編集長ヘッドライン日記 バックナンバー
2003.8月

8月28日(木) 石原慎太郎は?

 28日夜、神楽坂「千月」で古賀が平沼、高村、麻生 が会った。古賀は「野中名代」である。

 同じ頃「重箱」で野中、亀井、それに石原慎太郎が会った。連携した会合と見て良い だろう。

 「今週、いろいろなことが起こる」と推測した事態が徐々に表面化している。明日( 29日)の日本記者クラブの石原慎太郎の昼食会は興味津々。

 多くのマスコミは勝負あった、と見ているが、どうだろうか。それほど簡単ではない 、と思うのだが。

 出社すると、たまちゃんが「妙な馬が走ります」と声を掛けてきた。土曜日の小倉に 出る「ゲンキデタマチャン」。たまちゃんが喜びそうな名前だ。

 しかし、もっと興味があるのは、この馬、未出走。なのに、オープンに挑戦する。お もしろいじゃないか。

 当然、人気はないが、たまちゃんに義理を立て、単勝1000円、勝ってみるか。

<何だか分からない今日の名文句>

下駄を履くまで

8月27日(水) ここ一番に弱い人

 勝負を投げる人、投げない人。投げない人は野中さんで、小沢さんで、石原慎太郎さ んで、投げる人は細川さん。まあ、細川さんは「投げる人」というより、その時その時 、人生を楽しむ方だから、首相を辞めても、陶器づくりという人生があるから、それは それで良い。

 しかし、現役の河野洋平という人物には、ガッカリする。何故、投げたりするんだろ う。

 倅・太郎が体の一部を提供した。これがなければ、生きていけなかったかも知れない 。一度、亡くした命なら、もう一勝負したって良いだろう。それが男だ。

 自民党から新自由クラブを作って、一度は「天下」を目指した、あの頃を忘れたのか 。自民党に帰って、総裁になったけど、ただ一人、野党としての総裁。これは屈辱では なかったのか。

 今回が最後の勝負である。

 もともと、河野さんを高く評価していない。だから総裁選に出てもらおうとは思わな いが、このままでは「構造改革を投げ出して、憲法改正に方向変換する、危うい小泉」 を放置する政治情勢。これを見極めることは出来るはずだ。

 その時に、回りくどい小泉支持を話すなんて……まったく「政治」が分かっていな い。

 わざわざ、鳥取で講演して「小泉構造改革は正しいが、党内融和が必要」なんて言う 。やっぱり、駄目だ。青木さんの入れ知恵だろう。

 どう考えても「小泉で良いよ」と言ってしまうようなものだ。「運も実力」というが 、河野さんは、実力がないから運も来ない。

 少し、がっかりする。「融和しなければ考えがある」とでも言っているつもりか。推 測だが、青木さんに「融和しないと言うなら、君に立って貰う」とでも言われたのか。 がっかりする。

 野中や亀井は、なんと言われても「負けて覚える相撲かな」で頑張る。亀井さんなん て、負けてもともとである。亀井さんは、とても支持できない人柄だが、小泉政治は誤 っている、と筋を通す。

 「小泉政治は正しいけど、みんなが仲良くしなければ……」なんて、あまりに、だら しない。

 小泉さんが再選されれば、多分、景気や構造改革は棚上げで、憲法改正が全面に出て くる。「自衛隊は軍隊?」という議論に構造改革がすり替わる。

 もの凄いスピードで「好戦の国」になるかも知れない。

 その議論を堂々と総裁選の中でやれば良い。

 派閥は機能しなくなった。時代の流れ。有る意味では喜ばしいことである。

 ならば、もっと自由な議論があって良いじゃないか。マスコミも、相変わらず「参 院のドン」が小泉を担げば、小泉再選」と短絡的に報道するのは、時代遅れだ。

 橋本派は、あす28日に総会。大分裂してみると良い。

 「若人あきらは北朝鮮に拉致された」という説が、とうとう週刊新潮に載るらしい。 熱海の海岸で釣りをしていた「モノマネの若人あきら」が、3日間いなくなり、その後 、小田原で発見されたあの事件。「記憶喪失」で収まったが、妙だ妙だ、と思っていた 。やはり拉致未遂だったのか。

 さて、喉の痛みは大分、良くなったが、元気いまいち。秋風を感じてならない。

<何だか分からない今日の名文句>

二世は偽位

8月26日(火) 「大人になりすぎた」

 朝、たいとう診療所。4日ほど前から、鼻水が出ていた。今井君によると「クーラー と外の激しい温度差。鼻のアレルギーになって、鼻水が出る。そのうちに咳がでる。夏 風邪になる」。薬を貰う。

 仕事場に帰り、総合感冒薬を飲むと、眠たくなりゴロン。午後8時起きてると、飯を 食べ、また眠る。

 友人から電話で、久米さんが記者会見をしたようだ。降板の時期は来年3月に決まっ たらしい。

 早稲田の同期生。あの当時から、目立った存在だが、この18年間、彼は総理大臣よ りも影響力を持ち続けた。

 記者会見で「大人になりすぎた」と話したらしい。

 これが、降板の理由だろう。

 眠い。

<何だか分からない今日の名文句>

………果報は寝て待てか

8月25日(月) 穴掘り・角右衛門?

 石川誠が定年式を迎えた。

 毎日新聞社は60歳の誕生日が定年である。彼は昭和18年8月生まれ。午後3時、 役員応接室で一人だけの定年式が行われた。

 「定年式って、どんなことするんだ?」と彼に聞いてみる。定年を迎えた本人と上司 に当たる局長、部長が出席。北村主筆が感謝状のようなものを読み上げて、その後、懇 談。一時間ぐらいで終わったという。あっけないものだ。

 「どんなことを話すんだ?」。参考までに、教えてくれ、と聞けば「表向きの思い出 話さ。出来の悪い記者でした……とか……社報には、出来が悪い記者で迷惑を掛けまし た、と書いておいた」

 夜、僕となべちゃんで「小さなご苦労会」を開いた。銀座「三献」。石川は日本酒が 好きだ。なべちゃんは、サンデー時代の部下だが、今は石川の上司。サラリーマンの世 界って、こんがらがっている。

 石川は僕より一つ年上だが、入社は一年遅い。どこかで、寄り道したのか。社会部の 警視庁捜査2課4課を担当していた頃、コンビを組んだ。さっぱりしたいい男だ。

 「出来の悪い記者」と本人は言うが、石川は群馬支局の時代から特ダネ記者として有 名だった。

 大久保清事件、連合赤軍事件で特ダネを連打。「穴掘り角右衛門」と異名を取ってい た。

 どちらの事件も、死体を次々に赤城山中に埋める特異な犯罪で、捜査陣が「穴を掘る 」と決意すると、決まって毎日新聞に特ダネが出た。

 「あの頃、親しいデカが捜査メモを見せてくれたんだ」と彼がその秘密を打ち明けて くれたことがある。

 彼は四角い顔がトレードマーク。そこで「角右衛門」というニックネームが出来た。 「群馬に穴掘り角右衛門あり」。

 一課事件が性にあったが、運悪く人事異動で「警視庁2課担」になり、二人は苦労し た。はっきり言って2課事件で特ダネを取るのは至難の技。支局時代「事件に強い」と 見られ、最難関の「二課担」になったのが不運だった。

 我がコンビは、抜かれることはあっても、抜くことはなかった。

 僕が政治部に移ったので、顔をあわせることはなかったが、彼はその後も、福島支局 長、生活家庭部長とサラリーマンとしてはまずまずの出世ぶりだった。

 ところが、10年ほど前に社の幹部から、福島テレビの総務部長に行け!と言われた 。

 彼は「毎日にいたい。テレビは僕には無理です」と正直に答えた。破格の待遇だと 思ったのだが「どうしても毎日新聞にいたい」。

 「それが失敗だったよ。言いなりにならない反抗的な奴、と思われたのだろう。ここ 十年、パソコンも出来ない俺が、IT部署に回され、塩づけされた」とポツリ。

 お酒が回って、本音の思い出話が出たのが石川らしい。

 ところが、社の仕事がおもしろくなくなってから、石川は輝いた。趣味のラクビーに のめり込んだ。早稲田のラグビーを見るために、引っ越した。観戦世界ツアーに必ず参 加して、今や、ラクビーライターでは五本の指に数えられる人物になった。

 「これからは早稲田のラクビーの歴史を残していく」。意気揚々。

 定年後の「良い仲間」がまた一人増えた。

 朝刊で、政治部が「小泉、再選強まる」との記事を出すらしい。

 そうなのかなあ。

<何だか分からない今日の名文句>

「好きより」の使者?

8月24日(日) 今週、色々なことが起こる

 22日の金曜日。専売病院で内視鏡検査。PET検査で「胃壁にブドウ糖の残像があ る。ガンの疑いも否定できない」というので、嫌々の胃カメラ。

 しかし、意外に綺麗な胃壁で「正常!」とのお墨付き。ホッとする。

 大山ドクターが「牧さんはストレスがありそうで、まったくないんですね」とからか う。何と言われても、気分は青い空。たまちゃんや親しいJRAの仲間に「大丈夫だっ た」と報告する。こんなことで札幌行きをキャンセルしたのが恥ずかしい。

 23日、初の光化学スモック警報。猛烈に暑い。

 日刊スポーツが「久米降板」をスクープしている。実は8月7日の日記で「午後3時 からTBS。また、一つ、噂。久米宏さんがニュースステーションをこの秋、降板する という。これも、毎年出る噂だが、彼も来年は還暦。時間を大事に使いたいだろう。ち ょっと文化部記者は目が離せないだろう」と書いておいた。

 出来ればスポニチに抜いてもらいたかった。が、やはりテレ朝の情報は、日刊に行っ て仕方ない。

 後任は古舘、とのこと。情報では「せめて来春まで」という慰留工作が残されている らしい。

 政局は波乱含みだ。新聞は堀内さんの「立候補辞退」で、小泉再選が決まったように 書いているが、そんなに簡単ではない。

 前回だって、ちょっと前まで「橋本有利」と新聞は書いていたが、蓋を開けたら「小 泉圧勝」だった。

 高村がまず、立候補の姿勢を見せた。「小泉の経済政策は間違った」と言っている。

 これで、とりあえず、高村、亀井の2、3連合が用意できた。もちろん、そんな簡単 ではないが、今週は色々なことが、続けざまに起こるだろう。

 28日の橋本派の立ち会い演説会。野中は橋本派の3人の候補をどう調整するのか。 青木は最後まで小泉で行くのか。

 そして、その翌日、石原慎太郎は日本記者クラブで昼食会に望む。そこで、どんなこ とをいうのか。

 最後の最後に名前が出ることを期待している?河野洋平さんは……今のところ、週末 、馬産地にいく予定の河野さんは、日程が変われば、何かあるかも知れない。

 大政局の匂い、ぷんぷん。

 八戸の工務店・北村三男さんの三頭目の愛馬・イルドゥボーテが、初勝利。喜びのメ ールが入っていた。

 札幌記念は、銀行レースで三連単に参加する人は38人。ささやかなイベントになっ てしまったが、初の3連単的中者。万歳!万歳!

<何だか分からない今日の名文句>

誰でも良い、は大政局

8月21日(木) 大政局は来るのか
その前に「札幌記念」?

 秋、大政局が来るのか、興味深い。

 しかし、そうでもないらしい。小泉包囲網はかなりのものだ。

 原因はイラクだ。国連事務所爆破で、小泉はブッシュの言いなりになれなくなった。 ごく普通に「戦争状態が続いている」と言わざるを得ない状態である。イラク開戦の大 義があやふやになり、まだ、戦争が続いているということになると、世論も微妙に変わ る。

 小沢一郎は「選挙で勝ち、自衛隊を派遣しない」と言い続けている。野中は、もちろ ん、イラク法案反対である。

 北朝鮮でも、9月17日までに拉致家族を日本に迎える作戦が水面下で進んでいた。 しかし、紆余曲折、なかなか実現しない。

 そして、一番の問題は、自民党の地方組織の反乱である。「このまま、小泉のやりた いようにしたら地方は死ぬ」と言いだした面々。小泉批判票は結構、多いかも知らない 。

 前回は、地方配分票は、その県で一番票を取ったものが「総取り」だった。今回は比 例配分である。一人で90%の地方配分票を取ることはあり得ない。

 小泉さんが再選を果たしても、衆院選以降の流れは、見極めづらくなった。

 何故、大政局が近づいている予感がするのか。その理由は、怪文書の「質と量」である 。

 小泉さんの男性スキャンダル?を始め、今までにない豊富な怪文書。まともなメデ ィアに登場したものだけで、山崎、古賀、亀井、野中もの……まだまだ出る。

 今まで経験からすると、怪文書だけは大政局レベルに達している。

 朝、テレビが「埼玉熊谷4人殺傷事件」の逮捕者を報じている。TBSが逮捕の瞬間 を映している。大スクープだ。なかなか、出来ない芸当である。僕だって事件記者約5 年間で「逮捕の瞬間」に立ち会ったのは、たった2件だけである。(まあ、事件記者落 第者だから、極端に少ないけど)

 TBSの記者が、どんな形で「捜査の秘密」を入手したのか。興味津々。

 いずれにしても、凄い取材力。特賞ものだ。

 午後、仕事場で野暮用1件。TBSラジオで1件。JRA六本木事務所で1件。JR Aはそろそろ人事異動の季節らしい。

 競馬・競輪ロマン掲示板が閑散としている。そこで「札幌記念」の3連単遊びをする ことにした。出走頭数が少ないんで、的中が期待できる。暇な人、参加してくれ。

 もちろん、今年も秋のGIシリーズでも「お遊び」を用意しているが、今回の「札幌 記念3連単」はそのトライアルみたいなもの。当ててくれ!

 蒸し暑い。久しぶりに30℃を越えた。

<何だか分からない今日の名文句>

乱れる大局

8月20日(水) 「朝生」文化人の運命

 朝から野暮用多数。結構、忙しい。午後2時、新橋で、これも「某業界全体の節税」 に関する野暮用。

 つくづく思う。日本の税制は不平等だ。「とう(10)ごう(5)さん(3)ぴん( 1)」。サラリーマンは納めるべき税金を10割、税務署に把握されている。自営業者 は5割。これも不平等だが、同じ「経済行為」をして、あるモノは納税額ゼロ、あるモ ノは5000万円の税金を払わされた、ということが幾つもある。

 国税庁に「照会」して「回答」を貰うことで節税を計る企て。この野暮用、意味があ るかも知れない。

 金丸信さんの「金の延べ棒」を発見した伝説のマルサYさんを紹介してもらった。

 汚職逮捕者を出したJRAが、犯罪防止システムを作り、内部に説明した。全国の競 馬場長が東京に集まって説明を受け、これから競馬場の金の流れは、担当理事がチェッ クすることになる。あす、担当分野が発表される。やっと高橋理事長の強い意向が形に なった。実質的には、岡本副理事長が汗を流した。まあ、10年ごとに逮捕者が出るな んて、常識では考えられない部分がJRAにあった、ということだから、窮屈でもチェ ック体制は必要だ。「出直し」に期待。

 大体の改革概要は分かるが、取材する時間がない。それに、逮捕された鈴木さん、退 職金を返還したのか? それも気になるが、取材する時間がない。時間がない、時間が ない。

 夜遅く、仕事場に帰り、雑誌類をパラパラ。「サイゾー」を読んでら「朝まで生テレ ビ」がこの秋、200回を迎えるらしい。1987年4月スタート。多分、テーマは「 中曽根政治の功罪」だったような気がする。当時、中曽根内閣の官邸長だったから覚え ている。

 メンバーは次々に変わった。いわゆる「朝生」文化人は次々にブラウン管から消えた 。使い捨て文化人?(本物の人間は残ったけれど)

 そう言えば、明け方になると「バカヤロー!」と叫んだ大島渚さんは、どうしたのだ ろう。脳卒中仲間として、気になる。テレビで見たい。

 田原総一郎さんは「200回はけじめ」と言っているそうだが……。生き残る「朝生 」文化人は続けろ、と言っているらしい。最近は見ることもないので、どうでも良いけ ど、潮時かも知らない。

 キラキラする論客もいないし、大体、金曜日の深夜、ちょっとばかり「真実」「真相 」もあるが、概ね馬鹿馬鹿しい議論をするのに付き合う人間なんて……世の中に影響力 を持つ人には、まず居ない。

 そろそろ「歴史的使命を終えた」と考えたらどうだろう。

 天気がパッとしない。もう、秋?

<何だか分からない今日の名文句>

寄る年波?「朝生」老人は「朝から生」が好き

8月19日(火) 缶詰は嫌よ、グタグタよ

 終日、紀尾井町の日本民間放送連盟で「平成15年民放連賞「番組部門ラジオ報道」 の審査。朝10時から夕方7時まで缶詰。

 7作品を次々に聴取し、その後で各々が「最優秀作品候補」を選んで投票する。前回 までは、この第一次投票で3人以上の得票を取る作品はなく、議論を経て、再投票する ことになっていた。が、今回は第1回投票で決まった。助かった。また、議論になった ら、深夜になってしまう。

 その7作品は

 ニッホン放送「『ただいま』を聞くまで……母・横田早紀江の祈り」

 信越放送のSBCラジオスペシャル「エイズ・HIV〜関心が薄れる中で」

 中部日本放送「娘が消えた〜行方不明・残された家族の1644日」

 南日本放送「MBCラジオスペシャル 北朝鮮工作船事件・巡視船船長の緊迫の9時 間」。

 和歌山放送「ラジオドキュメンタリー 問う、バッチの重さ〜和歌山市民の選択」

 中国放送「変えなくては 変わらなくては がん治療」

 青森放送「〜北朝鮮引き上げの記録〜「杳き日のこにあらず」

 北朝鮮ものが3つ。イラクものはなかった。

 今回から、医師で登山家の今井道子さんが審査員に加わる。彼女、昨日、モンゴルか ら帰ったばかり。モンゴルの天候不順だが、晴れた夜、月で人間の影が長くのびるとか 。俺も行きたいな。

 缶詰でグタグタ。日記を書く意欲なし。

<何だか分からない今日の名文句>

モンゴルも雨だ〜った

8月18日(月) セクハラ加害者予備軍

 朝の口、雨が残る。

 雨が降った方が良いのか。悪いのか。午前中、水のお勉強。

 21世紀は水戦争の様相だが、いずれ、日本だって、水不足に苦しむだろう。それに 水の自由化問題。勉強の範囲を広げると、すぐ経済問題にぶつかり、貧富の格差がまた 広がる。

 競輪を愛する仲間と落ち合って若干のお遊び。滝沢センセイから流して、また、負け る。

 夜、人事畑にいた同僚からこんな話を聞いた。「幹部、特に地方支局の次長さんに『 セクハラに気をつけろ』と口が酸っぱくなるほど言わなければならない。嫌な時代にな った」

 昔なら「朝日、読売に抜かれるな。将来、毎日を背負って経つ若手記者を作ってくれ 」と言われた次長さんが「セクハラに気をつけろ」と言われる。妙な時代だ。

 しかし、この言い分も妙だ。「気をつけろ!」という言葉が妙だ。「気をつけて被害 者になるなよ!」とアドバイスする。「セクハラの被害」は「訴えらること」という認 識?これも妙だ。

 「サンデーの編集長だった頃、セクハラだ、なんて言われたことないか?」と聞く。 そんな経験はないと思うが、その後、社の役職についていないから、セクハラには無縁 だと思う。

 「そうでもないゾ。役職は関係ない。お前だって、いつセクハラと言われるかもしれ ない」。そこで、彼が取り出した「セクハラ加害者体質チェック」なるものを見てチェ ック。

 次の項目に「思い当たるもの」が3つ以上あると、加害者になる要素があるらしい。 そこで、正直にチェック。

(1)男尊女卑である。(昔はそう言われた。でも、今はNOだと思うが、どうだろ うか)

(2)職場での地位を認めてもらいたと思っている。(NO)

(3)不倫願望がある(これは灰色。ちょっとすると、願望はあるかも知らない) (4)女性の行動を「嫌よ嫌よも好きのうち」と考えてしまう。(NO)

(5)断られたことを根に持つ。(NO)

(6)弱い相手を見るとイジメたくなる。(冗談じゃない。NO。強すぎるものを見 るとイジメたくなることは、一度ぐらいあるけれど)

(7)職場に好きなタイプの女性がいる。(NO。一人ぐらいは居ても良いだろう、 と思っている)

(8)あきらめが悪い。(NO。あきらめが良すぎるぐらいだ)

 そこまで聞いて、同僚は「お前は人畜無害。年だよな」

 そう言われると、ちょっぴり、がっかりする。

 仕事場に帰って、メール、FAXを点検。北海道の豪雨被害に社台は「社会的責任に 目覚めて、何かをすべきだ。山口組だって、阪神大震災の時は炊き出しをしたではない か」というFAXもある。社台の牧場は被害ゼロ。

 山口組は「任侠」が売り物だから当然だが、さて、民間企業が競争相手を助けるか。

 天気予報を見ると、まだ、雨は続く。

<何だか分からない今日の名文句>

慈雨もよりけり

8月17日(日) 拉致事件のドラマ化

 15日の未明、横殴りの雨。東京でこんなに強い雨が降るのは珍しい。テレビの天気 予報が「秋雨前線」という言葉を連発している。異常気象。もう、秋なのか。

 台風10号の被害が次々に明らかになりつつある。北海道の日高では、平取、門別、 新冠の3町にある450の牧場の6割が被害を受けた。死亡、行方不明の競走馬は15 頭。その被害額は数千万円と報道されているが、そんなものではないだろう。複数の知 り合いから「悲惨な現況」がメールで届く。

 7月28日から始まった北海道市場サマーセールは惨憺たる結果だった。上場526 頭のうち、売れたのは93頭。5億円をわずかに越える落札成績。その馬産不況に追い 打ちを掛ける豪雨。たまらない。

 JRAへ顔を見せると「JRAとしては何も出来ない」と言う。行政の問題だが…… 。フジテレビが9月12日「完全再現!北朝鮮拉致」という番組を放映するらしい。 ドラマ仕立て。主人公の3人のモデルはすべて知り合い。

 共産党の議員秘書・兵本達吉、産経の事件記者・阿部雅美(サンスポ編集長)、朝日 放送プロデューサー・石高健次。拉致事件をスクープした面々だ。一番、仲の良い兵本 君を演じるのは堺正章だそうだ。おっちょこちょいの兵ちゃん役にはぴったりだ。(失 礼)

 楽しみだが、ちょっと心配なのはドラマ化の意図。下手をすると「朝鮮人蔑視」の風 潮を助長することにもなりかねない気もするが……。

 埼玉県知事選。話題にもならない。さいたま市に住む知人は「(候補者の)数は多い けど、誰もが『無党派』で個性がない」と言う。「無党派」だけが勝てる道、と勘違い している。

 新聞も、候補者の人柄を描き切れていないので、どうにも判断しにくい。そんな時は 人相で選ぶ、が僕の流儀。「推されて仕方なく」と言われている自治官僚さんが、ごく 普通の顔付きだが、人気が沸くという雰囲気ではない。まあ、人相が悪い人?が混じっ ている選挙だから、気をつけなければ。

 北米大停電。17日になっても原因が特定できない。当初「落雷原因説」が流された が、ごく普通に考えても発電所に避雷針がないなんて……。はじめから、原因を隠す意 図が感じられる。

 と、いうより、アメリカの送電システムは3流国以下なのかも知れない。

 エネルギーは国策。民営化すればそれで良い、と考える「何でも民営化」さんは、北 米大停電を十分に検証すべきだろう。

 それにしても、雨が続く。今年は夏がない。くさくさするし、何もおもしろいことが ないので、今週は「札幌記念」の3連単遊びでもしよう。

 暇な方、参加してくれ。

<何だか分からない今日の名文句>

選挙の年の正義派ドラマ

8月14日(木) ウイルスが都市機能を?

 この日記を書き始めた15日未明、ニューヨークで大停電。電力使いすぎでダウンし た。テロではない、とテレビは報じている。

 そうだろうか。コンピューターウイルスが発電所、変電所に入り込んだのではないか 。

 このところ、僕もウイルスに翻弄されたので、そんな気がする。

 近い将来、WEBテロが都市機能をめちゃくちゃにする。この予感。

 14日は雨の中、西台クリニックへ。気にしていた検査の結果を医師から聞く。概 ね良好。病気でもない事項まで報告されるので、余計、不安になっていた。

 医師は「健康診断という意味で胃の内視鏡を見たら」とアドバイス。別段、症状があ るわけでもないのだが、胃に関する限り、内視鏡が一番、というので、やって貰おう。  夜、大井の黒潮盃。たまちゃんに馬券を買ってもらったが大外れ。実は、ちょっと前 まで、不動の本命ナイキゲルマンの「二着総流し」を考えていたが……まさか、それが 本当になって2万円馬券。ああ、惜しかった。

 仕事場のあるビルの管理人さんが、写真をもって来た。隅田川沿いの空き地に咲いた 例のバラ。「あんまり綺麗なので、写してみました」

 綺麗だ。赤い色が何とも言えない。彼、最近、趣味でデジカメの通信講座をはじめた 。はじめて一ッ月で、こんなに上手く取れるのか?

 「花とか、景色とか、花火とか、モードを選べば、誰でも上手に写せる」。へぇ、そ んな仕掛けか。

 写真屋はどうなるのか。カメラマンはどうなるのか。

 ともかく、機械にならされ、機械で儲け、機械で自滅する。

 それにしてもニューヨークの停電。町中に人間があふれている情景がテレビに写って いる。でも、多分、ニューヨーク市民は見ることが出来ないハズ。妙な時代だ。

<何だか分からない今日の名文句>

暗闇の知恵、知恵の暗闇?

8月13日(水) ウイルスに感染

 12日夜、パソコンを開けたら、しばらくして妙な文書が現れ「異常」を宣言する。 急いで、電源を切って再起動させると、同じことが続く。妙だ、と思っていたら、朝の ニュースで新ウイルスの被害が出ているという。これは間違いないぞ!

 午前中に東京専売病院の検診を受けてから、仕事場のビルの別のフロアーにいる「パ ソコン達人」に、相談に行く。

 「やられましたか」。達人、約2時間かけて、復旧してくれた。神様、仏様、K様。 助かった。

 これまでのウイルスはメールと共に来たが、今回は開いただけで来る。嫌な奴だ。夕 刊を見るとワクチンソフト会社に届けられた被害は13日午前11時半現在49件とあ る。が、そんな程度のものではないだろう。

 盆休みを利用して、甥が婚約報告にやって来た。綺麗なお嬢さんだ。爽やかな女性だ 。甥は高校時代、ラグビーの選手で「あまり勉強が好きでもないから社会人になる」 と言って、サラリーマンの道を選んだ。以前、会った時は、ただ元気の良い若者にしか 見えなかったが、もうじきサラリーマン10年選手。礼儀が正しい、賢い人間になって いた。「親戚代表で挨拶していただきたい」と言う。「喜んで」と答える。

 JR浅草橋近くの「にほんばし亭」で2人と夕食。2人とも、ビールの飲みっぷりも言 うことなし。甥は底なし?

 仕事場に帰ってメールの点検。電気スタンドを送った知人から、店に飾ったスタンド の写真が送られてきた。メールって便利だ。喜びが通じる。

 昨日12日の日記で「雪虫」は実在するのか、と書いたら、早くも「これはトドノネ オオウタムシです」という親切な教示が2件。そうだったのか。

 この虫が飛ぶと、雪が降るんだそうだ。白い小さな綿のような虫。写真を見て、一段 と「北の雪虫」という演歌が好きになった。アブラムシ科?フワフワするのが俺み たいじゃないか。

 ちょっと、気になっているのは掲示板である。最近のテーマは興味深いが、ひとつの テーマにこだわっているような気もしないではない。

 そろそろ、洒落た、次なるテーマが欲しいような気もする。投稿する方の大部分が 「お利口さん」であることは十分、分かっている。だから、あまり理論的すぎるのも、 嫌みじゃない。

 競馬競輪掲示板も、季節が季節なので閑散。札幌記念で、ささやかな3連単遊びをす るか。

<何だか分からない今日の名文句>

フワフワ飛ぶのが、はぐれ虫?

8月12日(火) 雪虫

 一ヶ月ぶりに「たいとう診療所」。今井院長から問診を受ける。新しいビルに移って から、走りぱなしの今井君。少しバテ気味に見える。

 看護婦さんに足の爪を切ってもらったら「爪の水虫」だという。爪にも「水虫」があ るんだ。

 「虫」の連想で「雪虫」という言葉が、気になった。雪虫ってあるのか。

 キム何某、という女性歌手の「北の雪虫」という演歌。気に入った。このところ、ヒ ットの兆し? 「私、雪虫」というフレーズが気に入っている。

 男とはぐれてしまった雪虫。可哀想で可哀想で、抱きしめてやりたいような気持ちに なる。冬の虫ってなんだろう?

 森田健作の衆院選不出馬。ワイドショーで長々と扱っているが、はっきりしない解説 。すべては「恩人の山崎さんが、変態幹事長になってしまたから、身動きが出来ない」 と説明すれば良いものを。

 気になる小さなニュース。李肇星・中国外相、日本共産党本部訪問。中国の閣僚が共 産党を訪れるなんて、このところ全くなかった。6者会談と関係があるのか。いずれに しても、中国はアメリカと急接近しながら、北朝鮮とは兄弟のようだ。不破さんは例に よって「日本の右傾化傾向が朝鮮半島危機的状況を作っている」と言ったらしいが、本 当のところは?

 あす13日から、世間は本格的な夏休み。

<何だか分からない今日の名文句>

変態政治にはぐれたら、芸能界がある

8月11日(月) 分断を策す

 結構、車が多い。お盆休みに入った、と思ったが、最近は、代わる代わる夏休みを取 る方向で、東京中が「お休み」と言うことにはならないようだ。

 午前中、シオサイトの見学。日テレ祭り。資生堂のビルの上に出来たホテル。大変な 人出だ。

 野暮用を終えて、銀座へ出て、デパート巡り。可愛いバラの花の電気スタンドがあっ たので、知人にプレゼントする。隅田川沿いの小さな空き地に小さなバラが2つ咲いた ので、何か「喜び」のお裾分けのような気持ちで選んだ。

 「ここだけの話」は奮闘する京都のラジオ番組のことを書く。「おけら街道」のネタ がないので、たまちゃんに携帯で「ネタ、探してくれ!」と頼む。新潟競馬で奮闘して いる、たまちゃんのことを書くことにするか。

 お盆休みウィークだから、あまり難しいことは書きたくないのだが、無視出来ないの が拉致問題である。

 一年前、小泉さんは訪朝計画を新聞発表3日前にアメリカに知らせた。アメリカは、 これに激怒した。小泉さんは、この怒りが分からず、ピョンヤン宣言を出してしまった 。拉致家族の問題を解決せずに、ただ「一部の犯行を認めた」だけで握手してしまった 。

 そして、その後、アメリカは「北の核」を問題にした。

 小泉外交はめちゃくちゃになった。それ以来、日本はすべてアメリカの言いなりにな った。外交音痴のツケ?

 そして、今、福田官房長官が「拉致は二国間問題」と言いだした。その背景に何があ るのか。

 「北は5人の家族を日本に渡す」という確証に近いモノが、福田さんにあるのだろう 。が、それには「帰国の代償」がある。それを(国民に、アメリカに)隠して、選挙の 前の「手柄」を印象づけるつもりなのか。

 「2003夏・水面下のこと」をサラッと書いたが、その延長上に、ことが進んでい る。

 国益を考えて欲しい。北は家族の分断、日米の分断を狙っている。それを知りつつ、 選挙のために、拉致問題の「偽りの解決」を演じるのは、到底、理解できない。

<何だか分からない今日の名文句>

追い込まれているのはどちらか、

それが問題だ

8月10日(日) 健康診断は?

 8日の金曜日は夜、社会部の部長歓送迎部会。例によって乾杯の音頭を取る。

 常田前部長は結構、手堅くやった。無事これ名馬のような名部長だった。新部長の玉 木さんは、多分、彼より挑戦的な紙面を作るだろう。

 紙面部長会で「『東京は無法都市』という見出しは断定的でいかがなものか?」とい う官僚的な意見が出たそうだが、玉木さんは「『都市』がつくだけ良いじゃないか。九 州は『無法地帯』と書かれている」と話して、大笑いになったらしい。結構、ヤクザ的 な物言い。歓迎だ。そんなたあいのない話をして、乾杯の音頭を取った。

 たまちゃんから「出版局同人の訃報」を聞かせれる。面識がある程度のつき合いだが 、まだ55歳。びっくりした。

 7月中旬、彼、咳が止まらないので町医者に行った。風邪だろうと言われた。翌日、 胸が痛いので、もう一度、医者に行くと「詳しく検査しましょう」。その結果が末期の 肺ガン宣告。半月しか、もたなかった。

 5月の社の健康診断では、何もなかったのに。不可解である。

 社会部会で、必ず「原稿より健康!」と挨拶する大久保君が「いくら言っても早死に する奴がいる」と嘆いているが、今回の件は、酒、たばこ、寝不足もない人間の不幸。 それも突然、やってきた。部長に昇進したので、ストレスが溜まったのか。それにして も……。並の健康診断は意味がないのか。

 台風10号は土曜日に縦断したが、関東地方は無傷。虹が綺麗だった。

 日曜日は快晴。野暮用もなく、博打デー。たまちゃん滞在中の新潟へ行こうとも考え たが、電車賃を考えると、それももったいない気がして、競輪にする。11戦4勝。そ れでも、少々マイナス。片道の新幹線代ぐらいの損だからまずまずだ。

 今週はお盆休みウィーク。多分、この日記を読んでくれる人も少なくなるだろう。

<何だか分からない今日の名文句>

養生プラス運

8月7日(木) 久米さんは降板?

 2週間ほど前、正確には「7月22日の日記」にちょっと触れた「小さな事件」が6日 付けの読売新聞に載った、という知らせが入った。急いでfaxで記事を送って貰らう。

 スポーツ面の真ん中に「名馬の末路 米で波紋」という見出しが踊っている。「日本 に種牡馬として輸入された名馬の“死”が米国で波紋を読んでいる」という書き出しで ある。

 僕の「7月22日の日記」に、以下のように書いている。

 <夜、プレスセンターのアラスカで、気のおけぬ仲間と夕食。アメリカ競馬雑誌の特 派女性ライター(もちろんアメリカ人)の話が気になった。アメリカから輸入された名 馬の「その後」を取材したら、すでに死亡していた。経済的理由で種付けが終わったア メリカの名馬が殺される。それが許せない、と女性記者は憤慨する。金権の日本のシン ボル?

 ここが経済動物の悲しさ。競馬の弱点である。

 千葉県には、引退名馬の面倒を見るグループがある。しかし、これは当然だが、限ら れた善意が実現させたものである。引退した種牡馬を一堂に集めた広場をつくろうじゃ ないか、という話になる。知恵を出せば、これは実現可能だ。9時頃まで、盛り上がる >

 こう書いた。

 この事件の真相は読売では必ずしも分からないので、詳しく書いておこう。

 日記にある女性記者はジャパンタイムスの特派記者バーバラ嬢である。小さいときか ら乗馬を楽しんだ活動的な女性。何か、気の合う仲間だ。

 彼女のところに、一ヶ月前、アメリカの競馬週刊誌から「ファーディナットの消息を 調べてくれ」という依頼があった。ケンタッキーダービーを優勝したこの馬は、198 7年に種牡馬として日本に輸出された。その馬の足跡を追って、バーバラは北海道に飛 んだ。そして、意外なことに遭遇する。

 どうしても彼の所在が分からない。彼の産駒は競走馬として活躍することはなかった 。2002年春、2頭に種付けした後、彼は行方不明になった。

 バーバラは処分された、と直感した。そして、この記事をアメリカに送稿した。

 僕ら(記者は僕一人)がバーバラと夕飯を食べたのは、アメリカから、その週刊誌が 日本に送られてきた夜だった。

 「読んで!」と言われたが、英語力、著しく劣るので彼女に詳しく記事の内容を聞い た。もし、そんな「悲しいこと」が沢山、存在すると、外交的な問題になる。それより 名馬の老後の生活を保証する施設が必要だ。と話した。

 その数日後のことである。読売の記事にはないことだが、ニューヨークタイムズ紙が スポーツ面のトップで彼女の記事を引用したのだ。他のメディアも追随した。

 動物愛護団体が日本の競馬社会に対する批判が起こった。これは読売も書いているの だが、アメリカでは競争馬の処分は合法である。だから多く競馬ファンは、この記事、 この批判に比較的冷静だったが、馬の処分は誰が見ても悲しいものである。

 その時、僕は八戸のセリ市に行っていて、この騒ぎを知らなかった。27日の日曜日 、東京競馬場の花火大会で、JRAの理事から、アメリカの騒ぎを知る。

 函館記念に行っていたJRAの高橋理事長は、函館から電話で「輸入馬のその後」を 追跡調査せよ、を指示した。僕の記憶では20頭の馬のうち、19頭は元気だった。フ ァーディナットだけが行方不明だった。彼だけが、何らかの理由で処分された、という ことになるだろう。この結果をJRAはアメリカのメディアに説明して、理解を得たら しい。それが、これまでの経緯である。

 一度、整理して書こう、と思っていた。読売に先を越された。あまり深入り?すると 、より正確に、より方向性を持った記事を、と思うばかりに、記事を書くタイミングを 逃す。

 大半の日本競馬マスコミが気づかなかったのに、読売は良く気がついた。それに良く 取材している。なかなか良い記事だった。

 午後3時からTBS。また、一つ、噂。久米宏さんがニュースステーションをこの秋 、降板するという。これも、毎年出る噂だが、彼も来年は還暦。時間を大事に使いたい だろう。ちょっと文化部記者は目が離せないだろう。

 夕方、仕事場に野暮用でやって来てくれた若者(と言っても40は越えているが)と 駒形の蕎上人で「せいろ」。久しぶりに「ひまわり」。ガラガラ。夏休みが始まったの か。

 竹さんから、新しく出来る「シニア・プロフェッショナル・ネットワーク(SPN )」に登録しろ、と言う手紙。彼特有の情報交換ネットワークづくりである。

 趣旨に賛同するし、メンバーも凄い。尊敬する経済人・竹さんからのお誘いだから、 もろ手ををあげて、と行きたいところだが「シニア」という語感が気になって、どうし たものか、迷っていた。

 8日は締め切り日。「俺も世間から見ればシニアか」と納得(覚悟)して、深夜、参 加申し込み書を書く。

 台風10号は大きいようだ。

<何だか分からない今日の名文句>

人、自信と共に若く、恐怖とともに老いる

8月6日(水) グローバル仕手相場

 帰京。高速道路が激しく渋滞している。みんな、お盆休みの前に仕事を終えておこう 、ということか。

 仕方なく、運転手さんと世間話約1時間。

 Jなんとか、というシステムが導入されてから、タクシーの運転手は日誌を書く必要 がなくなったらしい。すべて衛星で一台一台の動きを監視しているので、どこで幾ら稼 いだか、どこで、サボってパチンコをしているか、すべて分かる。

 そこまで、管理するのか。新聞記者も、ナビで監視されるかも……情けない時代。人 を信じず、機械を信じる。

 運転手さんの稼ぎ。一日の売り上げ平均5万円強とか。大阪は4万円弱。54%が運 転手の取り分。月に13日、働く。

 あまり良い稼ぎではない。「運転するなら公務員」。例えば国会の運転手さん。10 00万円近い年収を貰っているらしい。

 そんな話をしているうちに仕事場に戻り、郵便物、メールを点検、掲示板を読む。

 今週の「ここだけの話」で、府立1中(現日比谷高校)67期生の機関誌「遅刻坂・ 私の8月15日特集」を書いたが、その特集を企画したMさんが他界された。霊前に僕 の「ここだけの話」が飾られた、との知らせ。関係者が皆、喜んでくれた。ちょっと早 い終戦モノだったが……間にあった。

 ニュースを遮断して熊野に遊んだので、時間をかけてこの間の情報整理。どうも株の 動きがおかしい。

 株は活況と見られているが、外資は確実な利食い売り。その後、日本の株に戻ってこ ない雰囲気である。

 それに妙な仕手筋の暗躍が見え隠れする。例の「泰山」。それに千葉の落花生業者を 中心にした「ピーナッツ・ダラー」も動いている。妙だ。

 さて9月末の株価はどう推移するのか。強気は1万1000円。弱気は7600円。 7600円なら大変なこと。アメリカの「05年大不況」の前に日本は沈没する。

<何だか分からない今日の名文句>

正念場

8月5日(火) 熊野三山

 ほぼ快晴。南紀方面での野暮用続く。ニュースも見ず、パソコンも見ないので、あま り世の中のことが分からない。

 朝、ホテルで「おけら街道」を書く。どうやら「2億円ゲットおじさん」が換金を終 えたように思うので(これ推測!)書いてみた。

 野暮用の合間に熊野本宮大社を見学。熊野速玉大社、熊野那智大社とともに「熊野三 山」の一つ。全国の熊野神社の総本山。3つも総本山があるのは妙なものだ。

 約33・2メートルの大鳥居に近い喫茶店。たまたま居合わせた老人が「元々は熊野 川の中州の大斎原にあったが、明治22年の大水害で社殿がすべて流され、現在のとこ ろに移った」と説明してくれた。

 12の神々が祀られている。158段の階段を登り詰め、参拝するのだが「あなたの 脚では無理」と、この老人、軽自動車を運転して、仲間のワンボックスを先頭誘導。裏 道を案内してくれた。

 この老人、NETを定年退職してから故郷にもどり、色々なボランティアをしている 。語り部のその一つ。生き生きしている。

 「これから、鮎取りだ。一年間に3500匹取るんだぞ」

 80歳を越えていると思われるが、その明るさに、その積極性に、その優しさに感服 する。

 大都会の被害者意識人間に、この老人の垢を飲ましてやりたい。「揚げ足取り」の偽 賢者に飲ませてやりたい。

 杉の山と分かれて、海岸線の絶景を行けば、海に明かりがチラホラ。夜になった。

<何だか分からない今日の名文句>

万物に伏して拝む

8月4日(月) ハルウララ

 快晴。南紀方面で野暮用。島影が綺麗だ。

 朝、ホテルで「ここだけの話」執筆。ちょっと早いが、終戦記念モノを書く。

 時間に余裕がある野暮用。ゆったり出来る。

 ロビーで出会った地元の人に「ハルウララ」のことを聞いた。ここから近い高知競 馬で走る7歳馬。未だに1勝も挙げていない。1998年11月にデビューして以来( 彼の計算では)91連敗。でも、走れる限り走る。引退しない。

 「ハルウララを見に行こう」というファンが増えているんだそうだ。賞金が100万 円を越えてらしい。

 好いな。こんな馬。俺も、誰にも勝つことなく、ウララして過ごそう。

 仕事らしいことを済まし、仲間に無理を言って、和歌山競輪。9レースだけ遊ぶ。固 い9−1。的中。この競輪場周辺には「戦争直後」のような雰囲気がある。言葉はきつ いが、みんないい人だ。

 岩陰に沈む夕日を見ながら、ホテルへ。何か、ほのぼのとした一日だった。

<何だか分からない今日の名文句>

無事こそ名馬

8月3日(日) ゴーストライター

 やっと梅雨明け。

 秦豊さんが亡くなった。知らなかった。

 秦さんはテレビキャスターから参院議員になった人物で社会党、社民連などを転々と した。

 20年あまり前、彼が現役のころ「本を出したい」と頼まれ、彼の「変化球はいらな い」という本を半分、書いた。(残りは当時、彼の秘書だった女性。現在、新宿区議が 書いたと記憶している)

 彼が話す話を文章にするだけ。ゴーストライターと言えるかどうか。もし、言えると すれば、唯一に幽霊ライターの経験である。(もっとも、その後、某国立大学学長にな った某学者先生監修の本も書いた。「監修」と言えば聞こえは良いが、何も知識がない のに「監修」とは恐れ入る。これは小遣い稼ぎ。だから文句も言えないが、まさか彼が 、学長になるなんてビックリした)

 さて、秦さんは、ものをはっきり言う人で、癇癪持ちだった。そこで「変化球はいら ない」というネーミングを考えついたが、彼はこの題名がえらく気に入ったようで、出 来上がると銀座の「谷」という店でご馳走してくれた。

 本は毎日新聞社で出したので、社業でもあったが、それよりも、その見返りの「情報 提供」が大きかった。

 夜中に秦さんの本を書くので、かなり疲れたが、その分、野党情報が座っているだけ で、耳に入ってきた。これも、取材活動の一つ、と認識した。(某学者先生の件では、 一方的に、こちらが情報を取られたような気がしてウンザリした)

 秦さんは、どちらかと言うと不幸だった。テレビの世界ではスターでも、政界に入る と、ただの人。このギャップに苦しんでいたように思う。

 どうして政治家になりたいかったのか分からず、一度、訊こうかと思いながら、チャ ンスがなかった。

 葬儀は、家族だけで密葬。週末は東京を離れたので、遠く哀悼の意を表する。

 週末は野暮用の旅。モバイルがあるので助かる。

 北朝鮮問題。6者協議が実現するようだが、水面下では「米朝だけの非公式会談」が 詰めに入っている。

 6者ではなく対米、というのが北朝鮮の狙い。そこに拉致家族の手紙が意味を持つ。

<何だか分からない今日の名文句>

幽霊が幽霊を送る

7月31日(木) 「水面下」のその1・拉致家族

 昨日(7月30日)の日記で最後に「もうじき8月。梅雨が開ければ……水面下で、 きな臭いことが間違いなく進行する。小泉内閣は何をやったのか。冷静に考える季節。 波乱の9月政局になだれ込む」と書いた。

 その直後、大韓毎日が「北朝鮮・拉致家族の帰国打診」と報じた。前文と本文のニュ アンスが、大分、違うので、北の真意は分かりかねるが、揺さぶりを掛けてきた、とい う感じはする。

 そして、午後には人道支援NGO「レインボーブリッジ」と言う組織が、蓮池さん、 地村さんの子供に会ったと言い出した。ウラに一物、手に荷物……。

 実は「水面下のきな臭い」と書いたのは、この騒ぎのことでもある。「水面下の」一 つが拉致家族の帰国に巡る綱引きである。

 この二年、小泉内閣は何をやったのか。それを冷静に考える時が来た。構造改革で頑 張った、と見る人もいる。何もやってはいない、と断言する人もいる。

 そんな中で、象徴的に「やったか、やらないか」を証明する材料として「拉致家族の 帰国」問題が存在するのだ。あれから早くも1年が経とうしている。拉致家族問題を放 置されているではないか。

 このままでは小泉再選、衆院選の前に、日本のマスコミは「一年経っても進展しない 日朝関係」を取り上げるだろう。小泉さんには大きなマイナス?

 逆に帰国が実現すれば、デフレ政策の失敗なんて消し飛んで、小泉・自民党圧勝だろう。

 ここはどうしても「家族の帰国」を実現して、小泉再選→衆院選圧勝を勝ち取りたい 。

 それを見透かして、日本で、北朝鮮で「水面下のこと」が進行している。

 その一つの「水面下」が突然、浮上した。しばらく、この問題はすったもんだする。 ちょっと「水面下」から浮上するが、早すぎたかも知れない。が、北朝鮮も「このカー ド」をいかに有利に切るか、悩んでいるのだろう。

 朝、駒形橋まで散歩。江戸の時代「駒形の渡し」があったところだ。男女の別れもあ った場所。

 橋の欄干にもたれていると鳩がまとわりついてくる。腹が減っているんだろう。食い 物を持っていないので、ただ傍観する。鳩の足の指は何故四本なのか?

 どうでも良いことを考えて、ボサッとする。

 帰りに脳卒中仲間を訪問。毎日新聞社主催の「江戸大博覧会」の切符を届ける。「こ こだけの話」でも取り上げたが、江戸大博覧会は評判上々。脳卒中仲間は「東芝に勤め ていた」と聞いたので「東芝の前身、田中久重が日本のエジソンだったことが判明した 。大博覧会を見れば分かる」と勧めていた。

 あいにく、脳卒中仲間は不在。仕方なく、郵便受けに入れておく。

 午後、新井さんがやって来た。文化放送のプロデューサーだったが、この春、退職し てフリーになった人である。昭和23年1月26日生まれ。同世代の仲間と言っていい だろう。

 新井さんは、曽我ひとみさんが自ら作詞した歌を聞いて、日本人が忘れたものを直感 した。

 今、私は夢をみているようです 人々の心、山、川、谷 みんな温く 美しく見えま す 空も 土地も 木もささやく お帰りなさい……のひとみさんの詩。

 この歌を広めたい。新井さんは、ビートルズ愛好の仲間であるソプラノアーティスト ・柴田智子さんと相談して、この詩を歌ってもらうことにした。

 この話を僕は「ここだけの話」で書いた。新井さんとは、そうした間柄である。

 新井さん、佐渡の地酒をもって来てくれた。曽我さんに「歌わせて欲しい」と長い長 い手紙を書いて、実現したコンサートは、6月5日、東京・紀尾井ホールで開かれた。 たまたま、僕は用事で聞きにいけなかったので、その報告。

 「お客さんが600人ほど、集まりました。牧さんのお陰です」と言ってくれた。会 場でカンパを募ったら6万円集まった。それに、彼はポケットマネーを足して10万円 にして佐渡に届けた。「これがひとみさんのお礼の手紙です」とひとみさんの葉書を見 せてくれた。

 良かった。

 僕の方からも、新井さんに相談事もあり、出前で千葉家のウナギを注文して2時間弱 、懇談。おもしろい話を幾つも聞いた。

 その後、出社。8月1日で東京本社社会部長が変わる。剛腕の事件記者・常田君は編 集局次長に選任して、後任に九州本社報道部長の玉木君がくる。「たまき節」と言われ る名文家の登場である。

 その後任には「毎日に武田あり」と言われた特ダネ野郎・武田君。いずれも腕一本の 記者ばかりだ。現場主義の人事、今までにない名人事ではないか。さすが、朝比奈流?

 それに、写真部長にマルちゃん。マルちゃんは僕が政治部で官邸長を勤めた頃、活躍 した男である。人柄の良さでは右に出る人はいない。

 久しぶりの30℃。明日は8月1日。明日こそ、梅雨明けを期待したいのだが……。

<何だか分からない今日の名文句>

君はいま 駒形あたり ほととぎす