編集長ヘッドライン日記 バックナンバー
2003.11月

11月27日(木) ジャパンカップですよ

 昼、野暮用を終えた頃、知人の突然の来訪を受ける。早稲田の先輩。経済界に詳しい 人物で、日頃、色々と教えて貰っている。

 その彼、ここ数年、ガンと闘っていた。モーレツな企業戦士で、出張中に体調が悪く なって、病院に駆け込んだらガンが分かった。潔く社長の座を後輩に譲って、ガンと闘 った。

 夜も眠れない日もあったが、見事、肉体的にも、精神的にも立ち直った。凄い。

 「ところが、今年の8月です。妻が急死したんです」。言葉を失った。何という試練 ……。

 「8,9月は何も出来なくて……ほとんど海外出張で家を空け、妻との生活はおざな りでした。やっと二人だけの人生になったのに……」

 うっすら涙が出ている。僕に何が出来るのか。倅さんは独立して地方にいるようだが 、一人は淋しいだろう。「新年になったら、一緒に酒を飲みにいきましょう」と約束し た。そのくらいしか、思いつかない。

 3時、歯医者。夜、プレスセンターの和風レストランで、某党の若手議員の誘いで夕 食。初対面。僕の「ここだけの話・アヘンと『脳力』」に対する率直な意見を話したい 、とのことである。

 某党では正式に抗議すべきだ、という意見もあった、と彼は言う。僕のコラムを党批 判と思っているらしい。僕も、率直に話した。約1時間半。もちろん、割り勘。

 たまたま、同じ階の日本記者クラブでスレ違った先輩記者は「企業内ジャーナリスト で、今時、こんなに活きの良いコラムを書くのは君だけだ。頑張ってくれ」と激賞・激 励してくれた。

 読者によって、あまりに反応が違い過ぎる。プレッシャーを感じながらも「柔軟にし て果敢な言論」を守るつもり。少なくとも、書いたもので批判されるのは「試練」では なく、普通の事と思えばいい。

 7時半過ぎ。西新宿・センチュリーハイアット東京で「ジャパンカップ歓迎会」。盛 況。ことしは「草加煎餅」の実演販売、似顔絵。飴細工……工夫を凝らした「金の掛か らない企画」が並んでいる。

 ことしはジョハーをはじめとして、外国参戦馬が粒ぞろい。会場では、脚の腫れで調 教をしなかったジョハーの調子が話題。吉田照哉さんは「マンデラ調教師は満足のいか ない馬を出すことはない」と力説する。その辺が予想の分かれ道か。

 「栄鮨に行こう」と誘われたが、少し疲れたので二次会辞退。10時前に仕事場に戻 る。

 八戸の「しゅんちゃん」からメールで「かにサボテン」の写真が送られてきた。「必 ず、12月に満開になる。もう10年も生きている」。落ち込み激しい僕に激励のかに サボテンの映像。ありがとう。

 綺麗だ。強い花だ。かにサボテンの花言葉は「恋の年頃」ではなかったか。しゅんち ゃん、そんな年頃?

 朝日新聞社会部から取材の申し込みあり。受けるつもり。

<何だか分からない今日の名文句>

言論は芝も、ダートも、障害もあり

11月26日(水) チンパンジー

 快晴。雲一つない。こんな日は一年に何度もないだろう。朝、考えた末、例の「小さ な果樹園」の頒布会に申し込む。通販地獄がまた進むけど。

 午前中に野暮用を済まして、浅草から東武動物公園へ向かった。チンパンジーに会い たくなった。このところ、当方、幾分スランプ(いや、性格にはストレス?)。

 動物の中で「俺の気持ち」を分かってくれるのはチンパンジーしかいない。馬も、 犬も、分かってくれるのだが、深淵なことになるとチンパンジーしかいない。

 人間さまに「思い」を打ち開けたらいいのに……と言われそうだが、人間様はそれほ ど信用出来ない。やっぱり、チンパンジーだ。

 新聞社に入って研修20日目。「何でも良い。記事らしいものを書け!」と見谷編集 局次長に命令された。(毎日新聞でただ一人、日大一高の先輩だった見谷さんはその後 、西部本社の局長になったが急逝した。とても優しい先輩だったが、僕には厳しかった )。

 「記事を書け!」と言われても……何も材料が浮かばない。ただただ街を歩き、挙げ 句、実家(今、仕事場と称しているところ)に比較的近い上野動物園にたどり着いた。

 チンパンジーの檻の前でボサッとしていた。「何を書いたらいいのかな?」と奴に聞 いたら、チンパンジー君、しばらく考えていたが「それだったら、俺のことを書いたら 良いじゃないか」と言ってくれた。

 そこで「チンパンジーの近況と1967年の流行」のような原稿を書いた。出来の悪 い原稿だったと思うが、見谷さんは「動物ものは、それだけで読まれるモノだ。お前、 記者に向いているかも知れない」と誉めてくれた。

 それから、時々、と言っても、数年に一度、チンパンジーに会いたくなる。

 東武動物園は初めてである。チンパンジーがいるかしら、と少し心配だったが、これ まで「チンパンジーがいない動物園」に出会ったことはない。日本には400頭ぐらい いるから、まず「不在」ということはない。

 杉並木が紅葉していた。桜の赤い葉が道に落ちて、サラサラ舞っている。

 遊園地の反対側の西口ゲートから入る。人影まばら。シカの森、サル山を経て、チン パンジーの檻。いたいた。化石のようにじっとしていた。真っ黒い岩のようだ。

 動かない。全く動かない。10分経っても、全く動かない。死んでいるのか、と思う ほど動かない。従って、当方も動かない。

 奴が動き回り、何やら道具を使うところを見たかったのだが……動かない。孤独なの か。鬱病かな。

 霊長類で道具を作り、道具を使うのは人間のほかにはチンパンジーしかいない。道具 を使う奴の動きで、何かを感じたい。ヒントが欲しい。

 ジッと待つ。15分ぐらい経って、奴、目をカッと開いた。黒い固まりが、目を開い ただけで、周囲を圧倒する。この迫力!

 そうか、これはパントマイムの世界だ。

 チンパンジーは、長い長い「マ」を取ることで、周囲を圧倒する。やがて勝つ。賢い 。人間より賢い。

 当分、これで、行くか。

 奴、グルッと背中を向けた。この姿が滑稽で、滑稽で……チンプ、ありがとう。参考 になったぜ。

 俺、負けないからな。

<何だか分からない今日の名文句>

サル真似に壁なし

11月25日(火) 通販にハマる

 雨、強い雨。午前中は仕事場で野暮用。午後から出社すると、数人の同僚から「大変 だな」と声を掛けれれた。

 先週の「ここだけの話・アヘンと『脳力』」の読者の反応。「的確な分析」という声 もあるが、批判が多い。

 「自民党は衆院選でこれまで以上に公明党票を貰って、当選したが、結果的に力をな くしてしまうのでは」という趣旨のことを書いた。分かりやすく「公明党票というアヘ ンに溺れてはいないか」……という表現を使ったが、一部の読者にはこれが気に入らな かったのだろう。「抗議」が相次いでいるらしい。

 自民党関係者からの「抗議」はまるでなく、すべて創価学会の人々のようだ。もちろ ん「公明党が市民に取ってアヘンだ」なんて思ってはいないし、書いたつもりもない。 足腰が弱った政権党・自民党に取って「アヘン」だと書いたつもりだが……。

 JRA六本木事務所で野暮用。その後、社で打ち合わせ。珍しく社にいる時間が多く なった。

 夜「我が家の果樹園12ヶ月」という通販に応募しようか、悩む。柚子の木が欲しい 。サクランボの木が欲しい。ところが、なかなか街の花屋にはない。あっても、持って 帰ることが出来ない。

 それなら、毎月毎月、果実がたわわになった頃、届く「小さな果樹園」。一年で12 本。良いじゃないか。

 気分的に「下品な記者だ」なんて言われ、落ち込んだ時、近くに「小さな果樹園」 があったら、気分も晴れるかも知れない。

 とは、思うのだが、このところ、通販にハマって、この間も「顔面トレーニング器具 」を買った。右の顔面をまともにしようと思った買い物だが、結構、お高い。どうし たものか。

 悩みながら、ウトウトしてしまった。

<何だか分からない今日の名文句>

気がつけば通販地獄

11月24日(月) 「山口組若頭」

 秋の3連休、最後の休日。終日「山口組若頭」(洋泉社)を読む。洋泉社のアウトロ ーMOOKシリーズは戦後ヤクザ年表を読むような便利さがある。

 「若頭」は山口組の独自のポストである。初代の山口春吉の時代は実子・登が子分の リーダーのような立場にあって「若(ワカ)」と呼ばれた。その「若」が二代目になっ た。まだ「若頭」という名前はなかった。

 二代目山口組では、どうだったのか。これは定かではないが「田岡一雄自伝」には「 二代目・登の最後の若頭を勤めたのは澄田寿三だった」とある。多分、このポストは二 代目山口組から存在したのだろう。

 三代目の田岡時代になってからは、暫く「若頭」はいなかった。昭和21年六月の神戸市 須磨の「延命軒」での三代目襲名式には「若頭」の記録はない。それから数年たって「マ ンマン」こと安原政雄が「若頭」になった。

 それから安原→地道行雄→梶原清晴→山本健一→竹中正久→中山勝正→渡辺芳則→宅 見勝と8人の「若頭」が誕生した。そのうち、竹中(後に四代目)、中山、宅見は暗殺 された。山本は獄中で過労死。梶原は釣りに行って、高波にのまれ事故死。現5代目組 長の渡辺以外は、無念の死を遂げている。「若頭」は栄光の階段にいるが、死と隣り合 わせだ。僕は警視庁捜査4課を担当した時、大スクープしたことがある。数少ない特 ダネの一つとして、今でも誇りに思っている。昭和47年、当時、敵対する関係にあっ た山口組と稲川会が「盃」をすることをキャッチした。「若頭」の山本健一と稲川会の 石井進理事長(稲川会では「子分のリーダーを「理事長」と呼んだ)が兄弟分の盃をす る。これは昭和極道史に残る画期的な出来事だった。

 某氏から、この情報を貰って「社会面のトップだ!」と息込んだが、このスクープは 社会面の3段扱い。小さい小さい特ダネ記事になったが、思い出のスクープだ。

 この盃事はこの本にも記録されていた。この盃には警察権力と対峙する東西ヤクザ連 合の結成という意味があった。

 いずれにしても「山口組若頭」の動向がヤクザの歴史を変える。

 ヤクザと政界は深い繋がりにある。五代目山口組宅見勝は企業舎弟(フロント企 業)を使って資金を吸い上げる「経済ヤクザ」で、一時、1000億円を自由に使った 、とされている。が、その彼の背後に「イトマン事件の許永中」がおり、そのまた「許 永中」の背後には総理大臣経験者Tさんがいた。これを書かないと、正確な歴史のデッ サンにならない。

 その流れの中で、宅見勝は暗殺された。

 その暗殺後「山口組若頭」は空席。ここに来て、誰が「次期若頭」になるのかが、俄 然、注目されている。「闇金の帝王」が逮捕されたことも「次期若頭決定」に関係する だろう。

 そんな時なので、この本「山口組若頭」を読んで「流れ」を整理しておこうと思った 。220ページを一日掛かって読破。最後の休日、他に何も出来なかった。

<何だか分からない今日の名文句>

栄光とは「光と陰」

11月23日(月)  淀の旅打ち

 22日午前7時40分、急に「京都行き」を決意、仕事場を出る。我がレースウイン グが京都8レースに出る。新聞を見ると、ガチガチの本命? 本当だろうか。

 前回、福島で11ヶ月ぶりに出走して、500万下で勝ったが、もう一度、同じ条件 で走れる。喉なりで、手術をした関係で、乾燥が彼の体調に悪いらしいので、ちょっと 雨が降った方が良いかも知れない。祈るような気持ち。

 前回、レース後の「口取り」に間に会わなかったので、今回こそは「口取り」に写り たい。

 東京駅に着くと、新幹線は満員。「のぞみ」「ひかり」の指定席は満杯。グリーンに 若干の空席がある8時56分の「こだま」に滑り込む。

 何度も何度も後続の「のぞみ」に抜かれ「ひかり」に抜かれたが、琵琶湖のあたりで 、綺麗な虹。これは良いこと有りそうな。12時半過ぎ、やっと京都着。

 秋の行楽シーズン。タクシー乗り場で待たされて、それでも、何とか8レース出走直 前に淀に着いた。

 横綱相撲だった。6馬身離して楽勝。安カツと「口取り写真」に収まった。同じ「口 取り」の人が「おけら街道、読んでいます」と言ってくれた。

 レース中、喉鳴りがしたらしいが「大丈夫だろう」と安カツ。1000万下でもいけ るかも知れない。

 夜、友人と伏見桃山駅の近くの居酒屋で夕食。ご馳走になる。馬刺に赤ワイン。「た てがみ」の白い部分が珍味。

 翌23日は「マイルCS」。安カツに恩義を感じ、エイシンチャンプから ミレニアムバイオ、サイドワインダー、デュランダル、ファインモーションに流すが、 肝心のエイシン、馬群に沈む。

 2日間で、3勝6敗。収支トントンで淀の旅打ちは終わった。

<何だか分からない今日の名文句>

電車賃は愛情だから

11月20日(木) 愛犬用おせち

 いつものように、埼玉県草加市に住む「地震研究家」の老人からお歳暮が届いた。草 加煎餅である。

 喪中を知らせる葉書も連日のように舞い込む。こんな季節になったのか。

 昼、来客一組。終わってから、二の酉に行くか、買い物に行くか、悩んだ末、銀座に 歳暮の注文に出かける。「早トク」、つまり早く注文すれば格安になるビール、讃岐う どんを注文する。

 馬券だって、朝トク馬券があって当然だ。

 ついでに「おせち商戦」を覗いてみる。少人数向けの1万〜3万円ぐらいが売れてい る。超高級ホテルの正月が姿を消し、家にいて正月を手軽に楽しもうとするのが流れな のか。

 高島屋は「愛犬用おせち」を売っていた。カボチャ、サツマイモのキントン。煮干し をゴマ油で味付けした田作り、発芽玄米の「お祝いごはん」。

 税込み1680円。ペットブームもここまで来たのか。

 銀座・教文館で「無念は力」(坂上遼著)を購入する。浅草橋の本屋ではなくって、 やっと探し当てた。

 伝説のルポライター児玉隆也さんの38年の短い人生を探訪した作品。筆者は放送局 勤務の人らしい。

 仕事場に戻って一気に読む。おもしろい。

 文章は必ずしも上手ではないが、実に良く取材している。何しろ、六年かけての取材 。ただ、証言者の一方的な見方をそのままにして、バランスに欠けている感じもするが ……とにかく、おもしろい。

 もちろん角栄失脚の引き金になった「淋しき越山会女王」が出来るまでの曲折がメイ ン。日記を書く暇がないくらい、おもしろかった。

<何だか分からない今日の名文句>

思いこみ」がなけりゃ
でも「思いこみ」だけでは

11月19日(水) ありがとう。100万件!

 午後2時。競馬運営委員会。来年はJRA創立50年。色々なイベントが用意されて いるが、僕には「ご愛顧に応えるもの」はない、という印象。

 せめて土曜日の朝から来るファンに応えるために「土曜1レースはタイムサービスレ ース」として、寺銭を20%にして、的中払い戻しを高くしろ、と意見を述べた。「払 戻馬連8600円+サービス払戻1400円」で万馬券……と言ったサービス。スーパ ーだって、飛行機だってタイムサービスが普通だ。

 JRAを民間にしなくても、このくらいのサービスは出来る。

 高校の友人が理事長を務める業界団体で講演。熱心に聞いてくれた。

 これまで日記でも書かないでいた「足利銀行の国有化問題」。この日、発売の週刊文 春、週刊新潮が書いてしまったので「新しいニュース」として若干、触れてみた。もち ろん、北朝鮮との外為窓口一本化がその陰にある。

 会場で友人の倅「太郎クン」に挨拶された。友人は僕と出会った高校時代「倅が生ま れたら太郎にしよう」と決めていた、と「太郎クン」は言う。本当かしら。でも、当時 、会員14万人の郵便友の会全国委員長で、首席で卒業。だれも信じないだろうが、僕 は一応「非進学校のスター」だった。

 「太郎クン」は30歳。親父の跡を継ぐらしい。

 夜、帰ると「二代目魁」のアクセス件数が100万を越えていた。3年4ヶ月。もう 少し早く、100万件に達成すると思ったが、個人のホームページでは、1日1500 を越すアクセスは人気ホームページなんだそうだ。

 何か、ことある時、言論人として、このホームページは力になる。毎日読んでくれる 皆さんを大事にしなければ……。

 それより、掲示板に読んで貰いたい一文があった。真砂さんの「官僚の悪巧み」。必 読。

<何だか分からない今日の名文句>

賢い「悪巧み」 間抜けな「悪巧み」

11月18日(水) 国と民の契約

 土曜日の早朝、フジテレビで「週刊フジテレビ批評」という番組があるらしい。

 日本テレビの視聴率操作・ねつ造事件をはじめ、テレビメディアのあり方が問われて いる昨今、自らが自らの番組を検証する、ある意味で珍しい番組。

 メールで、この番組を作っている人から出演依頼があった。有り難いことだ。興味は あるが、実は、この13年間、テレビは出ないことにしている。理由は簡単。脳卒中の 後遺症で顔が歪んでいるからだ。それだけのことで、別に他意はない。

 テレビに出ないと、ジャーナリストとして影響力が全くなくなる、ということになれ ば考えるが、まだ筆一本で説得力を持ち得る時代だ、と信じているから……。

 いちいち理由を説明することもないので「テレビは苦手なので、申し訳ない」と謝る と、先方は「そうですか」と意外そうだった。

 午前中は歯医者。東京駅から帝国ホテルまで歩く。街だね取材? その後、JRA六 本木事務所で野暮用。

 夜「ここだけの話」を読んだ読者からメールで感想が来る。中には「良く書いたが、 圧力に負けるな」というものもある。

 タイトルは「公明党はアヘン」とせず「アヘンと『脳力』」としたところで、多少、 気を使ったけれど、別に「圧力」は感じない。もともと「言いたい放題」のジャーナリ ストを目指しているから、有る程度の覚悟はある。

 かつて2、3回「生命の危険」を感じたこともあったが、このくらいのことでは、別 に命まで取ろう、と思う人はいないだろう。

 「自衛隊派遣なら東京の中心部を攻撃する」というアルカイダの発信。「脅しに屈し てはならない」と小泉さん。

 派遣問題には意見がある。が「屈する」「屈しない」の前に、万全な警備体制を作っ ておくこと。オウムに地下鉄サリンを可能にした日本国だ。

 国民の安全を守ることが国家と国民の契約。アメリカのための石油戦略に組みするの が国益、と考えたとしても、まずは自国民の安全である。

<何だか分からない今日の名文句>

税金は契約料

11月17日(火) モンローの死因

 時々、変なことに興味を持つ。朝「BRIO12月号」を読んでいたら「お尻とその 穴の文化史」という本の紹介記事が載っていた。(山崎浩一さんの書評)

 何やら、歴史・文学・芸術に造詣が深い、外国人の消化器科専門医(肛門科ではない )が書いたものらしいが、おもしろそうだ。

 人間の入り口、出口に興味を持つのは当然で、非常に興味を持つ。近くの本屋を数軒 、回ったがなかった。

 「マリリン・モンローの死因は浣腸による事故死」と書いているらしいが、是非、読 んでみたい。

 ついでにエロ週刊誌「週刊大衆」を買う。小泉さんは12月突如辞任、という見出し が気になって、読んでみたが、根拠なし。でも、政界、大穴が当たることもある。

 選挙が終われば株価は下がる、と小生、言い続けたが、下がっている。みんなに根拠 がない、と言われたが「根拠がなくても、自然の理」というものがある。僕から考えれ ば「小泉退陣」だって「自然の理」に近い。

 「ここだけの話」は、持論「公明党アヘン論」を書く。読んでくれ。

 「コミュニティケア」編集部に電話で「連載中の『街角スケッチ』を今年で辞めたい 」と通告した。理由は頼まれた時、期限を決めなかったが、3年書けば「義理」は果た した、と思う。読者の反応を聞かせてくれる編集部でもなく、FAXで「締め切り期限 」を知らせてくるだけの編集部に「一体感」を感じない。まあ、僕のメリットとしては 「介護の勉強」になったこと。また、全く意味がなかった、という訳ではないが。

 徐々に書くモノを選別しなければ……そういう年頃になった。

 午後、丸の内歯科。終わって出社。たまちゃんから「『競馬はロマン』は笑辞典編に なって2年経ったので、スタイルを変えたら」というアドバイス。

 11月半ば。年末になってきた。

<何だか分からない今日の名文句>

人間は一本の管

11月16日(日) 九州紀行

 野暮用で週末を九州で過ごした。

 良かったこと。佐賀市の歴史民俗館に12日、カフェがオープンした。旧古賀銀行の 古い店舗を民俗館にしているのだが、その一階部分がまるで大正の時代のモダンカフェ になった。

 ピアノの演奏。コーヒーはやたら旨い。市が喫茶店店主を公募して始めたようだが、 こんな落ち着いたカフェは見たこともない。ゆったりとした時間が流れる。秀逸。

 知り合いのおじいちゃんが眠る寺。庭の砂を丁寧に丁寧に掃いている。佐賀は良い町 だ。

 佐賀郊外の「九年庵」の紅葉を見る予定だったが、一般公開するのが一日早くて断念 。仕方なく、特急「かもめ」に乗って、武雄温泉へ。競輪で防府記念の場外を買う。車 券は外れたが、山肌にこびりついている競輪場はおおらかで、うれしい。これも良かっ たことの一つ。

 嫌だったこと。嬉野温泉の某有名ホテル。見ると聞くとは大違い。絶対、行くな。馬 鹿高い宿泊料金。飯はまずい。風呂は男女二時間交代制。落ち着いて風呂にも入れない 。そして、帰りがけに「半額券」を差し出す。

 騙された気分。何という、やらずぶったくり。

 二度と行かない。広告料で作っている旅行ガイドブックにも責任がある。

 一番、感激したのは玄海灘の「加部島」。福岡から車で1時間半。呼子大橋が出来て 、車で行かれるようになった。魚がうまい。イカの活き造りが絶品。風が見える公園は 島のてっぺん。360度の玄界灘。何遍も行くぞ!

 16日、博多のホテルでTBSラジオの電話出演。1年納めの九州場所が、定員88 00人のところ、4500人程度しか、客が入らないこと。

 福岡・杷木町の女性町長が、町税徴収率が悪いので、町民から税務署に還付申請があ ったように見せかけて、町が還付金をチョロまかし、徴税滞納分の穴埋めにしていたこ と。等々を話した。九州は一段と不景気。

 相棒の江口さんから「エリザベス女王杯の予想は?」と聞かれ、5−7は固い。3着 は自信がないがダイアモンドビコーでどうだろう。5−7−9の三連復」と答える。

 活気あふれる福岡副都心を見学してから空港へ。エリザベス女王杯の結果をたまちゃ んの携帯に聞くと、アドマイヤグルーヴが勝った。最後に1冠。万歳! おかあさん、 喜んでいるぜ。ビコーは6着。馬券は駄目だった。

 八戸の友達・坂本牧場が生産したマイネルドレスデンは5レースの新馬戦に出て六着 。こちらも至極残念。でも差はわずか。次走、期待。

 夜、羽田着。九州より暖かかった。

<何だか分からない今日の名文句>

佐賀は夢回廊

11月13日(木) 小泉さんは阿片を飲んだ

 朝、寒い。野暮用で東京を離れる。

 「世界」の岡本編集長から「衆院選総括」を書かないかという誘いがあったが、断る 。理由その1、時間がない。その2、「毎日新聞」の方が「世界」より読者の反応が敏 感である。それは当然だが、このホームページと比べても「世界」の反応が少なすぎる 気がする。部数が少ないのか。

 部数は少なくて良いが、あまりに唯我独尊の作り。たまたまではあるが、今月号にオ ウム弁護団長の意見が載っている。この意見に反対だから「世界」が嫌になった、とい う訳ではない。言論は多彩であった方が良い。しかし、彼の意見だけを載せるのでは、 あまりにバランス感覚を欠く。気に入らない。そういうバランス感覚がない雑誌にもの を書いて良いのか、と思ったりする。

 岡本君とは親しい。過去に連載もした。しかし、唯我独尊の「世界」は、すでに役割 を終えたのではないのか。と書くのは容易いが、この雑誌を愛する者としては、岩波書 店に「新世界」構築をお願いすべきなのかも知れない。

 考えてみれば、いまこそ「平和」を大切にしなければならないのに……「世界」の影 響力はあまりにも非力だ。

 衆院選分析その2。小泉自民党は「阿片」を飲んだ。

 「阿片」とは公明党である。本来の自民党支持者に「比例区は公明党に」と頭を下げ た「小泉さんの盟友・山崎さん」。この「山崎現象」はどこにでもあった。僕の友人の 自民党地域責任者が「比例区は公明党、と約束して、小選挙区の候補に公明党票を集め た」と話している。

 公明党という「阿片」を飲んだ小泉自民は健康体にももどるかどうか。公明党がいな ければ、自民党は第2党だったかも知れない。ある日、明日をも知らぬ「死にそうな自 民」が現実になるかもしれない。

 土井さん、社民党委員長を辞任。「阿片」を飲みながら10議席なくした小泉さんこ そ「隠れた戦犯」なのに。

 小泉さんのもう一つの薬「ブッシュ覚醒剤」も問題だ。そろそろ、本当の「日米同盟 」は、ブッシュと仲良くすることではないと気づいてくれ。

 野暮用を終え、当地の「纏ずし」で満腹。エリザベス女王杯を検討。アドマイヤグル ープに最後の1冠を!豊、GI連敗を13で止めろ!

<何だか分からない今日の名文句>

自民学会党

11月12日(水) まき太郎

 神原勝・北大教授から手紙が来た。僕の「衆院選 私の見方」が良かった、という感 想と「道新にも“まき太郎”が出ている」という報告?

 同封の道新の切り抜きは「まき太郎 九州に出張」。「まき太郎」はまきを燃料にし て走るバス。全国で一つしかないらしい。

 四国には牛乳「牧太郎」があるが、同姓同名の会を開こうかしら。

 もちろん、教授の本当の用事は、彼が作った「札幌市自治基本条例の構想私案」(神 原私案)を読んでくれ、ということ。

 札幌市では、制令指定都市初の異例の再選挙で44年ぶりの民間市長が誕生。自治基 本条例を作ることになった。

 そのたたき台なのだろう。市民合意と自己責任。そういう地方にならなくては。一日 がかりで読む。日記を書く余裕がないほど、難しい。

 夕方、野暮用でJRA六本木事務所。

 「世界」の岡本編集長から「衆院選総括」を書かないかというメールが来ているのだ が、どうしたものか。書いてみたい気持ちもするが、時間的余裕がない。

<何だか分からない今日の名文句>

増分主義との決別

11月11日(火) 笹川さんの親子ロマン

 笹川陽平さんが「2000年の歴史を鑑として」という小冊子を送っきた。陽平さ んは戦前、国粋大衆党総裁を努めた右翼の首領・笹川良一さんの3男。日本財団の理事 長である。

 良一さんは戦後、競艇を手がけて、巨万の寺銭を稼いで、これを元に公益、慈善事業 を進め「世界は一家、人類は皆兄弟」を主張した。

 実は、父・小林春吉が銀座7丁目で「天ぷらや」を開いていた時、良一さんと隣組だ ったようで、僕が春吉の「日本橋総覧」(日本魁新聞社刊)の復刻した時、陽平さんに 献本した。陽平さんを紹介してくれたのはたまちゃんである。

 それ以降、親しくしてもらっているが、陽平さんは父親に劣らぬ人物である。

 良一さんは1972年の日中国交回復以降「歴史上、日本は中国の恩恵を受けた」と 考え、20億円を無償で提供して、中国の医師1000人を日本で研修させた。

 この事業を陽平さんが引き継いでいる。それだけではない。ありとあらゆる側面で中 国を支援した。中国にものが言える数少ない人物になっている。

 小冊子「2000年の歴史に鑑として」は日中国交正常化30周年祝賀式典で陽平さ んが挨拶したものを掲載したものである。

 この中で彼は「ともすれば、日本のメディアに報じられる中国首脳の談話は恒に『歴 史を鑑として』とあるが、自分は『2000年の歴史を鑑として』としたい。そうなら ば、日本人のこの言葉に対する取り方も、相当、気持ちの上で楽になる」と話している 。

 これは正論である。日本が帝国主義化した昭和を「歴史」と考えず「2000年」を 「歴史」と考えれば、もっと深いつながりになる。

 これを言えるのは、陽平さんのような自由な立場だから可能だ。政治家でもなく、商 売人でもない。

 その立場が確立されているのは、もちろん、競艇ファンの努力である。これだけは、 忘れて貰っては困る。彼が、それを良く理解しているから、付き合える。

 はっきり言って、外務省より陽平さんの方が国際情報は的確だ。これも競艇ファンの お陰だ。

 朝「たいとう診療所」。雨の中、若干の野暮用。

 上山競馬場最後の日。どうしても行きたかったが、経済力の貧困、暇なし、それに雨 、で断念。八戸のメール友達から「うちの牧場で生まれたセキショウオペラ牝7歳が無 事最後のレースを終えた」と報告。良かった。

 彼女の牧場に繁殖牝馬として帰ってくる。良かった、良かった。でも、行き先のない 馬は?

<何だか分からない今日の名文句>

寺銭は誰のモノ

11月10日(月) 検察が二大政党時代を作った

 衆院選の「僕なりの総括」その1。

 11月10日の朝日新聞朝刊。コラムリスト早野透さんが「小泉改革が時代を回した 」と書いている。

 別に異論を挟む訳ではない。そうした一面ももちろんあるが、僕は全く違う視点で、 今回の衆院選の結果を分析している。時代はそんなにきれい事ではない、と思うからだ 。

 それを早野流に表現すれば「検察が護憲勢力をつぶした」とでも言えば良いだろう。

 今回の社民党凋落のきっかけは「あなたは疑惑の総合商社ですよ!」と言った、あの 数少ない社民のスターが逮捕されたことにある。もちろん、すでに社民は手足がもろく なっていて、いずれは崩壊の道を進むであろうことは危惧されていていた。が、検察が その足を早く引っ張った。

 検察はその一方で、同じような秘書給与疑惑の真紀子を衆院選直前に許した。「立候 補しなさい」と言わんばかりに許した。何故だろう。何か、義理立てする必要があった のか。分からない。

 これは推測だ。「反創価学会のS」の国会返り咲きを快く思っていない存在が有ると すれば、是非とも、真紀子の出馬が必要だった。

 Sは「民主公認」を失い、惨敗した。気の毒である。

 もちろん、逮捕すれば出来た? 加藤紘一さんを不起訴にした判断。彼の「お詫び行脚 →返り咲き→自民復帰」を可能にした。検察は巨大だ。

 検察はそんな政治的な動きをしていない、と言う人もいるだろう。そうかも知れない 。だが、それを証明するのなら、闇の中の道路公団大汚職を摘発してから言ってくれ。 正義の検察に期待大。

 午前中、少し寝て「おけら街道」を書き、野暮用で外出。途中、乗り合わせたタクシ ーが出会い頭に衝突事故。運良く無事。むち打ちの心配もない。

 出社後、編集局幹部と「社民、共産も第3局形成」について雑談。

 深夜「月刊現代」の三井元大阪高検公安部長の「検察と山口組の消えた2億円」を読 む。本当なら、怖い話だ。

 今週の「ここだけの話」は選挙が終わるまで掲載を待った「オウム最終弁論批判」。 タイミングをわざと遅らせたが……じっくり読んでくれ。

<何だか分からない今日の名文句>

小異を存して体制につく人々

11月9日(日) 偽りの二大政党?

 7日、朝刊を広げてみると、毎日新聞19面に「200の声 MAINICHI MONITOR」 という欄に人気コラムの“採点”が載っている。

 全国で200人のモニターが、どんなコラムを読んでいるか。どんな感想を持ってい るか。その声を載せている。

 「余録」「近事片々」「近聞遠見」「発信箱」「おんなの気持ち」「優楽町」と共に 「牧太郎のここだけの話」も好評なコラムとして紹介されている。うれしい。

 読者の少ない夕刊で、しかも関西、近畿、四国、中国地方では掲載されていない僕の コラムにお客さんがいる。うれしい。

 「『牧太郎のここだけの話』」を増やして欲しい」という注文まで紹介されている。 何とか、全国区各地で読んで貰いたいのだが……これは社内政治が苦手なことに原因が あるのかな。また、頼んでみるか。

 8日の午後、文化放送のみのもんたの番組にゲスト出演。「今回の選挙は護憲政党を はじき出すもの。二大政党に移行することが、結果的に憲法改正に繋がる」というよう なことを話した。

 マスコミは何故か「憲法」を争点から外しているが、本当のところは「改憲準備選挙 」である。

 民主党の「未知への魅力」で、護憲政党を埋没する。これで良いのか。とは言っても 、共産にも、社民にも、魅力らしいものはまったくない。

 番組の担当者は「選挙後の動き」を知りたいらしく、しきりに、みのさん「自民党が 勝ったらどうなるの?」と聞く。「出口調査の中身が官邸や民主党に入るが明日の昼頃だ から、その頃から、永田町の動きは忙しくなる。自民党の勝ち方、負け方によっては政 変になるかもしれない」とだけ話した。

 みのさんは「出口調査の結果が放送前に各政党に流れるのか」と驚いていたが……。 さて、政変になるのか。

 9日の福島競馬3R。我が愛馬・レースウィングが11ヶ月ぶりに出走。見事、優勝 。万歳!万歳!

 昨年12月、未勝利のままで500万下に挑戦して、5身差の楽勝。「遅れてきた大 物」と言われたのだが、その直後、脚に故障が発生して一年棒に振った。

 関係者の努力を知るから、勝ててうれしい。

 9日は深夜まで選挙結果分析。

 予想通りだった。投票率は低く、はっきりいって、組織政党・公明党の一人勝ち。3 議席増やしたことも大きいが、それ以上に、自民党の第1党転落を防いだ。小選挙区の 自民党候補は公明党に「下駄」を履かせて貰って、辛うじて当選している。公明党の発 言力は一段と強まる。

 民主党の40議席増も予想通り。「未知の魅力」で取りあえず躍進した。新自由クラ ブしかり、日本新党しかり、無党派層は「新党人気」に投票する。しかし、この人気が 参院選に繋がるか。それが正念場。いずれにしろ、政界再編成は必死だが、その時期が 分かり辛い。

 社民、共産は時代感覚に疎いので、予想通り、一桁政党になった。いずれ社民は解党 だろう。

 「2大政党時代到来」と当分、騒ぐだろうが、公明党に首根っこを押さえられた自民 と、安全保障問題を先送りする民主。とても本格的な2大政党とは言えない。

 それとは別に、自民党の伸び悩みについては、さらに分析が必要で、新聞が「自民単 独安定多数」と書いたアナウンス効果。それに藤井問題の不手際、真紀子の言いたい放 題、加藤紘一の事実上の公認問題、中曽根見殺し問題……とマイナス要因はあったが、 どれが原因だか、分からない。

 早朝、各紙の見出しが出そろう。毎日、東京、朝日が「自民伸びず、民主躍進」と言 った感じで、産経、読売、日経は「与党、絶対多数」に力点を置く。新聞も2大潮流?

 それよりも、個人的に言えば「男らしくない副総裁」が落選したのは幸甚である。

<何だか分からない今日の名文句>

自分の足で歩こじゃないか
下駄を履たら、躓くものさ

11月6日(木) 髪結いお婆ちゃん、逝く

 衆院選は今週の日曜日。毎日新聞「衆院選 私の見方」を読まなかった知人から「評 判らしいが、どんなことを書いたんだ?」という電話が掛かってきた。それの数件。か なり本音を書いたから、話題になっているのだろう。毎日新聞以外の購読者も多いので 、あえて全文をこの日記に引用したい。(毎日新聞で、すでに読んでくれた人には、二 重になって申し訳ない)

 隠された争点は改憲(11月4日毎日新聞朝刊掲載)

 権力は「嘘つき」だ。犯罪的であるかどうかは別にして、恒常的に事実を隠蔽する。 その点、権力を失った者は決まって「正直」になる。

 道路公団の前総裁が「あってはならないこと」を言い出すのも、権力から非権力への 移行がそうさせる。

 選挙は「嘘のつきあい」だが、時に非権力の「正直」が混じるから、思わぬドラマが 生まれる。

 例えば、公示寸前まで揉め続けた「小泉VS中曽根・引退騒ぎ」。若返りを強行する 非礼宰相と、引退を拒否する「頑迷な新保守の元祖」……と解説されたが、それほど短 絡ではない。

 行く行く、その「謎説き」をするとにして……ともかく、2003秋、権力の「嘘」 は目に余る。例えばマニフェストという嘘。民衆を裏切り続けた政党が「公約」をマニ フェストと横文字に変えただけで悔い改めるのか。まあ冷静に見て、これは「嘘」だ。

 「嘘」のその2。二大政党時代到来という「嘘」。政権を取るためには「何でもあり 」の離合集散。選挙前に慌てて合併した新「民主」は国家観がまるで違う人々が集まっ ている。安全保障問題では一枚岩とは言いかねる。平気で握手をして、突然、空中分解 のが、権力の常。どうやら、ここにも「嘘」がある。

 (以下は『 』の中は、紙面が足りず、新聞では削った部分。

 『「嘘」のその3「私の首相時代は消費税はあげない」。その4「高速道路はタダ」 その5……切りがない。「嘘」のオンパレードである。「嘘」を「嘘」と言えないマス コミは非力だ。情報公開の“美名”の下で仕掛けられる非権力の内部告発は、先を争っ て報じるが、冷静な自らの分析力で「嘘」を暴き出すことがどうも苦手だ。だから民衆 は苛立つ』)

 そんな中で中曽根さんが立ち上がった。権力の座にあった時、嘘を付きつづけた中曽 根さんが「正直」になった。僕は中曽根政権の官邸キャップを勤めて、何度も中曽根流 の「嘘」に翻弄されたが、彼が「教育基本法、憲法改正が政治日程にあがるのに議員を 辞める訳には行かない」と言ったのは、はじめて見せた「本音」である。選挙の争点は 郵政民営化、高速道路民営化……嘘を言うな!

 憲法改正のための選挙じゃないか!  と彼は叫んだ。護憲勢力を一掃するための選挙と、何故言わない!

 非権力は驚くほど正直だ。

 中曽根さんは首相当時、国鉄改革を通じて、国労を支持基盤にしていた当時の社会党 をバラバラにした。改革路線を進めながら「古い体質の足腰が弱い護憲政党」を打ちく だす戦略。小泉流も似ている。

 憲法改正には「各議院の総議員の3分の二以上の賛成。そして国民投票による過半数 の賛成」が必要である。その高すぎるハードルを、小泉さんは(中曽根さんも)「自民 +公明+新民主の大多数」で飛び越えることが出来る、と読んでいる。だから、中曽根 さんはその瞬間に「改憲の井戸を掘った人間」として参加すると主張し、逆に選挙が終 わるまで「改憲の政治日程」を隠蔽したい小泉さんは「改憲の中曽根さん」に退場して 貰いたかった。

 今回の選挙は改憲準備選挙である。2大政党の戦いに埋没する「力無きの護憲勢力」 は果たして生き残るのか。最大の見所である。

 以上が「衆院選 私の見方」で書いた僕の主張である。

 午後、TBSで野暮用。JRA六本木事務所をのぞいてから、本社の地下の「大作」 で知人と夕食。たまたま、隣の席にいた政治部長に「選挙の見通し」を聞いてみると「 自民党過半数を越える勢い、という報道があってアナウンス効果があったとしても、民 主は勝てないのでは」という分析。問題はやはり投票率である。

 仕事場の前で、隣の松乃湯(もう廃業しているが)の倅さんとばったり。彼の話では 、町内の名物「髪結い」おばあちゃんがなくなったらしい。いつも、髪結い箱を持って やってきて、お袋の髪を結ってくれていた。柳橋の色町では「出張髪結い」が普通で、 その腕は「東京一」とお袋は言ったいた。

 倅さんが美容院を開いて、引退して久しいが、多分、お袋と同じような歳格好。お袋 はもう7年も前に死んでいるから100歳に近いだろう。

 背の小さい、愛想の良いおばあちゃんで、ちょっと前まで、福井町の銭湯にしゃきっ として通っていたが……いわゆる小股が切れ上がった美人だった。あの世で、お袋、彼 女に髪を結って貰っているのかしら。合掌。

<何だか分からない今日の名文句>

投票権は権利ではない。義務である

11月5日(水) 後藤田さんの「共生の道」

 朝、幾つかの電話。「世論調査の生数字を教えてくれ」というものが複数ある。

 世論調査の生数字に、独自の取材結果を加味して、新聞社は総選挙の情勢記事を書く 。その表に出ない「数字」を教えてくれ、というのだ。

 実は、各社に「ご注進記者」がいるもので、この生数字は「権力の中枢」にはすでに 入っている。総理大臣秘書官の元には、ストレートな形で届いているだろう。

 しかし、新聞は読者を区別してはならない。生数字を紙面化するのならいざ知らず、 特定の陣営に流すのは、アンフェアーだ。僕は、そう考えている。

 「世論調査の数字? 知らない。知っていても、教えない。第一、今回の選挙は投票 率で流れが変わる。候補者ごとの個別な数字を知っても意味がないぞ」と応えた。みん な、納得してくれた。

 こんなことで、仲が悪くなるほど、俺たちは子供ではない。

 東京専売病院で定期検診。血圧130ー76。順調。大山ドクターから「インフルエ ンザの予防接種をしたら」と言うので、やって貰った。昼、麻布十番で鰻重。インフル エンザ接種に負けないために、カロリー制限を無視。

 JRA六本木事務所で競馬運営委員会の打ち合わせ。

 その後、東麻布の例の“カリスマ美容師”のところで整髪。彼、奥さんとイギリスに 住むお嬢さんに会いに行き、2週間あまり休んでいた。

 「ドイツのリゾート地が良かった。あんなところで余生を送りたい」という感想。お 土産のチョコレートを貰う。

 社会部の後輩が仕事場に相談に来る。「みんなが知ってる人の、誰も知らないニュー スを書けばいい。誰も知らない人の、誰も知らないニュースは書くな」と教える。

 「誰も知らない人の、誰も知らないことを書いて良いのは、書いた後、その人が大ス ターにならなくてはいけない」と説明する。分かったかな。

 それにしても、この後輩、見る見る成長している。

 深夜、「月刊現代」を読む。後藤田さんの「語らねば終わらない この国の憂慮」を 感銘深く、読む。僕も「一国平和主義者」だ。共生する道を我々は考えなくてはならな い。

<何だか分からない今日の名文句>

守れ!複数党国家

11月4日(火) 森前首相の権勢

 昨日(11月3日)の日記で「田中長野知事が入閣?」と書いたら、急に民主党が閣 僚名簿発表ということになった。夜、菅さんの記者会見。小沢副総理、鳩山文部科学相 、田中地方主権担当相……。

 発表のタイミングを知っていたのではないか、と疑われたが、これは全くの偶然。大 体、榊原英資さんが閣僚名簿に載るなんて知らなかった。榊原さんを名簿に載せれば、 多分、支持者が少なくなるのに。どうも「変わり者名簿」の雰囲気になる。「大蔵省ノ ーパンしゃぶしゃぶ」の時代を多くの人が覚えている。

 果たして、これで民主党の人気が出るのか出ないのか。新聞各社は自民圧勝、と予想 している。だが、その表現が間違っているような気もする。公明圧勝のような雰囲気だ 。

 山タクさんは公明党の支持で、もしかすると当選するかも知れない。地元では「小選 挙区は山タク、比例は公明」という宣伝が行き届いている。自民党の副総裁が「比例は 公明」と運動しているとすれば情けない。

 ともかく、衆院選は盛り上がらない。

 夜、石川県の某町長が上京したので銀座「三献」で夕食。森さんの選挙区で一人だけ 、森さんと距離を置いている首長だから、森さんから恨まれているらしい。

 「森さんにSPが5人もついている。森さんの権勢、とどまるところなし」と言う。 あんなに支持率が低かった前首相が小泉さんの首根っこをつかんで、青木さんと二人三 脚の「闇将軍」。凄いものだ。中曽根、宮沢……実力は元総理をつぶして、我が世の春 、だろう。

 仕事場に戻れば、中曽根さんからの手紙が届いていた。

 「私は昭和27年の日本の独立回復以来今日まで約50年の間、一貫として憲法や教 育基本法の自主的改正を訴え微力を尽くして参りました。残念にも、この重要案件が政 治日程に上る直前に議員の資格を失い、国会で推進することが出来なくなりましたこと は誠に申し訳なく、残念至極に存知ます。

 かくて、私の人生劇場の50年にわたる国会篇は終わりましたが これからは自由人 篇を充実させ、議員諸君と相共に目的成就のため努力する所存であります……」

 深夜、友人から××候補の「見通し」を聞く電話。世論調査の結果が聞きたいのだろ うが、そんなこと知らない。

<何だか分からない今日の名文句>

毛筆に「無念」にじむ

11月3日(月) 田中長野知事が入閣?

 文化の日が雨に祟られるのは珍しい。江東区方面で野暮用。「アラ、こんな人も出て いるの」とちょっとびっくりした候補者。地下鉄駅前近くで大声を上げている。

 「誰だか分からない人が有利な戦いをしている。小泉さんと安倍さんの写真を飾った 人が有利。菅さんの写真の人が有利。今日の毎日新聞の世論調査では、私がやや有利と 書いているが、本当は3位なのです。何だか分からない人に投票しないでください」と 訴えている。

 これが形だけの二大政党選挙。確かに無所属は今まで以上に厳しい戦いなのだろう。

 しかし、問題は投票率。あがるんだろうか。政治不信はその極。投票に行け!なんて 言えた義理でもない。

 その日その日の出来心の無党派が来なければ、投票率は下がる。下がれば、また組織 政党が勝つ。投票率が下がって、公明党が一人勝ちして(公明党応援の自民党が勝って) 良いのか。悪いとも言えないが、良いとも言えない。投票率が下がれば、官僚は「政治 家なんて支持されていない」と馬鹿にするだろう。

 財務省は「何も分からない今の政権でいい」と思っている。

 小沢さんの盟友? 田中康夫・長野県知事が「民主党が勝ったら政権に参画する」とい う計画があるらしい。もし、かなりの接戦になったら、タイミングを計って「民主政権 になったら、長野県知事と大臣の両立をする」と宣言して、無党派層にアピールする。と いう計画だというのだが……あと一週間、民主ブームは盛り上がるか。

 それよりもまず、ネット投票を実現すること。国政選挙をネット併用選挙にすること が、投票率アップの第一歩。それに気づかないと、政治離れは尚、続く。

 夕方、社から「衆院選 私の見方」を明日(4日朝刊)に載せると連絡。FAXがな いところにいたので、東海林記者にゲラを読んで貰った。電話でゲラを読んで貰うなん てことは、何年ぶり。昔に戻った感じ。

 掲載まで時間がかかったのは、表現が刺激的だったからではない。たまたま、伝える べきものが多すぎて、隙間がなかっただけ。でも、大新聞が好む「上品な表現」ではな かったことも事実……毒にも薬にもならない社説のようなことは俺には書けない。

 夜になって、やっと雨が止む。

<何だか分からない今日の名文句>

良薬、権力に苦し

11月2日(月) オウムの弁護団

 10月31日のオウム真理教・麻原被告の弁護側最終弁論を熟読する。「被告の沈黙 は法廷だけでなく、6年以上もの拘置所生活で24時間続けれれたきたが、強烈な宗教 的契機と精神力がない限り、実行できない」という、麻原ヨイショの立場。冗談じゃな い。

 本人が何も話さなかったら、毎日毎日、接見を続ければ良かった。「何もしゃべらな いので弁護できない。真理を解き明かすことは出来なかった」というべきで、真実を話 した弟子の言い分は嘘だ、と決めつけるなんて……冗談じゃない。

 知り合いの弁護士さんに、この僕の感想を話すと「当然だ。何故、マスコミはオウム 弁護団を批判しないのか」と言われる。時間をかけて、勉強して、批判をしたいと思う 。

 週末は野暮用と若干のお遊び。某官僚に「衆院選は?」と聞くと「盛り上がらない。 これでは組織票の公明党の一人勝ち」。なるほど。

 この日記を打っていると、窓の外の駅前歩道で、品の良い老婦人が 一人で、ビラを配っている。「○○○」と衆院選候補の幟。「お願いします」という小 さな声。候補者の母親ではないのか。

 小さい声で「お願いします。○○○をお願いします」と言い続けている。

 何かむなしい。倅が立たなかったら、こんなことしなくて良いのに。見ず知らずの人 に「お願いします」なんて言わなければならないなんて……。

 でも考えてみれば、これほど、家族ぐるみで「就職運動」をしても、誰も文句を言わ ない。

 世の中では「あいつ、コネで就職した」なんて蔑まれることがあるというのに。

 「衆院選 私の見方」の原稿。紙面がなくて、2日も預かり。4日紙面以降になる。

<何だか分からない今日の名文句>

母は一途