編集長ヘッドライン日記 バックナンバー
2001.6月



6月28日(木) 舛添が嫌いになりそうだ

 朝、たいとう診療所。もの凄い患者の数。また、増えた。評判って恐ろしい。

 2年ほど前に毎日夕刊の「ここだけの話」で診療所のことを紹介したのが、多分、初 のマスコミ登場だったと思う。それが朝日にも、読売にも、診療所のスタッフが取り上 げられ、次々に話題になった。

 今月の月刊「コミュニティケア」に僕が書いた「80キロの往診」は、診療所の今井 院長36歳が、高知にいた頃「片道80キロの往診」をした話。この雑誌、看護婦さん が読者対象だが、編集部には「感動した。高知の理想的な病院に勤めて、今井さんの後 をやりたい」という問い合わせが入ったらしい。

 しかし、マスコミに登場したことなんて小さなことだ。すべては医療の現場は口コミ 。患者の意見がすべてである。口から口へと「赤ひげ」は伝えられる。

 偶然とは言え、本当に良い医療機関にぶち当たった。本当に良い人たちにぶち当たっ た。

 良心的な医療機関に、全共闘時代の活動家が何人かいる。改革を分野ごとに実現させ た団塊の世代。頭が下がる。

 たいとう診療所の伊藤さん(理学療法士)は、その典型。早稲田の理工卒のエリート の彼が、都合11年間、大学に通って自分にあった改革の道を選んだ。それが介護医療 。そこで、彼の平等の精神を生かした。彼のリーダーシップ、誰にでも平たく接する心 使い。この「元革マル」にはいつも頭が下がる。

 午後、野暮用1件。その後、例の学研文庫の原稿に必死で取り組む。

 夕方、お中元の準備で銀座松屋。ついでに開店した「エルメス日本本店」なるものを 見学する。金持ちが、沢山いる?

 いやいや金はなくてもブランド志向?

 「外務省の役人なら誰でも良いわ」と結婚相手を選ぶブランド志向は、ここに散見出 来る。

 帰って、毎日の夕刊で政治学者・舛添要一の「今週の異議あり!」をじっくり読んだ 。

 「テレビの情報を一方的に受けるだけでなく、政治を見る目を養おう」と題して「 衆愚政治」を憂いている。 テレビの「ワイドショー政治」の落とし穴を指摘している。

 「第一次大戦後、経済が疲弊しきっていたドイツで不満を抱えた国民に対し、大衆の 憎悪の集まる共通の敵をプロパガンダに盛り込んで支持を増やしたのは、アドルフヒト ラーだった」と書いて、ワイドショーの真紀子人気の秘密、危うさを指摘している。

 要するに真紀子さんはヒトラーになるぞ、という注意信号。一理はある。

 でも、賛成するわけには行かない。

 この腐敗、外務官僚を筆頭に「権力」という「権力」にこびりついた腐敗。これを放 置した人間が「真紀子はヒトラーだから危ない」といまさらながら宣伝している。冗談 じゃない。ヒトラーに虐められている人間を演じる奴なんて、冗談じゃない。

 第一、民衆はかなりエキセントリックになってはいる。が、その根は覚めている。ま ず、外務省改革で「腐敗した権力」を一掃する。しかるのちの「選択肢」を結構、覚め て考えている。

 真紀子さんをヒトラーにする前に、外務官僚がケジメをつけるのが、まず先だ。その 後で、ヒトラー云々を言え。

 最初から、僕は真紀子さんの人間性は好きになれない、と断っている。が、彼女しか外務 省の悪しき権力と対峙出来る人材は他にいない、と主張してきた。

 しがらみがないから、出来るのだ。だから、支持する。

 今後も「真紀子=ヒトラー説」は日増しに増え、また新たな論争になるだろう。これ もまた、舛添が「嫌いなテレビ?」の格好なネタになるだろう。

 僕は舛添と親しい。競馬仲間として親しい。お母さんの葬式にも参列させて貰った。 介護の問題でも、彼を尊敬している。

 でも、今回の彼の言い分には、失礼ながら「身勝手」を感じる。

 テレビを利用して知名人になり、政界を目指し、都知事選に彼は出た。東大卒の権力 に迎合しない、新しいテレビ型の学者を演じて、出馬した。

 彼の言い分には、僕から見れば大衆迎合的な言動は幾つもあった。それはそれでいい 。正しいこともあるし、間違っていることも一杯あった。それはそれで良い。自分で 責任を持つのだから良い。

 しかし、テレビを利用して、自分を大きく見せ、今度は、政界入りを意識してかテレ ビを悪者にする。

 「テレビの政治報道は大衆迎合だ」なんて、前から分かっていることをことさら言う なんて、滑稽だぞ。

 理屈では、君にかなわない。が、江戸っ子には「その詭弁」が恥かしくって理解でき ない。

 先週、首相官邸で小泉さんに会ったと聞くが、自分の励ます会のパーティを開いて、 そこで参院選に出馬宣言をするのだろう。

 俺は、今回、パーティに行かないゾ。

 理由1・今の俺には2万円のパーティ券を払う余裕がない。(大体、2万円のパーテ ィ券はすでに腐敗している。それでも、前回は自腹で行った。回りを見たら、自腹で来 た奴なんて、数えるぐらいだったゼ)

 理由2・君は所詮、東大病患者友の会の一員だ。「革命は自分のためだけ」の偽物だ ったのだ(と思いたくないんだから、政界入りは止めろよ)  まあ、いずれにしても、しばらく気分は「絶交」だ。

<なんだか分からない今日の名文句>


口は口、心は心



6月27日(水) 貴乃花は棄権すべきだった

 朝、減量のための散歩。約1.5キロ。帰って体重計で計ると約0.1キロ下がった だけ。

 減量って難しい。

 昼前、出社。夜、先輩記者の送別会があると聞いたが、珍しく日程が詰まっていて出 席できない。「謝っておいて」と後輩に頼む。

 昼飯。某社の知り合いが博多の本社に戻るというので、お別れ会。約2年半、東京の 空気を吸った感想を聞くと「九州とあまり変わり有りませんでした」とのこと。

 正月は元旦・明治神宮、2日・皇居一般参賀、3日・東京タワーの朝日……という風 に東京を味わった彼。

 考えてみると、僕は一般参賀をしたこともないし、東京タワーへ行ったこともない。

 「いつか行けばいい」と思うと結局、後回しになる。彼の方が大東京を満喫したのか も知れない。

 日本各地の住宅事情に話が写り、やっぱり、東京のマンションは高い、と言うような 世間話。

 仕事を一気に片づけて、午後2時、仕事場に帰り「相談がある」という倅と会う。

 一年に3、4回会うぐらいの親子。ちょっと緊張したが、難しい相談事でもなくて安 心。優之介の写真を見て「俺の方に似ている」「いや、俺の方に似ている」と言ったた わいのない話で小一時間。

 午後4時「競馬はロマン」を書き上げる。その間、近くの主婦、来訪。ロシア犬を連 れている。尻尾を揺らすのは上機嫌の印。何しろ、ロシア犬はおとなしい。足にじゃれ つき、可愛いい。

 午後5時、クーラーに金属音がするので、業者に見て貰う。いつも「急、強、弱」の 三段階のうち「急」ばかりにしていたのが良くなかった。「強」なら音がしない。さて 、修理するか。また、金がかかる。

 午後6時、昔から気になっていた人物を紹介してくれる人がいて、夕食の機会を得た 。

 その人物は相撲界のご意見番。任侠の世界から総理大臣まで、幅広い人脈を持つお 方で、一度は会いたいと思っていた。戦争直後の日本をデッサンするために必要な人物 の一人である。

 初対面だから少し緊張。(まあ、倅に会うよりは緊張しなかったが)気さくな人だっ た。

 話の中身は結構「マル秘」に類するものも多かったが、幾つか彼の独自な意見、情報 を紹介すれば……

 1)先月場所、結びの一番で脱臼した貴乃花が優勝決定戦で「涙の優勝」をした。ア レが理解出来ない。棄権すべきだった。足がブラブラして勝つわけがない。相手として は、どうしていいか、分からなかったハズだ。結局、片八百長とは言わないが、真剣勝 負にならなかった。これではいけない。小泉は午後2時半に国技館入りした。総理大臣 が国技館に来る時間としては早すぎる。普通は5時ごろである。庶民といる時間を大切 にする首相をアピールしたのだろう。そして、小泉に取って最高のお膳立てで「感涙の 天皇賞授与」が演出された。その筋書きの背景?

 分からんよ。しかし、小泉はなかなかやるじゃないか。

 2)高倉健がある時「この日本刀」が欲しいと言って来たのでXさんから貰った刀を 譲ったことがある。その後、高倉の家が火事になった。「日本刀を焼いてしまって…… 」と謝っていたが、何やら、この火事が離婚の原因と関係があるようだ。

 3)義務教育期間(小中学校生)を対象にした相撲学校を作る。でないと、このまま では相撲は外国人の出稼ぎの場所になってしまう。国技を大切にするには、これしかな い。すでに次期理事長Yは相撲専門小学校を検討している。

 当方が気に入ったのか、この長老、色々な話をしてくれた。が、ストレートに書けな いものが圧倒的に多い。

 HPがらみでは「柳橋物語」の材料になる話も聞けた。

 適度の緊張。勉強の夜だった。

<なんだか分からない今日の名文句>


三寸の楔



6月26日(火)ライオン丸、再婚す

 朝、一ヶ月ぶりに体重計に乗ったら70キロを越えている。エライこった。

 何故、太るのか? 理由は外食が増えているからだろう。僕の場合、体重が増えると 血圧が上がる。駒形橋まで往復。約1時間歩く。

 尊敬する「ライオン丸」が結婚する。

 「ライオン丸」はもちろん、小泉首相のことではない。元毎日新聞社会部の名物記者 「元祖ライオン丸」大橋弘先輩(現在は中部大学のセンセイ)。いつも吠えているから 「ライオン丸」である。30年も前から永田町では彼が「ライオン丸」。社民党の土井 さんと親しい記者だった。

 若い時、ラジオの「俺は三太だ」とかいうドラマで、主演の三太を演じたこともあっ て、役者になっても良いくらいユニークな風貌(男前という意味では談じてない)。反 権力の一匹狼のようなところがあって、いつも取材先と真っ向から渡り合った。素晴ら しい記者だった。

 彼には国会取材を1から教えてもらったが、後輩を可愛がる方で、消して100%誉 めない、100%貶さない。これが「ライオン丸」の良いところだ。

 60歳近くになっての再婚(あるいは60歳を越えて?)お相手は自然食を追求さ れている女性らしく、アートフラワー、ニット編み、フランス刺繍と趣味が多彩、と聞 いた。

 祝賀パーティのお誘いには「大病を乗り越えられたお二人」とある。ライオン丸、つ いに幸せをもぎ取った。

 おめでとう!ライオン丸。

 午後2時から新宿コマ。評判の北島三郎歌謡ショー。席がないので、楽屋裏の「監事 室」に潜り込んで見る。「監事室」からは劇場全体を眺めることが出来る。

 終わって、楽屋で久しぶりに御大に会う。芸能生活40年。話はなかなかおもしろい ので、来週の「ここだけの話」で書くつもり。

 倅のリュー君と約1時間半、北島家の話を聞いた後、 夜、銀座で知人と「関さば」を食べる。旬を逃したが「関さば」は俺の大好物。また、 太る。

 途中で、大井の帝王賞の結果が携帯に入る。デザーモ騎乗のマキバスナイパーが勝つ 。馬7人3。騎手がものを言う。子供の失語症を直すために日本を選んだ天才騎手。や ったで!

 うれしい。

 帰って新聞熟読。女性自身の広告に「小泉総理(59)復縁計画」。やっぱり出た。 この種の話、多分、書き得。実現性、極めて0に近いが、周囲に「復縁を願う人」は一 人や二人はいるだろう。

 そこで「元妻の親友が本誌に語った」というサブタイトルが付く。まあ、それなりに おもしろそうだが、買う気持ちにはなれない。

 夜10時、仕事場の周辺、減食のため30分歩く。

<なんだか分からない今日の名文句>


歩くは、三文の得?



6月25日(月) 元大臣の豪遊を見た

 朝、スポニチの「おけら街道」を書き、その後、永田町周辺の情報収集。

 都議選の隠れたニュース。かくて野中自治大臣の秘書だった某氏、世田谷区から無 所属で立候補したが、フタを開けてみれば16人中なんと15位。当落線上と言われた が、5000票も取れなかった。

 半年前では考えられない野中さんの凋落ぶり。この凋落ぶり、大新聞だけを見てい ては分からない。

 今朝(25日)の大新聞は「民主党、目標は確保」と書いている。鳩山さんは笑顔 でテレビのインタービューを受けている。そんな悠長な話か?

 何故「民主、大敗」と書かないのだろう。

 昨年の衆院選比例・東京での得票率は29.0%あったけれど、今回の都議選は1 3.5%。これを大敗と言わず、何を大敗と言うのか。

 昨日(24日)の日記で「鳩山さんが辞めなくては、民主党に明日はない」という ような趣旨を書いたが、どうして、大新聞は正直に書かないのか。不思議だ。

 昼頃、駅前で夕刊紙2紙のビラを見ると「鳩菅大ピンチ」の文字が踊っている。永 田町を歩けば、歩かなくても、これが実感。本当のこと、本当の思いを書かなければ、 メディアは支持されない。本当の時代を書かなければ支持されない。

 急ピッチな「時代の流れ」が分からないのは、橋本派と大新聞ではないか。未だに 「ワイドショー政治はけしからん」と言ってるのは感性の欠如だ。

 「ここだけの話」、しばらく自粛?していた「真紀子VS外務官僚」ものを書く。 本当のことを書くのは、結構、覚悟がいる。

 夜、浪人していた元官僚氏が、やっと勤め口が決まったというので、親友(当方が 勝手に「親友」と決めているだけ)と二人でささやかな「お祝い会」。

 いくつか、官僚と政治家とフィクサーの三角関係を聞く。おもしろい。

 元官僚氏と別れて、バーを二軒梯子。

 新橋の花柳界に近いバーで、元××大臣の一行を見る。「若いころ、役者になりた かった」と話す上機嫌のセンセイを業者とおぼしき紳士ら5人が取り囲む。女将が「役 者になったら、センセイ、ストーカーに追いかけられますよ」と最大級のお世辞。その 内に、お座敷帰りの綺麗どころ3人が加わり、盛り上がる。

 これを「豪遊」とでも言うのか。

 月曜日に選挙区を留守にして、夜の新橋に出没するには、それなりの大事な大事な 理由があるのだろう。多分、センセイがお帰りになって、今ごろ「越後屋」は「とんだ散 財だったな。あのセンセイにも困ったもんだ」と話すのだろう。

 テイクノートして置く。

<なんだか分からない今日の名文句>


ただ酒は、万病の元



6月24日(日) 愛馬は健闘、酒は太郎?

 例のアケミボタンの松尾克俊さん。22日に機密費流用で4度目の起訴。週末、友 人から「これからが、警視庁は正念場」という情報が入る。

 引き続き「専従捜査員100人体制」を続けるとなると、おおよその狙いは分かる。 沖縄サミット関連の贈収賄疑惑解明だろう。(1月17日の日記「外務省疑惑にS氏 の影」で、その一端を紹介した)

 果たして、そこまで行けるのか。

 精々、通訳業務に関する、こっぱ役人の賄賂で終わる、という観測が強い。松尾さ んの初公判が7月31日に決まっているので、時間も限られている。

 まあ「本筋」が無理だとしても、Sこと宗男クンは叩けば、埃の出る身体。(あれ から、もう5ヶ月。国民の大多数が悪人は誰か周知したので、これからは、おおむね 「S」ではなく鈴木宗男クンで書こうと思う)。

 当局が、その気になれば、いつでも………。某国の水力発電疑惑、北方領土の不動 産疑惑……ODAが絡んだ、大疑獄の雰囲気さえ……。

 当方も、匿名報道を止めたので、レポートの表現に気をつけなければならないが… …心ある外務官僚は、宗男クンと距離を置かなければ、やばいゾ。

 かつてのサンデー毎日の仲間、金沢の広岩クンから「良い店を見つけました。 早く来てください」と何度も電話を貰う。

 彼が毎日新聞北陸総局長になってから、もう8ヶ月。行こう行こうと思いながら金 沢に行く機会がない。

 彼が「良い店」というのは鍋料理「太郎」。彼が送ってくれたコピー(丸谷才一の 「食通知ったかぶり」文藝春秋刊)によれば、この店は五木寛之の推奨の店だという。

 「東京の人は値段の高い店にゆくばかりだが、かういふ、安くてうまい店を知らな いから困る」と五木さんが書いているらしい。「この店に行かなければ町の本当の良さ が分からない」とも書いているらしい。

 かつての戦友、広岩に会いたい(総理大臣のスキャンダルも、オウム追及キャンペー ンも、彼が中心になって取材してくれた)。その鍋料理「太郎」に行きたい。

 そう思っているうちに、彼から清酒「太郎」が届いた。この「良い店」と関係があ るのか。幾分、辛口の地酒だ。

 24日、愛馬・リングレットは福島で2着、函館でデリキットが4着。大健闘であ る。

 夕方から「太郎」で乾杯。

 夜、都議選の開票。予想通りの結果。生活ネットの健闘。民主党の得票率の凋落。 むしろ、議席数は減らしたが、共産党の得票率は民主党より高い。

 何度も何度も「鳩山さんの顔では絶対に勝てない」と言い続けたが、今こそ、顔を 変えるチャンスですぞ。

 午後8時45分から始まったNHKの開票通報で、開票率0%で当選確実第1号。 幾ら、出口調査で分かっていても、0%で当確を打つ神経が分からない。

 失礼である。開票作業をする人にも、視聴者にも、失礼である。

 NHKは意味のない競争をする。都議選の開票速報に競争相手なんていないじゃな いか。新聞でもないし、民放でもないし、外国のメディアでもない。競争する相手がい ないのに……開票率0%で当確を打つ。理解できない。

 当確を打った直後、立候補者のインタビューを流しているが、これ、いつインタビュ ーしたのか?

 「やらせ」なのか?

 NHKよ、たまには「本当の報道」で競争してみろ!

 まあ、これ、NHKさんに、ちょっと言い過ぎ?

 ほろ酔い気分である。

<なんだか分からない今日の名文句>


酒は飲んでも、飲まれちゃならぬ



6月21日(木)「国民対官僚」の図式

 久しぶりに「たいとう診療所」。朝、雨が降ったので、普段より患者さんが少ない。 その隙を狙って、という訳ではないが、言語聴覚士さんの診断をはじめて受ける。

 保健の点数の関係もあり、小さな医療機関では言語聴覚士を置くことは経営上、か なりの負担になる。この地で開設して約3年。「たいとう診療所」は地域の支持を受け、 何とか言語聴覚士を置くところにまでなった。同慶。

 男性言語聴覚士さんは、実に優しい。理論的に僕の“病状”を分析して、唇の運動 の仕方を教えてくれた。唇の「ゆがみ」というか、なにしろまっすぐに唇が出ない。こ れを直せば、もっと自由に発言できるだろう。

 帰宅して、毎日の夕刊「新競馬ロマン」を書き上げ、午後から出社。

 職場の話題は「真紀子さんVS鈴木宗男クン」。宗男クンがどういう人間か、ご存 じの向きには、どう見ても「委員会のやり取り」は喜劇である。自ら「真紀子外相に虐 められているのは私です」と宣伝しているようなものだ。

 永田町、霞ヶ関では真紀子さんは大悪人。その大悪人に虐められてるのは、かく言 う鈴木宗男。だから宗男は善人、という三段論法。笑わせるな!

 同僚と話しているうちに、具体的に刑事事件スレスレの彼にまつわる話なども飛び 出す。だが、それは当局の判断だから、その展開は何とも言えない。

 外務省の一部官僚は、宗男クンの委員会での「真紀子追及」を快く思っている。ちょ っとした田中外相の記憶違い、若干の舌禍が飛び出すのに手を叩いている。しかし、 展開は外務官僚にそう甘くはない。むしろ、逆だろう。

 「国民(真紀子さん)VS外務官僚(宗男クン)」という図式が次第に出来上がっ ている。国民を敵に回すと、君たち、仕事さえ無くすゾ。

 宗男クンに関して言えば、農水省の利権にも疑惑これありで、小泉首相は組閣に当 たっては、わざわざ橋本派ではなく山崎派から農水大臣を送り込み、宗男クンの勢力を 削ぐ決意をしている。

 金曜日「真紀子VS宗男」の第2回戦があるそうだが、宗男クンはやがて形勢不利?

 でも、相変わらず、真紀子包囲網が強固であることも事実だ。

 掲示板にも「田中康夫さん、衆院選出馬」の情報が入っているので、改めて取材? するが、確証掴めず。自由党筋からの出馬要請があったのでは、という指摘もあるが、 全く、分からない。情報が入り乱れているので、少し疲れる。

 「骨太の改革」にも話は進むが、多分、選挙が終わってから、公共事業派閥の反撃 が出る。ここで小泉さんが頑張って、自民党から橋本派離脱……なんて想像する向きも あるようだ。要するに、今の敵は明日の味方なんてことも十分考えられる。

 夕方、たまちゃんが「大井に競馬観戦型レストランが誕生するので取材に行く。ご 同行、願えないか?」と言うので、仕方なく?付いていく。結果1勝2敗で大負け。

 奴に誘われると、あまり良いことはない。

 競馬サークル有名人もチラホラ。某作家センセイに「大阪のあの事件、容疑者の最 初の妻は××氏の妹ではないか?」と質問される。が、まったく知らないので、答えよ うもない。

 9時過ぎ、帰宅すると、掲示板のアクセスが199800を越えている。明日の朝 には200000を越えるかもしれない。

 単なる通過点ではあるが、うれしい。

 よくまあ、書いた。そして、読者の皆さんは、よくまあ、読んでくれた。そして、 掲示板に集まった人々も、よくまあ、書いてくれた。「しりとり俳句」も好調である。

 無名に近い個人のホームページとしては、なかなかのアクセス件数ではないか。勝 手に自分をほめてやりたい。

 ただし、9月に出版予定の学研文庫の締め切りが迫って来て「柳橋物語」が更新す る余裕がなく、とん挫したまま。まあ、こちらはゆるゆる行く。お許し願いたい。

 一人で、ワインを一杯。

 もうじき「二代目魁」は創刊1周年を迎える。

<なんだか分からない今日の名文句>


一年の快楽、百年の後悔を残す それでも良いさ



6月20日(水) 選挙は人を変える

 日本テレビ系の「知ってるつもり?」から「土光敏夫さんを取りあげるので、イン タビューをお願い出来ないか?」との依頼。いい番組とは知っているが……。

 多分、10数年前の「土光改革」を現代とオーバーラップする企画なのだろう。 「何故、僕に?」と聞けば「牧さんは『小説土光臨調』(角川文庫)の筆者ですし、それ に行革の失敗を話してくれる人がいないので」。

 少し考えて、お断りした。

 理由はテレビは苦手。その上、この種の微妙な事柄は、限られた時間では本意が伝 わらない。

 そのくらいなら、自分のHPで、十分、伝えることが出来る。

 夕方、きょう二度目の散歩。日本橋三越まで1時間かけて歩く。途中、都議選の選 挙カー。地元の区長をしている元新聞記者が選挙カーから身を乗り出して「お願いしま す!!」を連呼している。

 苦しそうな顔だが、愉快そうにも見える。選挙って、おもしろいものなのか。

 当方、手を振ると「ありがとうございます。ありがとうございます。ご声援、あり がとうございます」

 別に「ご声援」したつもりはない。「俺だよ、俺だよ」と単に存在を知らせただけ なのに……。

 「私、負けるわけには行きません!」と彼の後ろの立候補者が絶叫する。

 花の日本橋だぞ! 江戸っ子は自分の勝手で、助太刀なんて頼まねーや。ああ、カッ コ悪い。

 車から降りてきて「おお、牧か。カッコ悪いところ見せちゃって。頼むよ、こいつ、 良い奴なんだ」と言われれば、10や20は集めてやるのに。

 他人行儀はないぜ。まあ、山下清みたいなホームレスのような姿だったから、知り 合いと知れたら沽券に関わるのかも知れないけど……。

 選挙って、人を変える。

 知り合いの舛添が自民党から出るらしい。7月3日にパーティをやってから出馬表 明するらしいが、さて、パーティに行くべきか? 2万円のパーティ券、払う気がしな い。あいつとは競馬の話をしていると、楽しいけれど……何も自由な言論を放棄して、 政党人にならなくても……と思う。

 青島さんも「出馬要請がある」とウキウキしている。選挙って、そんなにおもしろ いのか。

 大好きな大仁田厚よ。君だけには、選挙に出て欲しくない。

 夜、田中康夫知事の衆院選出馬のヨタ情報?

 嗚呼、列島、選挙一色。

<なんだか分からない今日の名文句>


百花綾乱



6月19日(火) 入試ミス、そして大学合併?

 静岡市は雨。「体文協」主催の静岡社会人大学の2日目である。

 今年はじめ、電話で「タイブンキョウですが、社会人大学の講演をお願いしたい」と 言われた時は、正直言って何だろう?と怪訝に思った。

 「タイブン教?宗教団体かしら?」と誤解した。「体文協」はこの地の生涯学習のパ イオニア。37年前から「社会人大学」を主催している。「体育と文化」という意味、 とやっと分かった。

 会員というか、学生というか、参加者は約1000人。地域活性化に多大な貢献をし ていると地元の人に聞き、引き受けた。

 学生が各地に分散されているので、会場は県内6ヶ所。今回は18日夜に藤枝市、1 9日は静岡市で昼と夜の二回をこなした。

 19日の昼は専業主婦ばかりで200人。良く笑う。この地の気風なのか。

 夜の200人は笑いも少なく真剣に聞き入る。働く女性が多いので、少し専業主婦と 違うのか。かなり遠方から来られる方も多く、感激した。

 それに18日夜、案内された鮨や「松乃寿司」。実にうまい。(焼津市本町4−6− 3。TEL 054−627−6666)

 近くの「小川港」から水揚げされる魚。実にうまい。 夜9時には店を閉めるのは「味の店、酒の店ではない」という心意気か。多分、いい材 料がなくなると、店を閉めるのだろう。一度は行きたい、お薦めのお店だ。

 友人の情報通から携帯電話。

 「もし国立大学の入試ミスが山形、富山大学だけだとすれば奇跡だ」と通報してくれ た、あの奴である。そのあと金沢大学のミスも発覚して、彼の言う通りになった。

 もっと不祥事が出るかも知れない。

 「国立大学の民営化を主張する小泉さんVS遠山文部科学大臣+文部官僚連合軍の戦 いが、一段落したらしい。東大も民営化すべきだ、と言う小泉さんに対し、文教族の大 半が文部官僚と組んで『合併方式』を考え出した。旧帝大はそのまま。昔の2期校を合 併するやり方で、活性化を計る。今、入試ミスを洗い出しているのは、国立大学のミス を探し出して、大学側の力を削ぐ。合併反対の機運をつぶすためにやっているミス探し 。ことしの末までに各大学は合併先を探せ。さもないと、こちらで、結婚先を決める! と文部省は極秘指令を出している」

 なるほど。

 来年には自分の出身大学の名前が消える?

 東京から携帯に次々に電話。新潟支局の元支局長から「良いネタあるぞ」コール、知 人から北島三郎さんと会う約束、霞ヶ関の情報通から「真紀子さんの官邸報告」の本当 の中味(これ確認できず書けない)……と次々に情報が入る。携帯って凄い。

 九時過ぎの新幹線で帰京。東京も氷雨だった。

<なんだか分からない今日の名文句>


旅ゆけば、駿河の国に携帯追っかけ



6月18日(月) 真紀子さん「初恋の人」

 明日から本格的な梅雨に戻るというので、朝から大散歩。JR浅草橋駅の近く「花市 場」の脇で麦藁帽子を買う。310円。嫌に陽が強い。

 近所の人に会ったら「山下清みたいですね」。半ズボンなのでそう見えるのかも知れ ない。

 朝日新聞(18日朝刊)の「ひと欄」が、来日中の天才騎手・デザーモを取り上げて いる。生まれつき両耳に障害を持つ次男と話す時間を取るために、レースが毎日のアメ リカから土日の日本に来た。二代目魁の競馬ファンに早く、紹介しようと思っていたが 、見事、朝日に抜かれた。山下清風におっとり構えて、失敗する。

 せめて朝日に載っていないデータ。勝率20.8%、連体率38.5%。一番人気馬 に乗ると連体率60%を越える。凄い騎手だ。

 今週の宝塚記念。アドマイヤボスに乗る。

 長いこと霞ヶ関に棲む友人にばったり。「また首都移転派が……」と彼、愚痴を言う 。

 首都機能移転?

 まだ、そんな話が残っていたのか。

 10年前、東京の一局集中が問題になり、首都機能を移転させようとする議論が展開 された。歴史的にも300年以上も、同じところに首都があるのはおかしい、という意 見も出た。通勤電車の混雑解消のためにも……という意見も出た。

 しかし、僕は移転に反対で「これは新しい箱モノを作りたい、ゼネコンの要望に経世 会が応えるだけだ」といくつかの雑誌で意見を述べた。

 それから早10年。霞ヶ関ではこの議論とは関係なく、役所の高層化が進み、首相官 邸は建て替えされる。事実上、移転論議は終わった、と思っていた。

 聞いてみると、そうでもないらしい。選挙が近くなると決まって公共事業促進派の「 夢の首都話」が飛び出す。

 そう言えば、国会等移転審議会が栃木・福島、岐阜・愛知、三重・畿央の3地区を候 補地として答申、衆議院国会等移転特別委員会があと一年で移転に結論を出すことにな っているようだ。

 東京をもっと活性化するのが、先決と大多数が思っているのに……「12兆円の仕事 が生まれる」とうまい話で「票」をかき集めようとする旧権益派。まるで、天才詐欺師が 使う「M資金」みたいな感じだ。

 真紀子さん、いよいよ、日米外相会談。テレビのワイドショーでは「真紀子さん、初 恋の人」なんて話も出て、盛り上がっている。(ちなみに、初恋の人は我が毎日新聞の 大先輩、石塚・元ワシントン特派員であります。河野前外相説もあるが、これは永田雅 一・大映社長が熱心で、河野一郎と田中角栄を結びつけて、フィクサーになろうとした 悪巧み?)

 「アメリカの不信感」というマスコミ論調で始まった外相会談だが「今度の大臣は、 ハッキリモノを言うので好感が持てる」という見方が自由な国・アメリカにはかなりあ る。

 どう報道されるか。マスコミの報道ぶり、興味深々。

 今週の「ここだけの話」は「記者クラブなんていらない新聞記者」のお話。書き終え て、午後3時過ぎの新幹線で静岡へ。藤枝の静岡社会人大学で講演。

<なんだか分からない今日の名文句>


好きに〜なったら、離れられない ドドンパ!



6月17日(日) 権太楼 頑張っております

 15日(金)の夜は、池袋の東京芸術劇場で「柳家権太楼一門会」。

 仕事とかち合ってはいけないと思うので、いつも前売りチケットは買わない。「当 日売り」で大丈夫とタカをくくっていたのだが、開場一時間前に行ったら、すでに売り 切れ。キャンセル待ち24番で、果たして見れるかどうか、ハラハラした。でも、何と かセーフ。うれしい週末のスタートだった。

 彼の一番弟子・三太楼が九月に真打ちになるので、今回は一足早い「身内の真打ち 披露」。それを盛り上げるようにロビーに縁日の屋台が並んだ。

 噺家グッズの発売(権太楼自らが売り子になってTシャツを売る)、正朝のtot o大作戦(彼は超一流のtoto予想屋)、さん喬のカツサンド(本所吾妻橋「キッチ ンイナバ」の逸品。僕も食べたが実に美味) 右楽の寄席文字実演(感動した。僕は 「柳ばし・二代目魁」の表札を注文した)

 トリの三太楼「宿屋の富」はたっぷり40分。熱演だが、力が入りすぎている。ま だ個性がない。

 柳家市馬のご存じ「歌謡浪曲」。一席伺った後で、三波春夫の「赤垣玄蔵」を歌う。 これが受ける。逸品。

 権太楼は「大山詣り」。さすがだ。三月以降、140回以上も高座にあがっている という。過密スケジュールをこなして頑張る。

 テレビなんぞに目もくれず、時間をかけた古典一筋。僕は権太楼が大好きだ。

 今度は8月31日の午後六時半、上野鈴本。「権太楼・染丸二人会」。出し物は 「鰻の幇間」。楽しみだ。

 土曜日の16日はゴロゴロ。電話で数人の情報通から若干の情報が入る。

 1)自民党政審は、来る参議院選挙で若干の伸びが予想されるのは意外にも「社民 党」。民主党は敵ではない、と言っているらしい。

 2)問題になっている国立大学の入試ミス。この種の業界に棲む人物に言わせると、 文部科学省が先頭に立って調査して、ミスが山形、富山大だけだとすれば、むしろ奇 跡的。誉めてみたいくらいらしい。パソコン導入以来、入試事務は難しい。大学の入試 責任者はストレスで死にそう、とのこと。分かる分かる。

 3)真紀子さんいじめの「仕掛人」が○○と判明したので、旧利権派が「自分とは 関係ない」とばかり、真紀子支持発言をするらしい。これは未確認情報だが、確かに意 外なところから「真紀子応援」のコールも早くも聞かれる。自民党議員は「応援」を装 いながら、マスコミには「いじめの材料」を提供する?

 15日の日曜日もごろ寝。「KEIBA CATALOG NO19」の短編「ラ イアンの娘」を読む。高橋源一郎さんの作品。

 メールでやりとりする「田舎教師」と「ライアンの娘」の交流。その昔の文通文学 のような競馬メールもの。

 洒落ている。これ、競馬場で無料で手に入るらしい。

 昼「しりとり俳句」を覗くと、繁盛繁盛。お題の「まっしぐら」が躍動感があって よかったのだろう、と自画自賛?

 蕨2中の生徒さんが大挙して参加している。何か「秘密」があるのかしら。

 夜、周辺の掲示板を覗く。何か、この種の掲示板に長屋の面々の善意をみたいなも のが、ちらばっている。

 うれしい。何か投稿したい気持ちになったが……まあ、いいか。

<なんだか分からない今日の名文句>


真紀子 太平洋を飛ぶ



6月14日(木) 妙な感じがする

 妙な電話がかかってきた。

 知り合いが誰々さんに会ってくれないか?という。何だ?と聞けば「選挙に出てく れないか、と言うんだ」

 冗談だとは思うが、もし本当なら、小生、選挙に出るほど落ちぶれてはいない。はっ きり、お断りする。

 どうも、日本は妙だ。気味が悪い。

 それぞれの「分」をわきまえて生きるのが日本人なのに、素人が「俺にでも出来る」 と勘違いして、他人の領域に入り込もうとする。

 大体、自由を満喫している“物書き”に「政治家になれ!」というのは失礼である。 政治家にはもっと失礼だ。

 そんなことは十分、分かるハズの先輩が本気でこんな誘いをするなんて……世情の 「妙な雰囲気」に飲まれてしまっている。みんなが、何か、素人でも「革命」が出来る ような気分になっている。

 政治の玄人が悪い。役人の玄人が悪い。この10年間、何でもかんでも先送りした。 だから、人々の間に閉息感が広まって、次々に鬱積した。

 その反動で「永田町の変人」に期待をかけ(それはそれで、大変、意味があるのだ が)その答えが出ないうちに「誰でも出来る幻想」に取りつかれている。

 妙だ。支持率90%の幻想。気味が悪い。

 「らいおんはーと」の創刊号を読む。試みは評価するが、いまいち、おもしろさに 欠けるような気がする。この道の玄人が必要か。

 午後、来客1組。話題のキーワードは「撤退」。中国・大連でも仕事されている経 済人は「日本企業の撤退が相次でいる」と話される。台湾も不景気だし、日本でも青森、 仙台、新潟から撤退して、大宮に支店を統合する動きが多いとか。

 気分は改革だが、日本は縮小の傾向ははっきりしている。客観的なデータに、戦争 勃発を期待する不気味さが漂っている。

 その後、出社。たまちゃんの相談に応え、若干の電話取材。早々と帰宅して、テレ ビ中継で函館ナイター競輪を楽しむ。結果1勝1敗。かなり儲かる。

 夕食は即席の焼きそば。雨が降ると、正直言って、フットワークが悪くなる。

<なんだか分からない今日の名文句>


猿が仏を笑う



6月13日(水) ロマン号、ありがとう。

 伊豆に住む「腹違いの姉」から蜜柑が届く。元気らしい。

 浅草の松屋まで歩いて、地下の食品売場から好物の稲庭うどんを送る。

 昼飯は大黒家の天丼。実は「日本一旨い」と評判の天ぷら屋をやっと探したのだが、 運悪く水曜定休。仕方なく、亡くなった母が贔屓の大黒家にした。味はまずまず。値段 もまずまず。

 雷門の古本屋「きずな書房」で東京風俗もの3冊購入。この本屋は掘り出し物が多い 。

 午後2時、63戦43勝。サラブレッド最多勝利日本記録保持者・ブライアンズロマ ンが引退する、と連絡が入る。

 1991年6月2日生まれの10歳。よくまあ、走った。中央の「ナリタブライアン 」と同世代。よくまあ、走った。彼の一途さに打たれ、宇都宮に足を運んだこともある 。その度に勇気付けられた。

 ありがとう。

 お客さんがチラホラの地方競馬場で見せたド根性。頭が下がる。北海道新冠町の太平 洋ナショナルスタッドで種牡馬生活を送るらしいが、一度は会いに行きたい。

 夕方「鳥越俊太郎さんの日本記者クラブ賞受賞を祝う会」。感動的なパーティだった 。

 彼が追い続けた桶川事件の被害者のお母さんが挨拶に立ち、いかにマスコミがいい 加減だったか、そこにやって来たテレビキャスターの謙虚で、ひたむきな熱意にうたれ た、と話された。

 反省することばかりだったが、鳥ちゃんの弟分を自称する当方は鼻高々だった。

 一応、呼びかけ人の一人だったので、若き日の鳥ちゃんのエピソード(痔の手術の笑 い話)を披露する。

 会場で、何人もの達人に会った。その中の一人、WEBの先達・糸井重里さんは「掲 示板は大変でしょう」と話される。時々、僕のホームページを覗いては「自由で節度あ る掲示板」を目指しながら“とん挫”?している有様を観察しているのだろう。

 世の中、いろいろな人がいるのだから「節度ある参加」と言っても、たまには脱線す ることもある。でも、いつも最後は参加者の「良識」で道が開ける。だから自信はある 。

 ただ「荒れた掲示板」と評判になるのはいささか考え物。批判するためだけの喧嘩殺 法はご遠慮願いたい。

 糸井さんは柔軟なところが良い。その柔らかくて芯のあるところを勉強した。

 二次会へ仲間5人と。帰宅すると、深夜のニュースでは、さらに真紀子包囲網が強ま っている。最後まで彼女に「相談相手」が出ないうちに真紀子丸は難破するのか。

 喧嘩の行方をじっと見ていた輩が、反真紀子に傾く様相である。それほどマスコミを 敵に回す必要もないのに、と思うのだが「人柄より壊す意志」の観点から「人徳に難あ れど、意志強き真紀子さん」を支持した当方、最後まで応援したい。それにしても、真 紀子さんに「相談相手」が欲しい。

 息子が相談相手では……身内の脇の甘さが致命傷になりかねない。

 少し、時間をかけてはどうか。

 明日から、当分、雨。梅雨は本格化。

<なんだか分からない今日の名文句>


天狗も雨宿り



6月12日(火) 産経新聞の覚悟?

 産経新聞12日朝刊3面に政治部長の署名入りで「田中外相の重い責務」という長文 の主張が載っている。

 「外務省の責任を追究する際にも、外交官の誇りを失わせ、混乱を長期化させてはな りません」とか、「外交責任者が第3国に『自立』を語ることは危うい」とか、説教じ みた調子で長々と論じている。

 僕の意見は全く違う。

 一部の官僚には「誤ってる誇り」を捨ててもらいたいのだ。「第3国に話すのがおかし い」と仰るが、この情報化時代、田中外相が国会その他で同じように「自立を考える姿 勢」を明らかにしているのを相手側もご存じだ。再三で恐縮だが、すでに何人か指導者 が「日米安保の見直し」に言及している。それほど、危うくはなかった。

 何故、産経新聞がそれほどまでに外務官僚の味方になるのか、理解できない。

 しかし、逆に言えば、何故「二代目魁」は田中真紀子を応援するのか?という意見も ある……言論とはそういうものだろう。

 皮肉ではなく、産経新聞は覚悟して“言論”している。新聞の個性化を狙っている。

 まあ、真紀子さんも覚悟して、政治家の個性化を狙っているし、個人WEBの「二代 目魁」は個性化しなきゃ、意味がない。

 それにつけても、名前は言えないが、その日その日の出来心で紙面を作り、記者は本 音を書かず、社内抗争ばかりして、権力を批判する顔をして、その癖、必ず「時の権力 」に寄り添う新聞社。ある時は「北京の空は青かった」なんて書き(天気が良ければ、 どこだって空は青い。北京の政治体制が青くしているわけじゃねえや)ある時は戦争を 美化し、ある時は日米安保に反対し、ある時は日米安保見直しは唐突だ、と言う。

 受験戦争反対と叫びながら「天声人語は大学受験の問題に出ます」と宣伝する。(思 わず、固有名詞を出してしまった)インチキ新聞社は嫌だ。

 それを考えれば、意見は大分違うが、産経は潔い。

 こちとら、昭和42年、ベトナム戦争反対に社運を賭けていた毎日新聞社に入社した 。キャンペーン企画「泥と炎のインドシナ」がなければ、日本人はベトナム戦争の悲惨 を知らなかっただろう。

 毎日新聞はその後、外務省機密漏洩事件で権力の陰謀に痛めつけられ、経営は苦しく なったが、自由な言論を必死に守っている。

 意見は違うけれど、産経新聞の心意気は理解出来る。

 東京新聞など数紙に共同通信配信の特ダネが乗っている。馬主連合会が日本臓器移植 ネットワーク」に8億円を助成した事件。6月7日の日記で「ちょっと気になる情報」 と書いたのがコレ。まだ、慌てて「字」にする段階ではないような気もする。

 この騒ぎ、ひょっとすると、ひょっとする。いずれにしても、参議院選挙が終わって から?

 夕方、親友の息子が「相談がある」と言うので、日本記者クラブで落ち合う。就職を 含む人生相談。的確なアドバイスも出来ないが、頼りにされるのはうれしい。

 産経新聞の尊敬するOBにバッタリ。「田中vs外務省も日米外相会談を経て収まる だろう」との見通し。そうあって欲しい。

 携帯に石寒太から「しりとり俳句の次のお題を作れ!」と命令?そんなに簡単に出来 るわけないだろう。

 しばらくして「まだか?9時45分が締め切りだぞ」。時計を見れば、あと15分。  ままよ。

 「梅雨晴れの恋文横町まっしぐら」

 青春の一ページ。朝日ではなく、毎日を選んだころの思い出である。

<なんだか分からない今日の名文句>


「まやかし」が似非紳士を笑う



6月11日(月) アジサイが咲いた

 隅田川沿いの仕事場の小さな庭にガクアジサイが咲いた。小さいけど咲いた。

 夕方、にわか雨が降ると、アジサイは柔らかく柔らかく雨に身を任せる。梅雨の季節 は嫌だが、アジサイは好きだ。

 野暮用ばかりの休み明け。すべて終わって、ホッとしたけれど、外出が出来ずに午後 から原稿また原稿。少し、原稿が溜まりすぎている。

 今週の「ここだけの話」(12日東京版夕刊)はもう一回、真紀子モノにする。外務 官僚は冷静さを失っている。これを皮肉る必要がある。

 掲示板で「毎日新聞では自由に書いていないのでは」と心配する方もいらっしゃるが、 概ね自由に書いている。ご心配、ご無用である。

 まあ、周辺に真紀子更迭論者は多い。彼らから見れば、僕の論調は衆愚政治を煽るも のに写るかもしれない。

 しかし、そうだろうか。もし愚かな大衆がいたとすれば、官僚の言いなりになった 「大昔の市民」だ。目覚めた市民と権益を必死で守る感情的な官僚と、 どちらが「愚」であるか。自明の理。子供でも分かる。しかし、権力亡者には、 それが分からない。

 だから、皮肉を込めて書く。彼らに「愚」を教えなければならない。

 今週の「ここだけの話」に関しても、当然、批判もあるだろう。が、すでに、僕の意 見が少数という訳でもないだろう。もう少し「フレー、フレー!真紀子」だ。

 夕方になってやっと「柳橋物語」を更新する。昭和20年後半から書き始める東京下 町。自伝的小説の形を取りながら「民の団結、民の裏切り、民のやるせなさ」を書きた い。地道な仕事だが、焦らずに行こう。更新が遅れるが、ご容赦願いたい。

 午後7時過ぎ、世論調査で小泉内閣の支持率がまた上がった、とNHKニュースが伝 える中、副編が来訪。

 モバイルのバックアップ作業を教えてくれる。奴には頭が上がらない。

 7月7日で一年目を迎える「二代目・魁」。体裁を変えようか、という意見もあるが 、まず、ささやかな「内容の充実」から、と二人の意見は一致している。

 好評の掲示板。見てはいるが、討論に参加しない人もいるので、何か、誰でも参加出 来る工夫をしたら、何て話し合う。

 缶ビール4本で、副編、仕事に戻る。

 今夜も雨強し。

<なんだか分からない今日の名文句>


内兜を見抜く



6月10日(日) あえて「気違いに刃物」と書く

 9日朝のテレビ。桂なんとかという落語家(申し訳ない。名前がどうしても出ない 時がある)が司会を勤める日本テレビ系の報道番組。国際問題学者が「田中外相は非常 識だ」と喚いている。

 外務官僚のリーク騒動は問題ではない。外相を辞めさせるのがまず先決だ、という 趣旨の話を続けている。

 何か恨みでもあるのか。「真紀子憎し」で、理論も理性もない。「真紀子いじめに 参加しないとオマンマの食い上げ」とでも勘違いしているのか?

 勘違い コタツで母の手を握りーーだ。

 多分、恒常的に外務官僚からデータを貰って研究らしきことをしているのだろう。 ここで、官僚に恩義を返さなければ、と思っている。(もし、そうでなかったら、謝る。 が、そんな印象を持たざる得ない発言である)

 真紀子さんは井戸端会議のリーダーのように「おっかないおばさん」ではある。怪 女である。好き嫌いでは「嫌な女」だ。しかし、その発言は「非常識」とは言えない。

 外務官僚は相変わらず「日米安保の見直し論が非常識だ」というが、そうだろうか。

 この日記で指摘したが、1994年「日米安保の質的、量的見直し」を提唱したの は、他ならぬ「自民党21世紀委員会」。その委員長は橋龍である。

 新聞も、自民党も、すっかりこの事実を忘れている。橋龍本人までも、そのことを すっかり忘れて「田中外相はブッシュ政権に楯をついている。非常識だ」とイチャモ ンをつけた。

 僕から見れば、恥ずかしいのは元首相・橋龍の非常識である。

 もう一つの論点、ミサイル防衛に関しても、外相が正論である。

 外相会談でミサイル防衛(NMD計画)に言及したのが非常識だ、と一部外務官僚 は指摘するが、それは概ね間違っている。

 6月4日のアメリカの各紙はNMD計画をそろって論評している。保守派のワシン トン・タイムズ紙は推進の立場を明らかにしているが、ニューヨーク・タイムズは「技 術的に未解決な問題があり、米国の外交的利益を損なう」と書き、ワシントン・ポスト は「ロシア、中国だけでなく、英国を除くヨーロッパ各国も懸念を表明している」と否 定的な論調だった。

 アメリカの世論が分かれている。この時点で、日本の外相が軽々しく「賛意を示す」 ことなど、それこそ非常識だ。表現はともかく、NMDに懸念を持つ諸国に対して 「懸念を含めた関心」を示すのは、至極、当然である。

 日本国民に「21世紀もアメリカ追随で良いのか?」と問題提起するのも「はじめ ての外務大臣らしい外務大臣」の仕事だと僕は思う。

 一部外務官僚は「こんな場違いなことを言っている」と外相会談の議事録をリーク しているようだが、リークされた彼女の発言を見ても、それほどびっくりするような内 容ではない。

 10日のテレビ番組で高村元外相が至極、常識的な「お互い、信頼出来るように」 と言いながら、外務官僚の異常なリークをたしなめている。

 橋本派としがらみのない官僚よ。今こそ、立ち上がれ!

 海外援助の美名のもと、莫大な金品を奪い取った「ある勢力」をぶっ倒せ!

 と、まあ、そう言っても、勇気ある官僚は出そうもない。そうなれば、人事異動で 「旧勢力」を一掃するしかない、と外相は決断しているかも知れない。

 ともかく、11日からの週は正念場だ。ここまで来れば、生半可な正常化では意味 がない。

 大阪の事件。やるせない。

 掲示板にやるせない思いが吐き出されているが、それが何らかの解決に結びつかな い難しさがある。

 難しい。

 文部科学相が「こんなことがないように万全を期す」と話しているが、この種の事 件は必ず、起こる。

 「気違いに刃物」だから必ず起こる。

 「気違いに刃物」と書こうとすると、マスコミ人は「差別用語だから止めて下さい」 と言う。いわゆる人権派が「差別」「差別」と騒ぐのでマスコミ官僚は「この世の真 実を教える言葉」を封印している。

 精神異常と書けば差別ではなく、気違いと書けば差別になるなんて理解できない。 差別は、すでに「その実態」が問題になるのだ。言葉狩りすれば、差別がなくなると思っ ているのか。綺麗な言葉で、差別用語など使わないが、平気で日常的に差別ばかりす る奴が何人もいるじゃないか。

 自分のことを「競馬狂い」と書いたら「差別用語だからやめてくれ」と言われた。 ある物事に熱中して心を奪われることを表現したのであって「精神状態が正常ではない 状態」と差別して使っているわけではない。何度も説明しても「でも差別と言われるか ら」という。

 どう書きゃいいのか?と聞くと「競馬ファン」としてくれ、と言う。冗談じゃない。 全然、意味が違うじゃないか。僕は誇りを持った「競馬狂い」なのだ。

 「気違いに刃物」と何故、書かないのだ。この言葉にはこの世の「悲しい現実」が ある。この「悲しい現実」を的確に表現するにはこれしかない、と思う。

 その「悲しい現実」を前提に対応を講じなければ、また起こる。これは病気なのだ から、地域の責任で愛情をもって患者を隔離するのだ。差別ではない。

 隔離しなければならない病状を厳密に診断し、法的に判断する。これは極めて難し い仕事とは思うが、公共の福祉を第一に考えれば、自ずと、選択肢は限られる。

 隔離は差別だ、と僕は考えない。これは差別問題とは、全く違う次元の話である。 勘違いした「総会屋的人権派」が「最大多数の幸せ」を無視して「反差別」という大儀 で、公共の利益をないがしろにする。

 それが、この国の価値観を歪ませている。

 これは交通事故なんだ。一升も二升も酒を飲んで自動車を運転する奴に、善意の人 が殺されて良いのか。それと同じような不幸なのだ。

 「酒乱にハンドル」に殺されてはいけないように「気違いに刃物」に殺されては断 じていけない。

 「気違い」という「悲しい現実」が存在する。これを前提に対応を考える。これを 前提に表現する。

 まず精神異常者にも「人権」がある、という立場から対応しようとすると何ら解決 にならない。

 「気違い」という言葉、いつも使いたい、なんて思わない。でも、あまりに枝葉の 議論になり、ことの本質がうやむやになってはいけない。そこで、あえて議論の本質は 「気違いに刃物」なんだ、と敢えて書いた。

 つらいけど書いた。

 それにしても、我が子が……と思うと……家族の思いを考えれば、やるせない。人 類の業を見せつけられたようで……とても鳥越のお祭り、なんて気分にならなかった。
<なんだか分からない今日の名文句>


差別用語にも「人権」?



6月7日(木) 鳥越神社の千貫御輿

 朝、新聞の広告を見ていて「円より子議員ニコニコ離婚のうそ」という文字が目 に入った。週刊新潮のワイド特集の一つである。

 知り合いが“ニュース”になるとつい読んでみたくなる。浅草橋駅前の売場で週 刊新潮を300円出して買う。週刊誌の売り方は「広告に出来るだけ固有名詞を入れる こと」。それ、鉄則!

 読んでみると、どこにでも転がっている焼き餅話。離婚の後日談みたいなもの。 実にくだらん。俺なら、全く別のネタで書く?

 それより「売国的田中真紀子外相辞任のすすめ」。外務省幹部の言い分ばかり載 せている。

 サンケイ新聞と週刊新潮が世論操作の先頭に立つことは、今までも多々あった。 不愉快ではある。しかし、これは良いことかも知れない。メディアはもっと独自性を発 揮するべきだ。横並びの官僚的報道は意味がない。英国の新聞は選挙に際して支持政党 を明らかにする。

 それより、おもしろいのは「私の母 野村沙知代を許さない」という告白手記。 とても人間とは、思えないサッチーの旧悪を倅が打ち明ける。今頃、何故?

 これ、田中真紀子ブームをサッチー騒動に方向転換させる意図?ではないのか。 ワイドショーが政治好きになるのに、ストップを駆けようとする「権力」の仕掛け?何 て、深読みすると、週刊誌もおもしろい。

 午前中は「たいとう診療所」でリハビリ。

 道すがら、お祭りの準備。この辺り、鳥越神社の氏子である。

 鳥越の里は大川(旧宮戸川・現隅田川)のほとり。蔵前通りと江戸通り(国道6 号線)が交差するあたりにある。職人の町で、各種製造、卸問屋が軒を並べ、戦前から 東京下町の一角として栄えた。

 鳥越の自慢は2つ。

 一つは職人の食を預かる「おかず横丁」。実にうまい。実に安い。

 そして鳥越神社の千貫御輿。

 1046年頃、奥州安部氏の反乱に苦しんだ朝廷が、源頼義、頼家親子に鎮圧を 命じた。親子の軍勢は大川の河口を越えるのに苦労するが、ある日、一羽の白鳥が現れ、 川の浅瀬に降り立ち、対岸に渡れるルートを教えてくれた。

 八幡太郎義家は「白鳥明神のご加護があった」と鳥越の里の山頂に神社を作っ た。「昔、鳥越の里は白鳥村とも呼ばれた」とお袋に教えてもらったことがある。

 毎年6月9日に近い日曜日に祭りが行われ、自慢の千貫御神輿の渡御が行われ る。多分、東京では一番大きい御輿である。

 ことしは10日の日曜日、千貫御輿は午前6時50分、宮出。午後9時に宮入する。

 弓張り提灯、高張提灯に火が入り、夜の宮入は最高潮に達する。近くの方は是非 是非、ご覧あれ。

 午後、野暮用3件。夕方、出社。ちょっと気になる情報を社会部長に伝える。こ れは、大きな事件かもしれない。

 社内、サッカーの中継で夢中。世論調査部の後輩記者に世論調査とアンケートの 厳密な違いを学ぶ。

 社を出る頃、土砂降りの雨。

 
<なんだか分からない今日の名文句>


釈迦に宗旨なし



6月6日(水) 「S」とその背後

 どうにも、こうにも、水面下の“真紀子降ろし”が収まらない。

 久しぶりに野中さんがテレビカメラの前で「外相更迭なんて考えてもいない」と言う けれど、子分の「S」は「自民党外交部会にやって来たら、とことん、いじめてやる」 と公言している。自民党が審議に協力しなければ、法案の一つも上がらない。「法案は 吊るせ!」である。

 それまでに、たっぷり「真紀子のドジ」をリークしろ、と官僚に命令でもしているん だろう。

 それどころか、元祖・自惚れ屋のパーマ野郎が「S」の命令か、どうかは分からない が、外相の「日米安保の見直し」発言にいちゃもんをつけた。

 冗談じゃない。1994年「自民党21世紀委員会」は「日米安保は歴史的必然とし て、質的に、量的に変化すべきだ」と報告書をまとめている。その時の委員長は、誰であ ろう、橋龍ではないのか。(多分、委員長代理は石原慎太郎だったと記憶している)。 ご用記者はお忘れか!

 真紀子は「橋龍に近いスタンス」である。それをすっかり忘れて「S」に「あの女を やっつけましょう」と言われ(たかどうか分からないが、ともかく積極的に)「あんな ことを、真紀子に言わせていいのか?」と福田官房長官に告げ口電話をした。

 情けない。先代の田中vs福田の争いが、橋龍の頭をよぎったのだろう。「福田官房 長官は我らの味方」とでも勘違いしたのだろう。

 「真紀子のドジ」をリークしている人間を某宗教団体の外務省組織、台湾寄りのある 外務官僚、といろいろ詮索している向きもある。しかし、それほど、単純ではないだろ う。

 しかし、外務省を牛耳る「S」の介在だけは否定できない。何しろ、秘密のハズ の電報が「S」の手元には恒にある。

 大新聞の方々も、スクープを取りたいばかりに「S」の作戦に乗るようなことは、ゆめ ゆめ、ございませんようにお願いしたい。

 何度も言うが、真紀子さんというキャラクター、好きではない。しかし「壊し屋」と しては今、最適なのだ。

 国民は、この「毒」を使おう。「S」とその背後を壊すために。

 夕方「2代目魁」のボランティア作戦会議。「石寒太の俳句のページ」が出来たお祝 いを兼ね、7月7日の「創刊1周年」を向け、知恵を絞る。

 「しりとり俳句」面作製に苦労したミュージシャン本間。どちらかと言うと寡黙な奴 だが珍しく饒舌。うれしい。

 有希は外国に働きに行く、と宣言。羨ましい。

 Jrは相変わらずクールで、出来るモノと出来ないモノを分けてくれる。助かる。

 寒太は「想像以上の反響」と喜び、相棒の中島嬢は「勉強になります」。

 少し遅れて来たやって副編は、職場の「持ち場」が代わり忙しそうだが、僕の計画に 賛同もしない代わりに「やってみましょう」と言ってくれた。感謝。

 9時半ごろまで、楽しくやった。

<なんだか分からない今日の名文句>


悪には染まり易し



6月5日(火) 真紀子とウイルス

 前日からのパソコンの故障。どうやっても動かない。原因は何か?

 朝から悩んだ。どう動かしても動かない。

 知り合いに来て貰っても動かない。

 「実は」と前日、メールを開いた時の「妙なこと」を話してみた。何も書いていな い添付文書が飛び出したのだ。

 当方の説明を聞き、知人は「これ、ウイルスに汚染したのではないか?」という。

 昔からの記者仲間から、メールをいただいた同時刻、同じ送信者名で添付文書が来 た。何の疑問も持たず、その添付書類を開けたら、何も文書もなく、パソコンは動かな くなった。

 「ウイルスかも知れない」というので、送信者に電話で「添付文書、出した?」と 聞けば「そんなことない」。そこで知人が添付文書にあった「文字」をセキュリティ情 報で調べてみると、あった、あった。

 ウイルスだ。

 たまたま、知人が「駆除ツール」を持ち合わせていたので修復に成功。感謝、感謝。 それにしても、憎っくきウイルス野郎!

 5日付け毎日新聞夕刊「ここだけの話」で「フレー、フレー!真紀子」と書いたの で読者の反応はどうか、注目した。「真紀子降ろし」の世論操作は日増しに激しい。

 僕の率直な意見。

 むしろ真紀子さんは我慢している。「米国本土だけを守るミサイル防衛計画に日本 が賛成しなければならないのか?」と言いたいぐらいなのに。

 自民党旧主流派はアメリカ追随、というより旧経世会支配に戻ろうと「田中降ろし」 を画策している。

 国益より田中外相の首を取りたいのだ。

 夕刊紙は「安保から今度は自立」と言っている外相は超ド級舌禍だ、と決めつけ 「真紀子即刻首」の論調である。

 ちょっと前まで「真紀子ヨイショ」の夕刊紙が、何故、こんなに早く、真紀子叩き に変貌するのか。新聞って信じられない。

 旧権力のウイルスに汚染したのか。

 夜になってメールで3通の反応。新聞の論調に迎合するものがあるのか、と思いき や、3つとも小生の意見に賛同するもの。ホッとする。日本にも良識はある。(新聞に 良識があるかどうか不安。新聞社で飯を食っているので、ここまで書くのが精一杯。お 許しあれ)

 再三、言うが、真紀子さんには好きになれない「毒」がある。しかし、この「毒」 でウイルスを一掃するのだ。

<なんだか分からない今日の名文句>


忍の一事は衆妙の門



6月4日(月) 鈍行歌手・北見恭子さん

 早朝、2日亡くなったMBさんの友人が、改めて訃報を知らせに来訪される。

 死ぬ2時間前まで意識がはっきりしていたとのこと。「痛みのないが不思議だ」と医 師も驚いていたらしい。掲示板仲間に彼が書いた「返事」が最後の自筆になったような ので、奥さんに届けて貰うことにする。

 密葬ということなので参列を控えたが、昼の告別式には別れを惜しんで駆けつけた方 も多く、夕方、たまたまお会いしたMBさんの義理の妹さんの話では、故人と親しい講 談師の神田紅さんがすべての予定をキャンセルして、霊前で短い講釈を披露してくれた という。感激した。

 以前、僕がプレゼントした「競馬のネクタイ」もお棺に入れてくれたらしい。

 午前中に原稿。午後から江戸通りを浅草に向けて散歩。蔵前の問屋街は「風鈴の売り 出し」の季節だ。

 浅草・新仲見世の「江戸屋」で団扇を10本購入した。先週の新潟・新発田講演でや っかいになった人々に「浅草」の文字がデザインした団扇を贈る。昼飯は永井荷風ゆか りのそば屋で大盛り。まあまあ。

 今週の「ここだけの話」。外務官僚VS真紀子の不毛な戦いに触れることにする。た だ、行数が足りないので、果たして真意が伝わるか。外務官僚からは「常識はずれのお 嬢様大臣の味方をするのか?」と批判を浴びることになるかも知れない。覚悟しよう。

 夜、内幸町のプレスセンター10階「アラスカ」で、演歌歌手・北見恭子さんと共通 の友人(♀)と夕食。北見さんは、僕が芸能界ものを初めて書いた昭和50年代前半の 知り合い。金も、ツテも、運もない、何もない若い女性が演歌歌手を目指した時、その 周辺で何が起こるか。そのドラマを書かせてもらった。

 その時、一気にスターダムをかけのぼる新人と区別して、僕は彼女を「鈍行歌手」と ネーミングした。「鈍行歌手」は業界の流行言葉になった。

 売れない歌手だった北見さん。ステージに立つと「鈍行歌手の北見です」と挨拶し続 けた。

 その頃、神田の小料理「里」でマネージャー氏を交えて一杯やった時「キミが紅白に 出たら、銀座4丁目の交差点を逆立ちして渡ってやる」と妙な約束をした。

 それから、何年たっただろうか。彼女は着々と実力をつけ、中堅歌手として、かなり 知られる存在になった。

 ひょんなことで共通の友人がいることが分かり、再会と相成った。

 芸能人って歳を取らない。実に若い。

 平成11年の新曲「紅の舟歌」がヒットして、急激にファンが増えているらしい。同 慶。

 「色々なことがありました」としみじみ話す彼女。酒が飲めるようになっている。

 浅草観音裏の「ひまわり」のママは「紅の舟歌」が愛唱歌で、北見さんを連れていく と大感激。いささか酔っぱらった北見さん、お客さんと歌いまくる。

 「何が悩み?」と聞けば「まだ、結婚できないの」

 明日(5日)NHK第一ラジオ昼の零時30分「散歩道」に彼女が出演する。暇があったら 聞いて貰いたい。

 深夜、帰宅するとパソコン故障。困った。

<なんだか分からない今日の名文句>


鈍行だから夢紀行



6月3日(日) 生きること、死ぬこと

 土曜日(2日)の夜、日大一中・一高当時の親しい仲間が集まった。常磐線沿線に住 む奴が多いので、会場は柏市柏の小料理「竹葉」で開く。参加者8人。

 某大手運送会社の経理部長(主要な人材らしく都市対抗野球チームの責任者らしい)

 埼玉県川口市の浄水器部品製造業者(一時は不況を嘆いていたが、ことしに入り忙し くて忙しくて。悲鳴をあげている)

 外資系医療メーカーの人事部長(しりとり俳句に参加した奴)

 学習塾の経営者(と言っても先生が彼一人。日大一高生ばかりの塾だが、生徒に「酒 、たばこOK」の許可を出し、日大一高関係者とギクシャクしている。でも、この塾の 卒業生は立派に成長している)

 サラリーマンとしか分からない奴(連休中にデジカメ技術を収得。毛生え薬の権威。 西神田の風俗店の権威。何でも知っている)

 JR柏駅近くの病院院長(倅が医師の国家試験にパスした)

 兜町の信用組合に勤務する奴(昨年、愛妻に先立たれ、元気がなかったが「子供が社 会人になったら再婚するよ」と宣言)

 それに新聞記者の僕。

 まずまずの幸福を、それぞれ確認する。

 我々は悲しい経験をしている。中学一年2学期の放課後、グランドでソフトボールを 使って「簡易野球」をしていた我々に、工事で校庭に出入りしていたダンプカーがバ ックして来て、友人一人がひき殺される。

 ダンプカーのタイヤに巻き込まれた友人の口から、ドドッと血があふれ出た。壮絶な 光景にヘタヘタとなった。

 この時のショックは未だに消えない。その時、級長の僕と副級長の病院長、クラス委 員の学習塾経営者が本所警察で事情聴取を受けた。昭和32年9月のことである。

 いつも、この時のことが話題になり、黙祷する。

 その後、トランペットの演奏者になった男が34歳で急死した以外、まずまず元気に 生きている。早死にした奴の分まで、迷惑かけずに、長生きするぞ。

 そんな話題は早く切り上げ、あとは爆笑爆笑、また爆笑。

 「お前のホームページで同窓会をやっていることを書けば、来年あたり人数が増える かも知らない」とサラリーマン氏の提案。「もちろん書くよ」。

 来年の幹事はそれほど忙しくない「兜町の信用組合」がやることになった。

 日曜は快晴。梅雨はまだまだだった。

 野暮用で出かけようとしたところ、携帯で知人から、掲示板の常連・MBさん、逝去 の知らせ。あまりに急な知らせに言葉を失う。

 3月頃、風邪が長引いている、と聞き、4月2日にガンと判明。凄まじい闘病と聞き 、見舞いをしたのが火曜日だった。掲示板の仲間に「闘病応援メッセージ」を呼びかけ 、彼は自筆の返事を書いた。

 掲示板仲間のメールが病院に届けられたのが5月30日午後3時。居合わせた奥さ んが、読み上げるとMBさんは涙ぐみ「返事を書く」と言ってレポート用紙に鉛筆で感 謝の気持ちを書いた。(文章は5月31日の掲示板にある)

 いかにもうれしそうだった。

 MBさんは翌6月1日、一番親しい友人に携帯で電話して「掲示板の仲間がメールを 書いてくれた」とうれしそうに報告したが、その折り、語尾がかすれていたという。

 「痛みを訴えることはなかったのが幸いだ」とのこと。我々に書いた返事が「最後の 自筆」なったので奥様にお返しすることに決めた。(もちろん、コピーは大切に保管す る)

 「掲示板」で訃報を書く。厳粛なる死。本名を明かすべきか、かなり悩んだが「掲示 板」の性格上「MBさん」のままにする。

 副編に何度も相談しようと思ったが、僕が判断すべきだと考え、仮名のままで(と言 うより、これが「掲示板の本名」と考え)このままの表現で“旅立ち”を送ることにす る。

 年齢は明かしても良いだろう。最後まで周囲を楽しませた男・71歳の大往生だ った。

 密葬は遠慮して「偲ぶ会」には参加するつもりだ。

<なんだか分からない今日の名文句>


川の石 星になる



5月31日(木) 慎太郎の「橋本派、出てけ!」

 朝から雨が降っている。

 梅雨入りしているんじゃないのか。仲間は「まだ、6月に入っていないから」とい うが、そんな感じだ。

 最近は梅雨に入ってから数日たって、堂々と梅雨入りを宣言する。カンカン照りが 数日続いてから、気象庁は梅雨明けを宣言する。と、言うより「宣言」は独占だから、 どんな時でも出来る。

 民間の独自宣言を報道した方がいいような気もする。まあ、どうでも良いが、先物 取り引きをしている人に取っては、天気予報は「刃物」のようなものだ。

 午後1時、東大病院眼科。2年ほど前に白内障の手術をしたので、一年に2回、検 診する。異常なし。

 「異常なし」は結構なことだが、待ち時間、都合3時間。幾ら人気があっても、少 し待たせ過ぎだ。

 雨上がり。アメ横を散歩。極大のトマト8個420円を買う。

 夕刊に小さく「関東地方知事会が開かれた」と載っている。いつもなら、この種の 記事は夕刊に載る話ではないが、知事のメンバーが大物揃いなのでベタ記事になる。

 実は、昨年の今頃、石原慎太郎都知事は親しい人に「知事サミットを開きたいのだ が」と相談した。

 「地方の時代」を意識して、国と対決する「地方の団結」を構築する狙い。慎太郎 主導の「地方サミット」に参加する人選がすすんでいた。それが田中長野県知事の誕生 で、微妙に変わってきている。田中さんが幾分、他の知事とは肌合いが合わない。

 ついこの間も、田中さんは日本外国特派員協会で講演した中で「石原知事は臆病だ」 と批判したらしい。石原さんは石原さんで、先輩の意地もあるから、いい気持ちはし ないだろう。(もちろん、作家としての先輩意識もある)

 有能な?無党派知事だけで組織する知事サミット、実現するかどうか。

 それより、慎太郎さん、国政の方が気にかかっている。5月23日の首相公邸。小 泉 、慎太郎、伸晃の会談では「衆参同時選挙」→「政界再編」→「橋本派出ていけ」の 筋書きが話された、という話が流れている。

 総裁選で負けたら離党せざるを得ない、と覚悟した小泉は、今度は旧「経世会」に 離党を求める。

 政治部記者の大半は「衆参同時選挙なし」と見ているが、中曽根、慎太郎サイドは 「ダブル選挙で一気に橋本派を追い込む」という気迫。

 初代「壊し屋」小沢一郎はダブル選挙あり、と見ているらしい。

 先週から始まる党首討論を良〜く見ると、小泉さん(背後の慎太郎、中曽根さん) の、「本当の敵、味方」が何となく分かる仕組みになっている。

 夕方、入院闘病中の掲示板の仲間から、病室で書いたメールが届く。一字一句間違 わないように、書き込みする。

 奥さんからの電話では「うちは、2人とも明るいんで大丈夫。」これなら、大丈夫だ。

<なんだか分からない今日の名文句>


国会劇場はいま序幕