詳論家は「派閥がなくなる総裁選」と書いているが、冗談じゃない。派閥がな
くなることは絶対にない。派閥の再編成が行われるだけだ。派閥の存在価値が変わるの
だ。派閥は、人間3人いれば出来てしまうものだ。まして……権力は一人では出来な
い。この時、派閥の新しい価値観を構築するのが、賢いやり方。
もし、完全に橋本派が青木、野中、村岡、橋本に4分裂すると、自民党の派閥は小さ
な所帯ばかりになる。保守陣営では小沢一郎派が一番、大きいグループになったりした
り……。
それにしても、民主党の一部も含め、すべての派閥は「田中角栄の流れ」である。田
中派の再分裂を繰り返すのが、ここ20年の永田町。
週刊文春が「宗男に小泉首相秘書官が土下座した」という特集ものを出すらしい。宗
男は総裁選に間に合った、の実感。
夕方から雷。停電。東京も電車が止まり、国会議事堂に落雷?
この雷、結構、続く。そして秋なり。
<何だか分からない今日の名文句>
君子、雷鳴に立つ
9月2日(火) 万平ホテルの110周年
「おけら街道トキの声」連載500回のご褒美?に一日仕事を休んで、軽井沢散策。
快晴。
「今日は何もしないゾ」と決意したが、それでも、原稿の締め切りは巖として存在す
る。
プリンス通りに、この4月オープンした「犬同行のレストラン」で昼飯を食べた後、
モバイルを取り出し、「競馬はロマン」と「街角スケッチ」を一気に書き上げる。
何のことはない。東京にいるのと変わりない。オレ、貧乏気質が治らない。
ご褒美に、ちょっと贅沢して万平ホテルに宿泊する。一度は止まりたいと思っていた
。このホテルは、江戸時代「亀屋」という旅籠だったが、2代目が避暑地・軽井沢を
発見した宣教師アレキサンダーと知り合いになってり、西洋風のホテルに変身した。そ
れから110周年。
宮大工の手で、何度か改修しているが、ほとんど明治の昔と変わらない。変わらない
のが、上質だ。
木漏れ日のホテルで昼寝。良い一日だった。
<何だか分からない今日の名文句>
継続は贅沢
9月1日(月) 連載500回、快挙だ!
朝飯は蔵前の「デニーズ」。行き帰りで3キロ歩ける。何しろ、減量また減量。
朝日新聞と日刊スポーツが無人スタンドに置いてある。両国の「デニーズ」には毎日
新聞が置いてあるので、買うことはないが、ここでは、朝日か日刊を買う。朝飯を食べ
ながら新聞を読むのが、癖になっている。
埼玉県知事選の結果が読みたいので朝日を買う。「埼玉知事に上田氏、首都圏3県非
自民県政」の見出し。まあ、そんな見出しになるだろうが、この選挙、まるで小学校の
お遊び以下の愚劣なものだった。
糸山英太郎、森田健作のドタバタ。共産党の候補の相次ぐ辞退。市民派の板東真理子
の「民主党は嫌よ」騒動。まるで子供のような選挙だった。過去3番目の低投票率。
嫌気がさすのも当然である。
政見放送は、ただ紙を読むだけ。当選した上田さんも、市民派の板東さんも読むだけ
だった。何故、自分の言葉で訴えないのか。
そんな選挙を「首都圏3県に非自民県政が出来た」とまるで「意味があった」ように
書くのは、ちょっと見当違いのような気がする。
投票率35・8%がニュースなのだ。「ここだけの話」は、その辺をおちょくって書
いてみた。
午後、3日用の「おけら街道トキの声」連載500回目を書き上げる。感無量である
。1991年12月4日夜、脳卒中に倒れた。三日三晩、意識不明。右半身麻痺、失
語症。サンデー毎日の編集長を更迭され、約1年後、職場に戻っても仕事らしい仕事は
なかった。
その折り、見ず知らずの若者が現れ「競馬のコラムを書きませんか」と誘ってくれた
。月刊誌「競馬最強の法則」の編集者兼四谷稲荷神主の栗岩君である。彼の勧めで、同
誌に競馬コラムを書いた。それが、スポニチの目に留まり、93年11月5日「おけら
街道トキの声」が始まった。
ついに連載500回。こんなに続くとは、正直言って、想像も出来なかった。
競馬好きの神主クン、ありがとう。スポニチの仲間、長老、たまちゃん……ありがと
う。
書き続けた僕自身も讃えたい。連載以降、4回入院したが、一度も休まなかった。頑
張ったな、牧クン。
夜、野暮用にやって来た長野県の某ホテルで、一人、新潟の酒で乾杯。窓の外は深い
霧。嫌にロマンチックだ。
嫌々、ロマンなんて言っていられない。どん欲に生きよう。1000回まで書きたい
じゃないか。
<何だか分からない今日の名文句>
継続は力、連載はバカ力
8月31日(日) 宗男は総裁選に間に合った
29日の日本記者クラブの慎太郎昼食会。一階のエレベーターホールで、面識のない
人から「魁新聞の牧さんですね」と声を掛けられた。
会員証をぶら下げていたので名前は分かるが「魁新聞の……」と言われたのにはびっ
くりした。会員証には「毎日新聞社」と書いてある。「いつも、日記を読んでいます。
私『芸能界ウラのウラのウラ』からあなたを注目しているんです」。うれしいじゃない
か。
多分、日本記者クラブの会員と思われるが、少しづつ「二代目魁」のファンも増えて
いるのだろう。
会場で何人か旧友にあった。慎太郎人気で、いつもの5倍ぐらいの入りである。
日本記者クラブの昼食会はいつも会費2800円。「アラスカ」の洋食。まあまあの
味。食事を終えてから、ゲストが一時間ぐらい話す。その後、質疑。テレビのクルーも
入る。
慎太郎は意気軒昂だった。「どの政党も限界が出ている。シャッフルする必要がある
。レゾンデートルがあるのは公明党と共産党だけだ」
橋本派の体たらくを「ざまあ見ろ」という。本音で話す数少ない政治家だ。
総裁選に絡んでの質問には、のらりくらり。でも、亀井との連携は、隠しようもない
。この席では言わないが「弟分だから」は口癖だ。一ヶ所だけ「子分の亀井」に触れ
た。亀井はパチンコ業界と親しく、彼に言わせると「パチンコはギャンブルではない」
。パチンコ業界はコンピューターで業者が勝つ台を用意している。この後、北朝鮮の話
になるのかと思ったが、それだけのこと。
意識的に、総裁選を避けながら、情報収集で亀井と親しいところを見せた。劣勢・亀
井は弟分なのだ。
まだまだ、予断は許さない。
官邸で小泉さんにある問題で“陳情”したことに触れた。「純ちゃんは『簡単ではな
いんだよ』と言うんだ。それなら何で、総理大臣になったんだ。何も出来なくて総理大
臣か。日本の官僚はどうしようもない」と官僚の言いなりの小泉を批判する。
そして、2度「メディアが悪い」と言って、話を終えた。官僚の言いなりのマスメデ
ィア。小泉の言いなりになる新聞。確かに、そうだ。
慎太郎は、前回の総裁選で鍵となった真紀子と同じような存在になるかも知れない。
総裁選告示まで目が離せない。
宗男が娑婆に出た。すぐ電話したのは野中だろう。彼に総裁選の選挙権はないが、微
妙に影響する。「何も話さなかった宗男」にそれなりの影響力はある。野中は宗男の兄
貴だから……。
橋本派は分裂だ。参院青木派と野中・古賀派(古賀は堀内派にいるけれど)と建設族
派。それに若干の橋本グループ。もちろん、堀内派も分裂。小泉支持を打ち出した堀内
。丁とでるか、半と出るか。微妙だ。
土日は久しぶりに市川泊まり。近くに住む某国立大教授と立ち話。「大学を辞めて、
ホッとしています。牧さんと違って、税金で飯をくっているから……」
脳卒中に患った教授。やはりハンデがあるのだろう。分かるような気がする。
曇天の中、8月終了。
<何だか分からない今日の名文句>
オレとお前は兄弟分