編集長ヘッドライン日記 バックナンバー
2002.10月

10月30日(水) 松坂に慢心の相

 日朝正常化交渉は難航。29日の日記で予想したように2日目で北朝鮮は「経済協力 をまず重点的に討議したい」と主張した。

 表面上は相変わらずのジャブの応酬だが、かなり、突っ込んだ「本音」の応酬もあっ たように推測。悪性インフレに立ち往生している北朝鮮は一刻も早く経済援助を実現し たい。家族の帰国問題は「前向き検討」と言っているのは、北の「本音」である。(朝 鮮半島では「前向き」は「約束」に近い)

 再三再四、主張しているが、拉致事件は陳謝すればいい、というものではない。「現 状回復」されることがすべての出発点だ。「現状回復」されてから、他の案件に入る。 それは国際ルールの基本だ。

 それを貫き通せ!と言いたい。外務省は小泉訪朝の時点で、何故「現状回復」を主 張しなかったのか、はなはだ疑問だが(これが小泉丸投げ外交の弱点だが)、日本はこ の一点で団結しよう。くれぐれも世論が乱れないように……。

 北は、拉致報道で日本のメディアの分裂を計っているように思えてならない。

 出社後、社会部の幹部と若干の情報交換。週刊文春が「朝毎フジの『キム・ヘギョン 犯罪的報道』」が話題になる。キム・ヘギョンさんのインタビューについては、フジテ レビの映像があまりに無神経で、いかにも後味が悪かった。正直言って、怒りさえ感じ た。

 だが、毎日新聞の紙面つくりはバランスが取れたものと思う。「北」の言いなり?の 朝日とは、かなり違う。フジテレビとは全く違う。

 インタビューの段取りなど、反省すべき点は多々あるとは思うが……何故、フジテレ ビと毎日の報道姿勢を同じように批判するのか……日本の言論機関の分裂を計る「見え ない意図」を感じてならない。

 たまちゃんと雑談。もちろん、競馬の話が主要テーマではあったが、彼の得意分野は 受験、進学。多分、この分野では日本で一番、詳しいジャーナリストだろう。その彼が 「大学の倒産」について詳しくレクチャーしてくれた。これも大変な事態だ。

 「寄付」と「補助金」で左団扇だった大学経営者は真っ青である。この話は勉強して おこう。

 夜「最後の一戦になる」と聞いたので、日本シリーズ第4戦をテレビ観戦。野球に興 味はないが、大スター・松坂の人相が極めて悪くなったのに気づく。

 これじゃ駄目だ。慢心の相。悪い友達が出来た、と判断できる。

 あと1,2年すると何か事件?を起こしそうな気配。これは占いではなく、長い記者 生活で、悲しいかな身に付いたカンだ。

<何だか分からない今日の名文句>

勝負は人相にあり


10月29日(火) 5人から8人へ

 日朝正常化交渉が始まる。初日は予想通りのジャブの応酬。

 夜の非公式から2日目に入ってから、本番? 双方、カードを切るか、切らないか。

 新聞は日本側の最重要課題は「核」と「拉致」と書くが、北の最重要課題にあまり触 れていない。

 言うまでもなく北は「経済協力」である。

 僕の知る範囲で、北はかつて「2兆円」という数字を出して水面下で「国交正常化の 話し合いに入ってもいい」と申し出ていた。

 その時点では、横田めぐみさんの安否が示されず、日本側はあくまでも拉致被害者の 安否確認が先、と主張してきた。

 その2兆円の経済協力が、いつの間にか「5兆」とか「6兆」とか、金額がエスカレ ートしている。

 問題を整理しておこう。

 日本側は「過去の加害に対しては謝罪するが、戦争状態ではなかったから賠償義務は ない。植民地時代の財産への請求権は相互に放棄した上で、経済協力を事実上の補償と する」という立場である。1965年6月の日韓基本条約と同じ方式である。

 韓国に対する経済協力は全額5億ドル(無償3億ドル、有償2億ドル)だった。今回 、貨幣価値と為替レートの変化を計算にいれると、拠出金はおよそ100億ドルになる 。

 これに対し、北朝鮮はあくまでも「賠償・補償」を要求し、その後「経済協力で良い が、その額は100億ドルでは我慢できない」と主張するのだろう。

 つまるところ、北の最優先課題は「金額」である。

 (僕は金体制に経済協力することは間違っている、と考えているが)小泉・金の会談 で宣言まで出した以上、この金額に話は進まざるを得ない。(小泉さんは、アメリカに 「金に騙された」と話した、という未確認情報もある)

 金体制の最優先課題「金額」を前に、北がカードを切るか、日本がカードを切るか。

 表会談と裏会談は大分、趣が違う。

 昼前、友人から電話。「10年以上も前に死亡」と北から発表された拉致被害者の一 人の生存を証明するであろう「極秘情報」。いづれ明らかになる、と思われるが、家族 会のテーマは、運動は「5人から8人へ」広げなければならない。

 「おけら街道」「世界週報」を書き上げて、午後4時すぎに家を出て上野まで約3時 間歩く。やっと汗が出た。

 かなり寒くなった。長野の大町は雪らしい。午後8時頃、仕事場にもどると、ビルの 前に「焼き芋屋」がおいしそうな臭いを漂わせている。この秋はじめての焼き芋との遭 遇。

 「買おうか」と思ったが「3本1000円」に二の足を踏む。

 1000円もかけて、太ることもあるまい。

 もうじき、お酉さま。

<何だか分からない今日の名文句>

三の酉がある歳は……


10月28日(月) 貸し剥がし

 日大一中一高の親友Mのお父上の葬儀で亀有へ行く。漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」 の舞台。JR亀有駅に降りるのは約40年ぶりである。

 駅前にイトーヨーカドーが出来てそれなりの活気はあるが、この地でも経済活動は縮 んでいるのだろう、食堂街は閑散としている。

 セレモニーホールは駅から歩いて6分。商店街のはずれにあるが、敷地が狭いのが難 。霊柩車とハイヤー、小型バスが一台も入れば駐車場はいっぱい。区画整理がうまく行 かないのか、前の道はごちゃごちゃしてしまう。

 盛大な告別式だった。倅5人を大学に入れ、それぞれに住宅用地を買い与えた苦労人 。戦争直後の薬局は地域のリーダーだったのだろう。地元の人が列をなした。

 生花は医師の長男の関係なのか製薬会社のものが目立つ。

 Mは三男で歯科大学を卒業したが、薬局の後を継がず、外資系の医療会社に進んだ。 彼の関係の参列者も多い。

 「火葬場まで行ってくれ」と言われたが、身体が不自由な者が行っては迷惑だろう… …と辞退する。

 その折り、彼が「実は俺、爺になった」。父上が90歳で死んで、孫が生まれる。ほ どよい(失礼)人間さまの交代劇。悲しい別れだが、新しい生命の誕生に拍手したい。 おめでとう。

 千代田線で都心に戻り、出社。北朝鮮へ「ヘギョンちゃんインタビュー」に出張した前の 席の同僚はもう帰国して通常勤務。「ご苦労さん」と声を掛けたが、インタビュー の模様、段取りの話は一段落したら聞こう、と思う。

 今週の「ここだけの話」は、やはり「北もの」にする。8人の生死不明者の問題が放 置されていいいのか、という話を書いた。

 夜、送られてきた木村剛・高橋乗宣共著「日本國の経営学」(奥付は2002年11 月22日発行・アスキーコミュニケーション)を読む。木村さんは、ご存じ、竹中超ハ ードランニング路線の旗頭。彼の言い分は一応、理解できるように作られている。

 でも、危機の認識は正しいが、彼の処方箋は完全に理解することは出来なかった。そ れは、勉強不足の当方の責任だとは思うが、どうも彼らの進め方では、銀行は貸し剥が しで辛うじて生き残り、金を借りた方がバタバタと倒れる。

 これは簡単なことだが、銀行が自己資本率を高くするためには、金を貸さねば良い訳 だから、新しい融資はストップして、貸し剥がしをすればいい。銀行の休眠状態を造れ ば、不良債権処理が出来る、と考えているようだが、そのやり方では、次なる不良債権 が出来上がる。

 「貸し剥がし」はすでに猛烈な勢いで進行している。

 この本には書いていないが、こういう状態になれば、新たに300万人の失業者が出 るという試算もある。一体、誰が税金を払うのか。

 不良債権は処理すればまた増える。別の知恵はないものか。

 もう少し勉強しないと、意見らしきものは言えないが……小泉→(丸投げ)→竹中→ (丸投げ)→木村の「経済ファッショ」?が誤った選択をしないことを念ずるばかりだ 。

 3時間ぐらい仮眠して、未明に「世界週報」の原稿を途中まで書く。テーマは「ヘギ ョンちゃんインタビューと視聴率」。

 朝日が洩れて来た頃にもう一度、寝る。

 明日、いや今日(29日)は日朝正常化交渉。

<何だか分からない今日の名文句>

「丸投げ」もファッショのうち


10月27日(日) 政治が負けた

 25日の金曜日、午前11時ごろにタクシーに乗っていて、例の「大きな忘れ物です 」という”大事件発生連絡無線”を聞いた。すぐ調べると、石井紘基議員殺害事件だっ た。大事件が起こったらことを知らせ、逃走する人間の風体を知らせる暗号無線。事 件の大きさが判断出来ず、運転手さんもあまり関心を持たない。

 むしろ、事件の概要をはっきり市民に知らせ、協力を求める方式にするか、逆に「悪 用」させないために、タクシー無線の捜査協力を止めるか、検討する必要があるような 気がする。

 多分、日本にも本格的な大テロが起こるだろうし、大地震も目前、という不安もあ る。通信が命、だから早く検討すべきだ。

 ロシアの劇場テロ、アメリカの連続殺人テロ……その底流には「貧困とアメリカ支配 」がある。イデオロギーではなく、民族の戦い。再三書くが、これは、世界戦争になり 得る流れにある。

 夜、フジテレビでへギョンさんの単独インタビューを見る。後味が悪かった。DNA 鑑定で「横田めぐみさんの娘」と確認された直後のインタビュー。誰かが仕組んだ、宣 伝活動としか思えない。

 翌朝、毎日新聞も朝日、フジテレビと一緒にインタビューしたことを知る。毎日の紙 面はバランスを取った書き方だが、フジテレビの情報バラエティ的な扱いが鮮烈で、イ ンタビューをしたこと自体に批判が集まる懸念あり。

 忘れてはならないのは、へギョンさんに「本来の目的」を矮小化して、幕引きを狙う 策謀があることだ。

 拉致事件の解明、他の8人の解放……を実現する目的。マスメディアは「涙」を目的 化するな。この事件に関する限り、視聴率を度外視して、地道に報道すべきだと思う が、どうだろうか。ここだけの話は、このあたりのことを書くつもり。

 27日の日曜はお袋の7回忌。晴れてよかった。葬式の時、雨が土砂降りだったこと を思い出す。

 終わったら、午後3時25分。倅が「テレビないのか?」と叫ぶ。奴も天皇賞の馬券 を買っている。タクシーで錦糸町WINSへ。間一髪、間に合って観戦。手にした倅の 馬券はシンボリクリスエから4点。僕の方はダンツ、クリスエ、ペガサスのボックス 。それに13番シデンのワイド総流し。このワイドは来たら大きい。

 ゴール寸前まで8−17で決まった、と思ったが、トップロードが二着に届いて1− 8。倅、万歳!シデンは5着まで。

 倅が的中したから、まあ良いか。

 両国の東口の餃子屋でビールと餃子、ニラレバ炒めで早い夕食。ここはうまいぞ。

 夜、統一補選の結果。勝敗なんてどうでも良い。投票率の激減。政治の負け。またま た公明党の発言権が強くなる。

 これも、1年半がかりで言っているのだが、鳩山さんには魅力がなさ過ぎる。

                
<何だか分からない今日の名文句>

一人相撲で勝手に負ける野党かな


10月24日(木) 安倍・中山VS福田・田中

 気候が不順だ。日中15,6度である。肌寒い。

 ヘギュンさんがDNA鑑定で「横田めぐみさんの娘」と確認される。

 写真ではそっくりだ。何か、この写真一枚で和む。

 「5人の家族を日本に返せ!」という家族会の要望に対し、政府は二極化している。

 安倍官房長官、中山内閣参与、斎藤アジア局参事官のラインは「5人は北に返さない 。家族を日本に返すのが先だ」。

 福田官房長官、田中均アジア局長、平松北東アジア課長のラインは「約束だから5人 を北に返す」である。

 正常化の日本代表は「約束だから、北へ帰してもらわなければならない。そうしなけ れば、北に残された家族に危害が及ぶ」と言っているらしい。

 まだまだ、予断を許さない。

 出社後、サンデー毎日の後輩とお茶。サンデーの売れ行きは微増だが、週刊誌全体と しては低迷している、という。週刊現代の苦し紛れのセックス特集も、もう飽きられて いるとのこと。週刊文春、週刊新潮は拉致事件で健闘していると思ったが、彼の分析で は「やはり売れない」。竹中ショックで一層、購買意欲が縮まった。

 どうしても読まなければ、という紙面を作らなければならないのだが、スクープ記事 はコピーして読まれる。だから売れない。それにインターネットという強敵もある。

 ああ、ドン詰まり不況。

 天皇賞の枠順、決まる。たまちゃんのデータでは、宝塚記念に走った馬で、秋一戦こ なした馬が、ここ10年、連に絡んでいるらしい。

 そうなれば……少し勝負するかな。

 中高時代の親友から「親父が死んだ。90歳。大往生だった」と電話。彼のお父さん は亀有の薬屋の婿養子。腰の低い方だった。5人の倅は長男の名医をはじめ、いづれも 一角の人物に成長した。(親友は三男で外資系会社の幹部)

 彼のお母さんが亡くなった時には、当方、入院中で倅に葬儀に参列してもらったが、 いつかご仏壇に……と思っていたが……そのうちに、お父さんが……。

 寒くなると、旅立つ人が多い。

<何だか分からない今日の名文句>

お前、「北」の味方だな?
NO、NO、私、外務省の味方


10月23日(水) 半身不随だから

 母・文が亡くなって6年。早いものだ。

 40代で半身不随になって、心配かけてばかりの親不孝息子。命日の度に「孝行をし たいときには、親はなし」としみじみ思う。

 お袋が亡くなった頃から日本にはデフレの兆しはあった。その頃から政府は「デフレ ではない」と言い続けた。あの頃から「誰も」とは言わないが、多くの日本人が政府を 信じられなくなった。ちょっと前まで「景気は下げ止まり」と言っていた竹中さんが「 銀行国有化」を言い出し「危機なんてなかったじゃないか」と笑い飛ばした小泉さんが 、アメリカに言われて「倒産増えても不良債権処理!」と言い出す。

 単純化すれば、日本の混迷は国を信じられないところにあるのだ。

 拉致事件、金融不安…難しい問題が「嘘つき」のツケとしてやって来た。信頼をどう 再構築するのか。

 半身不随の(「しがらみ」ばかりの)指導者には、荷が思いような気がする。

 竹中先生の描く、資産の厳格査定→引当金の大幅積み増し→自己資金の不足→公的資 金の投入→経営責任の追及(あるいは国有化)ーーというシナリオは机上の論としては 理解できる。銀行経営者の責任を追及するのは、大向こうを唸らし、若干の「信頼回復 」に結びつくとも思う。が、このシナリオはデフレ圧力がない、という前提があって有 効なのではないだろうか。

 デフレ圧力の中で、このシナリオを実現すれば、不良債権は減るどころか次々に増え 続ける。ローンで買ったマイホームが次々に(すでに現実になっているが)不良債権化 する。銀行は国有化され生き延びるが、その国有銀行?にマイホームを差し押されられ る。

 どうにも身動きが出来ない。

 いま、多くの有力政治家は「政権を取りたくない」と思っている。小泉さんは(自分 でも意識しないけれど)善意のペテン師だ。多くの政治家がそう思いながら「国民が良 い」と言うのなら仕方ないだろう、と投げやりになっている。

 彼らは自らの「半身付随」を認識しているから発言しない、出来ない。

 昼、錦糸町方面に取材。JR錦糸町駅隣のビルの「ハリー・ポッター」の売場。大変 な前人気だが、通りかかった12時頃には、お客さんは全くいなかった。早朝から列を 作らなくても買えたのに。ちょっと報道のトーンと違うようだ。

 夕方、例のお勉強。その後、北海道に単身赴任していたスポーツ新聞社の知人が東京 に帰って来たので、ささやかなお祝い会。参加者は彼の同郷生の会社社長、たまちゃん 、それに僕。

 彼、こんどは不動産部門担当の役員だそうだ。「三流重役で気苦労が多い」と話すが 、カラオケで「野球小僧に暖かい……」で始まる十八番を熱唱する姿は、生き生きとし て少年のようだった。

 仕事場に大事な電話が入るので、僕だけ一足先に帰る。多分、その後も盛り上がった のだろう。

 拉致事件。親を取るか、子供を取るか。日本を取るか、北を取るか。五人の苦悩は続 く。

<何だか分からない今日の名文句>

熱望!海峡に虹を!


10月22日(火) 刺々しい世間、刺々しい大臣

 18日朝、拉致事件の家族会を支援している友人が電話で当方に切々と訴えた「一時 帰国の5人が北朝鮮に戻るとするということは、誘拐された人間が誘拐犯人の家に帰る ようなものだ」という主張(10月21日の日記参照)が、家族会の多数意見になりそ うな気配。

 5人が日本にいる間に、家族を日本に帰させる意向をハッキリ、政府に訴える段取り になった。すでに政府も、重い腰をあげる様子だが……統一補選が終われば、政府は努 力したが……と逃げるかも知れないが……正念場だから、静かに見守りたい。

 朝、久しぶりの診療所。「仕事が忙しくて、リハビリに来れないことは良いこと」と みんなに祝福?される。

 吉良先生は当方のホームページを読んでいてくれてるので、おおむね、こちらの行動 が分かる。ホームページは患者の報告書?

 「ことしの初めから、牧さんのホームページは『今年のキーワードは北朝鮮』と書い ていましたね」とお褒めのお言葉。喜ばしてくれるので、ついいい気になって、日記で は書けない拉致事件の裏を話してしまった。彼、口が堅いから大丈夫だろう。

 仕事場に戻って、遅くなっていたJREASTの原稿を書き上げる。

 夜、知り合いの某芸能プロ社長から電話。前日も、まったく違う知人から周囲で起こ ったトラブルの相談事があったばかり。世間、刺々しい。

 芸能プロの社長さんの件も、今までは、ごく当たり前の付き合いの範囲だったものが 「美しい慣行」なのか、「違法性を持つモノ」なのか、難しくなった。ゆっくり、双方 の話を聞かなければ……。

 このところ、世の中、内部告発ばやり。僕の見るところでは、内部告発は半分が善意 から、半分が悪意から。

 世の中が、清廉潔白に目覚めたのか、恨み、そねみがエスカレートしたのか、甚だ疑 問だ。

 竹中さん、銀行経営陣の首を宣言。どうでも良いが、それで不良債権がなくなるのか 。あまりに直線的だ。

 学者先生が見落としている点が数々ござる。例えば、関係者は口を閉ざしているが「 暴力団と不良債権の関係」を見逃すと、大変なことになる。

 アメリカの知識人の中にも親日派は不良債権の処理を進めるのは得策ではない、と言 っているらしい。アメリカの言いなりで、解決できるとお思いですか。

 ちょっと前まで「景気は下げ止まった」と言いながら、半年経ったら、銀行国有化を 平気で話す学者先生を評価するわけにはいかない。

<何だか分からない今日の名文句>

殿!ご乱心


10月21日(月) 六本木心中

 高校の三年の頃か、大学に入ってからのことか、日大一高の恩師・伊藤勇先生から 「六本木心中を読め。おもしろい。風俗もの逸品」と言われ、その日のうちに一気に読 んだ記憶がある。洒落た、それでいて虚無的な短編だった。

 人間なんて、こんなに簡単に死ねるのかな、と思ったのを覚えている。

 この頃(1967年前後)伊藤先生は児童文学の道を目指していたが、むしろ評論家 になった方が良いほど、時代感覚に優れた人物で「笹沢佐保は行く行く大スターになる 」と断定的に話していた。(この頃は「佐保」。その後「左保」に改名した。 奥さんの名前「佐保子」から取ったペンネームだった)

 しかし、笹沢先生は多作ではあったが、売れなかった。少なくても「木枯らし紋次郎 」が出るまで売れなかった。

 文芸部の顧問・伊藤先生から「本気になれば、お前でも笹沢佐保ぐらいにはなれる」 と言われていたことが、頭にこびり付き、長いこと「笹沢佐保」は気になる作家だった 。その作家が売れない、と知ると「小説家になるなんておこがましい」と思うようにな った。

 ある日、東京駅のホームで、階段の手すりに原稿用紙を置き一心不乱にペンを 走らせている左保先生を目撃した。

 あんな格好で原稿を書くほど、作家というのは忙しいのか。と、思って最終的に「小 説家志望」を止めた。

 その作家・笹沢左保が21日午前2時5分、肝細胞ガンで死去。妙な気分だ。

 スポニチに「妻の名前をペンネームにした愛妻家」とあるが、これは大いなる間違い 。彼には一時、某女優と浮き名を流した過去がある。某女優Fは、めっきり太って、今 でも意地悪婆さんの役柄でテレビに出ている。

 雨が降って寒い。未明、それこそ、左保先生があの世に行く時刻「こぶらがえり」で 苦闘する。これは痛い。年に1,2度ある。

 そこで、東京駅の地下で英国式の足マッサージを受け、30分居眠り。

 六本木方面で野暮用を済まして、夕方、出社。若干の情報交換をしてから「ここだけ の話」のゲラを直す。

 実は、拉致事件に関して書きたいと思った話もあったが、事態の進展がよく分からな いので……十分、注意しなければ……と思い、暇だね風の「福祉・介護もの」に変えた 。

 拉致事件の解明は「本当の目的」なのか、まだ、分からない。

 文やさん(僕もその1人)慎重に、慎重に!

<何だか分からない今日の名文句>

処女作は「馬頭のナイフ」


10月20日(日) 家族たちの帰国を!

 18日朝、拉致事件の家族会を支援している友人から電話。「どうしたらいいんだ」 家族会が揺れている。

 友人は言う。

 「一時帰国の5人が北朝鮮に戻るとするということは、誘拐された人間が誘拐犯人の 家に帰るようなものだ。許されるものではない。だから、と言って、北朝鮮に子供が残 されている。人質だ。人質がいる以上、5人は北に帰らざるを得ない。この矛盾をどう 解決するか。

 僕は、彼らが一時帰国している間に家族を日本に来るように、外務省は北に申し入れ るしかない、と考えている。だから家族の帰国を主張するんだが、外務省の人間は嫌な 顔をするんだ。”5人だけの一時帰国”は北朝鮮との約束だから家族を呼ぶなんてこと は出来ない、と言うんだ。

 それはおかしい。何とか、5人が日本にいるうちに家族の帰国を実現して、現状回復 をしたい。その上で、彼らが永住地を選ぶ。それが筋だろう。

 友人の思いはよく分かるが、果たして、そう運ぶか。家族会の中でも意見は分かれて いるようだが、5人の中には「日本にいたい」と漏らす人もいるらしい。

 それでなくても、核疑惑が日朝の最大のテーマになり、拉致問題は「一時帰国騒ぎ」 が終われば、国民の関心を失う恐れさえ有る。

 この機に現状復帰を実現しなければ……今なら、金体制は日本の要求を飲むかも知れ ないのだ。

競馬はドラマよのぉ〜

 19日は息子たちが市川で、9日遅れで誕生会を開いてくれた。愛子、竜生、優之介 の孫たちも、みんな元気で走り回る。何より。

 誕生会開催?を知った競馬仲間から花束が届いた。こんなこと、予想もしなかった。

 届けてくれた花屋さんが「何ですか?北朝鮮から帰国したみたいですね」と冗談を 言う。それほど、立派な花束だった。ありがとう。

 20日は中山競馬場。スター騎手が菊花賞の淀に行っているので、いつもより閑散。

 福島のメイン・カブトヤマ記念。狙った郷原のカンファーベスト。ものの見事に差し きって、80倍ぐらいの払い戻しと思ったのに……審議。

 その間に菊花賞スタート。奇跡の9連続連対中の武。勝手に「河内に勝ちを譲るから 、ノーリーズンはいらない」と判断して”武外し馬券”を買っていたが、まさか……は じめテレビでは何が起こったか分からなかった。

 この大舞台でクールな若武者・武が落馬。そして再騎乗しようとして投げ出される。

 思いも寄らぬジャンプ発走。敵なしの武に、思いも寄らぬ試練。凄げードラマだ。1 10億円払っても、十分、元が取れたドラマじゃないか。

 廊下で会ったタレントの鈴木由子さんが「胸が張り裂けそう」と涙ぐんでいる。誰も 武を非難しない。

 カブトヤマ記念の審議なんてどうでも良かった。(降着でパーだった)

 悲運の武に酔いしれる。

 たまちゃんが「10番勝負、ヒシミラクルを当てた人、いるかしら?」と言うので、 Jr.に電話で聞くと「2人的中です」。やった! 名人誕生じゃないか。

 夜、競馬仲間7人で、市川の寿司屋で「ばくだん」(卵、納豆、ウニ、イクラ等々を どんぶりにいれた料理)を食べて、興奮を分かち合う。競馬って、良いな。

          
<何だか分からない今日の名文句>

落ちても武


10月17日(木) 一部帰国、裏のウラ

 15日から16日にかけて飛び込んできた拉致事件に関する「気になる情報」のうち 、もう書いても良いと思われることだけ触れよう。

 15日から16日夜にかけて、日本、北朝鮮の公安が緊張せざるを得なかったことは 、一時帰国の5人と朝鮮赤十字社の2人の「分断作戦」であった。

 赤十字社はご存じの工作員集団。来日したのは、この部署のキャリア官僚2人である 。

 彼らが、一時帰国5人の動静を逐一、本国に伝える。日本人家族が5人の「本音」 を聞けるかどうかは、その分断作戦の成否にすべてがかかっている。

 現時点で分断は成功している。帰国3日を迎え、徐々にではあるが、5人のマインド コントロールは解け始めた、と思う。(5人の団長格のエリートの男性が、今後、どう 動くのか、が焦点ではあるが)

 両国の公安、それに韓国、もちろん米国、入り乱れた情報合戦が東京を中心に続いて いる。

 昨日の日記で「韓国の世論」について触れた。米国は、その韓国内部の「北を許す世 論」に危機感を持っている。太陽政策の金大中に危機感を持っている。

 金大中の支持、北京の支持、ロシアの支持を受けた、と有頂天になっている「外交オ ンチの小泉」にもっともっと不安を感じている。

 だから、アメリカは17日、あえて「北朝鮮が核開発を認めた」という怒りの情報を 流した。(その辺りは、もっと克明に検証されるべきだが、米国は北の“瀬戸際・脅し の外交”を世界に知らせたかった、と見るべきだろう)

 もちろん、米国は軍事的なアプローチをするつもりではないと思うが、小泉外交が余 りにも幼稚すぎて、目が離せられない、という思いが根底にある。(もちろん、ブュシ ュには、もっと不安な側面はあるが、対北朝鮮では、ベテランだ)

 以前、この日記で書いたことだが、アメリカはスパイ衛星で拉致された日本人が「い つ」「どこに」いたか知っている。

 「万一の北爆」を想定して、拉致家族の救出作戦を一部の日本機関を交えて研究して いる。

 これ以上は書けない。

 いま、僕は再会のドラマに感涙している。人間って、家族って……感涙している。

 しかし、同時に、悲しい現実を直視しなければならない。

 今日17日は野暮用が4件。うち2件は個人的な勉強。銀行の債務者区分のお勉強。 正常、要注意、要管理、破綻懸念、実質破綻、破綻……の区別、それぞれの貸し倒れ引 き当て金の対象、割合を勉強する。

 素人の勉強で申し訳ないが、竹中方式では、次から次ぎへと不良債権は増えるように 思えてならない。

 午後、もう一つの野暮用で出かけたテレビ局で、偶然、みのもんた夫妻とあう。「週 刊誌に、みのは年間10億円稼いだ、と書いてあったぞ」とからかうと、まんざらでは ない顔つき。奴、億万長者?

 忙しすぎるが、彼の顔色、ベスト。友達の中で、いま、一番、輝いている。

 あと1件、JRAで野暮用を済まし、もう一度、仕事場で経済のお勉強を済まし、浅 草の寿司屋で税理士の友人と夕食。

 行きつけの「ひまわり」で「こんな夕子に惚れました」を歌う。

 夜、メールを点検するがが、特別の情報は入っていなかった。

 20日は菊花賞、今度こそ。

<何だか分からない今日の名文句>

経済オンチの経済学者


10月16日(水) 韓国の世論

 拉致事件に関する「気になる情報」が15日から16日にかけて幾つか入って来た。 が書けない。

 あまりにも事態が微妙で……精々、一日に1000人ぐらいしか読者がいない、この ホームページでも、チェックしている人がいるようだ。

 家族会の団結は変わらなければ良い……とそれだけを祈る。

 世論を背景に、政府が認定していない40数人の拉致被害者を救い出すまで、この「 団結」を続けなければならない。横田さんは、取りあえず「孫に会う機会」を延ばすだ ろう。

 それより、問題は韓国である。今日、韓国では「拉致家族の現状回復を交渉の最優先 議題にせよ」という海上デモが行われたらしい。

 約500人の韓国人が北朝鮮に拉致されている。しかし、太陽政策の金大中大統領は あえて拉致問題に触れないでいる。

 それに抗議する海上デモ。

 しかし、現時点で、この抗議はどちらかと言うと「韓国の少数意見」である。

 いま、日本に韓国の新聞記者(社会部長クラス)が何人か来日している。彼らが日本 人のジャーナリストと懇談した際「何故、日本は拉致事件を過大に問題化するのか。韓 国は太陽政策で、拉致事件も、大韓航空爆破も許す姿勢だ。そうしなければ、北は孤立 する。日本が頑なに拉致事件を問題視するのはおかしい。日本の過去の加害と比べると 、罪が大きさは北朝鮮の方が軽い」と話す韓国人記者がいたらしい。

 我々は、この韓国の反応を注意深く見ていくことが大切である。

 昼「競馬はロマン」を書いていると、知人から「明日発売の週刊文春に大島農水相の スキャンダルが載る」という電話。秘書官が「工事の口利き料」6000万円を業者に 要求した、という話。

 実は、毎日新聞社会部でもことし6月ごろから取材していたスキャンダル。週刊文春 が書く以上、書かざるを得ないだろう。朝刊で「字」になる、という知らせ。

 最近は、朝日、読売と戦争するより、週刊誌と競争することが多くなった。

 深夜にも、拉致関係の話が飛び込む。これも書けない。

<何だか分からない今日の名文句>

沈黙も報道


10月15日(火) ジーンと来ちゃった

 朝からテレビに釘付け。

 タラップから最初に降りてきた浜本富貴恵さんの笑顔を見た時、救われた。

 何の戸惑いもなく、右手を左右に振る少女のような仕草。テレビの向こうから聞こえ てきそうな奥若狭弁?

 良かった。

 ジーンと来ちゃった。

 海峡、時間、そして血……父ちゃん、まだお酒飲んでるかい?と、硬い表情だった曽 我ひとみさんが妹に聞いた。ジーンと来ちゃった。

 家族、山河……理屈なんていらねぇーや。

 日記を書くのはお休み。俺って、涙もろいんだ。

 (夕刊の「ここだけの話」は「拉致の5人の帰国」でスペースがなく休載。その分だ け、拉致事件の真相解明に尽力したの兵本達吉のことを同僚記者が書いてくれた)

<何だか分からない今日の名文句>

幾千里


10月14日(月) 大韓航空機爆破と拉致

 3連休の最後。快晴。

 野暮用の間に、ニューオータニの「社台グループ会員の集い」に顔を出す。

 病みあがりの河野洋平さんに会う。「お元気そうですね」と声をかけると「なかなか 顔が痩せないので、元気に見えるんだ」。外務大臣当時、北朝鮮に米援助を続けた「真 意」を聞きたかったが、まあ、場所が場所だから……。社台の統領・吉田照哉さん、こ としは不運続きで「ほとほと参った」という顔。当方を「辛口のもの書き」と周囲の人 に紹介するが、当方、辛口で社台を批判したつもりはないが…。でも、社台の寡占状態 については、好ましくない、とは思ってはいる。

 パーティの参加者1500人。芋を洗うような盛況が、むしろ恐ろしいのだ。

 照哉さん、サンデーサイレンスの後継馬は手に入れた、という強気の挨拶をしていた 。(「おけら街道」で詳しく書くつもり)

 石川先輩とは「文化人愛輪会」の話、アベコーとは「大二郎」の話……約1時間半、 懇談。

 野暮用にもどり夕方まで。朝刊がないので、手持ち無沙汰の夕方。

 明日(15日)、拉致被害者5人が一時帰国する。テレビを見ると、まるでオリンピ ックの金メダル男が帰ってくるような雰囲気だ。

 こんな時は、努めて冷静でありたい。考えてみれば、北朝鮮の悪行は拉致事件だけで はない。あの大韓航空機爆破事件。拉致された女性が日本語を教え、日本語を教えても らった女性が日本人になりすまし、犯行に及んだ。

 日本は被害者の原状回復をさせると同時に、北朝鮮に「爆破事件の当事者」であるこ とを認めさせなければならない。

 補選の応援演説で、小泉さんは「交渉で歴史が動く」なんてノー天気なことばかり話 しているが、少しは冷静になってくれ。

 金体制は正常化を話し合う対象では、断じてない。

 「オリンピック金メダル男」が帰ってくる式の報道をしていると、また、ことの「本 質」を忘れてしまうぞ。

<何だか分からない今日の名文句>

「お帰りなさい」は出発駅


10月13日(日) 文春の総力取材と比べ朝日は?

 天気の良い3連休。

 12日の土曜日は、野暮用がなければ京都競馬場に行きたかった。が、それもままな らず、愛馬・シルクコジーンが出走したデイリー杯2歳Sはテレビ観戦になった。

 コジーンはちょっと出遅れ、直線に向かうとズルズルと後退。最後尾の馬群でゴール した。並の馬だったのか。まあ、G2で走ったことだけでも思い出になる。ひょっとす れば……と思ったので、かなり単勝を買い込んでいたので大損。ほんのちょっとだが落 ち込む。

 13日の秋華賞はスポニチ「おけら街道」で「単勝120円のファインモーションを 買え!」と珍しく強気に書いていたので、まかり間違っても落馬しないで、と祈った。 これも杞憂。大楽勝。やっぱり本物の怪物。でも、単勝は110円になっていた。これ も怪物の証明。

 馬券は2着を間違えて惨敗。でも、強い馬が勝つのを見るのも良いものだ。

 TBSラジオ日曜日午前8時の「牧太郎・ザ・コラム」のお相手が、この日から中村 さんから江口ともみさんに変わった。朝のこの時間、中村さんは土日とも担当していた が、これからは、彼の分担は土曜日だけになる。中村さんには助けて貰った。失語症 の僕の訳の分からない発言を必死でフォローしてくれた。3年半の間、良く辛抱してく れた。何とお礼を言って良いのか。ありがとう。正直に言えば、中村さんともっと付き 合いたかったが……。はじめてお会いした江口さんは、美人である。

 「月刊文春」の拉致事件総力特集を熟読する。素晴らしい。大変な取材力である。こ れを読めば、金正日が「国交正常化の相手」でないことが良く分かる。

 「歴史は動いた」と世論操作をする朝日新聞とは好対照である。長いこと「北による 拉致」を積極的に報道しなかった朝日新聞は、むしろ、拉致の実態を改めて報道し、読 者の許しを乞うべきではないのか。

 13日の朝日新聞の朝刊(野暮用先の12版▲)一面トップは「高官会見『優れた改 革者』米『竹中支持』鮮明に 不良債権 処理加速促す」

 実に意図的だ。アメリカが「不良再建を加速的に処理せよ」と言うから、小泉さんは 柳沢さんを更迭して、竹中さんに「権力」を集中した。

 アメリカが「よろしいよろしい」と言うのは当然のことだ。ニュースではない。少な くても、もっと大きく扱うニュースは幾つもある。どうして、こんな大きな記事にするの か。まるで、アメリカの広報紙じゃないか。毎日は一面3段の扱いだ。

 アメリカの資本が不良債権処理で投げ出させれる「日本国の資産」を買い叩いて、手 に入れるのは、容易に推測される。アメリカの言いなりになったら、日本は実質的に「 アメリカの州」の一つになってしまう。

 小泉政権を支持する朝日は、結果的に「アメリカの言いなり」を許すことになってい る。見識を疑いたくなるのは、僕だけだろうか。

 拉致被害者が15日、一時帰国する。まずは、良かった。複雑な思いだが、世論が 、ここまで政府を動かせた、と考えよう。

 まだまだ、真相解明と原状回復には時間がかかる。5人の被害者が祖国に一時もどっ たことは、その第一歩、と考えよう。

<何だか分からない今日の名文句>

日本は植民地ではない


10月10日(木) マツタケを質問するな!

 先進的な武蔵野市の介護・福祉を一日中かけて徹底取材。なるほど、進んでいる。「 ここだけの話」などでレポートするつもり。

 約7時間の取材。その間、テレビを見ることが出来なかった。株価の行方が気になる 。午後7時のニュースで確かめれば「一時8100円台」。不安だ。

 小泉さんが政策転換をしないと7000円にまで下がる。5000円にでもなれば、 完全な恐慌だ。アメリカの恐慌は最高値の10%に下がった。日本の最高値は3万90 00円?

 老舗旅館に勤めていた親戚が誕生日祝いにメロンを贈ってくれた。お礼の電話をすれ ば「主人、退職した」とのこと。旅館が頼みにしていた金融機関が破綻したのが原因で 、事実上の肩叩き。「痛み」が身近に近づいて来た。

 拉致事件は日本ペースか、北朝鮮ペースなのか。極めて微妙だ。

 北に家族を置いての一時帰国。人質を置いての一時帰国では真相は隠蔽される。これ は、やらせだ。

 一部新聞は「5人は28日に北朝鮮に帰国する」と書いているが、5人は日本人だ。 「北に帰国」なんて表現するのは間違っている。

 5人の一時帰国で、世論の沈静化を狙う日(の外務省)朝の合作のシナリオ。

 あくまでも「家族共々の帰国」でなければならない。

 日本が強くなれば、今の「北」は屈する。レバノンの家族奪還成功を思い出せ!

 必ず、全員を救い出せる。

 その正念場で国会は「まつたけ論争」。こんな質問、やめろ!

 どうでも良いじゃないか。これは儀礼だ。日本もお土産を持っていた。問題を矮小化 させるだけだ。

 まず、世論の力で、家族ぐるみの帰国を実現させよう。

 掲示板に「誕生日おめでとう」の書き込み、ありがとう。58歳でも頑張るぞ。

 メールに「単勝10番勝負」に参加したいのだが、やり方が分からない、との問い合 わせ。まだ、クりックのやり方が分からない方がいるらしい。是非、近くの人に聞いて 貰いたい。

 今週は秋華賞。今度は素直に「ファインモーション」。あれは怪物だ。

<何だか分からない今日の名文句>

匂い松茸(北朝鮮産をのぞく)味しめじ


10月9日(水) ああ57歳 最後の日

 10月の社説を更新する。今年は沖縄復帰30周年。西山太吉さんのことを書いた。 是非とも、新聞人、マスコミ志望の青年には読んで貰いたい。

 「情報」とは誰のモノか、もう一度、考えてみたい。

 朝、仕事場の前で顔見知りの運送屋とばったり。「左の肩が痛い」。彼、僕と同じ頃 、脳卒中に倒れた。僕より、ちょっと軽いようだが、何とか現場復帰。ワゴン車を運転 して、一人で重い荷物を運んでいる。

 「秋になると痛いんだ」

 半脱臼しているのだろう。僕も右の肩が脱臼している。でも、僕の場合は麻痺してい るので痛さを感じない。

 「まあ、あと20年は生きられないから……」と言って、彼、痛さを堪えながら腕を グルグル回す。精一杯生きる気迫。羨ましい。何とか、僕も「痛さ」を感じたいのだが ……。

 「初孫が出来た。毎日、抱っこしているんだ」

 孫が抱っこできるなんて……羨ましい。何時になったら、僕の麻痺は取れるのか?

 専売病院で大山ドクターから検査結果を聞く。すべて順調だが、血糖値129。11 0までが正常値だから、やはり高い。毎日歩いているのに……。

 深川の閻魔堂へ寄り、住職に会って、お袋の七回忌の打ち合わせ。「サラリーマンだ から余裕がないので、一番安いお経でやってくれ!」と冗談めかして頼む。「牧家とは 、当山、270年以上のつき合い。結構ですよ」

 7代目の「深川や文吉」は貧乏だった、なんて過去帳に書くのかしら。

 午後から取材。夕方「競馬はロマン」を書き上げ、吉祥寺へ。明日(10日)早朝か ら、当地で取材があるので一泊。

 1970年代、新宿が制度疲労をおこして、中央線3寺(高円寺、国分寺、吉祥寺) に若者が分散して、もう30年。久しぶりに来たら、一段とにぎやかになった。

 町をブラブラしているちに明日は誕生日と気づく。意味もなく床屋へ寄る。

 43歳の科学者がノーベル賞を取る。それに引き替え……だらしがない人生を漠然と 生きてきたんだ。

 ホテルの一室で、一人、黒ラベルを開ける。

 ああ、50年台もあと2年か。

<何だか分からない今日の名文句>

歳月 人を待たず


10月8日(火) ペテン師になっちゃう!

 「ここだけの話」で「内閣の人相が悪くなった」と書き、昨日の日記で「本当は内閣 に知的基礎体力が欠如していると書きたかった」とまで書いた。

 とにかく、知的基礎体力欠如の日々である。

 例えば、である。

 竹中経済財政・金融担当相はニューズウィーク誌に「4大銀行といえども破綻させる には大きすぎるとの考え方は取らない」と言明した。4大銀行でも潰す?

 何も「銀行は潰す」とワザワザ、アメリカさんに言わなくても良いじゃないか。外資 に言わなくても、いいじゃないか。

 「9000円は底値」という“自律的反転”の兆しが見られたところに、ワザワザ水 を掛ける。これで8000円台に暴落した。

 暴落を引き起こす「目的」があれば良いが、株価を見て、あわてて「善後策」を探す 。そして、朝令暮改する。

 ペイオフの2年延長なって、その最たるものだ。ペイオフに備えたシステム作りはど うなるのか。

 柳沢流は最後まで「公的資金は投入しない」と言いながら、必要な時は、大規模の公 的資金を注入するのが「本音」だった。

 「森さんが退陣するなら柳沢さんがいるではないか」と1年半前、この日記で書い た。そのぐらいの「柳沢ファン」だから言う。柳沢さんの「人相」は良い。

 竹中さんも「人相」は消して悪くはないが、学者の「人相」で、行政官になってから 若干「人相」に陰りが出ている。心労は分かる。が、彼に政治的駆け引きを求めるのは 無理だ。あまりに口先だけで、度胸に欠ける。

 もともと、小泉さんに「知的基礎体力」が欠けている。それは「自分が一番頭が良い 」と勘違いした外務官僚と同じような「知的欠如」である。

 我が国の指導部は、いま小泉さんに、先を争って、お追随している。「とりあえず小 泉にお世辞を言っていれば御身大切」という空気が充満している。

 僕が「大臣を辞めるべきだ」と書いた某センセイは留任を意識して役所の「公文書」 に「小泉首相が提唱する……」という言葉を次々と並べ、役人の失笑を浴びた。それは 彼だけではない。

 誰もが、小泉さん、お得意の「構造改革」「民営化」「自由化」という言葉を使えば 出世できる、と勘違いしている。言葉の一人歩き。構想改革の中身、民営化の効果、自 由化の必然を考えようとはしない。

 「痛み」と言った言葉を平気で使って、結局、丸投げ手法で無責任に居直る小泉さん に「我々の内閣はすべて公約違反。恥ずかしいじゃありませんか」と諫める人はいない のか。

 このままでは、小泉さんは「史上最悪のペテン師宰相」になってしまう。裸の王様・ 小泉さんを救おうではないか。

 ノーベル賞3年連続受賞。喜ばしいことではある。が、それは過去の栄光。現在、学 問的分野でも日本のレベルは韓国などに遅れを取っている。

 小泉さんが「科学立国。3年連続」と、まるで「国家政策の勝利」のように胸を張る が、僕から見れば、このコメントはペテン師のやり方だ。

 午前、執筆。午後、小雨の中、取材を兼ね愛輪会。6戦2勝2敗2引き分け。4回的 中したが、そのうち2回は儲けなし。勝負に出た最終レースを外し、儲けはちょっぴり 。

 帰りに同行の人から、競馬界のきな臭い話を若干、取材。JRAの人脈に疎いので勉 強になった。

 帰ってシルクのテレホンサービスに電話すると「500分の8の権利」の愛馬・シル クコジーンは、今度の土曜日(12日)のメーン「デイリー杯2歳S」(G1)に挑戦 する、とのこと。格上挑戦だが、体調は良いということなのでウキウキする。

 夜はテレビで日本vs中国のサッカー。日本が一点入れたところで、ベットに入る。 少し、疲れた。

<何だか分からない今日の名文句>

詐欺師の空論


10月7日(月) 知的基礎体力?

 午後。JRAの定例記者会見に顔を出す。騎手の免許に関して、僕はいずれ「統一免 許」にすべきだ、と思っているが、会見では、地方から要求がある「中央・地方ダブル 免許」にJRA側が「NO」の意志表示。時間をかけて議論しなければならない。

 会見後、高橋理事長に誘われて、一時間半、二人で世間話。彼の話はいつもおもしろ い。

 社に戻り「ここだけの話」のゲラを点検。今週は「人相」について書いてみた。

 実は内閣の「知的基礎体力」の欠如を指摘したかったのだが、あまりに直線的な言い 分になるので「人相」と言う、非科学的観点から書いてみた。(「知的基礎体力」とい う言葉は僕の造語。オウム事件で、高学歴の若者がオウムに騙されている現状を「知的 基礎体力欠如」と表現した)

 まっとも「内閣の人相」が悪い、なんて書くと「また永田町から怒られるゾ」という 声もある。

 まあ、天衣無縫の記者さんが勝手に書いたこと。許してください。

 若干の事件情報で、後輩の事件記者と連絡を取り、6時帰宅。夜、外務省クラブで一 緒に仕事をしたM君が来訪。「赤兔」から寿司の出前を取って酒盛り。彼、日朝交渉の 取材で平壌に行ってきたので話を聞く。

 「交通事故が起こるほど、自動車はあるのか?」と当方が質問すると「極めて少ない 。交通事故死なんて発表は信じられない。が、片や、信号機に電気が届いてないので、 事故はある、という意見もある」

 なるほど、やはり電気がないのか。

 午後10時から新聞、テレビをザッと点検。9月5日の日記で「日経平均が8500 円と割り込むと非常事態」と書いたが、今日は8700円を下回る。大変なことだ。

 小泉さん以下、内閣の人相(知的基礎体力)がレベル以下だから対応出来ない。一度 、決めたペイオフを2年延期する。これだけで、内閣は解散すべきだ、と思うのだが、 正直なところ、誰も政権を取りたくない気持ちなのだろう。ドンドン「永田町の人相」 が悪くなる。

 社民党の田嶋議員の離党騒動。「社民党が朝鮮労働党と親しいとは知らなかった」。 冗談じゃない。知的基礎能力欠如の最たるもの。彼女が登場したときから「妙な人相だ なあ」と思っていたけれど……。

 要するに政治的に未成熟な人があまりに多すぎるのだ。

<何だか分からない今日の名文句>

糠に釘


10月6日(日) 金利の「72法則」

 秋口になってから歩いても、なかなか汗が出ない。汗が出ないと、一生懸命歩いた実 感がない。そこで、友人が贈ってくれた「汗取りジャンパー」を愛用することにした。

 減量に苦しむジョッキーが愛用しているのと同じもので、後ろに競馬の図柄。一時間 も歩けばびっしょり汗が飛び出す。4日、5日、6日連続して、1日に最低1時間半を 歩く。

 友人から「俺も欲しい」と言われたが、デパートには置いてないらしい。インターネ ットで探してくれ、と言ったが、この種のものは通販に限る。

 週末、雑誌、新聞類を整理する。内閣の目玉・竹中”副総理”をどう見ているのか。 どのマスコミもハッキリ評価できない状態である。

 僕も不勉強で公的資金導入が正しいかどうか、なかなか判断出来ない。

 でも、あまりの銀行過剰救済で、我々は犠牲を強いられている。実に嘆かわしい。

 金利の「72法則」なるものがある。

 【72÷金利=元本が2倍になる歳月】

 100万円を金利9%で預ければ8年間で200万円になる。こんな高い金利は実際 にはないが、バブルの頃、金利4・5%は普通で、100万円を16年預ければ元金2 倍の200万円になった。

 それがどうだろう。今の金利は0・05。72÷0・05=3600年。100万円 預けて200万円になるのに3600年も掛かるんだ。

 日曜日、キャッシュカードで20万円下ろしたら、手数料が200円。0・05%の金 利で手数料200円。

 友人が預金通帳をなくしたら、再発行が2100円(消費税込み)。銀行と付き合う と、損をするばっかりだ。

 銀行はかつて「保証」の代名詞だったが、今は消費者を騙している?

 銀行を助け、企業を倒産させ、失業者を出し、円安に陥り、結果的に外資が「どうに もならない銀行」を買い叩き、外国が日本の土地を奪う。

 学者先生の考えていることが良く分からない。

 「理想の経済」は分かるが、その前に日本は沈没するような気がするのだが……。

 これはもうギャンブルだ。政権維持のギャンブルだ。外交も、経済も「小泉ギャンブ ル」だ。

 ギャンブルと言えば、今週から競馬は中山。毎日王冠の16日は我が社の事業部のお 偉方がプレゼンテーターとしてやってくるので、中山に挨拶に行こうと思ったが、野暮 用で駄目。たまちゃんに「アメリカンボスから流して」と頼んだが、惜しいとこで鼻差 (頭差?)負け。

 でも腹が立たない。自己責任で楽しんでいるから腹が立たない。でも、銀行と付き合 ったばかりに大損するのは、悔しい。

 中山初日の印象。出走馬が少ないのが、えらく淋しかった。

 
<何だか分からない今日の名文句>

Money In The Bankの大嘘


10月3日(木) 加害の歴史

 朝、某ビル管理会社の役員が来訪。しばらく世間話。

 「このところ、民間マンションの管理費が払えない人が少しづつ増えているんです。 マンション管理組合が破綻しかねない。そこで、管理会社に管理料の値下げを求めるケ ースがある。オフィスビルの部門でも、例えば銀行が系列のビル管理会社に管理費を一 方的に値下げ要求してくる」と業界の近況を説明してくれた。

 同じのマンションの住民に“個人破産的状況”な人が出ると、確かに困るだろう。管 理組合の理事長に軽々しく就任したら大変なことになる?

 「住」のデフレ。その一方で、格安マンションは売れに売れている、という情報もあ る。

 午後、上野まで取材を兼ねた散歩。アメ横の人出はいつもと同じだが、松茸の値段が 去年と比べると安いようだ。

 そう言えば、政府が北朝鮮から貰ってきた土産の松茸300箱。早く食べないと…… 。こちらも何か持っていったのだから、食べて当然。こんなことで、イチャモンはつけ ない。

 極めて不十分だが、日本の世論が「拉致事件の真相」を徐々に明らかにしつつある。

 世論が沸騰しなければ、北は「謝ればいい」とタカをくくっていただろう。

 毎日毎日、北は日本のテレビを見て「言い訳」を考えているが、ドンドン、矛盾が大 きくなっている。

 世論を背景にさらに「野蛮国」に強い態度でありたい。(レバノンは強い態度で、拉 致された4人を奪い返した。これを学べ!と「世界週報」に書いた)

 だが、ここで、忘れてはならないことがある。我々は「加害の歴史」を考えなくては ならない、と思う。

 50年、60年前、日本は植民地である朝鮮を自分の領土として地図の上で赤く塗り つぶし、日本語を強制して、名前を日本名に改名させた。いま、在日朝鮮人の多くが、 50年、60年前、日本人から有無を言わせず、連行された人の子孫である。

 国際社会は「北朝鮮の拉致」を知り、かつての「日本の加害」も知っている。

 北朝鮮に拉致の原状回復を求めながら、同時に「加害の歴史」を学び、戦争を憎み、 今も続く「準戦時下」を解消すると言う姿勢を鮮明にし続けなければならない。

 正常化交渉の相手として「金体制」を選ぶべきだったかどうか、かなり、微妙だ。僕 は必ずしも最善の選択とは思えない。これまでも米援助を繰り返したが、民衆のもとに は届かなかった。

 忘れていけないのは、朝鮮半島の人々に加害したのであって、金体制に加害したので はない。忘れていけないのは、半島の人々に取って金体制は本当の味方かどうか?であ る。

 「被害」を受けた人々に確実にお詫びの思いが届くことに、日本は最大限の努力 をして検証しなければならない。

 まさか「過去の清算」でミサイルを開発する事になったら、日本は「新たな加害」に 荷担することになる。

 「拉致事件の原状回復」を求める世論が沸騰すればするほど、我々は「加害の過去」 を忘れがちだ。恒に振り返る必要がある。

 同時に「金体制」が加害の過去を精算するにあたる「国家」であるかどうか、を冷静に 見極めよう。

 一方で「ご家族には気の毒だが……過去の清算がまず必要」という言葉を良く聞く。 その意見を全面否定するつもりはない。が、我々は、拉致された人の生存を勝ち取る課 程を通じて、北朝鮮が「加害の過去」を精算する相手にふさわしいかどうか、を検証し ているのだ。

 夕方、株価、19年ぶりに9000円割れを知る。容易ならざる事態。

<何だか分からない今日の名文句>

亡命が続く彼の国


10月2日(水) 日本の危機、掲示板の危機?

 台風一過。朝、両国界隈を散歩。JR総武線に沿った隅田川近くの道路で、白と黒の ツートンカラーの車に遭遇。大きさは軽。パトカーのような感じだが、そうでもない。

 そこへ、上半身だけ婦人警官の制服を着た美人がやって来て、車の側面に張られた白 い布を剥がし始めた。そこには「警視庁」の文字。何だ何だ!

 まるで、3億円事件を思い出すような場面ではないか。急いで携帯の時計を見る。午 前7時半。事件なら、時刻を正確に覚えて置かなくてはならない……。

 そこへ、自動車のタイヤを腰にぶら下げた若い力士が猛烈な勢いで走ってきた。朝の 猛烈トレーニング。体がピカピカ輝いている。

 その力士も、変なパトカーにびっくりして、あわててUターンする。

 そこへ、Tシャツの青年がやってきた。「ご迷惑をかけまして、テレビドラマの撮影 なんです」

 そうかそうか。ちゃんこ料理「照国」の女将さんが「誰が来るの?」と聞いたら、人 気爆発の女優某がやってくるという。

 「どんな番組?」と当方が聞くと「テレビ朝日系の『逮捕しちゃうゾ』です」

 番組の名前も聞いたことない。でも、美人女優の顔を見たさに暫く待つ。力士も待つ 。女将も待つ。

 しばらくすると、ヒロインらしい女性警察官に扮した2人の女優さんが登場する。細 い長身。美人だが、誰だか分からない。

 女将さんは「うちの娘なら分かるけれど……」と残念がる。

 力士は「……」

 当方「……誰だか分からないが、女優って痩せているんですね」

 それで、みんな納得して「今日も頑張りましょう」と別れる。

 両国橋に近いデニーズで朝飯。例の「むぎとろ定食」がメニューからなくなって不満 。この辺りのデニーズは行く意味がなかなった。

 昼「競馬はロマン」を書き上げ、テレビで政府の北朝鮮調査団の報告を見る。墓が水 害で流された?

 予想通りの「北の嘘」。松木さんの遺体は今年の8月30日に再火葬 した、とはいうのはどういうことか。つい、笑い出してしまう。

 日本語教師は全員、死んだことにするのが、北の方針である。もし、日本語教師が日 本に帰ったら、日本にいる工作員の面が割れるから、返すわけには行かないのだろう。

 これで10月に協議再開する、ということなのか。

 とにかく、褌を締め尚して貰わなければ。世論が一歩も引かない姿勢が大事だろう。

 午後3時、近くの銀行から2人の女性行員が「外貨預金」の勧誘にやってくる。「5 00万円以上は金利5%」と説明してくれるが「そんな金ないよ」で帰って貰う。

 東証終値9049円。8000円台が見えてきた。

 昨日の日記で「小泉内閣の終わりの始まり」と書いたが、その読みが的中するかも知 れない。大変な危機。拉致も大変だが、経済はなお大変。

 夜、石川県の某町長、元石川県警察本部長、能登をテーマにする作詞家と銀座のイタ リア料理店で夕飯。異業種の仲間が情報を交換するのは、楽しいものだ。

 ここでは書けない「拉致関係の余話」も出る。拉致事件をダシにして、商売?をする 奴がいるそうだ。許せない。

 北朝鮮に永住するつもりの寺越武志さんの一時帰国に「北の何か」を感じる。じっと 見ていて欲しい。

 深夜帰宅して掲示板を見る。正直言って、何やってるんだ、という思い。

 自由で節度ある言論を期待しているのに、1人や2人のルール違反にあたふたするな 。長屋の諸君、良貨が悪貨を踏みつぶすようにしてくれよ!

 副編の我慢が分かるから……複雑な思い。掲示板の可能性、限界をまともに考えてい たら、馬鹿馬鹿しくなってしまう。とりあえず、もう少し我慢するか。

<何だか分からない今日の名文句>

自慢、高慢、馬鹿の内


10月1日(火) 健さんのこと

 1日付けで先輩の佐藤健記者が「専門編集委員」になってくれた。

 健さんは多分、毎日新聞社で一番ユニークな「体験する記者」。「取材する」なんて 生やさしいものではなく、自分が体験してものを書く。自ら僧侶になって「宗教」を書 いた。

 当然ながら「新聞協会賞」をはじめ、いくつかの賞を受賞している。尊敬する先輩の 一人である。

 4月に毎日新聞社に「専門編集委員制度」が出来、筆一本の記者が優遇されることに なって、僕もその一人になった。が、何故か、健さんの名前がなかった。

 健さんに聞くと「辞退した」と言う。健さんがいない「専門委員制度」なんて……ま ったく意味がない。

 何故、辞退したのか、その理由はある程度、理解できたが、新しい編集局長から改め て「なってくれ」と頼まれ、健さん、承諾した。これで新しい制度が生きた。「格」が 上がった。

 新聞社は、経営に携わる優秀なラインと、最後まで現場を走り回る優秀なスタッフが 、同じように処遇されるのが相応しい、と思っている。企業は人、まして、新聞社は人 だ。

 実は健さん、いま、癌と戦っている。「体験記者」の彼がやる仕事と言えば「生 きること」の尊さを書くことだろう。

 健さんの構想が固まりつつある、と聞く。また「毎日新聞の読者で、良かった」とい う感想が寄せられるだろう。

 午前中、久しぶりに診療所へ行く。僕の脚で45分。歩いているうちに、雨が振り出 し、終いには土砂降り。裸になって身体を拭いて貰うと、看護婦さん「牧さん、若いとき 、何かスポーツしていたんですか?」

 泳ぎも出来ず、自転車にも乗れない当方(もちろん、右半身麻痺になる前から泳げな い、自転車に乗れない)は、スポーツなんてやったことはない。

 「何もしたことないよ」とボソッと答えたが、そうか、俺の躯、スポーツ選手に見え たのかな、と思ったりする。ちょっとうれしい。

 でも、これ、見事な「お世辞」ではないか。でも、うれしい。患者をいい気持ちにさ せる姿勢に「ありがとう」と言いたい。

 「街角スケッチ」を書き上げたところへ、次男坊来訪。疲れているのだろう。一時間 ほど、眠る。ウナギを奢る。いつ、倅に奢られるようになるんだろうか。まあ、いつま でも、奢る方にいたい。母の七回忌の打ち合わせ。

 台風がやってきたので、早く寝る。

<何だか分からない今日の名文句>

医療は最高のサービス業


9月30日(月) 20秒で開くカギ

 内閣改造。柳沢金融相更迭。柳沢さんが「責任」を取るべきか、竹中さんが「責任」 を取るべきか、はたまた小泉さんが「責任」を取るべきか。

 野田さんの保守党が異議を唱えている以外は、政界の大勢はご祝儀相場で「改造は順 当」なんて話している。が、経済破綻内閣の「終わりの始まり」という印象が漂う。

 日本ハムに「会長が名誉会長とは怪しからん」と居丈高になった武部農水相。犯罪を 誘発しながら、自らは責任を取らない武部さんはおかしい、と「ここだけの話」で書い ていた。読者から賛成意見が多数寄せられていたので、武部さんの去就が気になった。

 ここだけの話だが、武部さん「構造改革に熱心なら留任」と思ったのか「競馬を考え る私的懇談会」(仮称)を作ろうと自ら人選を始めたりして、留任運動に積極的だった 。「私的懇談会」は結構だが、まず考えるべきは「農水省の腐敗体質を考える会」では ないのか……。

 本人は辞表を出した後も、大臣室で「留任」の連絡を待っていたそうだが、やはり留 任はなかった。当然だが、僕から見れば「遅すぎた更迭」である。

 農水省の役人も「ショックですよ」と話していると伝えられるが、それは嘘。「我々 のことを全く信じない大臣で辞めて欲しい」と言っていた人が結構多かった。

 やはりと言おうか、当然と言おうか「日朝正常化に反対は感情論」という論調が出て きた。僕に言わせれば「内政の失敗を外交で隠そうする姿勢」こそ感情むき出しである 。外務省の世論操作に惑わされないように、冷静になって欲しい。

 「ここだけの話」(10月1日毎日新聞東京版夕刊)は全く違うテーマで「野蛮国」 との外交に「緩やかに」触れてみた。僕の周辺に「日朝正常化に賛成させる緩やかな包 囲網」を感じる。だから、こちらも、緩やかな調子で行こう。まあ、読んでくれ。

 10月4日号の「週刊朝日」がよく売れた、との情報。改めて熟読すると、これが秘 密、と思える記事があった。

 「900万個のカギが簡単に開いちゃう大不安」。

 これなら大丈夫と替えたカギが、ある「棒状の工具」を使えば、20秒で簡単に開く 。これは大変なことではないか。

 警察庁の発表が報道されたようだが、もっと詳しい情報を読みたいのだろう。健康の 次には、自己安全。

 犯罪大国になりそうな日本を、みんなが実感しつつある。

 雨が時々、強く降る。少しうす寒い。秋だなぁ。出社後、大丸で、冬物のセーターを 買う。

<何だか分からない今日の名文句>

カギを憎んで人憎まず