編集長ヘッドライン日記 バックナンバー
2000.11月




11月29日(水)「777777」まで
               頑張るぞ!


 朝、市川の市民会館で運転免許更新時の講習。道交法108条で義務付ける講習だ から仕方ない。

 9年前、倒れてから、全く運転が出来ない。でも、いつか、革命的な新薬が発明さ れたら運転は可能、と考えて更新する。今でも特殊車両で運転出来るという人もいるが、 もし、事故を起こしたら……多分、一生、運転はしない。でも未練がましく更新する。

 運転免許証は身分を証明するのに最適、と考えておこう。

 先生が「寝ていても良い」と言われたので、お言葉に甘えて、ぐっすり寝てしまっ た。申し訳ないけど、ビデオの講義だから誰に謝るべきか、分からない。

 分かったこと。千葉県内で今年の交通事故の死者382人。シートベルトを使わな いのが千葉県人の悪い癖らしい。

 午後、原稿を2本書く。

 28日夕刊で書いた「ここだけの話」。

 「キムタクと加藤さん」というボヤッとした見出しだったが、反響があった。メー ルを送ってくれる方も多い。全員、女性のようだ。

 同感!と言う方もいるが、加藤さんに対する「からかい」に反対する方もいる。ど ちらが、多数意見か?

 メールだけで見れば、僕の意見に賛成の方が多いようだが、分からない。

 僕は少なくても「永田町だけで通用する卑怯な手法」に許せないものを感じている のだ。

 僕の意見に反対の方にも、出来る限りメールで返事をして、率直な意見を述べさせ てもらった。

 こんな時「毎日新聞の購読を止めたい」と言われると、ガックリするのだが、これ も仕方ないことだ。

 疲れたので、今日発売のFOCUSを見ながら居眠りをしようとしたら、面白い一 文に出くわした。

 作家・安部譲二さんの「政治家もゴロツキも“回し兄弟”」という洒落たエッセイ である。(一度、競輪選手の引退パーティで先生にはお目にかかり、名刺を交換したが、 多分、ご記憶にないだろう。仁義を切っていないで、勝手な事を書く若造を、ご容赦 願いたい。安部先生、お棲みの世界に疎いので、何が失礼なのか分からない。許してい ただきたい)

 安部さんは「フジモリさんと亀井静香さんは“回し兄弟”だ」と書いている。

 「回し兄弟」は「兄弟分の兄弟分」のこと。フジモリさんと亀井さんは兄弟分では ないが、二人とも故小渕首相と兄弟分だから「回し兄弟」だというのだ。

 良く分からないが、そういえば、そうかなあ、という気もする。

 安部さんの世界?の言葉は、ずばり本質を捕らえる。

 このエッセイの中で「亀井さんは、小渕さんの5厘さがりの兄弟」と聞かされたゴ ロツキさんが「森さんと亀井さんとは、どんな盃なの?」と安部親分に聞く。

 そこで、親分「そりゃあ、あんた、亀井静香の方が桁違いに高目だ。ほとんど舎弟 か、若い衆だろう」と答えると、ゴロツキさん「俺ならあんなもん若い衆にもしねぇ」

 一国の首相が「あんなもん」。

 内閣改造を前に、永田町を見ている国民の目はこんなものだろう。それにしても、 ヤクザ屋さんに、笑われる「ご時世」が21世紀も続くのか。

 夜、知人にフレッツ・ISDNの設定を頼む。

 彼は最初にパソコンの存在を教えてくれた御仁。彼がいなかったら、未だにパソコ ンに触ることはなかった。

 パソコンの使い方がまるで分からないまま、ホームページをはじめて、もうじき5ヶ 月。

 設定をしながら知人が「77777を越えましたね」と教えてくれた。

 アクセス回数が切りのいい「7ならび」になった。

 7月7日、スタートで77777。

 ありがとう。

 それほど名前も知られていない新聞記者の個人ページが、皆さんに支えられて、何 とか走っている。

 読者が力。掲示板がチカラ。

 面倒を見てくれる副編、ジュニア、有希……ありがとう。

 設定が終わり、知人とカレーライスの夕食。

 ビールを一杯、飲んだだけだが、調子に乗って「777777まで、頑張るぞ」と 叫んだ、ほろ酔いの夜だった。

<なんだか分からない今日の名文句>

継続は万能





11月28日(火) 誰が改造するのか

 朝、電話が2本、かかってくる。

 一つは仕事場の火災訓練の話だが、もう一つは政界怪情報。

 陣笠議員が上京して来た月曜日夜(27日)、永田町を「森さんの決定的スキャン ダルが週刊誌に出る!」という噂が駆け抜けた、というのだ。

 写真付き、というのだが本当だろうか。

 まだ、野中さんの「森さんは信任されたわけではない」発言が尾を引いている。 「森さんなら、ありそうな話」がくすぶり続けるのは、むしろ、怪情報を喜ぶ向きが存在 するからだろう。森内閣は依然として「死に体内閣」と言うべきか。

 つまり、この暮れ、森さんに内閣改造の人事権がない。というアナウンス?

 森さんも舐められたものだ。

 加藤つぶしの論功行賞は、野中さんとその一派の思いのまま? 少し、増長してい ないか。

 パンを食べながら「おけら街道」を書く。

 「八戸市にWINSを」という、このホームページの読者からいただいたメールを 紹介しながら、競馬界に置かれた矛盾を書く。

 このメールを貰うまで、八戸にWINS誘致の動きがあるとは全く知らなかった。

 徐々にだが、ホームページに寄せられる意見の中で広がりのある話は、ここだけで はもったいないので、雑誌、新聞、ラジオなどで紹介したい、と考えている。どうだろ うか。

 皆さんの意見をメールでも、掲示板でも良いので、聞かせて欲しい。

 昼、散髪。仕事先に向かうタクシーに友人のS新聞社のMから携帯電話。  「正論の1月号に、お前のことが載っているゾ」とのこと。どちらかと言うと、僕 の意見は雑誌「正論」と肌合いが合うとも思えないから「載っていても悪口だろう?」 と聞けば「そうでもない」という答え。

 ちょっぴり楽しみだ。

 Mは親友の一人。ここ一年ぐらい会ってないので、来週、例の駒形の蕎麦屋で会う ことにする。

 仕事を一つ片づけたが、もう一つの仕事、ハイランド真理子さんのインタビューに 時間が間に合わず、たまちゃんに「代打ち」で話を聞いてもらう。

 真理子さんはオーストラリア在住の競馬好きのビジネスコンサルタント。波瀾万丈 の話は土曜日の「競馬はロマン」で書くつもりだ。

 午後、市川へ優之助に会いに行く。

 お食い初め。

 ついでに、お気に入りの「珈琲倶楽部」でブラジルを飲む。緑に包まれた、シック で、ゆったりとした喫茶店。ひとりで本を読むのに最適である。

 でも、格安喫茶の繁盛ぶりとは裏腹に、ここも値段が高いので、お客さんはマバラ。
でも、ちょっぴり贅沢な気分が欲しい時はここだ。

 庭に真っ白い猫が一匹。

 「何歳?」と経営者とおぼしき女性に聞けば「6歳。人間の歳にすれば、私ぐらい のおばあちゃん」と答える。 ゆったりとした店だ。

 そとに出ると、空っ風。

 夕飯は市川シャポーのラーメン屋で肉そばと餃子。安くて暖かい。

 森さん、料亭通いも、幾分、自粛されたようだが、寒い夜、お忍びで、屋台のラー メンに顔を出したらいいのに……。

 友達がいないのだろう。少し、森さんが可哀想な気もする。

<なんだか分からない今日の名文句>

ここばかりに日は照らぬ





11月27日(月) 曽野さんの言い分

 朝、銀行へ行った。競輪電話投票口座の残金が176円になったままだった。

 実は競輪より、競馬の方が幾分、的中率が良くて、一度、投票口座に10万円入れておけば、4,5ヶ月は持つ。

 ところが夏の暑い頃、贔屓の選手が負け続け、オケラになった。

 二度と、競輪はしないぞ!

 と思っていたが、大好きな神山、それより大好きな滝沢が復調気味と聞き、預け入れすることにした。

 入れれば二度と戻ってこない、と知りつつ……馬鹿だなあ、俺って馬鹿だなあ。

 仕事場に帰ってくると、日本財団からFAXで「曽野綾子会長の緊急会見」のお知らせ。

 例のフジモリ前大統領を匿った?騒動で、何か、話したいらしい。

 午後3時、少し遅れて記者会見を覗いた。

 曽野さんは以前からの知り合いで、いつも彼女の定例記者会見に顔を出しているので、社会部のフジモリ事件担当者とは別に参加した。

 元気はつらつ。キッパリとした記者会見での曽野さんの説明の概要、以下の通り。

 11月21日午後8時ごろ、フジモリさんと食事をした。

 日本財団はペルーに海外協力援助事業をしているので、事業の進展を見極めるために2度、ペルーにお邪魔した。その時、フジモリさんと面識が出来、フジモリさんが来日すると、食事をするような間柄だ。

 席上、フジモリさんは「約2時間後、大統領でなくなる」というような事を話された。

 その際「宿泊するところがないので困っている」というような話も出て、大田区の私の自宅に空き部屋がある、という話をした。

 この夜は午後11時ごろ、別れたのだが、翌日、同席した外務省の人間から電話があり「曽野さんの家の空き部屋を使いたい、とフジモリさんが言っている」というので貸すことにした。

 彼は長期滞在の準備がないので、夫のパジャマやガウンを着た。

 アラブの世界では、泊まるところがなければ、泊めるのがごく普通だが、わたしも、そんな気持ちである。

 前大統領になったのだから、個人的な付き合いということだろう。

 翌日、彼は「海の方へ生きたい」というので、私の別荘で一泊。また、翌日、私の大田区の自宅に戻っている。

 泊まっているのは別棟で、ベットが二つある6畳ぐらいの部屋とトイレ、風呂場。孫が来春、受験勉強に使うかもしれないが、先のことなどは分からない。

 報道陣は申し出のあったメディアとフジモリさんに取り次ぎをした。彼の意向で、インタビューが実現した。
 と、言った説明だった。

 勝手に解釈すれば、面識のある人物を人道的な目的で泊めている。匿っているのではない、という意味だろう。

 キリスト教信者の彼女としては、当然のことなのだろうが、僕には幾分、疑問も残る。

 何故、フジモリさんが「日本財団会長の、著名な作家の曽野さんの部屋」を選んだのか。

 それは、人道的な行為を求めたのではなく、極めて政治的な効果を狙ったのではないか。

 そうなると、面倒なことになる。

 それに、外務省の関係者が間に絡んでいるとなると、かなり公的な部分も指摘される。

 フジモリさんの話は、かなり複雑な外交案件になる。

 彼女の気性から「日本財団の会長、辞めます」なんて言いかねない。

 やっかいだ。

<なんだか分からない今日の名文句>

浅き川も 深く渡れ





11月26日(日) オペラオーか、キムタクか

   秋晴れが続く。

 土曜日はブラブラして遊んでいた。

 何となく、身体中に脱力感がある。

 「加藤政変」が、あまりに日本人の美意識とかけ離れた結末で終わったのが、身 体に脱力感を与える。

 朝方「少しは仕事をしなければ…」とモバイルの前に座り「ここだけの話」を書 く。

 キムタクの話を一気に書き上げる。キムタクのことを書いていると、何故か、元 気が出る。

 近くを2キロほど歩いてから、東京競馬場に向かう。

 途中、車の中で朝昼兼用の焼きそば。野菜サラダを入れて約500円。まずまず のお味。

 それほどの渋滞もなかったが、競馬場に着くと既に8レースまで終わっていた。

 そこで9レースは、たまちゃんが推奨のVラインの馬オースミコンドルから入 る。騎手はペリエ。何とか、2着を確保して04−10で2400円。当たり!

 当たり券の払い戻しに行くと、浅田次郎さんが声をかけてくれた。

 立派なブレザーを着て、ふくよかな顔をしている。

 聞くところによると、彼は上着のポケットに配当金を詰め込むために、競馬場に は「特大ポケットの上着」を着用するのだそうだ。

 要するに、彼、庶民がビックリするほど高額の馬券を購入して、ポケットを膨ら ますのが趣味?のようである。

 すれ違いにざまに、失礼にもポケットを覗く。さほど嵩張ってはいない様子であ る。

 最近、競馬場で親しくなった弁護士さん(♀)が「これ牡なの?牝なの?」と出走 表を指さす。

 「せん馬」の表示である。彼女、まだ、初心者である。

 「昔の中国では、後宮に使えた高級官僚は女性とトラブルを起こさないためにア ノ部分を切り取られていた。サラブレッドの世界にも、去勢された馬がいるんですよ」 と説明する。

 競走能力は非常に高いのだが、反抗的なので成績が上がらない馬を去勢する。成 績は上がるが、種馬として役に立たない。

 弁護士さんの「わたし、レズみたいものかと思った」で大爆笑。

 でも「せん馬」と聞いて“野中調教師”に去勢された加藤さんのことを思い出す なんて……俺、まだ重症だ。

 ジャパンカップは1枠1番のエラシーナから入った。

 スポニチでは「本命テイエムオペラオー断然」と書いたが、TBSラジオで「穴 馬は?」と聞かれエラシーナを上げていた。

 01−08を厚めに買った。それにエラシーナのワイド総流し。来れば大きいの だが……。

 良いレースだった。

 オペラオーは僅差で、しかし、計算したように勝った。残念ながらエレシーナは 4着。お金にならない。

 弁護士さんは素直に本命から入って的中。「私、来週も来ます」と上機嫌であ る。  それにしても、12億円馬になったオペラオーは20世紀最強の日本馬ではない か。  最終レースは3枠から入って何とか的中。トータルで「プラス2000円」だっ た。  政界に詳しい人と競馬場での会話。

 「議会で信任された総理大臣を変えることなど出来ない。野中さんが『信任され たとは言えない』と言ったのはおかしい」

 「それでは粛々と森さんの手で内閣改造?」

 「それも、新実力者・青木さんの影響力が強くなる」

 というのが、彼の意見である。

 野中さんだけが「喧嘩上手」といわれるが「本当のところは、力を蓄えているの は青木さん」という見方があるらしい。

 誰が、実力者か、分からないが、オペラオーのような、キムタクのような、政界 風雲児は出ないのか。

 腰がしっかりした風雲児は出ないのか。

 ジャパンカップが終わった頃、西に沈む真っ赤な太陽。あまりに美しい。

 気分は晴れて、良い日曜日だった。

 
<なんだか分からない今日の名文句>

惑星馬、腰がバンとする





11月23日(木) 大川慶次郎さんがいない!

 朝、JR浅草橋近くの江戸通りで長蛇の列を見る。

 列を見ると「何事か?」と興味深々。いつも列の最後尾に並んで「何事ですか」 と聞く。時々、最後尾の人も「なんだか分からないんですが……」と答えて、大笑いに なる。

 今日のは目的がはっきりしていた。

 「Dance Goods」のセール。社交ダンスのグッズの安売りである。

 朝9時半の開店前に並んだ先着20人に2,000円の商品券が配られる。見た ところ、既に20人をとうに越え、列は約100人前後。開店前にそれだけの列が出来 るのは、やはり「隠れたダンスブーム」なんだ。

 この辺りの江戸通りは人形、造花、おもちゃが主流だったが、最近は時代に沿っ たグッズ屋が目立つ。

 「時代が分かる浅草橋」である。

 午後、渋谷パルコ2で「毎日マスコミセミナー」。

 午前中は一般教養模擬試験と作文。午後から僕の出番で「マスコミを目指す人 へ」という題で1時間あまり講演する。

 天気の良い午後。若者の街・渋谷で、こうして就職のために若者40人程が集ま る。

 本当のことを言えば「遊んでいればいいのに」という感じだ。でも、僕の青春時 代も 、いつも悶々としていて、女の子とデートなんてなかった。

 青春って、ドジなものなのだ。

「遊んでいればいいのに」と言いながら、熱弁をふるう。

 これも縁、全員、希望の就職先がみつかるように。祈るのみ。

 神宮前の黄色い銀杏をみてから、喫茶店で原稿を一本書く。途中で居眠り。

 午後7時から新宿西口の京王プラザホテルで、ジャパンカップ、ジャパンカップ ダートに出走する調教師、厩務員、ジョッキーを迎えたウェルカムパーティーが開かれ た。

 ことしから、ジャパンカップは一着賞金2億5000万円。招待馬はあご足付 き。それでも、ことしの出走馬は幾分、小粒?

 それに、例年に比べ、パーティの出席者の数が少ないような気がする。

 コンパニオンさんに聞くと「そうですね。例年に比べると淋しいですよね。大川 慶次郎さんがいなくなって、競馬評論家の方が、いらっしゃらないようですね。あの、 大川さんのお嬢さん、いないみたいですね。井崎さん、いないみたいですね。あの一団 がいないと……」。

 「招待状を少なくしたらしいよ。JRAも不景気だから、倹約したんだろう」と 答えると、ベテラン・コンパニオンさんは「ホテルの人間に聞いたけど、経費は変わら ないようですよ。ホラ、こんなに料理が残っている」

 ベテランは、よく見ている。

 日本馬の馬主さんが、ある会合とぶつかって、顔を見せないことも原因の一つだ ろう。

 それにしても、テレビでお馴染みの顔ぶれが少ないのは困る。

 「官」の人はコンパニオンの影響力を甘く見ている。

 彼女たちの世論、凄いんだぞ。

 例えば、ある人が某宗教団体の悪口を言ったら、コンパニオンの口から、筒抜け になって困った、なんてこともある。森さん、という訳ではない。誤解しないように。

 「JRAのパーティ、閑散としていた」なんて、彼女たちに言われるのも、どう だろうか。

 美浦の競馬村?で、トイレットペーパー、紙おしぼりの節約令が飛び出したとい う噂。全体的にマイナスに働く。

 口コミを無視した「官」の勘違い。

 JRAは興行師だから、中途半端な節約は、どうだろうか。

 それにしても、大川慶次郎さんがなくなった「穴」は大きい。

 「馬券の神様」は、競馬文化のシンボル、と世間は見ていた。

 
<なんだか分からない今日の名文句>

下問に恥じず





11月22日(水) こんな記者がいたんだ

 午前中、外回り取材。午後1時ごろ、中央区京橋あたりで空腹を訴え、グーグーと腹が鳴る。

 いくら大山ドクターの“命令”でも、秋の減食はやるせない。

 主婦と生活社前の通りで、洒落たレストランを発見。一目散にドアを開けた。

 さほど広くないのだが、広い窓の外が小さな庭になっていて気持ちがいい。

 本日の定食「鯵の立田揚げ」を注文する。待つこと、しばし。

 “揚げたて”と一緒に、麦めし、とろろ、小鉢、味噌汁、キュウリと高菜の漬物…… が出てきた。

 うまい。鰺がうまい。麦めしにシラスと海苔がバラバラとかかっていて絶品。おかわり自由。

 前日、上野駅近くで、どうしよもないトンカツ定食を食べさせられたから、今日はリターンマッチに勝ったような気分だ。

 お値段1000円は安い。これは紹介する必要がある。

 「京橋・凛亭」(東京中央区京橋3−10−1、三輪ビル1F。TEL03−3567−0006。昼時の営業時間は11:30〜14:30)

 ヘルシーで、食材が新鮮なこの店、女性をつれて行くには最適。「今度は誰と行くか」と迷ったが、当方の誘いに乗ってくれるのは、たまちゃん、ぐらいか。

 夜はワインと炭火焼きが売り物だが、これは経験してないから、何とも言えない。

 銀座へ出たついでに、松屋で「お歳暮」を注文する。

 盆暮れの付け届けは、国を挙げての経済活動だから、キチンと済ますように、と言うのが、死んだ母親の遺言。だから、どちらかというと、早く済ます。

 実は、このデパート、11月中に注文すると、割引がある。例えば5000円のビールセットが4500円。これは助かる。

 にも、かかわらず、ギフトセンターは閑古鳥とは言わないが、客はまばらだ。やはり、金回りが悪いのか。

 夜。例のジャーナリストの勉強会「赤坂夜塾」。

 講師はフォーカスの清水潔さん、テレビ朝日キャスター、鳥越俊太郎さん。

 清水さんは、例の「桶川ストーカー殺人事件」で、犯人を探し出し、何故か、捜査に後ろ向きの警察と闘った人物である。

 警察は何故、捜査をしなかったのか。これを聞きたくて出かけた。

 記者クラブの壁の前で、苦闘しつつも、警察権力を追いつめる彼の静かなる迫力。こんな記者が、いまでもいたのか。

 現場を大事にする冷静な記者の典型に感銘した。

 彼の著書「遺言」(新潮社)はジャーナリストの世界を目指す人に必読だと思う。

 写真誌の限界のような状況を打破した「助っ人」。この報道に全国的な広がりを持たせた鳥ちゃん(僕の兄弟分?)も頑張った。

 メディアの役割分担がうまくいった、奇跡のような例だろう。

 鳥ちゃんの「桶川女子大生ストーカー殺人事件」(メディアファクトリー)も読んで損はない。

<なんだか分からない今日の名文句>

現場百聞





11月21日(火) 「あやちゃん」に会う

 寝ぼけ眼でテレビを見ると、アナウンサーが「21日午前3時40分に始まった 衆議院本会議で内閣不信任案が否決されたした」と話している。

 そんなに遅くなったのか。ご苦労さまである。

 改めて新聞を読むと、仕方がないことだが「途中経過」が書かれているだけで不満。

 テレビの解説も結構、充実しているから、新聞がなくても政変の結末はよく分かる。

 思わず、新聞なんていらない!と思ったりする。

 テレビに勝つには「裏の裏」を書かなくては……新聞は売れない。要するに、週 刊誌より早い「二次情報」が無ければ、新聞の存在価値はない。

 午前9時から、いつものように「たいとう診療所」でリハビリ。

 永田町の茶番劇から半日も立っていないのに、患者仲間の世間話に「政局」は登 場しない。

 バカバカしくて、話す気にもならないのだろう。

「最近の政治家は、腹が座っていませんね」という感想がある程度。東京の下町 は「人間、胆力」をよく知っている。

 「政治家・加藤」は、そんなことも理解出来ないのか。思わず「胆力なら下町の 職人の方が上だ」と言いたくなる。人間、腕に自信があれば、最後は胆力だけだ。

 で、意識的に政治から離れての世間話。

 重い障害を持つ老人に取って「誰でも死亡退院出来る」が良い病院、と誰かが言 う。

 病院の都合で、入院先を転々する老人と家族。彼らの苦労に応える「死んで退院 する病院」が人気だ、と言った話。そんな巷の本音、信任された?森総理大臣閣下に も、権力抗争ごっこの面々には理解できないだろう。

 森派の小泉会長が「森首相もこころを入れ替えて……」と、どちらが権力者か分 からない挨拶をしたと聞くと、情けない。子分に?ここまで言われても、権力にしがみ つく森さん。

 「絶対やめない恥ずかしき胆力」を感じる。

 医者が「歩け、歩け」と言うので、リハビリが終わってから御徒町から上野駅ま で歩く。

 途中、昼飯。トンカツ定食850円。肉は薄く、衣は厚い。許されない「不味さ」だ。
森さん、加藤さんクラスの「不味さ」である。

 上野駅正面玄関のホールに、お気に入りの銅像がある。高さ1メートルぐらいの 小さな像。

 「あやとり」。女の子があやとりをしている姿を像にしている。

 これが、可愛いのだ。

 僕は「あやちゃん」と読んで、銅像を待ち合わせの場所にしている。

 「あやちゃん」とは会話が出来る。

 「今日のリハビリはきつかったよ」と話すと、あやちゃん「おじさん、大人で しょ。弱音を吐いたらだめよ」と答える(ような気がする)

 だから、何か、面白くないことがあると「あやちゃん」のところへ来る。

 柳橋の仕事場から「あやちゃん」のところまで歩くと、万歩計で8000歩ぐら い。
運動量としても快適である。

 「あやちゃん、頑張るよ」と言って、電車で柳橋に帰り、郵便物整理。

 月刊アスキー12月号が届いている。頼まれてコラムを書いたので、さっそく探 すが、何しろ厚い雑誌で、どこにあるか、分からない。

 やっと見つけると、僕の「恐怖の中年ホームページ実践団」なるコラムは顔写真 入り。でも顔写真、僕と大分違う。

 何故だろう。よく見れば眼鏡をかけていない。編集者が僕が眼鏡をはずした時 に、シャッターを切ったのだろう。

 つまらないコラムだけれど、興味があったら、本屋で立ち読みして欲しい。(P 281)

 夜、副編と朝日新聞の巣の飲み屋。

 あまり、根を詰めるな、というのが、副編のアドバイス。

 ちょっと、力が入りすぎ?

<なんだか分からない今日の名文句>

わたし、馬鹿よね、お馬鹿さんよね





11月20日(月) 秋、あらし。困る。

 強い雨が降ると困る。

 右半身麻痺で左手で杖をつくから、傘がさせない。

 午後、二カ所で取材があったので、会社の車両部に車を頼むかどうか、悩む。政 変取材で車は足りないだろう。電話でタクシーを呼ぼうとしたが、なかなか、捕まらな い。

 恐る恐る「ハイヤー、ありませんか?」と車両部に電話。「午後5時までなら、都合 できます」と言ってくれたので、助かった。車両部の連中には、いつも迷惑をかける。 ありがとう。

 ロクな仕事しか出来ない当方が、ハイヤーを使い、バリバリの一線記者が息せ き切って、自分の「足」で走っている。申し訳ない。

 永田町で人に会い、JRAで野暮用。

 午後3時、某私立大学の女性学長さんを取材。

 ギリギリ、5時に車を返し、原稿を一本、書き上げた。

 やっと時間が出来て、おもむろにテレビを見る。

 まだ、加藤さんは「勝算100%」を言い続けているらしい。

 19日の日記で「最後の、そのまた最後まで油断が出来ない。油断出来ないのは 『世論の背景で決起したはずの反乱軍』がサッサと世論を裏切る動きのことである」と 書いていた。

 最後の最後で、彼らは「無意識の裏切り」をする、と淋しいことだが予想していた。

 「数がハッキリすれば、反乱軍は、お前さんのいう“裏切り”をする」と話す人 がいた。

 この人は、数日前から「小泉にやられたな」とフライパンの猫になってしまうか も知れない「甘ちゃん・加藤」を、こう評論していた。彼の数合わせでは、主流派と反 乱軍の数は伯仲。でも「派閥を乗っ取られた」と思っている池田勇人の親族が、加藤に 組みするはずがない、というのが彼の分析。それが致命傷。数が足りない。

 「これで、小泉は最大のライバル・加藤を消した」と彼は言う。

 そんな分析もあるので「反乱軍の裏切り」を予想しながらも「革命の礎になれ」 と心情的に「浮かぶ瀬もある反乱軍の行動」を期待していた。

 <何だか分からない今日の名文句>に、あえて「もう一度、肉を切らせて骨を断 つ」と書いていた。

 風呂に入り、再び、テレビの前に座ると、すでに勝負が付いていた。

 そうなると、もう茶番。

 気が楽になって、テレビのコップ騒動に笑いこける。

 笑いこけたっていいじゃないか。

 国会は笑うためにあるんだから。「国会は半身不随」と書くよりはいいだろう。

 掲示板を覗くと、論客、打ちそろって書き込み。気のせいか、行間に哀愁を感じ る。

 僕は、と言えば「明日も雨が降ったら、どうしよう」と大いに悩み「国会中継は たいがいにして、天気予報にしろ!」と叫ぶ。

 俺も半身不随、この国も半身不随。

 秋嵐が怖い。

 
<なんだか分からない今日の名文句>

会稽の恥





11月19日(日) 今日は「社説」です

 政局の行方は最後まで、そのまた最後まで油断が出来ない。

 隙を見せたら、どんな権力者だって寝首をかかれる。

 まして、今回の政局、誰が権力者なのか、皆目、分からないから困る。

 毎日新聞の編集局長氏は「毎夜毎夜、じっくり考んがえて見出しを付けるのだが、そ の見通しが、翌朝には変わる」と苦笑いしている。

 新聞記者の格言。

 「誤まてりは政治部の見通し、経済部の数字、社会部の正義感」。

 政治部記者は政局の度に“誤り”を繰り返す。これは、ある意味では仕方のない ことだ。

 今回の政変の本質を捉えた名文句を見つけた。

 「急募 シナリオライター 自民党」

 18日読売新聞朝刊「USO放送」に載った読者の作品である。政変の“台本書 き”がいない。明日のシナリオライターがいない。

 10月22日のヘッドライン日記で「軽薄内閣を放置して良いのか」と書いた。

24日は「森さん、辞めろ!」で「毎日新聞は世論調査で、国民の意見を聞け」と書い た。

 27日「森親書を追及したら」11月1日は「池田さんは15%をどう見るか」と次 々に“国民の本音”を書いた。

 加藤さんが、青木・参院幹事長と密会したことも書いた。

 個人のホームページとは言え、現役の新聞記者が、これだけ鮮明に「倒閣」を訴 えることが出来たのは、僕の周辺にも同じ意見が強かったからだ。心ある人々は「いく ら何でも森政治を放置するわけにはいかない」と思っていた。

 メールで「森さん、辞めろ!」に賛意を表するホームページの読者も多かった。

毎日新聞の仲間にも、僕のホームページを読んでいる人がかなりいる。だから、若干な りとも毎日新聞の報道姿勢に影響力を持ち得たのかもしれない。

 毎日新聞の10月末の世論調査は、どのメディアよりも早く行われ、森内閣の支 持率が10%台に急降下していることが、判明した。

 今回の一連の政変は、この世論調査の結果が引き金だった。

 加藤さんだけでなく「このままでは自民党は壊滅する。俺の次の選挙はどうなる のか」と危機感を持った自民党員は何人いるか分からない。

 加藤さんは、世論調査の数字を見て「これなら“森降ろし”を仕掛けても、勝負 になる」と判断したのだろう。もちろん、加藤さんに「勝てるゾ。やれ!」とけしかけ た政治評論家もいた。

 これは権力闘争である。

 世論調査が生んだ「権力闘争」である。

 権力闘争だからきれい事では済まない。血で血を洗う。ドタバタであっても、それは 仕方ないことだ。マスコミや、知識人は「またドタバタ」と冷めた見方をするが、 ドタバタが無ければ、この国を立ち直すことは出来ない、と思う。

 そこで、19日から20日未明が天王山になった。

 最後の最後まで、油断できない。

 油断出来ないのは「世論の背景で決起したはずの反乱軍」が、サッサと世論を裏 切る動きのことである。

 18日の読売新聞は社説で「加藤氏は目指す政治を明示せよ」と書いている。

 この期に至って、建前論に終始する大新聞の限界がここにある。森首相には「政 策以前の問題」が山積しているのだ。資質に致命的な欠陥があるのだ。

 僕は「変革を求める世論」だけで、この政争には大義名分があると思っている。

 「森さんに失言はあるが失政はない」という意見もある。

 冗談ではない。景気上向き、と言うが、それは嘘だ。

 「忘年会は未だ予約がなくて」という水商売の嘆きが聞こえてくる。

 森さんご贔屓の赤坂の料亭は別だが、中小企業はアップアップだ。

 一部の大企業だけが、いい目を見ている。これが失政でなくて、なにが失政か。

 「偽りの建前論」に負けたふりをして、世論を裏切る奴らがいないかどうか。マ スコミにはこの裏切りを監視する役目がある。

 加藤さんと、その一統が裏切るかもしれない。

 決戦前日の朝から、加藤さんと野中さんは、テレビに出ずっぱり。やりとり見て いれば、野中さん圧倒的に不利だが、水面下では、反乱軍に対する締め付けが厳しく なっている。

 まるで、江戸時代のような締め付けである。

 これは後に、きちっとした検証レポートが必要だろう。

 栃木県知事選にふれた加藤さんは「現職が敗れることはないと思うが、時代 は…」とテレビで話しているが、そうだろうか。甘い甘い。

 国民は革命的変換を求めている。

 深夜、この知事選で新人が勝つ。

 永田町では、主流派が反乱軍派の閣僚、政務次官に辞任を求めている。

 世は末、と考える前に、立ち上がれ!

 もし、裏切りで森さんが居座るとしたら、これは国民運動で倒閣するしかない。

<なんだか分からない今日の名文句>

もう一度、
皮を切らせて肉を切り、肉を切らせて骨を断つ





11月16日(木) 賭けるのは「人間」だけ

 動物は遊ぶことは知っているが「何か」を賭けることを知らない(ように思う)。

 そこが、動物と人間の違いである(ように思う)。

 だから博打を禁止する行為は反人間的である。

 賭けなければ人間ではない。

 主義主張に賭ける。お金に賭ける。女(男)に賭ける……賭けることだけが人生、で ある。

 歴史的に観察すれば、貴族は平民が賭けることを恐れた。賭けることを禁止した。

 だから、貴族は自分たちの世界で博打を楽しみながら、平民の博打を平然と取り締ま った。

 賭けることを禁止した反人間的な貴族は堕落した。

 僕は、人間が「何か」に賭けたい、という衝動を大事したい。生きているか、死んで いるか。それは賭けるか、賭けないか、である。

 賭けるべき「何か」が見つからなかったら、とりあえず競馬、競輪に賭ける。そ れはそれで楽しい。競馬以外に賭けることがない人生。これも、いいじゃないか。素敵 じゃないか。

 勤め先の新聞で競馬面を作りたい、と言った時、かなりの反対意見に遭遇した。でも 「何が悪い」と開き直って、仲間と競馬面を作った。

 競馬のどこが悪いんだ!と言うのが、僕の考えである。

 この意見は徐々に広まって、朝日も読売も追随した。

 それにしても、ギャンブルは悪、という意見は根強い。

 ギャンブルは、長く日本を支配していた儒教の教えに反するのだろう。いまな お、日本は儒教に縛られている。

 僕は反儒教だ。

 昼、年に二回の競馬運営委員会。

 競馬サークルの代表者と学識経験者で組織される、競馬法上の諮問委員会であ る。因みに、ジョッキーの代表は岡部さんである。

 僕は「学識経験者」ということになるが「学識」なんてものは、まったく意味が ない。ファンの一員とでも言ってくれればいいのだが……気恥ずかしい限りである。

 実は、毎回、この席で「寺銭(控除率)25%を引き下げろ」と主張している。

 博打を刑法で禁止している日本では「刑法の特例」として競馬法上の競馬開催を 認める。その代わり、国家財政に寄与することが義務づけれている。売り上げの10% が国庫納付金。そのほかに、第二国庫納付金もある。

 「儒教の教え」を利用するやり方だから気に入らないが、寺銭が世のため、人の ためになるんなら、まあ良い、というのが僕の意見だ。

 しかし、それにしても10%の国庫納付金は高い。

 諸外国と比較しても、高い部類だ。

 ノミ屋(私設馬券屋、ほとんど暴力団関係者)は、10%引きの馬券を売っている。
競馬開催の資金も手間もなく、国庫納金も払っていないノミ屋は10%オフでも儲かる。

 いま、ノミ屋の売り上げは一年間に一兆円を越えている、と推定出来る。

 それが、インターネットを使って、日本の法律が適用されない国で日本人に私設 馬券を売る可能性が出てきた。すでに、現実になっている、という情報もある。

 寺銭が高い国の馬券を商品にすれば、割引率がたかくなるから、インターネット 私設馬券屋にファンは流れる。この危険は否定できない。

 日本の競馬は寺銭を下げなければ行き詰まる。インターネット暴力団の餌食だ。

 この日の競馬運営委員会では、2002年に新馬券「三連複」の導入などが決 まったが、同時にJRAの見直し案に「控除率の見直し」の文言が入った。

 これは、喜ばしいことである。

 スポーツ新聞では、取り上げられることも無いとは思うが、僕に取っては「反儒教の 前進」。安い負担でギャンブルを楽しむ反儒教の前進。やっと、ここまで、という思い である。

 運営委員会のメンバーは僕より「人生の先輩」ばかり。僕の主張に諸手を上 げて賛成、という方は少ない。が、あえて、というか、ついでにというか、少数意見を 述べた。

 JRA見直し案に「中央競馬は政府の監督、指導の下にーーとあるが、これは“法の 下”が相応しのではないか」と発言したのである。

 「政府の監督、指導の下」で競馬(つまり博打)をするという感覚が、僕には我 慢できないのだ。儒教なのだ。

 議論になると時間もかかるので(と、いうより形勢不利、と思ったので)「議事 録に 、こんな意見があった、と記載してもらう」ことにとどめた。が、この議論はギャ ンブルの本質に関係すると思っている。

 情報開示時代で議事録の意味は大きい。負けると分かる勝負はしないで、記録に 止める作戦を取るということだ。

 夜、時間が余ったので、優之介くんの顔を見に市川へ。

 いつか、コイツと競馬場に行きたいなあ。

<なんだか分からない今日の名文句>

皮を切らせて肉を切り、肉を切らせて骨を断つ





11月15日(水) 少年法の現場

 朝、朝食を取りながら、仲居さんと軽口。

 「瀬波温泉に芸者さん、いるの?」

 「いますよ」

 「何人ぐらい?」

 「……」

 「若いの?」

 「……」

 どうも、歯切れが悪い。

 昔ながらの「温泉と芸者」というイメージと決別すべきか、悩んでいる?

 健康、環境、スポーツに脱皮するかどうか、全国各地で温泉町は悩んでいる。

 この「すずきヶ池ホテル」では、毎年、大阪の旅役者を呼んで、正月は大衆芸能ツ アー。評判だが、来年でひとまず中止。新しい企画を考えるようだ。

 仲居さんたちに礼を言って「俺、コンパニオンは嫌でね」とか、何とか、温泉らし い軽口でホテルを後にする。

 帰りは国道113号線、345号線の海岸線。

 中条町中村浜で、馬鹿でかい親鸞像を発見した。こんなのあったっけ。

 「数年前、金儲けで親鸞像を作る、というヘンな計画が持ちあがりましてね。その 会社がつぶれたんで、近くの3町村で肩代わりして、建設したんですが、ごらんの通り」 と運転手さん。

 人影はない。

 「何か、親鸞にゆかりの場所なの?」

 「どうですかね」

 日本海沿いには、バブルの後遺症?が幾つも残っている。

 午後2時過ぎに、東京に戻ってメールの返事。大分、溜まっていた。

 掲示板を見て、ハッと、気づいた。

 「花屋の親父」という方が、少年法の現場について、取材が必要、と指摘している。

 少年院で何が行われているか?。噂によると、かなりいい加減らしい。

 確かに、この辺のことを国民は知らない。

 少年法をああでもない、こうでもない、と評論するが現場を知らない。

 これはジャーナリストの怠慢なのだろう。

 継続的で地道な取材になるが、誰か、やって欲しい。

 もちろん、時間と金をつぎ込むメディアが必要だが……。

 このホームページにも、少しだとは思うが、テレビ関係、雑誌関係の方もいらっしゃ るので、ぜひ、企画会議で提案してもらいたい。

 小雨の中、青山円形劇場で、例の「京劇&能・楊貴妃」を見に行く。友人の魯大鳴 クン(日本在留のただ一人の京劇役者)が、去年「能にも楊貴妃の台本がある」と聞き、 これがきっかけになって実現したジョイント企画。

 京劇は、あでやかな衣装で圧倒する。

 感想1・円形劇場は、客席が全て、相撲の「砂かぶり」のようで役者の顔がよく見 える。

 感想2・能も京劇も、足の裏が勝負のようで、時々、僕は足の裏ばかり見ていた。

 感想3・お客さんに有名人もいた。音楽プロデューサーで、朝のワイドショーのコ メンテーターS氏(デビ夫人と喧嘩した人)は実に熱心だった。

 感想4・客席は圧倒的に若い女性が多かった。

 夜、テレビのニュース、夕刊を点検。

 森さんの命運は見えてきた。ブルネイに出かけている隙が危ない。

 「軽薄内閣を放置していいのか」と日記に書いたのが10月22日。そろそろ、結 論が出るか。

 ポスト森の顔ぶれも出始め、多分、どこよりも、早く書いた「元河本派の高村さん」 も活字になる。

 しかし、今後二転三転するハズだから、森さんの逆襲だって無いわけではない。

<なんだか分からない今日の名文句>

一寸先は闇





11月14日(火) 日本海の夕日

 午前9時前の新幹線で新潟に向かう。

 いつもなら、三国峠を越えると秋晴れが、どんよりした空模様になるのだが、この 日は逆。三国峠を越えると、曇天がカラッと晴れた。

 新潟駅からマイクロバスに乗り換えて国道7号線。

 母なる阿賀野川は広々と、ゆったりと流れ、飯豊連峰は赤く色づいている。

 新発田のドライブインで昼食。へギそば。天ぷらが付いて980円。田舎そばで色 が黒い。

 新聞記者になった昭和42年8月28日、132人がなくなった羽越豪雨のことを 思い出し、運転手さんに「覚えているかい?」と聞けば「そう、二年続きの水害だった ね」

 「この辺りの黒川村、一番、ひどかったんだ」と運転手さんが言う岩船郡黒川村は 鉄砲水、村落孤立……思い出しても寒気がするくらいの大災害だった。

 「あの時、俺、自衛隊のヘリコプターでここへ来たんだ」と話すと、運転手さん 「そうなの」と打ち解けて、色々なことを話してくれた。

 例えば、黒川村の村長さんは、あの時と変わってない。何しろ名村長で、胎内リゾー トを作って、村の経済の基盤を作った。

 例えば、この辺りは、田中角栄さんを逮捕した稲葉修元法相の地元だが、政治的影 響力がなかったのか、新幹線も高速道路も未だに出来ない。

 と、まあ、こんな調子。

 国道7号線の両側は「株式会社○○組」「株式会社□□組」の看板が目に付く。公 共事業がなくなったら、食べていけない風土なのか。

 フッと、激動の政局?のことを思い出したが、当分はジャブの応酬。前進はないだ ろう。

 村上市役所で「三面川のさけ」の歴史について取材。

 鮭って、川に帰ってくる奇妙な魚だ。(取材の結果は後日)

 瀬波温泉の「ホテルすずきヶ池」に宿泊。

 馬鹿でかいホテルでエレベーターを2回乗り換えて、やっと部屋につく。

 日本海に面した窓は大きく取ってある。

 5時ごろ、夕日は真っ赤に燃えて、佐渡の小木港あたりに沈む。

 最近の村上市のキャッチフレーズは「皇太子妃 雅子さま 小和田家ゆかりの城下 町」だそうだが、やはり、売り物は日本海の夕日だろう。

<なんだか分からない今日の名文句>

夕日の丘の麓行く バスの車掌の襟ボクロ





11月13日(月) 何でもアメリカ

 朝、JR浅草橋東口のガード下に大変な人盛り。

 「倒産品激安決定処分・一流デパート、スーパーマーケット・衣料、ネクタイ……」 という看板が立っている。確かに安い。

 洒落たコートが3000円台である。ネッカチーフは300円。ネクタイは700円。

 そろそろ年末商戦?

 横山町の衣類問屋に近いこの辺りは、確かに安いから、わざわざ「倒産品」と銘打た なくてもいいのに。

 ちょっと、嫌な感じがした。

 原稿を一本、書き上げて、勤め先で「毎日マスコミセミナー」の打ち合わせ。

 ことしで3年目を迎えた、このセミナー、評判が良いらしい。(11月23日午前1 0時受付、場所・東京・渋谷区宇田川町3−7「パルコ毎日新聞カルチャーシティ渋 谷校」 TEL03−3477−8969)

 はじめての講師なので、どんなことを話したらいいか、担当者に聞く。彼の言うには、 かなり優秀な大学生が集まっていて、過去2回とも、参加者からマスコミ各社に 就職しているという。

 僕のところにも、メールで「受講します」という知らせもあって、どんな若者が集ま るのか楽しみだが、担当者の「質問がかなり出ると思いますので、覚悟してください」 という言葉は気になる。

 的確なマスコミ状況を話せるか。幾分、不安だ。

 勤め先に、ホームページ読者からリンクレットの写真が送られてきた。この方、リン クレットの一口馬主。愛馬の立派な顔つきを見て、将来性を感じる。ありがとう。同士。

 7時、六本木のロアビルで勉強会。

 脳卒中仲間の相川さんのお誘い。

 彼は、かつて「六本木の帝王」。パソコン会社の社長で、A級ライセンスのレーサー でもあったモテモテ男が僕と同様、7年前倒れてしまった。

 でも、彼の向上心は並々ではなく、勉強会があると、誘ってくれる。

 今回の「景気とIT」。講師は日本経済新聞のマクロ経済担当者。

 いろいろ勉強になったが、景気よりも、気になったのは「何でもアメリカ」という世 界になっている現状である。

 インターネットの勝ち組のアメリカが、今まで以上に「アメリカナイズ」を意識し、 世界制覇を進めている。

 文化の占領が50年以上たっている日本でも、そのスピードが気にかかる。

 アメリカは世界を丸飲みしたいのか。

 8時半から例の公開競馬シンポ。

 浅田次郎さんの「鉄火場馬券論」、面白かった。

 その模様は、ゆっくり、何かに書くつもり。

       
<なんだか分からない今日の名文句>

酒が尽きれば水を飲む





11月12日(日) 日本史の歪み

 「森降ろし」が始まった。

 10月22日、この日記で「軽薄首相を放置していいのか」と書いてから約20日間 。 取りあえず、政局が動いた。

 9日の日記で「10月30日夜、赤坂の金龍で、次を狙う自民党の加藤元幹事長が青 木参院幹事長と密談した。橋本派の青木氏に加藤氏が何を目的に会ったのか、政権取り に加藤さんが乗り出したのか?」と書いた。

 「森を倒した原動力になる派閥に、次の政権が回るのは難しい。加藤派が動けば、加 藤の目はなくなる」とも書いた。

 ところが、この日記を更新した、ちょうどその頃(10日午前)加藤さん「野党が提 出する内閣不信任決議案に同調、衆院本会議でも採決に欠席する」と宣言した。

 やっと、やる気になったーーというのが外野席の感想である。

 そこで、不信任決議に必要な数がポイント。それが当面の綱引き。前回「山崎VS亀 井」と書いたのは、その辺の図式の事でもある。

 週明けから多数派工作が活発化するが、永田町では早くもポスト森の下馬評が始まっ ている。

 河野外務大臣あたりは出て当然の名前だが、元河本派の高村さんあたりまで、意外な 「ポスト森」の顔ぶれがそろっている。

 朝、テレビを見ていると、大評論家さんが「森さんは失言だけで批判されている。大 事なのは政策だ」と話している。しかし、世間が問題にしているのは森さんの「政策以 前のこと」だ。

 今、ここに至っての建前論。

 大先生に「鼻薬」が効いたか、と疑いたくなる。

 政局の取材めいた用事で外出。

 もどると、テレビは「旧石器ねつ」の話。詳しい人物が次々に登場する。

 哀しいことに、この業界?にも「何もしないで、突然、権威になる人物」がいるらし い。「以前から、おかしいおかしい、と思っていました」と評論家のように話す人々に 違和感を感じる。

 先日、大学関係者にあった時の話。

 来春の大学入試で日本史の問題から「石器時代」は消える。すでに出来き上がってい る問題から消している、というのだ。

 笑えない話だ。

 古代ばかり勉強した奴は可哀想だ。

 前々から思っていることだが、何故、日本史の教科書は「神話の時代」から始めるの か。不思議だ。

 僕は「現代」から逆に教えるのが歴史ではないか、といつも主張している。

 学校では「神話の時代」はたっぷり教えるが、時間切れで「戦後」なってまるで教え ない。

 いつも「昭和」は自習になる。ひどい学校では日本史は江戸時代で終わり、なんてこ ともある。

 大体、3学期の授業なんて、受験準備で事実上、ないも同然なのだ。

 だから、公教育で「民主主義」を学ぶ機会はほとんどない。

 大化の改新、天下統一は学んだが、第二次世界大戦の意味が分からない。歴史教育の ゆがみが、ここにある。

 夕方、掲示板に書き込み。

 メール文化のようなものに対する僕の意見を述べた。

 賛否両論を期待する。

 夜になると、かなり寒くなって、ステテコをはく。

       
<なんだか分からない今日の名文句>

はじめに文字ありき



11月9日(木)山拓と亀井の闘い 

 朝、ちょっと寒むい。

 たいとう診療所でリハビリの最中「財布を落とした人がいるようですネ」の声。

 我が掲示板に「あさの君」が財布を落とした、と書いたのを、この声の主は読んでい てくれたのだ。うれしい。

 「ちょうど、あの日、偶然ですが、私、財布を拾いましてネ。警察に届けてあります が関係ないでしょね。掲示板の参加者は全国にいるわけでしょ? そんな偶然、ありま せんよネ?」

 彼が財布を拾ったのは東京・台東区三筋だそうである。

 で、閃いた。

 落とし物捜索にWebは便利ではないか。専門の「忘れ物・落とし物サイト」はどう だろうか。

 専門ホームページで忘れ物が戻ってきたら……なんて夢なのだろうか。

 ともかく掲示板には様々な可能性があるように思う。

 我が掲示板も、もっともっと参加者が増やし、新しい可能性を生み出したい。

 僕は掲示板の約束事は「明朗」「自由」「礼儀」の3つと思っている。

 これまで「礼」を逸したものはなかった。

 「自由」を曲げたものはなかった。

 明日に向け、時代が逆戻りするよな「暗さ」はなかった。

 だから、撤去するような書き込みはまるでない。変なバトルもなかった。幸せである 。 ただ、時々ではあるが、緊張感がない書き込みばかり、という印象を受けることも ある。(贅沢言ってゴメン)

 HP独特の表現、参加者の個性的な表現に戸惑いを感じて、参加されない方もいる。  僕に対する個人メールの道を選ばれている方もいる。

 それはそれでうれしい。大変、うれしい。

 でも僕だけで一人占めするには、もったいない意見もが随所にある。もい良かったら 、掲示板向きと思ったら、臆せず参加してもらいたい。

 リハビリを終えてから、上野松坂屋まで歩いて昼飯。

 午後、原稿1本。

 夜、会合1件。

 話題は次から次へと飛び、最後は政局。

 10月30日夜、赤坂「金龍」で、次を狙う自民党の加藤元幹事長が青木参院幹事長 と密談した。

 橋本派の青木氏に加藤氏が何を目的に会ったのか、政権取りに加藤さんが乗り出した のか、支払いはどちらがしたのか(「金龍」だったら加藤氏が払ったはず)……。

 その会合に野中さんはカンカンだという。

 午後4時、NTV系で放送された「総理に聞く」で森さん。国民にモノを言うのでは なく、ただ、ひたすら「野中さんへのラブコール」に終始した。

 野中さんの「加藤嫌い」を頼りに延命を計る。

 加藤さんは、相変わらず料亭という閉ざされた舞台で、早くも頭を下げる政治ゴッコ 。(料亭が悪い、というのではなく、天下取りには正々堂々、開かれた舞台で国民の支 持を得ようとする気概が必要。料亭の女将は「もう少し、粋な遊びが出来ないのかネ」 と苦笑いしていることだろう)

 全く自民党はどこから見ても私利私欲の集団。「国家、国民のため」なんて言われる と反吐が出る。

 会合で最後に情報通の某君が明かした見通し。

 「森を倒した原動力になる派閥に、次の政権が回るのは難しい。加藤派が動けば、加 藤の目はなくなる。これ常識だろう。いま、行われているのは山崎拓と亀井静香の綱引 きだろう」

 そう言うものか。どちらが勝っても、どうようもない顔ぶれである。

 民主党の鳩山さんが、党首討論で森さんは攻めきれなかったことが自民党を助けてい る。

 21世紀も何ら変わらない権力構造。

 この頃、日本赤軍派のリーダー・重信房子が逮捕されたのも、妙な因縁である。

   
<なんだか分からない今日の名文句>

昨日の錦 今日のつづれ





11月8日(水) 森さんの夢

 朝、東京専売病院で月1回の問診。

 体調順調だが太り気味。ドクターは「痩せてくださいよ」と念を押す。食いしん坊が いけないんだ。

 病院のテレビでアメリカ大統領選のデッドヒートを見ていると「重信房子逮捕」の報 。 普通のおばちゃんになった彼女の風貌にガッカリ。

 歳を取るということはそうゆうことなのか。俺も歳を取ったのだなあ、とシミジミ。 若さには圧倒的な力があったんだ。

 今頃、何故、逮捕?

 多分、かなり前から公安は泳がしていたのだろう。

 もう一つ、中ぐらいの事件。

 武豊の兄、武伸が覚醒剤取締法違反で逮捕された。

 これにはビックリした。

 毎日新聞夕刊の「馬、うまランド」でコラムを書いてもらっているので、広い意味の 「身内から逮捕者」という思いである。

 面識もないので、どんな人柄なのか、分からないが、しょっちゅう会っている大阪の記 者や面識のある「たまちゃん」の話では気の弱そうな人らしい。

 二人の弟と違って、彼の場合、意志が弱かったのか減量ができず、父・武邦彦の後を 継げなかった。

 その辺の屈折があったのだろうか。

 弟のマネージャーをしていても、弟の近況を書くフリーライターになっても、自分の 現状に納得が出来なかったのだろう。クスリに逃げた?

 最近、薬の事件が多いようだが、某カリスマ的ミュージシャンの疑惑はどうしたのか 。誰かが、握りつぶした、という情報。気になる。

 午後、赤坂で、もりそば。ダイエットのつもり。

 少しオーバーワークだったので、気分転換にテレビ朝日の前の床屋でシャンプーと髭 剃り。2700円。思わぬ出費。まあ、仕方ないか。

 その後、政局取材をちょっぴり。

 前日、知り合いから聞いた「森さんは”石川県の王”を目指している」という話、ど うなのかな、と聞き歩く。

 確かに、毎夜のように石川県関係者と料亭で会っているし、外交の舞台を熱海の「ホ テル百万石」を選んだり、倅が小松青年会議所の理事長になったり、どうも彼の目は石 川県に向いている。

 石川県の某公共事業に関しても、彼はかなり積極的だ。

 彼の夢は「石川のドン」。

 この夢のために、国政が使われたら……失言だけではない森さんの「ちゃっかりぶり 」を政治記者は正確に伝えるべきだ。

 アメリカ大統領選をはじめ、次々に起こる事件に気を取られ、国民の目が国政から離 れた隙に、年末内閣改造の骨格を決め、来年夏まで政権を延命し、IT関連の公共事業 の新利権を一人締めにしようーーと「森さんとその一派」が考えていようなんて……。

 そんなことはない、と早稲田の後輩の僕は信じたい。

 しかし、路傍の石も「ゴールドの夢」を見ることだってある。

 午後4時すぎ仕事場で原稿1本。

 「歩け!」というドクターの指示で、5時半から御徒町まで片道約3・5キロ歩く。 所用時間1時間半。

 汗ばむ。今日は暖かだった。

          
<なんだか分からない今日の名文句>

石は石、金は金





11月7日(火) 能と京劇、そして新橋の美女

 朝起きて、スポニチ「おけら街道」を書き上げ、掲示板を覗くと、常連の「あさのさ ん」が財布をなくしたとのこと。

 気の毒に。僕も何度も経験したが、財布をなくすと、何となく自暴自棄になる。

 頑張ってくれよ。必ず出てくるから。

 納豆で朝飯を食べ、タクシーで診療所のリハビリへ。

雨が降ると患者が少ない。でも、途中から患者が溢れるようになり、窓から外を見ると、 雨が上がっている。

 昼飯は診療所近くの喫茶店で「銀だら定食」。豚汁、コーヒー付きで850円。 まずまず。

 脳卒中仲間に関西旅行の土産(漬物)を届けると「今日は雨が降ったのでリハビ リに行けなかった」卒中患者に刃物はいらぬ。雨の三日も、あればいい。

 秋空が晴れ渡ると午後1時。

 急いで仕事場に帰り介護雑誌「CL SMILE」の原稿を書く。400字3枚の 小品だが、一時間半かかった。

 再び掲示版を覗くと「編集長は年を取ったから早起き」と誰かが断定的に書いている。

 年寄りだから早起きではない。原稿が溜まったので早起きせざるを得なかった。

 年寄り扱いするな!

 でも、でも、眠くなり1時間昼寝。

 起きると、知り合いの京劇俳優・魯大鳴さんから速達で「公演の知らせ」が届いた。

 前から「ここだけの話」を読んでいただいた方は、ご存じだと思うが、単身、 日本に渡り京劇を広めているあの青年である。

 今回は、日本の能とジョイントして「楊貴妃」を演ずる。

 中国から国家一流俳優・王玉蘭さんら6人の役者がやって来て、大掛かり。実は、彼 らのビザが取れるかどうか、関係者はやきもきしていた。

 やっとビザが取れたのだろう。舞台の裏の努力を知っているので、思わず「おめ でとう」と叫びたくなる。

 中国人に対するビザの交付は、相変わらず時間がかかる。

 能と京劇が、同じ舞台で、同じテーマに取り組む前代未聞の東京公演は11月13,14, 15日午後7時から東京・青山円形劇場。17日には金沢公演が控えている。

 能の出演者は桜間真理、野村萬斎さん。超一流だ。

 SS席15000円、S席10000円、A自由席8000円。高いのか、安いのか 、分からない。

 僕が演劇専門記者なら、的確なPR記事が書けるのだが、素養がないので、それ も出来ず、応援できない。

 彼の野心あふれる舞台に興味のある方は、是非、見て欲しい。能、京劇に興味の ある人に教えて欲しい。(問い合わせ090−9305−7124)

 午後4時すぎ、来客予定が2組あったが、本職の取材が差し迫り、そのまま外出。失礼した。

 取材と野暮用で約4時間。

 夕飯は魚のうまい「銀座のS」。タラの白子、絶品。

 先方が払ったので、値段は分からない。

 9時半、仕事場に帰り、残った「世界週報」の原稿に取りかかるが、眠くなっ て、この日記も書けないような状態。

 激戦のアメリカ大統領選は、もちろん興味深々だが、頭がそこまで回らない。

 某国営放送のワシントン特派員・Tクンがテレビで選挙区リポートしているのを見る と、突然、ご贔屓の「新橋のT姐さん」を思い出したり、頭ぐちゃぐちゃ。

 潔く、眠る。

 
<なんだか分からない今日の名文句>

比翼の鳥、連理の枝





11月6日(月) 「旧石器ねつ造」特ダネ余話」

 2泊3日で関西で遊んでいたので、今週は仕事が溜まった。

 6日、7日の二日間で、

 「文藝春秋」20×58字

 「ここだけの話」17×66字

 「おけら街道」12×70字

 「世界週報」20×120字

 「シーエルスマイル」(介護雑誌)20×60字

 を書かなければならない。

 それにゲラ直しが3つあるから、まるで売れっ子雑文家?だ。

 「編集長ヘッドライン日記が長すぎる」と日頃、アドバイスしてくれる副編の言い 分に反抗?して「いや、出来るだけ一杯書くぞ」と胸を張っていたが、そろそろ息切れ か。とにかく、今度ばかりは長文は無理。短い日記になって情けない。

 若干の取材を終え、夕方、社に戻って「ここだけの話」のゲラを読んでいると、周 囲は例の「旧石器ねつ造」の話ばかり。何しろ、久々のホームランだから編集局は盛り 上がっている。

 編集局長に「凄いですね」と言うと、珍しく「ありがとうございました」と笑みが こぼれる。「鬼の橋本」も笑うんだ。

 そこで余話1。この情報は意外なところから入った。

 でも取材源の秘匿で言えない。
「取材班」なるものが誰なのか、どこにあるのか、毎日新聞の記者も知らない。

 でも「取材班」は2ヶ月前から隠密裡に取材を進めており、調査団長が「出てきま した!」と記者会見したときも平然と記事にした。でも、出来るだけ小さな扱いにした のだが……。

  まず、味方を騙すのがスクープの第一歩、ということか。

 余話2。毎日新聞には「良くやった!」という電話が殺到しているが、一部に「可 哀想だ」という同情も少なくない。

 「問題の調査団長はどこからも金を貰うわけでもない一民間人。清貧に甘んじて、 考古学に打ち込んだ姿勢はほめられるべきで、こんどのことだけで、市民権を奪うのは どうだろうか。毎日新聞は厳しすぎる」という意見である。

 この他、色々の話を聞いた。が、この調査団長、一年中、家を空け発掘一筋。子供 さんが「お父さんは家にはいないけれど、教科書を書き換える仕事をしているんだ」と 誇りに思っていた。(これはある雑誌に載っている話でもある)

 こんな話を聞くと、つくづく「新聞記者は因果な商売」と思う。

 今夜も料亭に行きかねない「森のお粗末」の首を取ってこそ、新聞記者だ。

 夜、原稿、書きまくる。

 
<なんだか分からない今日の名文句>

天から横に降る雨はない





11月5日(日) 長渕剛の「俺のかあちゃん」

 週末、高野山、奈良、京都の格安ツアーに参加したので疲れた。午前8時頃まで死 んだように眠りこけた。(TBSラジオは前もって収録)

 朝刊を見れば、毎日新聞の大スクープ。「旧石器発掘ねつ造」。

 “1面黒抜き横二段凸版”の見出しは歴史に残る特ダネの証である。

 やった!

 凄い特ダネじゃないか。1面、2面、3面、中面、対社、社会面、全て「ねつ造」 関連記事。1面より、社会面の一問一答がドラマチックだ。疑惑の調査団長が「魔がさ した」とねつ造を認めた瞬間が、冷静に書かれている。

 「なぜ、なぜ……」。彼の言葉にならない言葉に、人間の哀しい性のようなものが 感じられる……記事を読む方がやるせなくなる。やるせないほどのスクープなのだ。

 どんな方法で取材したものか。

 どんな形で報道するものか。

 取材班は悩みに悩んだのだろう。

 だから、衝動的な事実。行間に「やるせなさ」がにじみ出る。このスクープは素晴 らしい。毎日新聞の取材力は素晴らしい。うれしい。

 しかし、である。

 正直なところ、僕にとっては「別の世界」のような気もした。大体、この種の考古 学には興味がない。30万年前でも、40年前でも、70万年前でも、あまり我々に関 係ないように思ってならないのだ。

 科学的に検証することが出来ない原人の生活。推測する学問にも意味があるが、正 直言って「だから、どうなの?」という疑問がいつも存在する。

 前期旧石器時代は「学問」ではなく「ロマン」であれば良い。

 学問でなければ「ねつ造」と言われなかったのに…ロマンに逃げる技もあったろう に…。残念だ。

 午後、日動画廊(中央区銀座5−3−16、数寄屋橋交差点・ソニービル隣、TEL 03−3571ー2553)で長渕剛詩画展「赤鬼」を見る。

 長渕はご存じ、個性的過ぎるライブ・アーチスト。「とんぼ」「ひまわり」のヒッ ト曲で熱狂的なファンを持ち、1992年の東京ドームのコンサートには6万5000 人のファンが駆けつけた。

 長渕教?の教祖である。

 実は数年前、彼の「生き方」を書きたいと思い、何度か会って話をした。率直で、 素晴らしい人間とは思ったが、僕には、彼の圧倒的な迫力の源泉が理解できず、書くこ とが出来ないままになっている。

 彼の詩画展はこれで2度目。

 2年前の前回は売り上げのうちから2000万円を「地震で親を亡くした子供のた めに」と神戸市に寄付した。

 今回も130点の作品の大部分が「予約済み」の赤い札がついていた。

 作風は勢い、勢い、勢い。

 2000年8月14日に描いた「俺のかあちゃん」は絶品。何故か、この作品には 勢いがなく、仏のような優しさがある。

 「ありがとう」で始まる短い詩もいい。

 「俺なら、これを買うな」とつぶやいたら、これは非売品だった。

 6日午後4時まで。

 もし時間があったら見に行ってもらいたい。

<なんだか分からない今日の名文句>

赤鬼は、いつも朝から怒っている。(長渕剛作) 





11月2日(木) 昭和12年生まれ

 月初め、何時もこの頃になると、親しい雑誌の編集部から発売前の月刊誌が送られてくる。

 それにしても「現代」は送ってくるのが早いような気がする。

 朝、肌寒いのでベットの中で「現代」のグラビアをペラペラめくっていると「私は半玉 19歳」。

 「玉代が芸者の半額」なので「半玉」といわれる「見習い芸者」。「半玉」なんて今頃、存在したのか。

 浅草の半玉でみゆきさん。19歳。可愛い。

 荒川生まれの下町っ子。11ヶ月修行して12月10日、お披露目する。まあ、ニュースではあるが、このグラビア、何か、30年ぐらい昔の作りに思えてならない。

 「半玉の生活と意見」のような作りに、平面的な写真。「浅草芸者の心意気」なんて言葉が出てくるのが、時代遅れのような気がする。

 昔から好きだった雑誌が低迷寸前、というような不安がある。

 少し前まで戦闘的だったのに、おとなしい雑誌になっている。編集長が変わったのかしら。

 でも、面白い文章もあった。「罪深い『昭和12年生まれ』大研究」

 橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗のお三方は「昭和12年生まれ」だという。知らなかった。

 「昭和12年生まれは美空ひばりだけ」と思いこんでいたけれど、他にも有名人は沢山いたのだ。

 筆者の作家・水木楊さんが自分も昭和12年生まれだから、興味があったのだろう。

昭和12年生まれの一覧表が載っている。いるわいるわ「昭和12年の大物」は何人もいる。

 水木さんは「昭和12年生まれの罪はツケ回し罪」なんてもっともらしことを書いているが、実はこれ、後で付けた理屈。「昭和12年生まれ」に雑誌を読ませようする深謀なのだろう。

 よく、鈴木さんの罪、とか、林さんの病気、とか、固有名詞ものが一定の読者を集めるじゃないか。その亜流。

 「現代」は60歳をターゲットしたのか。

 グラビアで「半玉」を扱うのも、昭和12年生まれが好きそうなものを狙った結果?

 ますます、総合月刊誌は中高齢者のものになる。

 窓の外を見れば強い雨。

 野暮用で雨の中、新幹線で西へ。

<なんだか分からない今日の名文句>

枯れ木に花咲く





11月1日(水) 寒々としたサンバのリズム

 今日から11月。旧暦の霜月。

 朝夕の冷え込みが少しずつ厳しくなり、月末には車の窓に霜がつくようになる。

 霜柱が伸びる頃だが、地面が少なくなってから、ついぞご無沙汰。東京の四季は風 情がなくなった。

 朝一番で雨の中、悪友・たまちゃんと平和島競艇に行く。

 この日から夢の3連単舟券発売!1着、2着、3着、全てを当てる難しい舟券だが、 当たると大きい、との触れ込み。

 「3連単」なるものが登場したのは、我が国はじめてで、新しもの好きの当方、一 目散に参上した。

 何億円をあてるというサッカーくじが登場すれば、これまでの公営ギャンブルも 「夢の配当金」に仕立て上げなければならない。

 射幸心が命?

 そこで競艇は公営競技の先端を切って、3連単に踏み切った。多分、2、3年後に は競馬も3連単を導入するだろう。

 ギャンブル戦争は熾烈である。

 第1レースの前に、スタンドの前で外人女性がサンバを踊る。裸同然のダンサーが 3人。景気づけには格好なのだろうが、3人とも寒そうな顔している。可哀想に。

 競艇はここ数年、売り上げが5〜8%減。平和島は京浜工業地帯の不景気をもろに 受け青息吐息。主催者側の府中市のお役人も、朝から、客の入りに神経を尖らす。

 こちらも、可哀想に。せめて初日は晴れてもらいたかった、とお役人も寒々として いる。

 以下、ここだけの情報。

 「3連単の最初はファンが狙いやすい番組にしなければ、と頭をひねりました」と 関係者が小声で言う。

 つまり、万舟券も話題を呼ぶだろうが、ファンを掴むのには「取りやすいレース」 を作ること。

 そこで、実力の差がファンにハッキリ分かる「堅い本命」を弱い仲間と走らせる。

1着、2着は誰でも分かるようにして、3着で勝負できるような出走メンバーを作るの だ。

 もし外れても「惜しかった」という印象が残るように作る。

 馬が走るのではないから、競艇の場合、実力通りの結果は不思議ではない。

 「こんなに実力が違うのに、なぜ一緒に走るのか?」と疑問に思ったら、舟券を沢 山売ろうとする、主催者側の魂胆、と考えればいいらしい。

 (実力というのはエンジンの良し悪しに関係する。念のため)

 夕方、FAXで送られた初日の売り上げ成績は前回の50%増。

 良かった。サンバのお嬢さんの寒々しい健闘も報われたのだ。

 出社すると、以外にも数人の同僚から「ここだけの話、良かった」とお褒めの言葉。

仕事場に帰ればメールで「墨田川は隅田川ですよ」とお叱り。

 産湯を使った川の名を打ち間違えるなんて。七五三ではあるまいに。

 ああ、恥かいた。

  
<なんだか分からない今日の名文句>

袴着の霜月





10月31日(火)池田さんは15%をどう見るか

 朝刊で毎日新聞は世論調査の結果を公表。森内閣の支持率は15%。「魔の10パー セント台」に突入した。

 歴史的に見ると、10パーセント台は3ヶ月以内に退陣する危険水域。「第3国発 見」騒ぎが響いたのだろう。

 この日記で「新聞は電話やインターネットで世論調査をすべきだ。その上で、新聞 は社説を!」と主張していたが、世論調査である程度客観的に「民の意思」がはっきり した、と思う。森内閣に「NO!」。

 そこで、これからの推移。

 (1)次々に出るマスコミ各社の調査の数字。
 (2)新聞、テレビの反応。
 (3)この際「天下を取ろう」と決意する人物の名乗り出。

 そして、最初に最大の鍵。(4)創価学会である。

 公明党がこれまで通り、森内閣を支持するのか。はっきり言えば、池田大作さんが どう動くのか。これが運命の別れ道?

 池田さんは将軍ではないが「闇将軍」である。

 新聞記者の大半は口にこそ出さないが、池田さんが「森でいい」となれば、この内 閣は参議院選挙まで持つと見ている。

 僕は宗教団体が政治に参加することに反対ではない。キリスト教系の政党が天下を 取っている国は幾つもある。

 しかし、宗教団体が政党をつくり、公平な政治をするには前提がある。

 宗教団体の免税特権をなくすことである。

 政治の本質は「所得の再配分」。つまり、どう税を集め、どう使うか、が政治であ る。  宗教団体が免税特権を持ちながら、所得の再配分を行おうとする矛盾を、まず、 なくさなければならない。

 まして、そんな事はないとは思うが、特定の宗教団体がさらに優遇されるようなこ とが起きたら政治は闇だ。

 その意味で、公明党が(実は創価学会が)キャスティングボートを握る政局に複雑 な思いを抱きながらも、推移を見守る。

 それが、自民が公明に頭を下げる時代の、悲しい現状なのだ。

 朝のリハビリを済ませ、スポニチの「おけら街道」を書く。

 わが「二代目魁」が菊花賞予想大会をした時、@takaiさんが掲示板で「菊花 賞3連単の配当」を計算してくれた。競馬ファンには、すごく興味がある情報なので、 どこかで広く知らせたい、と思っていたが、平和島競艇の3連単が始まるタイミングを 見つけて「おけら街道」の中で紹介した。

(スポニチ東京版3日付け朝刊。今回は「掲示板の著作権」については、あまり厳密に考えず「競馬ファンの共有すべきデータ」と僕が勝手に判断した。意見があれば掲示板で)

 数カ所、取材。

 アフター5。例の大丸6階のフットバランスで足を揉んでもらい、同じ階の「bo ok&cafe」でブラジルNO.2/19(350円)を飲む。

 ここは隣の本屋から読みたい本を持ってきて、コーヒーを飲みながら、じっくり読 む。気に入ったら買えばいいし、つまらなければ買わなくても良い。

 コーヒーは殊の外、旨い。ブラジルはほろ苦いが、まろやかだ。

 仕事場に戻れば「ここだけの話、読みました。同感です」と言ったメール。深夜に 「政治家は常人以上にさらし者になるべき」という反対意見?もあったが、反応が多い のはありがたい。

 (「ここだけの話・卑怯な時代」はこのホームページでは3日午前11時更新で登 場しますので読んで下さい。)

<なんだか分からない今日の名文句>

叶わぬ時の神頼み