編集長ヘッドライン日記 バックナンバー
2002.12月

12月29日(日) マリア引退

 27日早朝。墨田区石原・片男波部屋の朝稽古を見学兼取材。ちゃんこを食べる。

 朝稽古は午前5時スタートだから、10時ごろになると、腹が減る。だから、という 訳ではないが、実にうまい。

 鳥つくねにニンニク、しょうが、味噌、砂糖、塩、醤油で味付け。油揚げ、こんにゃ く、ゴボウ、豆腐が入っていた。

 11時、薬研堀の年末市で、お飾りを買う。必ず「川口家水島」で買う。その後、秋 葉原で小さい暖房器具を探してから出社。

 夕方、後輩の2人とささやかな忘年会。一人は、いまや僕の上司、という形になって はいるが、まあ2人とも親友(僕の子分?)みたいな関係。浅草・神谷バー。上司の奥 さんが途中から加わって、昔はなし。実に愉快だ。

 観音裏のスナック「ひまわり」に4年半、勤めたマリアが今日で引退する。よく頑張 った。鳥取生まれのマリア。33歳。親を早くなくし、弟の養育のため、水商売には入 ったが、弟が社会人になったのを期に昼間の仕事だけにする。ご苦労さん。

 神谷バーの帰りに「ひまわり」に寄り、赤いバラを贈る。喜んでくれた。彼女「居酒 屋が得意だ」と言うのでデュエットする。どうも初めて歌う詩なので、うまくいかない 。音痴でゴメン。

 28日午後8時16分「生きる記録」の佐藤健さん。逝く。しんみりしてしまう。夜 になって、思いを書き止めたく、ビールを飲みながら掲示板に投稿。

 嫌に寒々とした夜だなあ。

 29日は快晴。でも寒い。年賀状を発送。

 健さんの葬儀の日程が気になっていたが、新年の3,4日とのことで、この日は約束 通り、愛輪会の仲間と松戸へ。2勝5敗。幾分、負ける。仲間は全員、損をする。

 その後「伊勢亀」という河豚屋で忘年会。参加者は日刊スポーツ、報知、デーリーの 看板競馬記者、それに原良馬さん、元東京新聞運動部長、JRAの理事さん、関連会社 の社長、グリーンチャンネルの社員……と言った「競馬界の競輪好き」。

 たわいない世間話。来年は2月の平競輪からスタートすることにする。泊まり掛けだ ろう。

 ことしも、あと2日。寒いのでホカロンを腰に当てた。

<何だか分からない今日の名文句>

「あがります」


12月26日(木) 銀行の狡トラ

 昼、浅草橋の銀行に新規の普通預金通帳を作りに行く。この銀行だけが「勝ち組」に なりつつあるが、去年の年末と比べて窓口は閑散としている。

 ATMですべてが処理できるから、窓口の仕事は楽になる。と言っても、窓口の手続 きが早くなっているというと、そうでもない。人手がないようだ。

 この「裕福な銀行」でも、リストラが進んでいるのだろう。

 大銀行のリストラはあまりに恵まれている。みずほ銀行の場合、希望退職者に40ヶ 月分の給与が通常の退職金に上乗せされる。彼らの年給は1200万円以上だから、僕 に言わせれば莫大な退職金になる。

 普通の民間会社は精々、12ヶ月分の上乗せ。あまりに恵まれている。これはリスト ラではない。狡トラだ。

 銀行は狡い。

 この「勝ち組」銀行を除いて、大手7銀行の中小企業向け融資残高は4月から9兆円 も減った。「貸し剥がし」である。

 みずほ銀行は5兆円も貸し出し残額を減らしている。中小企業はバタバタと倒れ、銀 行員には優雅な第二の人生が約束されている。

 中小企業向けの融資が公的資金投入の前提なのに、この異常な貸し剥がし。貸し剥が しを結果的に加速させる竹中方式。あまりに矛盾している。

 この「勝ち組」銀行には、一階に4つの丸時計が掛かっていたが、何故か、4つとも 時間が30秒から2分、違っていた。一番早い時計と一番遅い時計では4分も違う。行 員に注意しようと思ったが、それほどまですることもない、とほっておいた。

 京都中央信用金庫の立てこもり事件。融資に関するトラブル。この種の事件はさらに 増えるだろう。

 午後2時、Jr、来訪。「2002年大予想」の的中者がもの凄い数になるらしい。 はじめは100人ぐらいの参加と予測したが、400人以上の人が参加したので、大変 な的中者が出た。的中者の賞品を贈ると言うことになると「破産ですよ」とJr。大変 なことになった。

 午後3時、ホームページの更新が行われていないことを知らされる。有希のミス。サンフランシスコ にJrが電話で知らせる。

 4時、野暮用でTBS。みのもんたが「動物もの」の収録していたので、顔を出す。 「連日連夜の忘年会。今日も、やるんだ」。身体を大事にしろよ。

 それから出社。

 「生きる記録」の佐藤健さん。容態が悪いようだ。

<何だか分からない今日の名文句>

バンクじゃなくてパンク屋


12月25日(水) 社会部の忘年会

 朝、月刊ケアコミュニティの「街角スケッチ」を書く。これも、年を越えると連載3 年目に入る。

 時々、ネタがなくなると「やめよう」と思うこともある。が、編集者のアベちゃんか ら「ファンがいる」と聞かされると、つい頑張ってしまう。俺って、馬鹿だなあ。

 それにしても「雀の涙」のような原稿料。よくみんな我慢をしている。

 ボランティア、ボランティア……と思うしかないが、広告を取らない雑誌はどうして も安稿料になる。

 経営者は、編集者の人柄で、何とかこの雑誌は持っていることを自覚せよ!

 夕方から社会部の忘年会。ことしの忘年会は元気はつらつ。

 大治記者の新聞協会賞受賞を始め、スクープ合戦で圧倒的に他社を出し抜いた。社会 部は毎月のように編集局長賞を取っている。こんなこと、今まで見たことがない。

 今日(25日)話題の「生きる記録・佐藤健と取材班」が一部を終えた。末期ガンの 健さん闘病記。読み返し読み返し、涙が乾かない。

 健さんは、7日間、何も食べなかったが、昨日(24日)お粥を食べた。冗談が出た 。

 忘年会で隣に座った「健さん番」の萩尾記者が「今日、健さんのところに仏像が届 けられましてね。闘う阿弥陀如来像もあるんですね」と教えてくれた。

 見舞いに行きたいのだが、健さんの姿を見るのが怖くて、怖くて……。

 全国から彼のもとに激励の手紙、メールが殺到している。1020件を越えた。先輩 に「読者から一通、手紙が来れば1万人がその記事を読んでいる」と聞かされたが、1 000通メールが来れば1000万人の読者がいることになる。

 もちろん、毎日新聞は400万部しかないから、この反応は半端じゃない。

 読者が奇跡を祈っている。健さん、記者冥利ではないか。第2部は1月中旬。どうか 、まだ読んでいない方は是非是非読んでいただきたい。

 新橋のスナックで二次会が用意されていたが、これはパス。一年間、ロクに話す機会 もなかった「年齢が近い仲間」と極めて小規模な二次会。楽しい。

 本来なら公式二次会でカラオケでも歌わなければいけない、と思うのだが、若い記者 との交遊が苦手で困る。

 日付けが変わってから帰宅。

<何だか分からない今日の名文句>

病とともに存在す


12月24日(火)「借りたカネは返すな!」

 午前7時、会社の近くに「デニーズ神田橋店」がオープンしたので、早速、利用する 。新規開店は、何か、サービスがあるはず。380円のホットケーキが無料。帰りに花 をくれた。ちょっと得した気分。

 珍しく8時半に出社。「ここだけの話」のゲラ点検。

 午後「銀座・くのや」で年賀用手拭いを購入。干支の絵が素敵で、毎年、利用してい る。来年はヒツジ。

 午後4時半、JRA六本木事務所で「競馬記者クラブ」の忘年会。ビンゴで西洋ナイ フが当たる。たまちゃんは5000円の商品券が当たる。取り替えよう、と言ったら「 賞品は女房にやる約束ですから」と拒否された。ナイフを女房にやったら、これは大変 だ?

 三組のグループから二次会を誘われ、あちらを立てれば、こちらが立たず。結局、す べてご辞退して、夜は一人で浅草橋周辺を散歩。

 仕事場に帰れば、岩がき、姿カニ、伊勢エビなどのプレゼントが届いている。なくな った友人の義父が千葉県勝浦あたりで取ってくれた伊勢エビ。とても食べきれないので 、お裾分け。

 競馬界の重鎮?が送ってくれた岩がきで一杯。関西の医師から送ってくれた姿カニは 、実に大きい。クリスマスイブの食卓は珍しく豪華。感謝、感謝。

 深夜、送ってきた「企業再生屋が書いた 借りたカネは返すな!」(アスキーコミュ ニケーション刊)を熟読する。

 もう自殺、夜逃げ、自己破産する必要はない、という説得力ある本。借金帳消し術を 伝授する本である。

 投げやりになった年の瀬を迎える人も多いのだろう。推定、借金自殺約2万人。

 この本の主張の一つ「連帯保証人制度廃止」。僕も賛成だ。

 自分が借りたわけでもないのに、主債務者の代わりに原則一括で返すシステム、アメ リカには存在しない。こんなことをやっているのはアジアの後進国だけだ。銀行と官僚 と政治家だけが生き延びる。サラ金が我が世の春。

 連帯保証で、自殺した人が何人いるか。小泉さんは知っているのか。

 多分、2003年になると「借りたカネは返すな!」の気分が充満するだろう。善意 の人が借金で死ぬことはないのだから……。

<何だか分からない今日の名文句>

カネは嘘のもと


12月23日(月) テレビの知的基礎体力

 天皇誕生日。快晴。

 終日ブラブラする。仕事は世界週報の原稿だけ。馬産地の苦悩をレポートする。世界 週報は、これが今年最後の原稿。

 友人が電話で「最近のニュースはおかしい」と意見を求めてきた。22日、日曜日のN HKのニュース。二番手でが曽我ひとみさんの新居が紹介されたという。何か、情報バラ エティ番組のようだ、と彼は言う。(僕は見なかった)

 彼女の新居移転は、拉致被害者5人の決意を表す一つのニュースではあるが、全国ニ ュースの二番手に相応しいか、難しいところだ。

 最近は、幾分、拉致報道が偏っている感じもする。

 それより、テレビニュースに活気がない。スクープがない。ニュースの選択基準が投 げやりで、拉致事件を報道していけばいい、という安易さがある。テレビの知的基礎体 力に疑問を感じる。

 そんな話をしている内に日没。一番、昼が長い一日だ。ユダヤ暦では日没が来ると日 付が変わる。時計が(あるいは時計に変わるもの)がなければ、その方が自然だったの だろう。

 ということになると、クリスマスイブの12月24日夜は12月25日だったことに なる。

 冬至の23日夜は、24日と言うことになるのか。

 そんなことを考えながら、ゆっくりとした夜を楽しんだ。

<何だか分からない今日の名文句>

イブがイブイブ


12月22日(日) 天才だ、万馬券造さん

 20日の金曜日。日大一中、一高時代の友人と二人だけの忘年会。彼が二日前に声を 掛けたが、みんな先約があって二人きりになった。

 神田の今川小路の「S」。昔、二人でよく行った小さな店で数年ぶり。常連が二人、 亡くなったと聞く。何故か、日本共産党の関係者が常連に多かったが、ノンポリの人が お客に残った感じだ。

 友人は11月20日、勤め先の外資系医療器具の会社を退職した。勧奨退職で退職金 を多く貰っての退職だった。人事部長だったので、次々、仲間の肩たたきをして、最後 に自らが作った制度で退職したという訳。

 「入学試験に合格したので、4月からは指圧の学校に3年間通う」。退職金がかなり の額になるので余裕がある。卒業後は開業する予定はなく、足がちょっと不自由な奥さ んのために、彼女だけの指圧をするらしい。

 「お前は?」と聞かれたが「死ぬまで新聞記者」と答えた。

 「無法松の一生」が得意なので「ひまわり」へ。店に着くと、ママさんが「ちょっと 前、電話で牧さんにお酒を届けたい、という電話があった」という。誰だろう?

 友人が「無法松の一生」を歌い終わったところに、会ったこともない御仁が現れた。

 掲示板の常連さんだった。お酒をいただき恐縮。店に置いてチビチビ飲むことにする 。ありがとう。

 野暮用があったので、先に失礼したが、友人とその常連さんは意気投合したようだっ た。

 21日はみぞれまじりの悪天候。たまちゃんが汐留WINSで有馬記念の予想をする というので行きたかったが、悪天候を理由に失礼する。申し訳ない。外に出ず「ここだ けの話」を書く。電力マンへの応援歌のようなコラムになりそう。

 22日は有馬記念。TBSラジオで「ヒシミラクルを応援したい」と話し、現地へ。

 競馬場には顔見知りが多く、まるで年賀の挨拶をしているような感じ。ザッと70〜 80人と談笑する。とても馬券検討は出来ず1勝4敗。財布が空になる。

 有馬はタップダンスシチーがノーマークで惨敗。スポニチ用に観戦記を書きなぐる。 (23日スポニチの2ページに掲載されるので読んでくれ)

 JRAの事務所の打ち上げに参加。「農水のドン」こと桧垣徳太郎さんが自慢話。( これまでいつも「農水のドン」と書いていたが、鈴木宗男さんが自分が「ドン」と思い こんでいたり、あるいは熊本のMが「次は俺がドン」という顔しているので、桧垣さん は実名にすることにした。このお方こそ、清廉潔白の農水のドンなのだ)

 さて、桧垣さんの自慢は「ダップダンスシチーから6点流した。これは50年以上、 競馬をしなければ出来ない芸当」

 恐れ入りました。この日、桧垣さんは8勝2敗。これまでにパーフェクト予想を2回記録している。

 馬場詰め所に顔を出す。井崎脩五郎さんと鈴木嬢?が来ていた。馬場を愛するスタッ フに感謝して、ビールを少々。途中、野暮用のため退席。井崎さん「牧さんの分までの みますから」「お願いします」

 夜遅く、掲示板を点検すると、万馬券造さんが3連復を15点、400円づつ買う、 と書いていた。その筆頭が1−2−8である。40570円の万馬券。16万円を越え ている。

 恐れ入りました。10番勝負も、万馬券造さんが第1位。彼こそ、日本一の馬券師だ 。

 でも…誰でも、一時、日本一になれるのが競馬でもあるから、負けないぞ。

<何だか分からない今日の名文句>

槍が降っても一点地六


12月19日(木) 女傑モーションと心中!

 午後3時頃から、拉致事件の被害者5人の会見をテレビで見る。

 人間は運命に押し流されながら、少しづつ、時に加速度的に強くなるものだ。「同じ 船」に乗った5人。来年になれば、それぞれの意思で「違う船」に乗り換えることにな るとは思うが……一人一人の表情に「期するもの」が伺える。論評を越える表情。

 夕方、大阪から知人がやって来た。「別に東京に用事あったわけじゃない。あんたに 会うのが目的でやって来た」と言われ、ただただ恐縮。嘘でも、そんなことを言ってく れる人がいて、俺は幸せだ。その知人の会社仲間で東京に在住する人も交えて、六本木 の創作中華料理で夕食。凄くうまい。店は教えない。これ、隠れ家的存在にしたい。

 一人遅れて来た知人は「石原慎太郎のシンポジウムに行っていて遅れた」

 「シンポジウム・明日の日本、明日の東京のために!」。中曽根さんが最大限のお世 辞を言ったようだ。いくら「新党と関係ない」と石原さんが言っても、政変と無関係で はあり得ない。

 拉致事件も被害者の意思とは関係なく、政局がらみになるだろう。だからこそ、個人 の強固な行動が頼みだ。

 そんな話をしてから、浅草の羽子板市。羽子板をプレゼントするほど裕福ではないの で「羽根」をみんなに配る。ことしの羽子板市の人出は、最悪、という人もいる。

 銭塚稲荷で「来年こそ、金儲けを!」と祈る。いやいや、有馬記念の必勝祈願が先か 。

 お決まりの観音裏スナック「ひまわり」。大阪から来た人に敬意を払い「浪速恋し ぐれ」を歌う。音痴。笑われる。

 有馬記念の枠順決定。ファインモーションが勝つような気がする。オグリキャップ以 来の怪物のような気がする。

 3歳馬が3位まで独占する、と見て1,3,6,12のボックスで、3連復!

 「10番勝負」はいよいよゴール前。全員参加でお願いしたい。

 尚、競輪グランプリの「3連単」も密やかにやるつもり。

 掲示板に「大郎」と改名するな、とのご意見。もちろん「太郎」が良いに決まってい る。

 早死にした知人もあの世で「姓名判断なんて当てに出来ない」と言っている。

<何だか分からない今日の名文句>

競馬も、アンタも「同じ船」


12月18日(水) クリスマス・テロ?

 何年ぶりかの「仕事場の大掃除」。身体が不自由なのでプロにお願いする。床の絨毯 の掃除はやっぱりプロでなければ……。

 その間、仕事場の隅で、お遊びのような情報収集。「サイゾー」という雑誌が好きで 、こんな時、拾い読みをする。(字が小さいから難儀するけど)

 「5分で分かる<マスコミ><政治家>論調マップ・北朝鮮」は愉快だ。何年か経つ と「こんな人がこんなことを言っていたのか」と大笑いするだろう。保存用皮肉本。

 午前10時。散髪。30分ぐらい暇が出来たので「たいとう診療所」に今井先生を訪 ねる。

 平衡感覚に自信がないので、診断してもろう。「大丈夫」と太鼓判。むしろ、書くモ ノに平衡感覚がないのか。

 繁盛の診療所は来年春、少し離れたところ(元浅草)に7階立ての病院になる。そん な話。

 昼、新橋で気心の知れた仲間6人の昼飯会。有馬記念の予想。人気の3強で決まると いうのが大勢。でも、みんな買う馬券はもっと助平なものになるハズ。

 午後3時、JRA六本木事務所で若干の取材。「競馬はロマン」の今年最後の原稿を 打つ。

 午後5時半。仕事場に戻り、掃除の点検。見事、綺麗になった。ありがとう。

 午後6時半、浅草へ歩き、納め観音。羽子板市。江戸勝本店の「め組の喧嘩」が欲し くなったが「算盤の5」。5万円は高いので、や〜めた。回転寿司で700円の寿司を 買って仕事場に戻る。

 BBCによると、アルカイダの大がかりなテロは実現性が強くなっている。ロンドン はかなり緊張しているようだ。

 明日、拉致被害者の5人がそろって記者会見する。ちょっと緊張。その後の北の出方 がどうなるのか。

 全世界的にテロの不安が散在する。そろそろクリスマス。

<何だか分からない今日の名文句>

水際の備え


12月17日(火) ああ忙しい

 ああ忙しい。

 気がつくと市川のマンションの火災保険が満期になっていた。5年間で42000円 かかる。適正な金額なのか、分からない。でも検討する暇がない。

 払い込もうと郵便局の窓口に行くと「これ銀行ですよ」。仕方なく銀行へ。ああ忙し い。

 午前中「おけら街道」を書き、午後一時に大事な野暮用。その面談の最中に電話が幾 つも入る。師走だなあ。

 スポニチから電話。「先ほどいただいた原稿ですが、有馬記念ものに変えてくれませ んか」「承知しました」で午後5時までに書き直し。ああ、忙しい。

 夕方、知人が4年半ぶりに来訪。「牧さんの好きな烏賊が北海道から届いたので」。 感謝感激。

 7時から1時間ほど、今日始めての散歩。あす18日に仕事場の大掃除をするので、 その準備。ああ忙しい。

<何だか分からない今日の名文句>

忙殺日記


12月16日(月) 安倍さんの本音

 ことしも半月。あわただしくなった。時間を見つけては掃除。

 意外な知人から大きな花が届いた。花と言っても立派な木の枝がアレンジされている。 こんなみたこともない。高価のものだろう。それにしても、花なんて、奴らしくない 。

 自分だけで見ていてももったいないので、ビルの玄関に飾らせてもらう。あわただし い年の瀬に、こんなプレゼントがやってくるのも洒落ている。

 彼には、お返しに「深谷のネギ」を送る。

 浅草まで散歩して「舟和」で知人にカステラを送る。知人は埼玉の長芋を大量に送っ てくれた。感謝。

 午後3時。日本記者クラブで「北朝鮮・勉強会」。第一回の講師は安倍官房副長官。 時間ぎりぎりに安倍さんはワンボックスカーで到着した。新しいスタイルの政治家らし い。

 「ここで話したことはすぐピョンヤンに流れるので……」と言いながらもギリギ リの表現で話してくれた。

 (1)田中審議官が交渉相手にした「ミスターX」は誰なのか、私は知らない。しか し、今後も大切なパイプだと思っている。(矛盾がある言い回しだが「ミスターXは誰 か、みんな知っているが、田中さんはこれを明らかにしないから、知らないとしか言え ない。だから、無視はしないが、それが大切なパイプというのはどうか。しかしピョン ヤンに通じているので「大切」と言うしか言いようがない、という意味か)

 (2)ピョンヤン宣言は100点満点ではない。しかし、これがあるから、事態は進 展した。(宣言に「拉致」の文句が入らなかったことは極めて残念である、とつい本音 を漏らした、と見るべき)

 (3)金正日は合理的な対応ができるので、あの国は暴発しないと思う。(これは北 に対するメッセージ)

 1時間半楽しかった。会場は超満員。それこそ座るところがない。日本記者クラブの 「出し物」は一段とおもしろくなっている。

 毎日新聞からも前会長、現専務が顔を見せた。先輩記者と旧交を暖める。女性記者の 先駆者?から「先週のここだけの話、美容師の話、おもしろかった」とお褒めのお言葉 。

 志村弘雄さんと言う人が「こんなものを書きましたので読んで下さい」と雑誌を持っ てきた。「月刊観光」。こんなくだりがあった。

 「本音の話は本に書かない、と言えば語弊を招くが、本音の話は対面の場でーーこれ は新聞人生活40有余年の私のホンネである。

 いま毎日新聞夕刊3面に週一回連載中のさるベテラン記者(元サンデー毎日編集長) 執筆の「ここだけの話」が話題だが、そこだけが楽しみで、この新聞の夕刊を求める読 者がいる」

 本当だろうか。もし、本当なら「本音コラム」の試みも成功しつつあるのかも。うれ しい。深々と頭を下げる。

 その「ここだけの話」。今回は「姓名判断のお話」。本社からゲラをFAXしてもらい 点検する。

 6時から知人と銀座「三献」でささやかな忘年会。アンキモを食べる。浅草観音裏の 「ひまわり」に移って「美しい十代」を歌う。

 気分良し。

<何だか分からない今日の名文句>

裏読み会見


12月15日(日) 政変に宗教法人課税の影?

 民主党の熊谷弘前副代表が20日までに保守党の二階俊博と合流して、新党を作るこ とが表面化した。

 13日の朝刊で毎日が「保守党の野田代表、自民党へ」とスクープしたのと、もちろ ん無縁ではない。

 一方、保守党党首・野田は森、中曽根、山崎と連絡を取り、それなりの人数を集めて 自民党へ入党する段取りを進め、またその一方で、二階は熊谷の取り込みを計っている らしい。

 同僚の情報では、熊谷はわざわざ民主党の代表選で大嫌いな菅に投票して、菅体制を 作っておいて「小沢・菅ラインの自由・民主に反対だ」と袂を分かつ。やるもんじゃな いか。

 この水面下の動きが13日から週末にかけて表面化する。政変だ。

 その一方のキーマンは小沢だが、それとは別に公明党を取り巻く事態が微妙に変わり つつあることも関係する。

 公明党に小泉が急接近して、これまでの公明・野中の関係が激変している。野中は宗 教法人課税を言い出している。

 その行き違いが、もっと大きい政変を呼ぶかもしれない。が、誰も知らない顔をする 。14日は、義母・牧キミの13回忌、叔母・牧やすの27回忌を済ます。

 それ以外はやることもなく、週末は政変のお勉強。

<何だか分からない今日の名文句>

知らぬが仏


12月12日(木) 教育は「欲」

 朝、本棚の整理をする。どうにも片付かない。筆者から贈ってもらったものを勝手に 処分することも出来ない。だからと言って、置き場もない。

 出来る限り多くの人に読んで貰うのが肝要と思い、仕事場のあるビルの一階に「気に いったら持っていてください」と張り紙をつけて、新本、古本類を並べる。

 「競馬はロマン」を書き上げてから外出。午後、日本記者クラブで幅広い意味の「取 材」を受ける。「俺の方も取材するゾ」と断って、先方から色々なことを聞いた。おも しろい。これは「ここだけの話」になるゾ。

 夕方、別の友人に会う。「平成18年から大学入試センター試験の科目に英語のヒア リングが入る」と聞かされる。エッ、まだ入っていなかったのか。それじゃあ、日本人 の英語力は十年一日のごとしだ。

 ヒヤリングが受験科目になったら、生徒の取り組みも変わるだろう。教育は「欲」で ある。バカでは損をする、と思えば勉強する。試験に損する、と思えば勉強する。教育 は「欲」と道づれ。

 早い話、大学に関して興味のあることは?と若者に聞けば10人中8人は「入試です 」と答える。教育は「欲」と道づれだ。

 テレビで舟木一夫芸能生活40周年のパーティーを知る。我々の世代、頑張っている。

 あの頃「高校三年生」「美しい十代」を歌った。「欲」と道づれありながら「美しい 」と歌っていたのか。

 でも、あの頃、歌と正反対に俺の青春って暗かった。青春なんて暗いものだ、などと思 いつつ、ビールを空ける。一階に並べた古本の類、結構、捌けている。何となくうれし い。

 またビールを飲む。酔いが早く、日記を書いて、10時には寝る。

<何だか分からない今日の名文句>

らららんちゃっちゃ
らららんちゃっちゃ
赤い夕日が校舎を染めて


12月11日(水) 世間知らずの罪?

 朝、東京専売病院。MRI。実は一ヶ月ほど前、エリザベス女王杯を見に行った時、 京都のデパートで目眩がした。目眩というものを経験したのが始めてだったのでショッ クだった。

 東京に帰り、大山ドクターに相談したら「寝不足だろう」と言われた。が、何か脳に 異常が起きたのかと不安になってMRIで見て貰うことにした。

 MRIは閉所恐怖症のボクには豪く気持ちが悪いが、今回で多分3度目。慣れたもの で検査の20分間、眠ってしまった。

 検査結果、異常なし。緊張したのか、血圧は高い。「年末は無理しないように」とドク ターに注意される。

 近いので、帰りにJRA六本木事務所へ。記者クラブに若い記者がいた。スポーツ新 聞ではなくY紙、つまり日刊紙の記者。珍しい。サッカー担当から競馬に変わったらし く、常駐するらしい。友達になれそう。

 彼、おしゃべりが好きなようで、川崎支局に勤務していた当時のことを話してくれた 。例えば稲川会横須賀一家の親分の家のこと。例えば、川崎競馬のスター騎手Mの不祥 事。彼、克明に裁判を取材した。おもしろい話だ。

 M転落のケースは、彼のパチンコ好きに原因があった。パチンコ屋の店員が「ここ出 ますよ」と教えてくれた。で大儲けした。別に八百長をしたわけではないが、それとな く、店員に「あのレースは……」を情報を流した。店員はこれで儲ける。

 店員からこの「美味しい話」を聞いた暴力団が、M情報で一儲けしようと有り金すべ て賭けたが、これが情報通りに行かなかった。競馬だ。八百長だって「八百長崩れ」が ある。当然だ。

 怒ったヤクザが警察に届け出た、というのが、お粗末な顛末だった、と言う。

 競馬の騎手はやはり世間知らずだった。自らの社会的責任が全く分かっていない。残 念だ。(しかし、これが本当なら、けしからんヤクザである。博打で負けて、腹いせに 「お上」の力を借りるなんて……親分はどう落とし前を付けたんだろう……何て書くと 「組織暴力団の内部告発だ。ほめるべきだ」という意見が出そうで……やめよう。牛肉 の詰め替えに反対もせず協力して、一転してマスコミに「牛肉偽装」を内部告白した人 物を「正義の人」と持ち上げるご時世だから、ヘタするとヤクザも「正義の人」なる)  この話とは無関係だが、競馬経済がこのまま沈没すると八百長が起こりかねない。賞 金が十分であれば八百長は起こらない。だから、中央競馬では八百長なんて、太古のこ とになっている。

 しかし、地方競馬では、馬の飼い葉料がままならない賞金体制になっている。苦し紛 れに談合レースが出てきたら……不安でならない。

 世間知らずの小泉さんが自ら(指導部層)の無能を棚に上げ「痛みに耐えろ」なんて 言っている内に、日本の治安はどうしようもなくなる。「潰れたって良いんだ」と学者 大臣が言っている内に犯罪天国になる。

 世間知らずの理想主義とは怖いものだ。

 午後、久しぶりに例のお勉強。夜、数本の電話。「密着みのもんた」を読んだ人が久し ぶりに電話を掛けてきた。それとは別に、オウム事件の取材協力者からも電話。懐かし い。

<何だか分からない今日の名文句>

悪には染まり易し
衣食たりて礼節を知る
因果の小車


12月10日(火) 勤め先を見つけた奴

 朝、うれしい手紙が来た。後輩のF君。サンデー毎日の契約記者をしていた彼が、そ の経験を生かして某週刊誌の副編集長になったのは順調だった。が、事情があって一年 半前に泣く泣く退職。しばらく(と言っても一年半は長いけれど)失業状態。

 手紙を読むと「先月末、新しい出版社に就職できた」。良かった。ホッとした。奴の 結婚の仲人をしていたので、気が気ではなかった。

 「やはり編集者が天職と思った」と書いてある。天職かどうかは定かではないが、こ のご時世、納得できる仕事が見つかるなんて……彼に人徳があった証拠である。

 奥さん、苦労したろう。一段落したら、就職祝いをしよう。幹事は市議会議員の花屋 に命じるか。

 午前「おけら街道」を書き上げ、午後、大事な野暮用。その後、出社。事件記者Tに 「JRA汚職事件」のスクープで編集局長賞が出るような情報。捜査二課事件で「強制 捜査の日付」をスクープするなんて至難の業。受賞が実現すれば良い。世間の人には理 解できないが、2課の夜回りはつらいモノだ。デカさんの家に行っても「まだ戻ってお りません」で2時間も3時間も道路で刑事の帰宅を待つ。日付けが変わるころ、相手が 帰ってきても「話すことはない」。その繰り返しだ。ボクも5年間2課担をやったから 、よく分かる。事件を知らない記者には、この苦労が分からない。

 国税庁担当も同じで、痔の手術も出来ず、毎夜毎夜、夜回りを続けている奴もいる。 この苦労に応えてやらなくては。

 それと比べれば、政治部の夜回りなんて、殿様取材だ。(その分、真相に肉薄できな い)

 JRA汚職事件では、社会部長さんから「牧さんに迷惑がかかったのでは……」と言 われるが、断じてそんなことはない。そんなことで、人間関係が壊れるほど、ボクは柔 ではない。心配するな。

 午後7時、民主党の代表選。わざわざサポーター参加で代表選をやったばかりなのに 何を考えているのか。選ばれた人間を引きずり降ろし、こんどは国会議員だけで投票す る。馬鹿馬鹿しい。

 新登場の岡田さん。ジャスコの御曹司、東大卒、通産省の官僚……そこまでは我慢す るが、顔に「笑う筋肉」がないのは困る。庶民の生活が分かるのかしら。

 予想通り菅さんが勝つ。(一部新聞では「岡田有利」と書いたところもあるようだが )

 それにしても「政治ごっこ」は止めてくれ!

 「密着みのもんた」は11日の夕刊に載せることになり、ゲラをチェック。1面まる まる「みの」。読んで欲しい。

 8時頃、仕事場に戻る。昼間の「大事な野暮用」に関して、電話で友人の意見を求め る。難しい選択になるだろう。ああ、やるせない。

<何だか分からない今日の名文句>

暑い 寒い 貧乏だ 忙しい…は禁句(もの語録)


12月9日(月) サンデー毎日、健闘す

 少し風邪気味。週末、少し働き過ぎたかな。

 それでも、原稿を投げ出す訳にもいかず「みのもんた密着もの」に取りかかる。つい 徹底的に取材したくなる方なので、情報はいっぱい集まったが、とても11×230行 では入り切らない。

 どうしたものか。そこへ頼んでおいた「みの・年末年始の特番の一覧表」がFAXで 入ってきた。

 どれどれ……

 12月29日・日本テレビ「紅白歌の祭典」
 12月30日・フジテレビ「スポーツ丸裸」
 12月30日・「ワイドショーの主役」
 12月31日・「珍プレー20周年スペシャル」……ザッと見ると正月4日までに「 特番」13本。驚異のスケジュールだ。

 それと比べると、同い年の僕、あまりに仕事がなさ過ぎる。気を取り直してモバイル に向かう。

 午後3時に書き上げ、送ってきた「創2003年1・2月号」を読む。

 うっかり忘れていた「日本ABC協会」の2002年上期の部数公査結果が出ている 。「週刊新潮」は宗男もので7万206部増えている。「週刊文春」も2万6818部増 。でも順位は1位ポスト(64万部)、2位文春、3位現代、4位新潮……と変わらな い。

 古巣のサンデー毎日。1万445部増。はっきり言って健闘の部類だ。やはり編集長 が替わると、紙面も変わる。少ない陣容で良くやっている。

 それにしても、部数11万部は情けない。僕が編集長をやっていた時の数字の5分の 2。そのころは週刊誌不況で門並み部数減だったが「プレーボーイ」と「サンデー」だ けが部数を伸ばしたのに……愚痴を言うと、後輩から、任期途中に倒れた牧さんが悪い 、と言われてしまうので……ともかく、週刊朝日には追いついてくれ。

 スポニチから電話。有馬記念の観戦記を頼まれる。もうこんな時期なんだ。

 「ここだけの話」はまた柔らかモノにした。「美容師の世界」。

 拉致問題も書きたいことが幾つもあるが、どうも情緒過剰になりそうでしばらく止め る。

 夜、毎日新聞の「うま小屋」の忘年会。たまちゃんが幹事で常務取締編集主幹まで参 加してくれる忘年会だが、喉が痛く、残念ながら欠席。ごめん。

 掲示板を見ると「冷蔵庫買い変えで、編集長、騙された」とご指摘。そんなことだっ たのか。ああ、騙された。でも、競馬の損は、比較にならない、と諦める。

 仕事場で黙々と原稿のゲラ直しをして11時就寝。雪は消えていた。

<何だか分からない今日の名文句>

過労は万病の元


12月8日(日) エッ!雪だ

 6日の金曜日。故障した冷蔵庫の買い換えを決意。秋葉原の石丸電気に出かける。

 びっくりした。冷蔵庫は20万円もするのか。テレビより高い。パソコンより高い。 「安いのもありますが、消費電気が掛かりますよ」と店員に言われ、思い切って最新 のナショナルを買う。他に古いのを持っていってもらうのにも金が掛かって、ほぼ20 万円。痛い!

 チェッ! もう少し頑張ってくれれば良かったのに。でも店員の話では「10年以 上もてば御の字だ」という。不景気だというのに。気がつけば家電売場に、お客は僕以 外いなかった。

 7日は、日本で一番眠ない男・みのもんたの密着取材。午前3時半からスタート。1 0年ぶりの早朝取材。気温5℃。霧雨。「昨夜は何時間寝ましたか」と型通り取材する と「4時間寝たので爽やか。そっちこそに大丈夫か?」と言われる。

 倒れる直前まで、僕も「4時間睡眠」だったけど……早朝・未明の取材は正直言って こたえる。時間を掛けて「まともな記者」に戻るチャレンジ。徐々に徐々に。

 密着はおもしろかった。模様は夕刊に載せるつもり。

 8日、野暮用。公正取引委員会が新聞の景品について「2000円を越す景品が49 %」と勧告したらしい。毎日新聞には固定ファンが多いので……というより「景品」で 購読紙を変える人が少ないので……と言うより豪華景品を出す余裕がないので、多分 、勧告を受けるような状態ではない。

 「何も書いてなくても新聞は売れる」と豪語する読売サン。ジャイアンツと景品の自 転車があれば売れる、と思っていた世界1の部数の読売も、景品だけでは売れない時代 が来る。良いことだ。

 出先から携帯でJr.に十番勝負朝日杯の投票を依頼。何とか、大穴を当てなくては… と選んだ江田の馬。どうも江田の調子が普通でなく、四着。有馬記念では、最低人気に かけるか。

 シルクホームクラブの年末パーティ。出席したいと思っていたが、原稿の締め切りが 重なり行けない。誘ってくれたSさんにお詫びの電話。申し訳ない。

 それに行けば「シルクと早田の関係」について、取材したくなってしまう。

 馬力を入れて、未明までモバイルの前に座り、書きまくり、フッと窓の外を見れば、 高速の明かりに雪がチラホラ。まさか、こんなに早く雪が来るなんて……。

 急に「寒い」と実感。ベットに潜り込むぞ。

<何だか分からない今日の名文句>

雪につらあかり(面灯り)


12月5日(木) レースウイングの無念

 長男の嫁さんが風邪。インフルエンザらしい。優之介を仕事場で預かる。

 やはり師走。午前中は野暮用ばかり。不自由なので業者を頼んで大掃除をする。その 日程を決める。

 午後、Jrが嫁さんを連れて挨拶に来た。親に隠れて勝手に籍を入れ、一緒に生活し ていたが、バレてしまって、ことし正式に結婚?した。 「会わせてくれよ」と頼んでいたので連れてきてくれた。愛くるしい人だ。競馬が好き だ、と聞いていたのか、お嫁さんが馬の刺繍を作ってプレゼントしてくれた。うれしい 。三国一のカップルだ。

 普段からJrは倅のような付き合いをしているので、家族が増えた感じ。(勝手な物言 いでゴメン)同行したJrの親父としばらく健康談議。

 午後、TBSの宣伝部へ。みのもんたの密着取材をしたいので協力依頼。友達を取材 するのは妙な感じだが「睡眠3時間」の秘密が知りたい。スタジオ内の取材のOKを貰 う。週末取材するか。

 午後5時、JRAへ。記者クラブにスポーツ新聞の切り抜きがあるので、一週間の競 馬界の動きが分かる仕組み。JRAの各部は有馬記念のメンバーが揃ったので、ホッと した感じ。

 午後6時半、仕事場に帰ると、まだ優之介が遊んでいた。倅が仕事の帰りに迎えに来 たので、ビールを一杯。仕事のことは、何も話さない。「景気はまあまあ」というとこ ろか。

 先週、愛馬が続けざまに出走した。期待はずれのシルクコジーンは、またもや真剣に 走らず5着。

 ところが引退寸前と思われたレースウイングは未勝利のまま「500万下」に格上挑 戦。それが大楽勝。

 バブルガムの子供はダートに強い。

 これは大器晩成!と喜んでいたのだが、夜、社台のテレホンサービスを聞くと「脚に 異常発生で放牧」。ガックリ。悪い病気でなければ良いが。

 それに引き替え、まともに走らない2歳のシルクコジーンは今週も走る。連闘。この まま走り続けたら、潰れるような気もするが……あるいは、無事これ名馬の類なのか。

 仕事場の冷蔵庫が妙な音を発する。ジージー。取りあえず、電源を取る。脳卒中で倒 れる直前に注文した冷蔵庫で11年間使っている。寿命が来たのか。

<何だか分からない今日の名文句>

挫折か、寿命か


12月4日(水) 河内のラストラン

 毎日新聞の「時代の風」欄に掲載された作家・高樹のぶ子さんの「拉致問題への対応を 問う 『個』の意志はどこに」が掲示板で話題になっている。

 朝、ちょっと時間があったので、改めて原文を読み返してみた。

 全体と個人の問題は、何時の世でも人間が生きるためのジレンマ。恒に人間はバラン スを取って生きている。

 だから、高樹さんの指摘は別に不思議でもなければ、新しいものでもない。数奇な運 命を背負った拉致被害者は、これまで必死でバランスを取る選択を繰り返し、これから も必死でバランスを取るだろう。

 高樹さんの意見は「全体と個の問題」を彼女なりの表現で問題提起した。特別なもの でもないし、斬新なものでも、目くじらをたてるようなものでもない。

 ただ、好き嫌いの範疇で言わせて貰えば「『肉親の情』を越えて『日本全体の情』と なって渦巻いている」という高樹さん流の表現は少し短絡的なような気がする。

 マスコミの垂れ流し報道と関係者の真摯な努力を一緒くたにして「日本全体の情」と するのには強い違和感を感じる。

 他人のことは言えないが、高樹さんも、恵まれた人生で「地を這う苦しみ」を経験し ていないのだろう。か。(僕も経験がないから偉そうには言えないが)だから「日本全 体の情」なんて曖昧な表現が出来る。(多分、僕もそういう言葉で逃げることが多いか ら、偉そうなことは言えないが)

 拉致事件に関係した人々は「個」なんてすでに捨てた、と僕は思っている。それが、 彼らが選んだバランスだ、と思う。「地を這う苦しみ」を経験した人々は、すでに「全 体と個」を超越する。もちろん、超越しながら立ち止まる。あるいは超越するところに 差し掛かっている。

 これを「覚悟」と言う。もし、間違ったらごめんなさい。でも、僕は理屈を越えた「 覚悟」だと思う。

 (尚、掲示板の投稿者の中では、高樹さんの一文を「社説」と受け取っている方も いるが「社説」ではない。毎日新聞の意見ではない。ただ、この「時代の風」で紹介さ れる意見は、編集局が筆者を選ぶことで、毎日新聞として一定の評価を明確にしている のも確かである)

 午前中に「競馬はロマン」を書き上げる。雨が強く外出出来ず、近くの「ウイーン」 からコーヒーとスパゲティの出前を頼む。溜まった10円玉で支払いを済ます。年末だ から、整理するものは整理する。1円玉、5円玉はどう整理するか。

 午後4時頃、出社。社内報のゲラ直し。若干の取材打ち合わせ。今日、斉藤社長が、 佐藤健さんの病室を見舞いに行ったらしい。誰も気づかなかったようだが、斉藤さんら しい。夜、日本記者クラブで野暮用の会食。

 帰ると、ギャンブルがらみの情報2件、飛び込んでいる。

 一つは早田牧場から「数億円が消えた件」。数日前、日記で「某牧場できな臭いこと 」と書いていた事件。明るみに出そうだ。ブライアンズタイムのシンジケートに不正の 兆し。60株の本株は毎年1頭に種付けする権利で、それ以外に種付けした分(余勢株 )の収入はシンジケートの収益になる。

 その「儲け」が4億円を越えていたはずだが、ある日金庫をあけてみると20万円強 しかなかった。刑事事件濃厚?。

 もう一つは日本競輪選手会が、西宮、甲子園、門司競輪の一方的な廃止で、獲得でき た賞金65億円が手に入らなかった、と訴訟を起こした。これは新聞に載るらしい。

 競馬競輪掲示板を見ると「有馬記念で河内は乗れないのでは?」という不安の声。河 内が有馬記念に出られなかった。ファンはがっかりするだろう。

 実は特ダネ。河内は○○○○○○に乗る計画があるのだが……ニュースソースとの約 束で書けない。

<何だか分からない今日の名文句>

頂上道?


12月3日(水) 誰に送るラブレター

 朝、大手13行の一つ、某信託銀行の社長から電話。何事か?

 「『60歳のラブレター』が舞台化するんだ」。この銀行、2000年11月22日 (いい夫婦の日)に夫が妻に、妻が夫にラブレターを書くキャンペーンを始めた。ほの ぼの情愛キャンペーン。これが本になり、今度は舞台になるのだそうだ。(世田谷パブ リックシアター12月10日から15日)。本も売れ続けている。良かった。

 社長さん、銀行業界の危機に際しても、どちらかというと余裕たっぷり。大好きな競 馬も欠かさず参加。ジャパンカップも当てた。

 後輩の経済部記者の話では、この銀行、東京三菱と並んで安定性が抜群。それでも「 株価の動向が気になる」。

 ラブレターを出す相手は小泉さん?

 「デフレ対策をしろ!」とラブレターを送るキャンペーンをしたら良い。小泉さんの デフレ対策は日米首脳会談の前後で必ず実施され、結局、実効性なし。小泉さんはアメ リカの言いなり。恋は盲目だ。

 「おけら街道」を書き上げ、浅草の銀行まで歩いて、預金を引き出す。そのまま出社 。

 2月3日朝刊から始まった「生きる者の記録・佐藤健」が大変な反響。電話が鳴り やまず、メールは山。「組織の朝日、人の毎日」と言われるが、人間がもろに出る企画 に読者は打たれる。病室の健さんも元気百倍。

 夜、某大手商社の子会社社長を勤めていたMさんが1年二ヶ月ぶりに訪ねてこられた 。「嘘を言って、済まない」。何のことか分からない。

 「実は、社長を辞めた時『社長の定年で辞める』と話したが、あれは真っ赤な嘘。実 は僕、進行ガンだった。牧さんに嘘をついてしまったのが気になって…やっと病院を退 院したので」と話しだす。

 壮絶なガンとの戦いを披露される。彼がガンとは知らなかった。でも顔色は良い。

 「何でも食べられますか?」と聞くと「何でも」。そこで先週、福ちゃんに紹介され た「食事も出来る、浅草のスナックM」で夕飯。

 ビールは少しだけだが、病み上がりとは思えない、健啖ぶり。さすが早稲田の先輩。 昔と変わらないが、養生養生。第一線に復帰して貰いたいが、養生を勧めた。

<何だか分からない今日の名文句>

小食は長生き


12月2日(火) 末期ガン・佐藤健さんの
          渾身のルポを読んでくれ!


 日記の前に、今日は皆にお願いがある。

 毎日新聞は12月3日朝刊から「生きる者の記録・佐藤健」を連載する。

 佐藤さんは僕の先輩記者。日本一の宗教記者、日本一の風俗記者。42年間レポルタ ージュの手法で「現代」を問い続けてきた。(彼はいま60歳。18歳から記者だった )

 その彼が末期ガンに侵されている。この日記に何度か「末期ガンの先輩記者」として 登場したのが佐藤さんである。

 首のリンパに転移して、痛くて痛くて仕方ない。ベットの上でのたうち回り、時に朦 朧とする。その彼が後輩記者の助けを借り、自らレポする試みを始めた。

 第1回は「長くてあと一年でしょうか」。

 渾身のルポだ。

 読んでくれ。生きることの苦しさ、喜び。僕は佐藤さんの呻き声を聞きながら、改め て人間学を学びたい。

 彼は生還する。そう信じている。しかし、ひょっとすると彼の最後の作品になるかも 知れない。そうあっては困る……読んでくれ。みんなが読んでくれることが、最大の激 励だ、と思う。多くの人に読んで貰いたい。お願いする。

            選別される企業

 朝から週刊エコノミストを熟読。この雑誌、読むところが増えた。

 「銀行国有化で選別される企業『債務の重さ』953社一覧」

 政府の産業再生・雇用対策戦略本部が年内に基本指針を決めるが、そこには「有利子 負債残高を年間キャッシュフロー(CF)の10倍以下に抑えること」が明記される。

 そこで「有利子負債/CF率」が企業の生死を決める。同誌は「10倍以上の企業」 「平均営業CFマイナス企業」を並べてみた。もちろん、ここに上げられた企業が「危 ない企業」という訳ではないが、それ相当な努力が求められている。

 意外な企業がリストアップされていて、びっくりした。長男が勤める企業はどうだろ うか?

 10倍以上だが、極めて10倍に近いので安心する。

 昨今、エコノミストは生き生きとした雑誌になった。読み応えがある。

 藤原美喜子さん(経済産業研究所客員研究員)の「たった10億円で外資に売却・長 銀国有化の愚御を繰り返すな」は秀逸だ。

 長銀を何故、タダ同然でリップルウッドに売らなければならなかったのか。その検証 を誰もしていない。リップルウッドは不良債権をきれいにした上で、長銀株24億株を1 0億円で手に入れた。(一株あたり42銭)

 その上……是非、読んで欲しい。もしかすると、またぞろ小泉内閣は…と言う気がす る。

 午後、取材を兼ねた「愛輪会」。終わって、馬産地に詳しい競馬記者仲間と午後8時 まで情報収集。

 日高は氷河期だ。北海道市場で競走馬は昨年80億円しか売れなかった。それがこと しは60億。一家自殺、倒産、夜逃げ……が続く。これは社会問題だ。

 馬産地は社台の一人勝ち。社台の努力を評価するが、このままでは、社台の寡占化で 競馬のおもしろさを知るファンが遠のく。結果的に馬産地は死ぬ。

 大陸に競走馬を売ろう。これが、僕のアイディアだが……どうだろうか。

 午後9時、仕事場にもどり「ここだけの話」のゲラ直し。今回は演歌のことを書いた 。

 佐藤さんの重い原稿と比べると、あまりに軽い。軽いエッセイもたまには良いだろ う……自分勝手に納得する。

<何だか分からない今日の名文句>

才子多病


12月1日(月) 天然痘ワクチン

 新聞を見る限り「イラクの査察」は順調に進んでいるらしい。が、査察官の能力から 、査察の実効性に疑問も出ている。査察の結果が出て、戦争は回避されるのか。

 ブッシュは今週、対イラク戦争は避けられない、と判断してか、細菌テロに備えて軍 、医療関係者に天然痘ワクチンを接種することにした。

 ワクチンは深刻な副作用を残すが、ブッシュに取っては、やむを得ない選択なのだろ う。

 接種は100万人を越す。対イラク戦争が始まれば、さらに接種対象は増える。場合 によっては市民の接種されるかも知れない。

 査察の陰で進む宣戦布告準備?

 直接参戦しなくても、細菌テロは日本にも上陸するかも知れない。小泉内閣は果たし て、このあたりを議論しているのか。甚だ、疑問。

 今、日本は北朝鮮と、言論戦だが戦争状態になっている。この認識が日本の指導者に あるのか。甚だ疑問。

 マスメディアも「拉致被害者5人の故郷日記」の報道に力を入れるだけでなく、民主 党の体たらくを報道するだけでなく、危機管理を報道すべきだ。

 歳の瀬、師(リーダー)が走る方向が、どうも間違っている。それを見極めるマスコ ミ人が不在?

 拉致だけがすべてではない。クールな危機管理があって、正論が生きる。それが報道 のバランスだと思うのだが……。

 この週末は野暮用に次ぐ野暮用。ささやかに競馬を楽しむぐらいしか、余裕がない。

 土曜日は愛馬シルクコジーンが阪神の2歳特別に出走したが、やる気なく5着。一方 、引退寸前のレースウイング。デビューが遅くなり、未勝利を勝ちあがることが出来ず 3歳の12月を迎えた。

 日曜日の中京の500万下に出走する。格上挑戦。本来は中京に応援に行きたいが、 カネも時間もない。その上、野暮用の外出でグリーンチャンネルが見られない。もちろん 、馬券も買えない。

 GTの阪神ジュベナイルFの「十番勝負」は、ワナに投票した。本当はピースオブワ ールドで間違いない、と思うのだが、最下位グループにいるので、大本命に投票しても 意味がない。

 馬券はピース、ワナ、ヤマカツリリー、オースミハルカのボックス。テレビで見れば 一応、5−13で的中。わずかながら儲ける。

 そのころ、仕事場にFAX。「レースウイング快勝、おめでとう」。浅草橋のおもち ゃ屋の伊藤さん(社台の会員でバブルガムフェローの一口馬主だった)からのFAX。 レースは5馬身離して快勝した、というのだ。

 万歳、万歳。引退かと思ったが、神は見捨てなかった。急いで伊藤さんにお礼の電 話。「バブルガムフェロー産駒はダートが良い」。

 何と、この日、バブルの子は3勝。種牡馬としてバブルはようやく注目される。うれ しいじゃないか。

 6時ごろになって、石川県美川町の竹内町長から携帯。「親しくしている浪曲師がテ レビに出るので見てくれ」。NHK6時10分からの「課外授業」に先生として浪曲師 ・国本武春が登場した。実にユニークな人材。実におもしろい。出来れば応援するか。

 何となくウキウキする夜。赤ワインを飲んだ。

<何だか分からない今日の名文句>

師走浪人じゃ困るぜ!