編集長ヘッドライン日記 バックナンバー
2003.5月

5月29日(木) さあ、ダービーだ!

 やっと晴れた。

 朝一番で「競馬はロマン」を書き上げ、外に出ると、初夏の風? 気温は高いが、隅 田川の川風で体感温度は大分低い。

 このところ、東京に滞在している姉夫婦が遊びにやって来たので、浅草「春」の釜飯 で夕食。夕涼みの格別だ。このまま、夏になれば良いのに。

 祭りが近い。第六天榊神社、須賀神社、岡八幡神社……仕事場近くのお社は、31日 、1日が夏祭り。鳥越神社はその次の週。千貫御輿まで10日待てばいい。

 何となくウキウキする。

 でも、その前に第70回ダービー。

 たまちゃんがザッツザプレンティを本命にするのは良く分かる。

 たまたま、皐月賞が終わった後、安藤騎手にインタビューした。(インタビューの中 身は今、発売のエコノミスト)

 その時、脇にいた、たまちゃんが皐月賞の敗因をしつこく聞いていた。安カツは明快 に「自分の乗り方がまずかった」と話した。その目は「こんどこそ」という気迫に満ち ていた。

 だから、たまちゃんは本命ザッツザプレンティ。出世レースの「ラジオたんぱ杯」の 勝ち馬だから、勝っておかしくない。

 僕と言えば、追加登録のタカラシャンディー。200万円のお金を出して、わざわざ 、追加登録した(チャクラの追加登録)心意気。ほっかいどう競馬からダービー馬が出る なんて……あり得ないけど、一度は見たい夢芝居。

 従って、馬券は9−18から総流し。多分、外れるだろうが……好きな馬を買うのが、 ダービーだ。

 「ダービー三連単遊び」は参加者30人を越えた。予想順位だけでなく、その理由を 書いてくれると、楽しい。

 今度こそ、3連単的中者を出すぞ! 頑張ってくれ。

 当日は朝TBSラジオでダービーの話をしてから、府中に直行。スポニチの観戦記を 書く予定だ。

<何だか分からない今日の名文句>

解説上手は馬券下手

5月28日(水) 細身のマンション

 JR浅草橋駅東口の果物屋「ささや」は、時々、花の苗を売っている。毎朝、散歩の 途中で、新しい苗を見つけるのが楽しみになった。

 今朝は「ミニトマト」。とても可愛い。3つ、買った。例の隅田川との間の「猫の額 」に植えた。実が赤くなるだろうか。

 午後は参議院議員会館で環境問題の取材。

 帰り途、花岡信昭氏とバッタリ。産経新聞を退社して長野県知事選に立候補宣言した 人物である。事情があって、告示寸前に立候補を取り消したので、外野席から色々と言 われたが……。

 当時、この日記で「彼は知事向きではない」といったようなことを書いていた記憶が あるので、気が引けたが、取りあえず「近況」を聞く。「講演……それに、マイナーだ が雑誌で原稿を書いている」と言う。すこぶる意気軒昂とは言えないが、彼、頑張って いる。名刺を貰うと、裏に「現職」が並んでいる。××大学非常勤講師、学校法人× ×理事・評議員、××フォーラム評議員……活躍しているんだ。

 新聞記者を辞めて、食うに困ったらどうしようか、と時々、心配になる。が、彼の活 躍ぶりを見ると、どうにかなる、という気分になる。

 人生、上り坂、下り坂、まさか……の3坂。どんなことになっても、挫けることはな い、と自らに言い聞かせる。

 仕事場に戻って、原稿を一つ書き上げ、出社。

 役員人事が張り出してあった。尊敬する木戸湊、石黒克己・両専務が退任する。

 木戸さんには、ことのほか、やっかいになった。新聞記者はロマンチックでなければ ならない事を教えてくれた。木戸さん、ありがとうございました。

 石黒さんは、若いとき、勤務時間内に競馬場でバッタリあった記憶がある。器の大き い先輩で、その力量から「社長になる」と20年前から信じていたが……。

 後輩記者と「三献」で夕飯。たまちゃんも合流して「ひまわり」へ。どうしても話題 は人事のことになってしまう。

 でも、極々一部を除いて人事は公平。それが、毎日新聞の良いところだ。

 2人と別れてから野暮用1件。深夜、仕事場に帰り、メール点検をする。

 このところ、メールの件数が増えた。勝手だが、見ず知らずの方からメールについて は、基本的に返事をしないことにしている。返事を打つ体力がない。お許し願いたい。

 が、このメールは気になったので、返事は出さないが、日記に書いておきたい。

 東急池上線長原駅の商店街の方からのメール。

 突如、この商店街に9階建てのワンルームマンション建設が計画された。敷地面積2 73・96平方メートル。高さ25・24メートル。狭い敷地に細長い、煙突のような ビルが出来る。

 この辺りは2,3階建てばかり。ちょっと、突拍子のない計画のようだ。建設予定地 の道路は狭い。工事は危険だ。

 そこで住民は反対運動に立ち上がった……と言うメールである。

 商店街の人々の気持ちが分かるような気がする。

 何故、これまでの住環境を壊してまでワンルームマンションを造る必要があるのか。 都心ならいざ知らず、こんなところに……と思う。永住者が少ないワンルームマンショ ンは、街を大事にする存在とは、言い難いのだろう。

 需要があるのか。マンションブームは去り、都心でなければ、売れない状況なのに。

 事情が分からないので、何とも言えない。が、お題目のようになった「規制緩和」の 悪い側面が出てしまったケースではないのか。

 住民は損をして、建てた方も損をするなんてこともある。

 あちこちで、この種のトラブルが起こっているのだろうか。

 「ダービー3連単遊び」は、現在、参加者10人。出足は速いようだ。

<何だか分からない今日の名文句>

住めば都 住まなければ過疎

5月27日(火) 視聴率が決める結末

 朝、たいとう診療所。今井先生から「太りましたね」と警告を受ける。腹が出っ張っ ている。減食、減食。

 時間があったので世間話。今井君はNHKの朝ドラ「こころ」の医療監修を勤めてい る。(と、言うより、多分も仲村トオルが演じる「下町の診療所の青年医師」のモデル )

 テレビでは、その青年医師は遭難して死んでしまった。「残念ですネ」と言うと「や はり残念です」と今井君。「でも、生きたいるよう気がします」と言うと「僕もそう思 います」。

 テレビドラマのストーリーは、視聴者の要望で変わる。視聴率で変わる。だから、突 然、死んだ人が姿を見せる。だから、葬式の場面はない。

 後半に、突然、青年医師が登場するのを祈ろう。

 たいとう診療所は繁盛で、今井君の指示もあって、6月から僕のリハビリは週2回に なった。

 終わってから町内の床屋。最近、脂抜きシャンプーなることをやってくれる。脂が毛穴 に溜まると、毛が抜けるし、養毛剤の効果がなくなるそうだ。

 そういえば、当方、頭のてっぺんが薄くなっている。腹が出て、禿げる。ああ、嫌だ 。 床屋のオヤジが造ってくれた「魁根付け」。友人のみのもんたにプレゼントしたら 、お礼の手紙が来たので。手紙のコピーを渡す。みのさん、セカンドバックに「魁根付 け」をぶら下げているらしい。「記念になります」と床屋のオヤジ、喜んでくれた。

 出社。たまちゃんが美浦のダービー調教に行っているので「馬小屋」閉鎖。そこで、 社会部の窓際の僕の本来のデスクで仕事。皇居が一望出来る「日本1の窓際」。雨が降 ると、新緑が美しい。

 朝、情報通から電話で「超大物の急病」の話が飛び込んで来たが、ガセネタらしい。 が、要警戒。

<何だか分からない今日の名文句>

ドラマ、豹変す

5月26日(月) 地下病院

 AERA、週刊ポストがあいついで、密入国中国人たちの「地下病院」の存在を報道 している。

 出稼ぎ密航者は過酷な労働で、免疫力が低下しているから、もし、SARS患者が紛 れ込んだら、大変なことになる。両誌は「地下病院には、咳込んでいる患者が多い」と レポートしている。

 この「裏社会での汚染」をどう防止するか。この辺りの情報開示が未だ行われていな い。

 もぐりの地下病院は中国系の新聞に広告が載っている。従って、ある程度、一斉調査 が可能と思うのだが……厚生労働省はどこまで、調べているのか。

 現在でも密入国は行われている。急がねば……。

 それにしても「マスクは売り切れ」と聞くのだが、マスクをしている人が東京には異 常に少ない。僕も用意したが、マスクをしていると妙な視線を浴びるので止めた。妙な ものだ。

 横綱審議会が相変わらず「力士の品位」を議論している。結構だが、朝青龍はもとも と、凶暴的な魅力の男なんだろう。あまり、爺さんがお説教ばかりすると、また相撲離 れが起きる。

 それより、大相撲の経営の方が心配だ。

 そこで、今週の「ここだけの話」は大相撲。力士と芸者は同じ「接待産業」だ、とい う話にした。

 どんな職業でも、上品なものと下品なものが混在する。それが良いのだ。横綱審議会 のドンのような人物が経営する新聞社の販売方法などは、とても上品とは言えないんだ から。(ただし、この人物の記者としての優秀さはまた別のモノ。尊敬はしている)

 仕事が一段落してから松戸競輪。例の松戸競輪友の会仲間のお誘い。始めての競輪ナ イター。なかなか洒落たもの。ところが、7レースの検討中に建物が揺れだした。横揺 れだが大きい。大地震?

 千葉県も茨城に近いところは地震が多いそうで、地元の人は平気だったが、それでも 「震度6だったらしい」という情報が入ると、携帯電話に飛びつく人もいた。松戸競輪 には、東京方面より茨城県のファンが多いのがよく分かった。

 さて、夜、情報筋から電話。ブッシュ・小泉会談の中身がようやく、漏れてきている 。ドル安を認めるか、どうかで、かなり突っ込んだやり取りがあったらしい。

 円高懸念の日本。ドル安容認のアメリカ。アメリカは日本を助けるつもりはない、と 言わんばかりだった。

 アメリカの厳しい経済事情を反映しているようだ。

<何だか分からない今日の名文句>

地震、雷、火事、SARS

5月25日(日) 拘禁

 25日の毎日新聞朝刊に「私たちは『心神喪失者医療観察法案』に反対します。私た ちは充実した精神科医療と福祉の向上を求めます」と言う意見広告が掲載された。

 この法案は、誤った予測によって拘禁する必要がない多くの人を、一生の間拘禁して しまう危険性をはらんでいる。という主張である。

 恥ずかしいことだが、この法案で、国会で審議されていることを知らなかった。

 60人に1人が精神障害の病に苦しんでいる。そして15万ほどの人が、鍵の掛かっ た閉鎖病棟に入院している。

 実は、大学生の頃「こころの病」で苦しむ人間(大好きな兄貴分だった)を知り合い に頼んで精神病院に入院させた経験がある。あの日、あの時、彼が鍵の掛かった牢獄の 部屋に連れて行かれる光景は、今なお、鮮明に頭にこびりついている。

 無惨な別れだった。

 その後、僕は毎日新聞に就職して新潟に赴任した。入院した彼は快方に向かったのだ が、ある日、病院から散歩に出たきり、行方が分からなくなった。

 いなくなった日は昭和44年12月1日。この日、次男が生まれた日だったので、は っきり覚えている。

 どこに行ったのだろう。

 東京本社に戻って”サツ回り”(警察担当記者)をしている時、彼は江戸川から遺体 で発見された。

 あの時ほど、泣いたことはなかった。その後、次男を、彼の”忘れ形見”のように思 って育てた。「こころの病」は残酷だ。

 あの時、病院に入れて良かったのか……。何度も何度も、自らに問い直した。

 この法案は慎重に審議すべきだ。

 このところ「平和・自由平等のニッポン」が音を立て崩れる気配を感じる。経済の失 政を隠すため、とは言わないが「戦う日本のため、自由を制約する」世論操作が始まっ ているような気がする。

 この「医療観察法」も、その流れに一つ、と見ることも出来る。予断を持って、自由 を奪う権力を我々は、何度も見ている。

 非常に判断が難しい法案のようだので、勉強せねば……。

 午後から、箱根・富士霊園で実父・小林春吉(初代・日本魁新聞の創設者)の33回 忌法要。腹違いの姉・蓮子さんが「一年早い33回忌だが、私も歳だから、早く済まし たい」というので、法事の”前倒し”。曇っていたが、坊主が結構なお経をあげている 内、日が差し、富士山が見えた。

 この墓には、春吉のほか、春吉の実母、義父が眠っている、と始めて聞いた。

 春吉は「女にモテた」と言うか、「女癖が悪い」というか、一緒に生活した女性は何 人もいるが、僕の母は牧家の墓に眠り、一番最後のパートナーは元の夫の墓に入り、蓮 子さんのお母さんの晩年はよく分からず、墓の存在もはっきりしない。

 「一人ぼっちじゃ、可哀想だ」と言うと、蓮子さんはこの墓に入る、と言ってくれた 。何となく、ホッとする。まあ何年も、何十年も先のことだが……。

 夜、テレビでオークスを見る。ヤマカツリリーから入って惨敗。

 今週はダービー。魁ホームページで3連単遊びをするから、参加してくれ。頼むぜ!

 そうそう、掲示板で、僕がサンデー毎日の編集長の時、福永法源という人物と対談し たかどうか、が話題になっているようだ。対談したことはない。

 多分、別のカルト集団の「大川なにがし」と言う人物をインタビューして、その反社 会性を質したことがあるので、それと勘違いされたのではないか。ともかく、対談した ことはない。

 それはそれとして、僕の日記に「徳島県人を逆なぜした部分があった」という指摘が ある。そんなつもりはなかった。もし、ご気分を害したとしたら申し訳ない。

 掲示板の皆さん、お騒げせして、申し訳ない。気をつける、つもりです。

<何だか分からない今日の名文句>

不安を利用する侵略

5月22日(木) 「許永中の告白」

 朝、最近、注目している「森功」というノンフィクションライターの作品「許永中の 告白」(新潮45)を読む。

 獄中の許と手紙を交換して「告白」にする手法。なかなか読みでがある。

 その中で、注目される事項。平成8年5月22日、向島「波むら」で中尾栄一の建設 大臣就任祝いの席のこと。中尾は初対面の若築建設の会長から2000万円が入った紙 袋を貰うが、この時「旧建設省次官F」も同席していた。その後600万円を若築建設 はFに銀行振込していた。中尾は逮捕され、この次官は「返した」ということで、お咎 めなし。そして、Fは日本道路公団の総裁になっている。

 知らなかった。賄賂の現場に、キャリア官僚は、同席する。今始まった訳ではないが ……。

 もう一つ、気になったのは、この「許永中の告白」に登場する「許の最後の妻」とい う人物、もしかすると、僕の知り合いではないか、と思うのだが……。もし、そうであ れば……どんな事情で……。

 「森功」さんを探し出し、聞いてみようか、とは思うが、人違いかも知れないし、そ うであっても、彼女、迷惑かも知れないし……。

 人生は「上り坂、下り坂、まっ坂」。

 読み終えて、市川駅周辺を散歩。大門通りで、酒屋の娘さんに声を掛けられた。「N HKのプロデューサーから、牧さんのホームページを見た、と電話があり、ちょっとで すが、おはようニッポンに、私の店が紹介されました」と言うのだ。

 この酒屋がワインの立ち飲みを始めたので、おもしろいと思い、日記に書いたが、そ れをNHKの人が読んだんだ。

 「いつか、お礼を言わねば……と思っていたんですが」と娘さん。最近は、市川に行 くのが珍しいので、大門通りを歩くことはなかった。

 それにしても、我がホームページ、それなりの役に立っているんだ。

 いつも、ホームページの限界を感じている。たまにだが、掲示板に「人相が悪い文章 」が紛れ込んでくると、情けなくなって、ホームページは徒労、と思わないではない。 が、隠れた読者がいることに元気づけられる。

 午後から総武線沿線の景気探訪取材。

 経済再生の方策について、僕は「円安と多産化」を考えている。

 現在の円は実力以上に評価されている。だから、中国で生産した方が安上がりだ。産 業空洞化は円高に起因している。上手に円安に誘導するのも必要ではないか。

 そして多産化。少子化が進めば、どうやっても、日本の経済は再生出来ない。この不 景気の原因は子供が少ないからだ。

 子供を安心して生む。民族、文化、文明を継承する子供たちを育てる。それが経済活 性化の源だ。子供を作ることが、拡大生産に繋がる。

 「多産化」のために、出産に関わる税免除、住宅、育児所建設の公共事業、不妊症の 克服……いろいろ施策が必要だ。その原資の一つに、徐々に消費税をアップして欧米並 にすることも良いだろう。

 政府が目指すのは完全参加、完全雇用。まっとうな教育を受けた若者は国の就職セン ターが責任を持って、就職させる。ボランテイアではなく、働いて税を納める「労働」 を徹底させる。同時に大幅な税制改正で課税最低限度額を引き下げ、誰でも税を払う社 会にする。

 今の小泉流は、競争によって参加者を少なくする哲学である。勝ち組を作るだけの方 策だ、と思う。

 構造改革という名の「働く場の搾取」だと思う。

 いずれにしても「高齢化、少子化」をそのままにしていたら、どんな施策を講じても 、日本は豊かにならない。

 20年計画で「子育て立国」になる、それは不可能ではない。

 出来の良い少数の子供ではなく、出来の良い子、出来の悪い子、元気な子、思慮深い 子、様々な子供が育ち、この国が生き生きする。これしかない、と思っている。

<何だか分からない今日の名文句>

貧乏でも子沢山

5月21日(水) 株主責任

 株価が8500円を下回った時、この日記で「金融危機」を訴えた。いつのことだっ たか、忘れるぐらい「8000円台」はごく普通になってしまった。保有株が値下がり すれば、銀行の自己資本は少なくなる。

 幾ら貸し渋りしても、貸し剥がししても、間に合わない。だから、このままでは「銀 行破綻」は避けられない、と書いた。方向転回しなければ、地獄を見る。

 小泉さんは「危機だ、危機だ、というけれど危機なんてなかったじゃないか」と言い 続けた。「りそな」に2兆3000億円の公的資金を投入することになっても、小泉さ んは「危機ではなく再生だ」と言い張る。

 「取り付き騒ぎにならないじゃないか」と言いたいのだろう。

 冷静に考えてくれ。「絶対に導入する」と公約したペイオフ実施を凍結した。公約を 破って、ペイオフを凍結しているから「取り付き騒動」は起こらないだけだ。だから利 用者が落ち着いている。

 小泉さんのペイオフ断行なら大混乱。

 「銀行の株だって、それほどで下がっていない」と言う。冗談じゃない。小泉さんが 政権を取ってから、どのくらい銀行株は下がったか。

 辛うじて、大暴落が起こらないのは、公的資金導入で株式責任を取らせないからだ。 株式責任とは、株価がゼロになり、出資者は出資金をなくすことだ。

 普通の民間会社なら、この破産状態なら株主責任で株価はゼロになっている。公的資 金は株主責任を許すことだ。

 誰も責任を追及されねば公的資金導入。倫理観の欠如?

 「りそな」に投入される2兆3000億円。大金だ。税金、国債で融通するが、これ は国民一人あたり、赤ちゃんも含めて2万円の負担だ。四人家族が8万円の税金を負担 することになる。

 公的資金は戻ってくる、と言う。確かに公的資金を返した銀行もある。僕の知人が社 長を勤める銀行も返している。でも、これは「欲しくもないのに公的資金を受けてくれ 」と言われ、付き合ったものである。

 破綻寸前の場合は戻ってこない。長銀、日債銀の時も、3兆円の債務超過で、これを 公的資金で処理した。

 多分、「りそな」の場合も、この公的資金で処理され、この公的資金は国民の手に戻 ってこない、と予想する。誰もが、そう思っている。

 そして「再生りそな」は身軽になって、名前を変え、外資のものになる。

 小泉さんは、この仕組みに気がつかないのか。

 彼の「改革」はすべて言葉だけである。現実には、ハイエナのためのシステム替えな のに。

 緊縮財政と企業破綻促進が「改革」だ、とおっしゃる。しかし、これ「改革」を進め れば、さらなる不良債権が生まれる。緊縮財政とデフレ克服が、同時に出来るなんて考 えているのか。

 大体、小泉さんの緊縮財政も、すでに赤字国債30兆円の枠を越え、方針はクルクル 変わる。

 小泉さんは、政治家として比較的クリーンな存在だ。

 クリーンは善だ。大切なことだ。しかし、善なら、済民が可能か。善であり、才能がな ければ指導者とは言えない。

 ヒットラーは清廉潔白な男だった。それが災いした。独裁者になってしまった。

 言葉に酔った指導者。言葉に酔った国民。それが悲劇の始まりだった。

 今、日本に、その危うさを感じてならないのだ。

 出社後、衆院、参院警務部発行の国会記者記章を新しいものに変えてもらった。どこが 変わったのか、分からない。体裁は変わらない。発行日も変わらない。ただ、名前が小 さいので、大きく変えただけのこと。

 何故、こんなことをするのか。国の意図が分からない。

 夕方、市川へ。優之介と遊ぶ。

<何だか分からない今日の名文句>

モラルハザード

5月20日(火) 「人相」負け

 白装束騒ぎが収まって、水面下に隠れていた金融危機が、徐々に表面化している。

 「りそなHD」の株が暴落すると、大株主の三井アセット信託銀行、朝日生命も危険 だ。

 白装束の女教祖の「若き日」の写真が週刊誌に出た時「こんな美人が……」と思った が、その後、テレビのインタビューに答えた「今の妄想教祖」の顔を見て、別人か、と 思った。「バケ猫」のようだった。

 それほど、人間は面相が変わる。

 経済危機も、同じで、関係者の人相が見る見る変わっている。と、いうより、人相を 冷静に見ると、ことの本質のようなものが分かる気がする。

 貧相な顔、脳天気の顔……人相が教えるものがある。

 朝、たいとう診療所。若干、バケが始まった車椅子の老女に「おばあちゃん、おはよ う」と声を掛けても無表情。お洒落なおばあちゃんなので「今日のセーター、可愛いね 」と言うと、ニコッとして、僕のことを思い出してくれた。

 おばあちゃん、綺麗だ。笑顔はきれいだ。

 診療所に始めてリハビリに来た人は人相が悪い。突然、倒れ、身体に麻痺が残ってい る。不安で人相が良くなるハズがない。

 それが、通院を続けるうちに徐々に明るくなって、人相が良くなる。不思議なものだ 。昼、近くのレストランで穴子丼。けして不味くはないが、客の入りが少なく、主人 (らしき人)の人相が悪い。

 午後は両国界隈で取材。午後6時、外に出ると大雨。雷がなっている。  この辺り、隅田川沿いにホームレスの小屋が並んでいる。こんな時、彼らはどんな気 持ちになるんだろう。

 「小泉さんに対抗馬を出す」と宣言した面々。必ずしも景気の良い顔ではないのが難 。このところ、この3人の笑顔を見たことがない。

 脳天気を再選するか、貧相を選ぶか。

       
<何だか分からない今日の名文句>

笑う顔は打たれぬ

5月19日(月) 生保予定利率引き下げ

 朝から氷雨。野暮用2件。

 野暮用を終えて、保険代理店の方と世間話。彼は「銀行の国有化は不平等だ」という。彼は銀行の出身である。

 不公平の理由。

 出来の悪い銀行が破綻して国有化される。経営陣は退き、リストラが行われる。優秀 な人間は辞めて、どこにも行き場のない人が銀行に残る。不良債権は別の勘定に分けら れ、銀行とは無縁になる。銀行は身軽になる。

 そして、銀行はいつか別の資本(外資である可能性が高い)のものになる。竹中流再 生。再生した銀行が、また競争に参加する。

 その間、必死で努力していた「まともな銀行」はデフレ、株価の値下がりで「自己資 金不足」に陥る。店を次々に閉鎖するが、この合理化も限界がある。そして、破綻寸前。

 逆に「身軽になった銀行」が、その苦悩を横目で見ながら積極的に活動する。話題の 六本木ヒルズに開店した銀行は「新生銀行」である。

 今までの常識では「森ビル」との密接な関係にあった「みずほ銀行」のハズだが、い ま「みずほ」にそんな余裕はない。

 ここでは「新生銀行」の一人勝ちだ。「新生銀行」の生き生きした現状を評価する向 きもあるが、それで良いのか。

 国有化された「りそな」も、いつかそうなる。国有化され、名前を変えて、身軽にな って「競争」に加わる。再生。

 しかし、この再生の課程で、一体、誰が損をするのか。

 国有化で苦しむのは中小企業。倒産する。倒産させられる。

 そして公的資金は戻ってこない。税金は還ってこない。破産した銀行を助けるために 使われた公的資金。しかし、公的資金はとどまることはないだろう。

 そして、次は○○銀行が国有化され、また再生し、次に××銀行が国有化される。

 この悪循環はいつか破綻する。これは、構造改革では断じてない。これは子供の国有化ごっこ。

 何を考えているのだ。

 保険代理店の人は「もっと深刻な問題は生保予定利率引き下げだ」と言った。

 本来なら、生保は破綻して、財産を精算して、加入者が分配して、経営者は責任を追 及される。逮捕される。アメリカでは、そうする。これは契約だからだ。

 それが、日本では国家が出てきて予定利率引き下げ法案を作る。公権力が介入しては いけない民事契約なのに。

 契約者と保険会社が合意すれば引き下げは可能だが、国家が法で契約内容を強制力を 持って変えるなんて、詐欺行為ではないか。

 代理店の人も「その通り」と言う。

 「引き下げをすれとなれば、契約者は解約するだろう。だから保険会社は一緒に渡れ ばいい、と思っているが、外資はそれに加わらず、外資保険の一人勝ちになる」と彼は言う。

 民間の手法を導入する、なんて、小泉さんは常々言っているが、銀行は国有化。生保 も国有的詐欺。冗談じゃない。

 朝、脳卒中患者の「六本木の帝王」から、訳の分からない電話(失語症だから)。淋 しいんだろう。夕方、散歩がてら訪問する。

 彼が初めてアルバムを見せてくれた。

 彼が2歳の時、亡くなったお母さんの写真が最近、発見された。良かった。今まで、 彼に「母の面影」はなかった。

 つい、うれしくて電話をした、と言う。電話をしてくれて、ありがとう。俺たち、親友だもの。

 アンマン爆発事件で、五味容疑者が起訴。毎日新聞社は処分を発表した。この教訓を 生かし、我々は、慎重にして、果敢な記者活動を続けなければならない。

<何だか分からない今日の名文句>

詐欺は自分に嘘をつく

5月18日(日) 山拓さんは自宅待避?

 りそな銀行が2兆円の公的資金を申し入れ「国有化」で再建を計ることになった。  古くは「埼玉」「協和」「大和」から取引をしていた中小企業、個人は「融資が不良 債権」と認定されれば「再生勘定」に入れられ、倒産、破産させられる。

 また仕事をなくした人が路頭に迷う。

 いつもの言葉のすり替え。「国営化」ではなく「公的支援」。「りすな破綻」でなく て「りそな再生」……と竹中さんは言うが、どうだろうか。

 時期が来れば、身軽になった「りそな国有銀行」は外資のものになる。新生銀行のよ うに。それで良いのか。

 何度か書いたが、東京の土地が外資のものになりつつある。銀行が外資のものになれ ば、東京は文化だけでなく経済の面でも「アメリカの何番目かの州」になる。

 これで良いのか。

 掲示板に「政局動乱の時来る」といったようなご意見が登場している。その通りだ。 本来なら、即刻、政権交代の声が挙がるのに、誰もこの難局に立ち向かう政治家はいな い。だから、アメリカの言いなり。アメリカは、節目節目で小泉・竹中を評価する発 言を繰り返す。そして、内閣の支持率は上がる。妙だ。

 徳島の知事選はもっと妙だ。あえて言わないが、徳島県民が可哀想だ。

 勝因の一つは公明党の自民系候補を応援したことになる。公明党の組織票が日本を左右する。

 自民党の山崎さんは18日、その公明党の冬柴幹事長、保守新党の二階幹事長と北京 入り。表向きと違う何かが……。

 野中さんは「SARSの中国から帰国するのだから、一般人と同じように、帰国後、 3人は10日間、自宅待機すべきだ」と言ったとか、言わなかったとか。

 秋の動乱を予想する動きも、少しだが出ている。

 さて、競馬の話。運があるのか、ないのか。東京のメイン「京王スプリングカップ」 。得意の東京コース、しかも得意の1400メートル、しかも良馬場。ここなら勝てる !とテレグノシスの馬複総流し。見事的中。

 この勢いなら、最終レースも……と思い、ご贔屓の高山太郎のジュリーマン。短距離 になったので勝負しようと、たまちゃんに携帯。ところが、この時に限って携帯がでな い。大穴の予感なのに。3回、掛けても出ない。

 どうしたんだ!

 その内に時間切れでスタート。何と一着でゴール。もちろん、馬連なら万馬券だ。ど こに行ったの?たまちゃん。涙がちょちょ切れる

<何だか分からない今日の名文句>

小泉破産でなく小泉再生(実は小泉沈没?)

5月15日(木) 栃木の銃声

 5月4日(日曜日)朝のTBSラジオ(収録)で「栃木県内の山口組・住吉会の抗争 が激化している」と話した。すでに犠牲者が出ていたし、情報では、さらなる血の報復 が予想された。

 ところが、その放送の翌日5日、名古屋で山口組系弘道会の組員が銃撃され、その日 のうちに栃木県佐野市の住吉会系親和会光京睦会に男が押し入り、2人が射殺された。

 このニュースは京都から帰る新幹線の車内ニュースで知った。これはドロ泥に入った 、と感じた。しかし、日記にはあえて書かなかった。

 個人ホームページでも、極道関係の方が読んでいるかもしれない。若い頃、警視庁2 課4課担当を5年ぐらいやったので、その筋の人があるいは、読んでいるかも知れない 。読んでいて結構なのだが、過剰反応されては困る。あまり、日記には相応しい話では ない、と考えて書かなかった。

 ところが、14日栃木市の県立女子高の正門近くで、住吉会系樺山組員が射殺された 。これで死者は5人である。市民の恐怖は頂点に達しているのではないか。ヤクザの 喧嘩で、市民が犠牲になることは歴史が証明している。

 そこで、あえて書くことにした。

 何故、新聞は報道しないのか。警察の尻を叩いて、犯人を逮捕しなければ、闇の支配になってしまう。

 実は、昨日(14日)日記では書かなかったが、僕は東京某所で6人のボディガード が道の両側に待機する緊張のシーンに遭遇した。関東・関西で、まだ流血が起こるかも 知れない。

 山口組と関東の組織の戦いは用意ならざる事態である。大阪で食えない関西ヤクザは 「山口」の代紋で殴り込みを計る。目の色を変えての資金源争い。

 今回は運転代行の縄張り争いだ。

 白装束も監視が必要だが、栃木戦争は現在進行形。このままでは暴力団の抗争は、不 景気が続く限り続く。

 午前中、原稿。午後、TBSで野暮用。雨が降り続くので、外を歩くことが出来ず、 東京駅の地下を歩き回る。

 生保破綻回避の予定利率引き下げ。利用者の財産権の侵害。冗談じゃない。これは国 家が、契約違反を認める。

<何だか分からない今日の名文句>

破って捨てられるもの、新聞と「約束」

5月14日(水) 寒太の夢 30句

 間借り人?の石寒太のホームページ「しりとり俳句塾」がオープン2周年を向かえた 。あめでとう。

 この俳句塾のお陰で「二代目魁」の読者も増えた。「二代目魁」の掲示板がエキサイ トして、中には「息苦しい」と感じた長屋の住人も、俳句塾に顔を出して、ほのぼのと した時間を楽しんでくれた。掲示板の役割分担?

 ありがとう、寒太さん。

 それに中島さんの献身的作業。彼女がいなければ、このページ、挫折したかも知れない。ありがとう。

 もっとも「継続」という意味では、寒太さんは一流で、彼の主宰する「炎環」は今年 で15周年を迎えている。添削の神様・石寒太は継続の神様でもある。

 今日、しりとり俳句塾では「寒太の夢 30句」が発表された。流石だ。是非、俳句 塾へお出かけ下さい。

 朝、東京専売病院で定期検診。順調。大山ドクターとホンの少し世間話。もちろん、SARS。

 病院から約700メートル歩いて、先頃オープンした「六本木ヒルズ」を始めて見学 。大変な人出。何故か、中高年のカップルが多い気がする。

 帽子屋の女主人に「お似合いですよ」と煽てられ、フランス製の幅広帽を買ってしま った。落ち着いて、鏡を見るとチンドン屋。俺って、馬鹿だな。

 隣のJRA六本木事務所で若干の取材。

 夜、たまちゃん、寿々女さんと大井の羽田杯。当たったレースもあったが、結局、マ イナス。寿々女さんは最終レースで「俳句塾2周年記念」の8ー1ー9を当て、ウハウ ハ。帰りに、たまちゃんのご贔屓、新宿・宝寿司。いつものことだがネタが良い。気 分転換の一日になった。

 週末思想の「白装束」一斉に家宅捜索。さて、どこまで、住民の不安を消すことが出 来るか。妄想集団の扱いは難しい。

 若干、気になっている「四国・鉄塔テロ」「H島、全島停電事件」との関係はどうなのか。

 有事法案修正。民主、自由も賛成。「有事」の中身がハッキリしないのが、気になる。

<何だか分からない今日の名文句>

かなぶんの墜ちて消えたる夢ひとつ(寒太)

5月13日(火) 実録ロッキード事件

 朝、たいとう診療所。このところ3回休んでいたので、やはり右脚が痩せている。今 井先生は「相撲の四股をするしかない」とアドバイスする。

 パソコンやモバイルの前にいる時間が少し多かったのか。

 診療所が中核の「在宅総合ケアセンター元浅草」のホームページが出来た。まだ、検 索に乗っていないらしい。リンクさせて貰おうか、と思っているのだが。

 時間がないので、昼は歩きながら“お稲荷さん”2つ。

 午後2時、内幸町のプレスセンター。日本テレビ系の製作会社の面々から、ロッキー ド事件について取材を受ける。実録ドラマ「ロッキード事件」を作る、という企画。

 記憶が薄れているが、出来るだけ丁寧に話した。

 「ロッキードの毎日」と言われた1976年。牧内社会部長が率いる毎日新聞社会部 の奮闘ぶりは歴史に残っている。田中逮捕の朝、「検察、重大決意」をスクープしたこ とが、毎日の評価を定着させた。「三木降ろし」の策謀に反対するキャンペーンも毎日 新聞らしかった。

 実録ドラマを作るにあたって、この制作会社は毎日新聞社会部著「ロッキード事件全 行動」を参考にし、そこに登場した重要人物を片っ端から当たっているらしい。

 僕は当時、警視庁捜査2課担当のキャップ。まあ、中堅記者に仲間入りした頃で、そ れなりに活躍したこともあったが、失敗ばかりしていた。

 だから、この本にはあまり登場していない。

 その理由は、警察取材は秘守義務が第一で、エピソードを一冊の本にするのには、ど ちらかというと、乗り気ではなかった。だから、僕を始め警視庁のメンバーはあまり登 場していない。

 それでも、製作会社の人が「会いたい」と言って来たのは、牧内さんが「この男は権 力を眠らせない男。この男に会わなければ……」と言ってくれたかららしい。お褒めの お言葉。気恥ずかしい限りだ。

 先輩諸氏には比べものにならない、小さな自慢話をホンの少し話した。さて、ドラマ 向きかしら。

 興味があったので「実録ドラマって、予算は幾ら?」と聞いたら「5,6000万円 ぐらいでしょうか」。

 役者のギャラが大きいらしい。製作会社も大変だ。

 午後4時、出社。たまちゃんのことを「ここだけの話」で「醜い腹の出た中年男」と 書いたので、深く深く陳謝する。「むしろ、書いてくれてうれしいです。白装束の話は 牧さんの言う通り」と言ってくれた。(「ここだけの話・たまちゃんが笑ってる」を読 んでくれ)

 先週末、会っていないので、たまちゃんの消息を聞く。競馬は、あまり良い成績ではないらしい。

 日曜日の東京競馬場・NHKマイル。レースが終わった後、武豊が記者団の前に現れ 、洒落た文句を披露した話をしてくれた。

 「騎手も、馬も同じ父親なのに、どうしたことでしょうかね」と突然、豊が話し出し て、大笑いになった。

 優勝はウインクリーガー・武幸四郎のコンビ。一番人気でコケたのはゴールデンキャスト・豊。

 馬の父親はタイキシャトル、騎手のオヤジは武クニ。

 豊は洒落た言葉を用意したが「書くスポーツ紙がなかった」とたまちゃんは残念そう 。確かにもったいない話。それにしても、豊は頭がいい。

 たまちゃんから「明日、大井の羽田杯に行きましょうよ」と誘われたが、さて、どうしようか。

 夜、ちょっと寒い。

<何だか分からない今日の名文句>

戦う前には四股を踏む

5月12日(月) 秋の政局は?

 ゴールデンウィークの最中、政界はどう動いたのか。どうも、今ひとつ、分からない 。その昔、永田町では「政局は黄金週間で作られる」と言われたものだ。

 1976年の「三木降ろし」もそうだった。

 この年の2月、ロッキード事件が表面化。三木首相は徹底究明を約束して、この言動 に危機感を持った田中派が、この連休期間中に「三木降ろし」を画策した。

 (そう言えば、日本テレビは実録ドラマ「ロッキード事件」を作るらしい)

 多分「小泉降ろし」が始まるとすれば、この頃だが、自民党の実力者の動きは見られない。

 日本の首相は、大部分が任期2年で退陣する。佐藤栄作さんと中曽根さんを除けば、 2年以下である。宇野さんは69日だった。

 小泉さんだけが長期政権になるとは思えない。必ず政局は動くハズだが、その兆しがない。

 要するに「ポスト小泉」がいないのが、国民は、小泉さんの支持率を下げるわけに行 かない。

 例えば、橋本派を分断するには、橋本さん本人に外務大臣就任を持ち出せば、自惚れ 屋のことだから、ウキウキして外務大臣になる、という穿った戦略まで披露されている。

 数はあっても、何も出来ない自民党反(半?)主流。

 今週の「ここだけの話」は、5月の連休明けだから政治向きの話に、と思っていたが 、それも出来ず「白装束」ものを書く。

 夕方、川面の風に誘われて蔵前まで散歩。この間の区議選で当選したTさんにばった り。「おめでとう。頑張ってください」と激励すると「人間関係が難しくて」と珍しく愚痴。

 落選中の通算大臣経験者がこの夜も、召集をかけているそうだが、これも「難しい人 間関係」の一つ?

 落選中は疑心暗鬼になるものだ。

 夜、下田に住む義姉と電話で、親父の33回忌法要の打ち合わせ。70数歳の姉が、 元気だったので、安心する。

<何だか分からない今日の名文句>

「自惚れ」が標的

5月11日(日) 白装束より放火が気にかかる

 金曜日の9日はニューヨークタイムズから「白装束集団とオウムに関して取材したい 」という申し出。白装束集団に関しては、特別の情報も持っていないので断る。

 東京新聞から同様な取材を受け、電話で応対した。それが8日付け朝刊に載ったので 「アレを見てくれ」と頼む。渋々だが、納得してくれた。日本は妄想集団に右往左往、 と書かれたら困る。

 それでも「ただ一つだけ」と断って、相手が質問するのは「白装束は危なくないのか ?」

 「危ないと言えば危ないが、オウムとは大分違う」と答える。まだ、この集団は「妄 想同好会」のようなもので、現在進行形の反社会的集団と決めつけることもないだろう。

 しかし、平成10年2月20日に起こった四国・香川県坂出市の高圧鉄塔テロ事件に は、あるいは関係があるかもしれない。

 鉄塔を固定したボルト80個のうち、76個が外され、鉄塔は倒れた。

 その頃、近くにパナウェーブ研究所の面々がいた、という情報があるらしい。それに 、最近の某島停電事件を「奴らの仕業」と推理する者もいる。

 まだ、白装束の実態は分かりづらいが、現時点では、追いつめることもないよに思う のだが……。マスコミも騒ぎすぎだ。

 イラク戦争が始まって5ヶ月がたった。開戦から2ヶ月程度で戦後処理が出来る、と 言ったアメリカの読みはおおむね当たった。しかし、アメリカの大義名分「大量兵器の 発見」がまるで実現しない。これでは、単なる侵略戦争になる。

 同僚の話では、11日午前2時50分頃、朝日新聞阪神支局の一階ガレージで出火。 放火事件らしい。赤報隊の舞台、阪神支局というのが気に掛かる。

 マスコミ規制法など、マスコミと権力が対峙している。それに伴って、マスコミに対 する波状攻撃が激しくなっている。その現状と放火事件は無縁ではないような気がして ならない。

 こんな折り、毎日新聞のカメラマンが爆発事件を起こしてしまった。その不用意が悔 やまれる。全力の検証作業、誠意ある陳謝、補償が読者の信頼を取り戻しつつある。も ちろん、毎日新聞は、この痛みを抱えながら、仕事を続けなければならないのだが……。

 読者の大半は、毎日新聞を厳しく批判している。同時に、冷静な読者は「悪意に満ち た中傷」を無視している。これは有り難い。

 正確には5月12日午前1時、首都圏で震度3〜4度の地震。直下型。不気味でなか なか寝付かれなっかた。

<何だか分からない今日の名文句>

妄想には「距離」

5月8日(木) エッ、核も拉致も同列?

 隅田川の向こうは朝焼けだったが、6時ごろから曇天。全体がどんよりとしている。

 アンマン爆破事件のことが気になってからなのか、4時頃、目が覚めて眠れない。

 ヨルダンで毎日新聞の誠意が理解されのるか……。日本で理解されるのか。斉藤社長 のお詫びの旅。多分、彼は、毎日の将来が、この旅行に掛かっている、と思っているの だろう。

 カメラマンがあるいは釈放になるかもしれない、というニュースが流れているが、喜 ぶべきか。色々、考えると、眠れなくなる。

 社会部のメール箱に毎日新聞労働組合本部機関誌「われら」が入っていた。アンマン 事件に関する記事が載っているのか、と思ったら「竹橋工場 ありがとう。37年の歴 史に幕」の大見出し。

 1966年8月15日に稼働した竹橋本社地下の印刷工場が4月30日、停止しされた。

 最初は有楽町と新社屋・竹橋と並列印刷だった、と先輩が思い出話を書いている。

 当時としては画期的な1連28ページ印刷で、競争他社をアッと言わせた。

 その印刷工場が閉鎖せれ、各地のサテライトで印刷される。時代は流れる。

 1967年に入社した僕らは竹橋本社で始めて採用。だから、同期会の名前は「竹橋 会」である。

 印刷工場の輪転機がご用済みになったのを見ると、妙な気分だ。そして、我が社は大 きなピンチに遭遇している。

 午後、高校、大学を通じた郵便友の会の先輩から頼まれた講演。箱根湯本温泉「ホテ ル河鹿荘」。一泊するつもりだったが、日帰りにする。

 夜、テレビを見ると、小泉さんが始めて拉致被害者に会ったらしい。遅すぎる。

 その後のぶら下がりで「核も、ミサイルも、拉致も同列だ」と大見得。何を言いたい のか……。

 ああ、いつもの「言葉だけ」。まるで詐欺師のノリではないか。

<何だか分からない今日の名文句>

口はタダ

5月7日(水) 重苦しい毎日

 朝、福ちゃんから電話。三社祭りの頃、浅草見番で、芸者衆の踊りのおさらい会があ る。例の隠れ家?「M」のママ(現役の芸者さん)が、イス席を用意してくれた、との誘い。

 ありがたいが、そんな気になれなくて「2階へ上る階段がホネで、今回は辞退」と答 える。

 まさか、同僚記者が大変なことをして……気分は謹慎している、何て江戸っ子は言えねえ。

 不祥事は不祥事。仕事は仕事、と割り切らなければ……と思うのだが。重苦しい。

 我が掲示板にも、当然、厳しい書き込みが続いている。ご無理ごもっとも。「魔が差 した」と感想を書けば、文句を言われるが「魔が差した」という以外ないんだから……。

 昼過ぎ、昨日の夕刊「ここだけの話」で紹介した「曽我さんの歌」の主人公・元ラジ オ局員のAさんがやって来て「『友人のA』と書いてくれて、嬉しかった」と言ってくれた。

 アンマン爆弾事件には、サラッと触れただけで「君のコラム、曽我さんに送った」。 ありがとう。

 「街角スケッチ」の締め切りで、大慌てで書き上げ、出社。

 どこもかしこも、重苦しい。

 斉藤社長がアンマンでお詫びの旅。誠意を見せる以外に道はない。

 徒歩で帰宅。横山町界隈に祭りの提灯が並んだ。週末は神田祭りだ。

<何だか分からない今日の名文句>

誠意、誠意、誠意……

5月6日(火) 権力が握る「報道の定義」

 朝から、携帯が鳴りっぱなし。このGWはつくづく「長期休養」だった。(GWの日 記は5月5日の日記にまとめた)

 午前中はゲラ直しだけで2時間。「締め切りですが」という電話には「忙しくて書け ない!」と悲鳴を上げる。

 東京新聞の特報部から「オウムと白装束の違い」のコメントを求められる。

 勤め先以外の新聞にコメントを話すのはちょっと不安だが「東京新聞の特報部」には 、気鋭の記者がいるから安心だろう。オウムと千乃正法は似てるようで、大分、違う、 と言ったことを話す。

 夕方、社会部編集委員の会。この5月の人事異動で、社会部の編集委員は11人になった。

 社外から「編集委員は偉いんですか?」と聞かれ「嫌々、単なる古手の記者ですよ」 と謙遜していたが、それも「社会部にただ一人の編集委員」だから良かった。これから は、そうも行かない。

 「私は違いますが、見識のあるベテラン記者が選ばれている」とでも言わなければならない。

 始めての編集委員の会。我ら中高年が社会部の中核の一つにならざるを得ないのだか ら、情報収集の場が必要になる。

 話題は当然、ヨルダン爆発事件。(この事件については、5月5日の日記で、僕の気 持ちを書いた)

 容疑者のカメラマンは、実にエネルギッシュな人で、素晴らしい写真を撮っている、 という話になる。

 残念だ。が、事件と才能は別のことだ。

 この日、斉藤社長はヨルダンに飛んだ。お詫びの旅。国王に挨拶する段取りが出来た のだろう。当地の新聞に謝罪の広告を載せた。

 文化の違う異国で、過失であれ、事故であれ、人一人の命がなくなってしまっている 。毎日新聞の人間は全員、苦しみを共有しなければならない。

 最後まで、笑いが出ない初会合だった。

 廊下で写真部長のTクンにばったり。カメラマンの直属の上司。今、一番、苦しい立 場にいる。「頑張れよ!」と声を掛けるのが精一杯だった。

 帰ると、テレビ朝日のニュースステーションが個人情報保護法案を特集している。

 この法案の適用除外規定には「放送機関、新聞社、通信社、その他の報道機関(報道 を業とするもの」とあるが「出版社」「雑誌」の明記がされないままである。やはり、おかしい。

 スキャンダルをスクープするのが週刊誌だから、権力は雑誌を黙らせようしている。

 ホームページはどうなるのか。「報道」の定義も曖昧で主務大臣が「報道か否か」を 決める。権力が決める。

 スキャンダルに苦しんだ民主党の菅さんも週刊誌を黙らせる側に立って、法案成立に 荷担している。

 表現の自由が危険な重大な時に、毎日新聞はドジを踏んでしまった。が、爆発事件の ドジと、真実の報道・論評は別のことだ。萎縮することはない。沈黙すべきは沈黙する が、言うべきことは、主張しなければ、権力の言いなりだ。

<何だか分からない今日の名文句>

言わぬが花、言わぬが損

5月5日(月) 京都は31℃

 少し精神的に疲れた気分もして、GW間はメールも、インターネットも、この日記も 、掲示板も触らず「昔の自分」に戻ってみた。携帯も極力、電源を切った。

 「昔の自分」って、ボヤッとしていて、何んとなく爽やかな気分。

 GWの毎日を駆け足で記録しよう。

 4月25日(金)午前中、皇居の宮内庁楽部で雅楽演奏会。記者仲間の宮内庁担当 が「一度は皇居の中を見ては」と誘ってくれた。

 皇居の新緑は格別。5メートル離れたところで、美智子様の姿を垣間見る。昔、サン トリーホールで、同じ列でクラシックを聴いた時と比べると、お美しく老いていらっし ゃる。もっとも、その時は皇太子妃だったけど。夜、雨の中、長野地方に向かう。

 4月26日(土)終日、長野で野暮用。夕刊一面で東京競馬場リニューアルオープン の記事を書く。オープン前に覗くと、あまりに緑の絨毯が美しいので「当日、大きな事 件がなかったら、写真モノで書きたい」とJRAの高橋理事長に約束していた。予定原 稿を書いていたのだが、朝方、天気予報を聞くと、東京地方は雨。現場に行った、たまち ゃんが「1レースが始まった頃から日が差した」という報告。良かった。雨のオープン では縁起が悪い。

 工事現場監督のような毎日を送っていた井上さん(東京競馬場長)。もし、事故でも 起こったら・・・神経を使い通し、多分、ホッとしているだろう。おめでとう。

 4月27日(日)その東京競馬場でサンスポ杯。宗ちゃんが表彰式に来るといったの に、何故か欠席。体調不良かしら。馬場詰めでビールを一杯。

 4月28日から5月1日まで、原稿また原稿。必死に書く。

 5月2日(金)京都紀行。午後、三千院を見て、夜「北平」を探し当てる。(「北 平」のことは「おけらか街道」で書く。読んでくれ)

 5月3日(土)念願の向日町競輪。1レースで「8000円台の3連単」をゲット。 凄い。穴場のおばさんが「このまま帰ったら」と言うので、そのまま競輪場を去る。午 後、下賀茂神社で流鏑馬を見学。夜は鴨川の川床。風流。

 5月4日(日)京都競馬場で天皇賞。競輪で稼いだ資金で、狂ったように買いまく り惨敗。でも、色々な方を紹介された。○○神宮、××神宮の宮司の方と知り合いにな れたのは天皇賞のなせる技?

 久しぶりに会った「柔道の姿」氏と夕飯。元気だ。相変わらず、彼、豪快にビールを 飲む。僕もつられて、生ビールを2本。本当に楽しかった。

 5月5日(月)休みの最後。先斗町歌舞伎座で鴨川おどりを見る。芸者さんの踊りは 久しぶりで堪能。高瀬川周辺を歩くと汗が出る。何と京都は31℃。びっくりした。

 京都駅で新幹線の切符を求めると、すべて満席。しまった。

 それでも、粘りに粘り「こだま」のグリーンをゲット。4時間近く乗って、23時3 1分、東京着。疲れた。

 GWの間、ニュースを見ないように心がけたが、それも無理。毎日新聞写真部記者の 荷物から爆発のニュースには背筋が凍った。

 魔が差した、という以外、考えられない。

 顔見知りのカメラマンではないが、仕事ぶりは優秀と聞いていた。あまりに軽率で理 解できないが、世の中には「魔が差した」ことは、数々ある。

 個人として、組織として、十二分に誠意のある対応をする以外、我々に残された方法 はない。あくまでも冷静に事実を取材して、真相を公表して、許しをこう以外にない。

 彼の仕事の評価は、また別のところにあると思う。

 毎日新聞の仕事の評価もまた、この悲しい出来事は別であると思う。

 毎日新聞に風当たりは強くなるが、力を込めて仕事をするのが我々の責務。事後処理 に当たる仲間はご苦労だが、頑張って貰いたい。我々は、ただただ特ダネを書くしかな い。政局は山あり、谷あり。そう簡単に小泉再選、といけるのか。

<何だか分からない今日の名文句>

明日ありと思う心の仇桜